「ほ、本当にアリシアなの!?」
《そうだよ、お母さん》
プレシアが確認するようにいい、そしてアリシアが肯定する。感動の再会なのだろうが、時間がないので私が割り込む。
「感動の再会に申し訳ないんですが、あまり時間がないので説明してもらえますか?」
「で、でも……」
プレシアが言いにくそうに言い淀んでいると、アリシアが先にバラしてしまう。
《私は昔お母さんが勤めていた魔法研究所で起きた事故で死んでしまったの。だからここにいる私は幽霊でいいのかな?》
「ア、アリシア!?」
プレシアはアリシアの言葉に慌てるが、アリシアはそれを無視して過去に起こった出来事から今までのことまでを全て話してしまった。
――― 十分後 ―――
《そんなわけで私は今ここにいるの》
アリシアの話が終わった頃アリシアの姿が薄くなり始めた。
《あれ?もう時間なの?残念だなー、あ、後はお母さんから話を聞いてね!……それから樹、出来ればお母さんとフェイトを助けてあげて……》
「あぁ、アリシア!」
「プレシアさん落ち着いてください。アリシアは消えたわけではありません、視えないだけでそこにいますから」
私の言葉にプレシアは落ち着きを取り戻す。
「まず、アリシアが言っていたことは本当ですか?」
「ええ、細部は少々違っているけどほぼ合っているわ」
「アリシアの体がここで治療されているとアリシア自身が言っていましたが…」
「そうね…アリシアが自分で言ってしまったから隠している意味はないわね。ついて来てこっちよ」
そう言うとプレシアは立ち上がり壁の一面に向けて魔力を流す。すると壁の一部がスライドし隠し扉が開いた。
扉の先は階段になっており地下へと下っていた。やがてある部屋の前に着き扉を開く。
その部屋にあったのはシリンダーのような容器に漂うアリシアの姿があった。
「この子がアリシアなんですね」
私の言葉にプレシアが頷く。
「そうよ、事故は魔力暴走だった為か身体自体に怪我はなかったわ。でもアリシアはその後目覚めることはなかった。
私は事故の後アリシアを蘇らせる為に様々なことに手を出したわ。その成果の一つが【プロジェクトF.A.T.E】」
プレシアの言葉に私が反応する。
「もしかしてフェイトはアリシアの……」
「そう、クローンよ……」
私の言葉にプレシアが肯定する。
「フェイトにはこのことは話していますか?」
「いえ、話していないわ。まだフェイトには早いと思って。でもそうね私の命も少ないしそろそろ話してもいいかもね…」
「それでアリシアはその時の事故で亡くなったと、そういうことですね?」
「ええ、そうよ」
私の疑問に答えるプレシア。だが私はウィスプにシフトしている時にある違和感を感じていた。
アリシアの霊?にまだ魂の尾のようなものが出ていたからだ。その違和感はこの場所に着いて完全に無くなった。
それはアリシアの身体からまだ魂の尾が繋がっていたからだ。それはつまりアリシアはまだ死んではいないということ。
だがそのことをプレシアには話さないでいた、精霊達の魔法で病気やこの状態のアリシアも治すことはできる。
ただ治すにしてもプレシアのフェイトに対する気持ちを聞きたかった、なので私はプレシアにフェイトのこと、アリシアのことを聞いてみた。
「……プレシアさんフェイトのこと、アリシアのことどう思っていますか?出来れば正直に答えてください」
私の問いにプレシアが答える。
「……そうね、フェイトがアリシアのクローンでも生み出したのは私。経緯はどうあれ二人共私の大事な娘よ。私の命が残り少なくてもそれは変わらないわ。
アリシアを生き返せれないのは残念だけどね……」
「そうですか……」
プレシアの言葉に嘘はなさそうだった。なら私の気持ちは決まった。持てる力全てを使ってこの家族を助ける!
「プレシアさん」
「なにかしら?」
「私の気持ちは決まりました」
「何を決めたのかしら?」
「あなた達の家族を私の力で助けます」
私の言葉にプレシアは訝しむ。
「どうやってかしら?先程貴方の魔法では助けることは出来ないような事を言っていたわよね?」
「そうですね、私は出来るだけ力は隠すものだと考えていますのであの時は出来ないというしか言えませんでした。
ですが、アリシアの話そしてプレシアさんの話から私が助けたいと思ったのです」
「でも、アリシアは既に死んでいるのよ。それを生き返らせるのはそれこそ伝説や奇跡に出てくるアルハザードに行くぐらいしかないわ!」
「そのことなんですが…」
「なによ、まさかアルハザードに行けるなんて言わないわよね?」
「いえ、アルハザードが何なのかは知りませんが、その…アリシアはまだ死んでいません」
私の言葉にプレシアは絶句する。だが直ぐに、
「嘘よ!私は何度も確認したわ!そしてその度に絶望したわ!」
「すみません、言葉が足りなかったですね。死んでいないというより仮死状態のようなものです。
先程ウィスプにシフトした時違和感があり、そして今もウィスプにシフトしているのですが……
どうやら魂の尾がまだ身体から切り離されていないのです」
私の説明に、
「どういうことかしら」
「ウィスプにシフトしていると視えない物が視える様になるのですが、その中の一つに霊気があるのです。
霊気は私達の世界で身体から発せられる物で通常視ることは出来ません。ただ霊気は魂と密接に関係しており、
魂は霊気の塊ともいわれ、魂が身体と繋がっている間は死んではいない。ということです」
「じゃ、じゃあアリシアはまだ死んではいないの!?」
「はい、ただこのままでは一生目は覚めないでしょう。そこで私が精霊の力でアリシアを目覚めさせます」
「ほ、本当に!?本当にアリシアが復活するの!?」
「ええ、ですが私の力については誰にも話さないでください」
「もしその話が本当なら確かに秘密にしていたほうがいいわね、分かったわ私は誰にもこのことを話さないわ、リニスもいいわね」
「はい、プレシアの言う通りにします」
*************
「それではこれからアリシアに魔法を掛けますがそのままではいけませんのでカプセルから出して服を着せてください」
「そうね、リニス」
プレシアがリニスに指示を出してアリシアがカプセルから出される。もちろん私はその現場を見ていない当たり前だ。
最も部屋に初めて入った時に裸のアリシアを見てしまっているが……
やがて準備が終わったのかプレシアから許可が出る。
「いいわよこっちを見ても」
振り向くと寝台にアリシアが寝かされている。その様子を見て私は二人に話す。
「それではやります、ニンフ、リミッターの全解除を」
[了解マスター]
次の瞬間、私の魔力は急激に膨れ上がる。
「な!?……これほどの魔力、確かに管理局に知られたら勧誘が来るわね」
「さて…やりますか『ドリアド、ウィスプいくよ』」
『了解です』『任しとけ』
「【ダブルエレメンタル・シフトドリアド・ウィル・オ・ウィスプ】」
「彼の者に大いなる癒しの力を!【
私が魔法を発動するとアリシアの身体が光に包まれる。やがて光は収まりそして……
「……ん……あれ?」
「……!!アリシア!!」
「わぷ、お母さん?」
「そうよ!アリシア!お母さんよ!」
アリシアが目覚めてプレシアが感動で抱きしめている。だがまだすることがあるので空気読めないと言われても口を挟む。
「感動中にすみません、まだすることがあるのでいいですか」
「あ、ご、ごめんなさい。何かしら」
「プレシアさんの病気を治療します」
「わ、私の病気の治療ですって!?」
「ええ、ただこの魔法は私の魔力を極端に使用し、発動後は暫く強制的に眠りに落ちます。
なので眠っている間の事を頼みたいのです」
「そう、分かったわ。アリシアを目覚めさせてくれたのもの、それぐらいは面倒を見るわ」
「ではいきますね『皆いいかい?ペンタグラム・シフトを使うよ』」
『それはいいんだが、いいのかい樹?』
『そうやで樹はん無理はしない方がいいとちゃう?』
「『いや、皆の気持ちはありがたいけど、プレシアさんがどこまで持つか判らない以上早めに治療したい』」
『そうですか……分かりました私は樹さんを信じます』
『しゃーない、うちも気張るか』
『主よ、無理だと思ったら此方で止める存分にやるが良い』
『まぁ攻撃魔法じゃないだけましかな?』
「『じゃあいくよ』【ペンタグラム・シフトウィル・オ・ウィスプ】」
ペンタグラム・シフトが発動すると五芒星が浮き上がり、中央にウィスプ、各頂点にそれぞれの属性の精霊が配置された魔法陣が表れる。
「…っく、やっぱりキツイ……だけど。
大いなる木の精霊ドリアド、その秘められし力を我に貸与え給え!【
魔法が発動すると空中に魔力が集まり始め様々な植物が出現する。
「…っぐ、材料はこれでいいはず。【
更に魔法を駆使してそれらを調合する。そして一つの薬が出来上がった。
「で、できた…か【解除】」
魔法薬が完成したと共にシフトを解除する。そして出来た魔法薬をプレシアに渡す。
「プレシアさん、これを飲んでください」
「これは?」
「伝説とも謂われている霊薬エリクサーです。この霊薬なら貴女の病気も簡単に治すことが出来ます」
私の言葉にプレシアは驚く。
「それじゃあ私はもう限界なので眠ります。
プレシアさん、フェイトにここで起きたこと、ご自分の病気のこと、そしてアリシアのことちゃんと話してくださいね」
そして私は魔力の限界により強制的な眠りにつく。次に目覚めた時フェイト達家族が幸せになっていることを願いつつ。
第32話終了です
なかなか話が上手くいきません才能の無さに愕然としています
話の最中に出てくる霊気と魂の話は独自設定です真に受けないでください
魔法紹介
死んでさえいなければ病気以外なら治す事ができるかなり強力な魔法
植物ならば伝説上の物だろうが創造可能なトンデモ魔法
自分が調合レシピを知らなくても最適な調合をしてくれる便利な魔法