精霊使いの転生者   作:キジトラのヌコ

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精霊使いの転生者 33

 「………ん……ここは……」

 

 魔力枯渇の強制睡眠から目が覚め、私は状況を把握しようと首を回す。

私が寝ていたのは何処かのベッドだった。傍らにはフェイト…ではなくアリシアがベッドにもたれ掛かる様に眠っていた。

恐らく看護の為だろうが疲れて眠ってしまったのだろう。

暫く目を開けてぼーっとしていたら扉が開き人が入って来た。

 

 ――ガチャ

 

 「失礼します…あら目が覚めましたか」

 

 入ってきた人は私が知らない人だった。体を起こしその人に挨拶をする。

 

 「おはようございます、ええとここはどこの部屋ですか?」

 

 「おはようございます、ここはアースラの救護室です。今から艦長達に連絡しますので少々待っててくださいね」

 

 それから暫くして部屋の外から慌てて走ってくる数人の気配がしてきた。

 

 ――ガチャバタン!!

 

 「樹君!」「樹!」

 

 部屋に騒々しく入ってきたのはなのはとフェイトだった。

 

 「二人共おはよう」

 

 「樹君大丈夫なの!?」

 

 「樹、倒れたって母さんから聞いたんだけど無事なの!?」

 

 「プレシアさんがどう言ったのかは知らないけど、私はただ魔力枯渇で眠っただけだから大丈夫だよ」

 

 私が心配しないでと言っていると扉から更に人が入ってきた。

 

 「二人共、樹君はまだ起きたばかりだから無理をさせてはダメよ」

 

 「そうよフェイト、アリシアもまだ寝ているようだから騒いじゃダメよ」

 

 プレシアがそう言ったが、

 

 「……うぅん……うるさいよぉ~…」

 

 アリシアは周りの騒がしさに目が覚めたようだ。

 

 「アリシアおはよう」

 

 「…ん~…あ、おはよう樹」

 

 アリシアの目が覚め場は更に騒がしくなる。

 

 

 

*************

 

 

 

 暫くして喧騒が収まるとリンディから私がなぜここにいるのかを説明された。私が眠ってから既に地球時間で72時間つまり三日経っていた。

説明の前になのはとフェイト、アリシアは退出を促され渋々ながらも出ていった。

既にプレシアの事情はリンディに話されており、過去で起った事故、その際にアリシアが仮死状態になり、それを私が魔法で治療し目覚めさせた。

プレシアが話したのはここまでだった。私の精霊については約束通り話してはいなかった。

リンディはプレシアの話からヒュードラ事件の真相を探っていたようだ。

その結果、ヒュードラ事件はプレシアの上司の無理な指示による事故で、更にその上司により事件を隠蔽されていたことが分かった。

また、フェイトが起こした貨物船襲撃は母親を助けたいがための行動であり、多少の罪には問われるだろうが軽くなるでしょうと言っていた。

さらにアリシアの処遇について、今まで死んでいたと思われていたので住民票等、諸々の書類が必要になるので暫く待って欲しいとのことだった。

そして必要の無くなったジュエルシードは既に管理局に渡されているとのことだった。

現在はなのはとフェイトを中心にクロノ、ユーノの4人で回収していた。

今までなのは、クロノで回収していたのがフェイトが加わったので以前よりもとても楽になっていた。

そして私が寝ている間にジュエルシードの残りは後6個になったようだった。

ただ残っているジュエルシードが未だに見つかっていないらしくエイミィ達オペレーターが必死に探しているらしい。

 

 「事情は分かりました。私が寝ている間に結構探し終わっていたんですね」

 

 「ええ、でも残りのジュエルシードが見つからなくて困っているのよ」

 

 「ふむ…既に街の中は殆ど探し終わっているんですよね?」

 

 「ええそうよ」

 

 「なら残りは海中にあるんじゃ?」

 

 私の考察にリンディもその可能性しかないと思っていたのか、簡単に相槌を打つ。

 

 「やっぱり樹君もそう思う?エイミィに連絡して海中を中心に探ってもらいましょう」

 

 リンディがそう言った時だった。アースラの船内にアラームが鳴り響く。

 

 《艦長、ジュエルシードの反応が出ました!海上に残っていた6個のジュエルシードが発動しました!》

 

 「分かったわ、直ぐにそっちに行くわ」

 

 リンディが立ち上がり部屋を出ていきそうになり慌てて、

 

 「私も行きます」

 

 「貴方はまだ寝ていなさい、万全ではないでしょう?」

 

 「たとえ何も出来なくてもここで待っているよりましです」

 

 「…はぁ…仕方がないわね、いいわよ、但し戦闘には参加しないこと、これが条件よ」

 

 「ありがとうございますリンディさん」

 

 リンディにお礼を言いベッドから起きる。その様子に横から見ていたプレシアが口を挟む。

 

 「まったく、あまり無茶はしてはダメよ。あの子達の補佐は私がやるわ」

 

 「すみません、ありがとうございますプレシアさん『病み上がりなのにすみません』」

 

 「『いいのよ、貴方のおかげで私の病気は完全に治ったわ。……それにどうも若返ったような気がするし…』」

 

 そう言ったプレシアはかなり嬉しそうだった。確かにエリクサーの効果の中に永遠の命や若さがあった気がするが、私が創ったエリクサーは本物ではないから若干劣化した効果の若返りが出たのだろう(多分…)。

 

 

 

*************

 

 

 

 ブリッジに着いたときそのモニターには驚くべき映像が映されていた。

海上から六つの首を持つ水の竜というべき姿が映っていたのだ。

恐らくあれは暴走したジュエルシードの魔力に周りの海水が反応してあの姿になったのだろう。

ブリッジではクロノが艦長であるリンディの到着を待っていた。到着と同時にリンディへ現在の状況が伝えられ、熟考した後、今ある戦力で全力で当たるように指示を出した。

 

 私は先程の約束もありアースラでお留守番だ。封印に向かうのは、なのは、フェイトにクロノ、サポートとしてユーノとアルフ、それにプレシアが応ることになった。

リニスも戦闘に参加すると表明したが、プレシアが私の傍にいるように命じたので不参加となった。不測の事態が起こった時のために戦力を残しておいたのだろう。

 

 肝心の戦闘だが、最初は竜が口から水のブレスを吐き出したり、六本の首で数で押していたが、ユーノ、アルフのバインド、更にクロノとプレシアの魔法で完全に動きを封じた。

その隙になのはとフェイトの魔砲で水の竜を撃ち抜いた。

その時のなのはの魔砲だがモニターで聞こえた限りではスターライトブレイカーと聞こえた。

後で聞いてみたところ、どうやらフェイトに勝つため開発した魔法だそうだ。

ただ見た限りでは威力が高すぎて例え非殺傷でも人に向けるような魔法ではない気がした。

隣にいたフェイトも青い顔をしていて、

 

 「あんな魔砲受けなくてよかった……」

 

 なんてこぼしていたほどだ。

二人の砲撃によって水の竜は撃破され空中に封印されたジュエルシードが六つ浮かんでいた。

そしてクロノが回収し今回のジュエルシードを巡る騒動は終わりに向かいつつあるのだった。

 

 

 

*************

 

 

 

 数日後、私となのは、ユーノはフェイト達と会う為に臨海公園に来ていた。

今日フェイト達は自分達の世界、つまりミッドチルダに旅立つためだ。

私が強制睡眠から目覚めた時にリンディから受けた説明に今後の罪の精算の為ミッドで裁判を受ける必要があるとのこと。

ただ、プレシアは過去の事故では被害者であり、更には続々と証拠が揃いつつあるので今回のことでは恐らく無罪になるのこと。

しかしフェイトは母親の為のこととはいえ貨物船襲撃があるので、何年か管理局への奉仕という形にするそうだ。

 

 そして今、なのはとフェイトはお互い話し合っていた。

そんな中、私のとなりに来ていたアルフが、

 

 「樹、ありがとうね」

 

 「うん?何のこと?」

 

 「フェイトとプレシアにアリシアの事だよ。あたしは使い魔として生まれてからそれ程経っていないけど、あんなに笑っているフェイトを見たことがないんだ。

アリシアの事はあたしは知らなかったけど、プレシアの病気はなんとなく判っていた。

だけどあたいじゃ何にも出来なかった、精々フェイトの手伝いだけしか出来ることがなかった」

 

 アルフの言葉に私は黙って聞いている。

 

 「そんな時さ、フェイトがジュエルシードの事を知ったのは。フェイトはその日から情報を集めて、そして貨物船を襲撃した。

だけど運悪く、いや今考えると運良くかもね…ジュエルシードがここの管理外世界に散らばることになった。

そして集めているうちにアンタに会った」

 

 「最初会った時は女だと思っていたよ、服装はズボンを履いていたけど顔はどう見ても女だったしね」

 

 アルフは私と会った時を思い出したのだろう、笑っていた。

 

 「だけど次に会った時は敵同士だった。あたしはフェイトの為に戦闘しようと思ったのにアンタの態度で肩透かしくらって戦闘するような気分になれなかった」

 

 「まぁ私はあんまり戦うのは好きじゃないからね」

 

 「そのくせ魔法や格闘はあたしより強いのにな」

 

 私の言い分にアルフは憮然とする。

 

 「そしてなんだかんだあったのにあの二人を治療してくれた。私達がどうやっても魔法で治療出来なかったのにどうやって治療したんだい?」

 

 「それは……」

 

 「それは?」

 

 「……それはまだ秘密だよ」

 

 私の答えにアルフは、

 

 「まぁ仕方がないか、誰にだって言えないことだってあるだろうしね」

 

 そう言って納得してくれた。

私達がそんな話をしているなか、なのはとフェイトの話は佳境に入りつつあった。

 

 「フェイトちゃん、リボンの交換をしよう。また絶対に会う約束として……」

 

 「なのは……うん!」

 

 なのはとフェイトはお互いのリボンを外して交換をしていた。

 

 「もういいかしら?そろそろ時間よ」

 

 リンディが二人の話に区切りが着いた頃口を挟んだ。

 

 「フェイト行くわよ」

 

 「フェイト早く来ないと置いてっちゃうよ」

 

 「アルフ貴女も早く来なさい」

 

 「じゃあね樹、また会おうね」

 

 そしてフェイト達はクロノ達と共にミッドチルダに旅立ったのだった。




第33話終了です
最後のジュエルシードはかなり駆け足で端折りました
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