なのはから鍛えてくれと申し込まれた次の日、私はなのはとフェイトと共にトレーニングルームに来ていた。
ここのトレーニングルームは実はアースラだ。
アースラはなのは達のデバイスの修理が終わる少し前に整備が終わり、その事をリンディさんから聞いたため使わせてくれるよう頼んでみたら快く快諾してくれた。
その訳で現在私の前にはなのはとフェイトがいる。
ついでになのは達と私の模擬戦を観たいのか、アースラのクルーやテスタロッサ家のモニタールームに来ているようだ。
「まず、私は貴女達より魔力量は少ないです。それはいいですか?」
「はい、それでも多分今の私より強いと思っています」
「そうですか……しかし私は貴女達の力を知りません。そこでまずは実力を知るために模擬戦をしてもらいます」
「「はい、お願いします」」
なのはとフェイトは同時に返事をする。
「では模擬戦のルールですが、まず一対一でそれぞれ私と戦ってもらいます。次に私に二人掛かりで挑んでください」
「「分かりました」」
「最後に、カートリッジシステムですが、慣らしの意味も込めて一回の模擬戦ごとに一度のみ使用を許可します、いいですね?」
「「はい」」
「では、まずはどちらが相手になりますか?」
私が先に相手になるのか聞いてみると、二人はじゃんけんをしだした。
じゃんけんの結果、グーを出したフェイトが先になるようだ。
「よろしくお願いします」
「ルビス、棍を」
「了解ですマスター」
私はニンフからストレージ部分に収納していた棍を取り出す。
「さぁどこからでも掛かってきなさい」
*************
場面変わってモニタールーム。
「エイミィ、三人のモニターをよろしく」
リンディが模擬戦のデータを取るためにエイミィにそう指示を出していた。
「任せてください。なのはちゃんとフェイトちゃんもあのエルナトって人のデータもばっちり録っちゃいますよ」
「しかし、あれが噂の人物だったのか…」
クロノがそう呟く。
「あれ?クロノ君も何か知っていたの?」
「いや、噂だけなんだが、なんでもフリーの魔導師に依頼達成率9割を超える凄腕の魔導師がいると聞いたことがあるだけだ」
まさかあんなに若い女だとは知らなかったが…とクロノは呟く。
「私も情報だけは色々知っていたけど……!これって本当!?」
「どうしたの?エイミィ」
驚いた声に反応するリンディ。それに答えるエイミィは、
「あ、いえ、エルナトの情報を検索していたら○○の酒場に所属というか、主にそこの依頼から受けているようなんですが……」
「?はっきりしないわね、言ってみなさい」
「ええと、どうやら19歳で…男性……みたいです…」
エイミィの言葉に周りの時が止まる(プレシアは知っていたのでそのままだったが)。
「え!?嘘でしょ?下手な女性より女らしいわよ!?」
「でもここに表記されてることが本当なら男性のようです」
(そうよねー本人から聞いていた私だってどう見ても女性にしか見えないし……)
プレシアは内心周りの反応を見ながらモニターに映っている三人の戦いに目を移す。
*************
「【フォトンランサー】」
フェイトはまずは様子見とばかりにフォトンランサーを発射する。
弾速の速いそれは真っ直ぐ私に向かってくる。
私は棍に魔力を纏わせ直撃するものだけを弾き飛ばす。
「甘いですよ」
「ええ!?魔法を使わずに弾き返した!?」
フェイトは私が魔法を使わずに弾き返したのが驚いたのかその場で止まっている。
「どうしたんです?止まっていたら模擬戦にもなりませんよ?」
「くっ…!なら!【プラズマランサー】!」
今度は別の魔法を撃ってきた、だが何故か私からかなり逸れていた。何故?と思っていたら、
「ターン!」
フェイトが一言言うとプラズマランサーの弾が此方に向かって方向転換してきた。
私は方向転換してきた弾を回避する。
「誘導式の射撃魔法ですか」
「まだまだ!ターン!」
ターンと言う度に魔法は此方に向かって方向転換する。
「ふむ…少し面倒ですね。迎撃しますか」
そう私が呟き、一つの魔法を発動する。
「【ニードルショット】」
魔法が発動すると私の頭上に針のように細い射撃魔法が展開される。
一瞬停滞したと思うとそれぞれがフェイトのプラズマランサーに向かって発射される。
拮抗したのは一瞬、ニードルショットがフェイトのプラズマランサーを打ち抜き全て消滅させる。
「さて、これで終わりですか?」
フェイトはプラズマランサーが消されたのを見て少し放然としていたが、直ぐに気を取り直し今度は此方に向かってきた。
どうやら近接に切り替えたようだ。
「バルディッシュ、ハーケンフォーム!」
[サー]
フェイトはバルディッシュを鎌状態のハーケンフォームに形状を変え振りかぶってくる。
―――ガンッ!
ハーケンフォームと棍がぶつかり魔力光が煌く。
フェイトは更に鎌を振り回し此方を攻撃してくるが、私は匠に棍を取り回し直撃させない。
やがてこのままでは拉致があかないと悟ったのか、スピードで攪乱するようにフォトンランサーを混ぜながら周りを移動する。
私はフェイトがスピード勝負に出たため、そのままでも対応は出来たが、せっかくなので此方も速度重視で対応することにした。
「『ジン行くよ』」
『久しぶりの出番なんだな』
「【エレメンタル・シフトジン】」
シフトをし私の魔力光が黄色に変わる。
*************
「!エルナトの魔力光と魔力の質が変化しました!」
モニタールームでエルナトとフェイトの模擬戦をモニターしていたエイミィは突然変化した数値に驚きを隠せなかった。
「魔力光と質が変化?どういうことエイミィ」
リンディは同じようにモニターを凝視しつつエイミィに尋ねる。
「詳しくは解りません。ただ、エルナトがエレメンタル・シフトジンと言った瞬間変化しました。
恐らく変化するためのキーワードだと思われます」
エイミィはひっきりなしにに表示される数値を見ながら更に言う。
「それよりも、変化した後のこの魔力量です。変化前は魔力量はAぐらいだったのですが、変化後はAAAぐらいまで上昇しています」
「AAAって…なのはちゃん達とほぼ同じじゃない……つまりこの力がエルナトの隠していた力なのね…」
モニターではフェイトのスピードに軽く付いていくエルナトが映し出されている。
*************
「くっ!…速い!」
フェイトは此方が付いてくるのが意外だったのか攻撃が幾らか雑になっていた。
「ほら、そんな雑な攻撃だと簡単に避けられるよ」
フェイトから飛んでくるプラズマランサーを棍で弾きどんどん近づく。
全て弾いたところでフェイトが止まったので此方も速度を落として正面に対面する。
「鬼ごっこはおしまいですか?」
「はい、今の私じゃどうやっても勝てそうにありません」
「なら諦めるのかな?」
「……いいえ。私にはまだ新しい力があります。…バルディッシュ、カートリッジロード!」
[サー、カートリッジロード]
「アサルトフォーム!受けてみてください、これが今の私の力です!【プラズマスマッシャー】!」
フェイトが突き出した左手から魔法陣が浮かび上がり、中央から一本、上下から二本枝分かれするように砲撃が飛んでくる。
フェイトの魔力変換資質が影響しているため、放電しながら突き進んでいく。
私は回避せずその場に留まり、あまり使わない攻撃魔法を使用する。
「【サンダーブレード】」
魔法の発動と共に棍に電気が纏う。プラズマスマッシャーが当たる直前、私は棍を逆袈裟に斬り上げプラズマスマッシャーを天井に弾く。
そしてそのまま距離を詰め硬直しているフェイトの首筋に棍を突きつけて、フェイトとの模擬戦を終了した。
第48話終了です
今回はフェイトとの模擬戦になりました
次回はなのはとの模擬戦になります