フェイトとの模擬戦が終了してなのはとの模擬戦が始まるその僅かな間。
リンディやエイミィ、クロノは先程のエルナトの戦いを分析していた。
「さっき戦いの途中で魔力の質が変わりました。正確にはエルナトさんが【エレメンタル・シフトジン】と呟いたところからです」
「そうね、あの棒で魔法を弾いていたのも凄かったけど、それでもその後のフェイトちゃんのプラズマスマッシャーまで弾いていたのはすごかったわ」
「僕ではあんなことは出来そうにないな、せいぜい魔法をぶつけて相殺が関の山だろう」
プレシアはその場の話を聞きながら、
(それにしても樹は凄いわね、カートリッジシステムを手に入れてからまだ初日だからもあるでしょうけど、
フェイトのカートリッジ有りのプラズマスマッシャーを弾くなんてね……。
あれでまだ実力を隠しているのだから……。たしかあの時は【ダブルエレメンタル・シフト】と言っていた。
それに…【ペンタグラム・シフト】あれは別格だわ、あんなもの使われたらここにいる人物では私も含めて敵わないでしょうね)
冷静にそんなことを考えていた。
そんな思考をしていた隣でアリシアは、
(すごいな~あのエルナトって人。フェイトをまるで赤子の手を捻っているみたいに軽くあしらうなんて…
でも…どうしてかな?あの人の魔法…途中から何かが見えたような気がしたんだけど…?)
どうやらアリシアには精霊が視えているのかもしれなかった。
このことを樹が知るのはもう少し後になる……
*************
「さてなのはは準備出来ましたか?」
私は正面に立つなのはに準備が出来たかを確認する。
「はい、よろしくお願いしますエルナトさん」
なのはは既にバリアジャケット姿になり、レイジングハートを構えて立っている。
「先程フェイトにも言いましたが、カートリッジシステムはこの模擬戦では一度のみ許可します」
「はい」
「二度以上使おうとしたら問答無用で止めます。では始めましょう」
私が開始を言った途端、なのはは距離を取ってディバインシューターを飛ばしてきた。
「【ディバインシューター】!」
ディバインシューターは合計で6発飛んでくる。なのははディバインシューターを発射後その場に止まらずに移動する。
どうやら本人が移動していても操作が可能なようだ。
私は飛んでくるディバインシューターを手に持った棍にまたも魔力を纏わせ弾いていく。
残りが半分3発になったところでなのはが、
「アクセル!」
コマンドワードを発したとたん弾速が加速した。
だが私は棍を斬り上げ、払い、突きで3発とも消し飛ばす。
ディバインシューターを消すと今度はディバインバスターが飛んできた。
どうやら私がディバインシューターを相手にしている間に詠唱し、シューターが消えると同時にバスターを放ったのだろう。
これに対し私は回避は無理と判断し【エレメンタル・シフトノーム】を発動しアイアンより硬度が高いスチール(鋼)シールドを発動する。
「ふぅ、なかなかの攻撃ですね。危うく直撃するところでした」
「うそ…あのタイミングで完全に防がれた!?」
[マスターまだ終わっていません]
「うん、そうだねレイジングハート」
はのははまだやるようだ、決意を新たにこちらに向かってくる。が、私は内心舌を巻いていた。
「『うーん、かなり危なかったね。タイミング的にもばっちりだったよ、ノームに手伝ってもらってなかったらこっちが今の一撃でやられていたね』」
[『あの威力でカートリッジを使っていないというのが恐ろしいですね、結果的ですがスチールシールドで防げましたが、
アイアンシールドだと恐らくシールドを抜いていたでしょう』]
『あの嬢ちゃんはすごいのう~樹がリミッターを掛けている今だとわし以外完全に防ぐのは難しいのう』
『私ならばあの魔法で防げますが…あれはダブルシフトですから』
ドリアドがそう提案してくれた。確かにあの魔法ならばノームの防御にも匹敵しそうだ。
ただドリアドが言ったようにダブルシフト前提なためあまり見せたくないのが現状だ。
私が精霊達と話している間になのははバインドを駆使して此方を捕まえようとしている。
もちろんバインドなんかに捕まるわけもいかず此方も移動しながらフェイトに撃ったと同じニードルショットを撃ち返す。
私のニードルショットに対してなのははディバインシューターで対抗する。
なのはのディバインシューターはフェイトのプラズマランサーより硬いのかニードル1発につきシューター2発で相殺される。
何発かはなのはまで届くのだが、なのはの防御が高いため防がれていた。
模擬戦は次第に膠着状態になっていく。なのはは効かないとわかっていても何故か何度も魔法を放つ。
だが私は周りに漂う魔力残滓が気になっていた。やがて魔力濃度がある程度高まってくるとなのはが突然脚を止めこちらに話しかけてきた。
「はぁはぁ……エルナトさん」
「なにかななのは」
「今の私では多分貴女に勝てないと思います……だけど!せめて一撃だけでも与えてみせます」
「そうか…分かったよ、ならば私も全力を持って応えます」
「レイジングハート!【バスターモード】!」
[イエス、マスター]
なのははレイジングハートをバスターモードに変化させる。そしてなのははあの魔法の準備に入った。
そしてその瞬間周りに漂っていた魔力残滓がなのはに集まっていく。
*************
「あれってまさか…なのはちゃんのスターライトブレイカー!?」
モニタールームで見ていたリンディ、エイミィはなのはのスターライトブレイカーに慌て始める。
「ちょっとあんなのをトレーニングルームで撃ったらここが壊れちゃうわよ!?」
慌ててトレーニングルームに放送をかけるがなのはは集中しているのか放送に気づいていないようだ。
「あ、なのはちゃん今度はカートリッジを使いました!」
「なにやってんのよあの娘は!?本当に施設を破壊するき!?」
モニタールームではフェイトがその様子を見て何故か震えている。
「フェイト大丈夫なの?」
「あ、うん大丈夫だよ姉さん」
アリシアはフェイトを心配して寄り添う。そんな様子を見てプレシアはほっこりしていた。
*************
「レイジングハート!カートリッジロード!」
なのははスターライトブレイカーに更にカートリッジをロードし威力を高める。
そしてすぐ後にトレーニングルームにリンディさんの声が聞こえてくる。
『なのはちゃん!トレーニングルームでスターライトブレイカーを撃つのはやめて!施設が壊れるわ!』
だがなのははその声が聞こえてないらしく未だにチャージをしている。
[マスター、このままだとリンディ提督の忠告通り施設が破壊されます]
「それは流石に拙いね。回避は論外、弾いて返しても施設が壊れるからこれも選択できない。
シールドで防御もリミッター状態だとどうだろ?」
『う~む、ちょいキツイの。やれんこともないが確実に防ぐならわしはダブルシフトをお薦めするぞい』
『それならば私の出番ですか?あの魔法なら周りへの影響もほとんどありません』
「よし、その手で行こう」
なのはのスターライトブレイカー今にも発射されそうだ。私はあの魔法を使うためにダブルシフトを使う。
「【ダブルエレメンタル・シフトドリアド、ウィル・オ・ウィスプ】」
ダブルシフトした瞬間、私の魔力はAからSSランクまで一気に上がる。
その様子をモニターで見ていたエイミィはまた別の驚きをするが、リンディやクロノの声でかき消されていた。
「【マジックアブソーブ】!」
魔法を発動すると私の周りを薄い緑の膜が球状に展開される。
次の瞬間なのはのスターライトブレイカーのチャージが終わり撃ち出された!
「【スターライトブレイカー】!!」
凄まじい轟音が鳴り響き破壊の光が迸る。光は私を捉えそのまま防御を抜こうとする。
だが私が展開したマジックアブソーブによりスターライトブレイカーは純粋な魔力に変換され私に還元されていく。
本来ならほとんどの防御も関係なしに防御ごと倒せただろうが、相手が私だったのはなのはにとっては悪かった。
やがて光が収まり、そこには無傷の私が佇んでいた。
流石にこの姿を見たなのはは負けを認め、なのはとの模擬戦は終了した。
第49話終了です
今回はなのはとの模擬戦でした
上手く戦闘を表現できたでしょうか?
今回模擬戦で使用した魔法を紹介します
ニードルショット 魔力の使用量はフェイトのプラズマランサーと同程度
ただし、より高密度に圧縮されているため威力と貫通力が
上がっている
スチールシールド ノームにシフトした状態で使用可能な防御魔法
過去使用したアイアンシールドより更に防御が高くなのはの
ディバインバスターすら防ぐことが出来る
マジックアブソーブ ダブルシフト・ドリアド、ウィル・オ・ウィスプで使用可能な
魔法
薄い緑の膜で球状に展開し相手魔法を魔力に変換し樹に還元する
砲撃やシュータータイプの魔法には強い防御を誇るが、物理的な
防御はそれ程強くはない