精霊使いの転生者   作:キジトラのヌコ

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精霊使いの転生者 51

 二対一の模擬戦が終わって、私は二人に今後の魔法の鍛え方を教えていた。

といっても、才能のある二人なので基本的には今までとは変わらない。

ただ、カートリッジシステムを問題なく使用出来るように身体を鍛えることや、魔力の精密操作を鍛えることで、より効率よく運用できると教えたぐらいだ。

最後に私は模擬戦で使用したカートリッジを出すように指示した。

 

 「では最後になりますが、まず模擬戦で使用したカートリッジを出してください」

 

 私の指示になのはとフェイトは使用したカートリッジを二個づつ取り出す。

 

 「エルナトさんこれをどうするんですか?」

 

 なのはの問に私は答える。

 

 「カートリッジは基本誰でも魔力を込められることが出来ます。今回の補充は私がしておきます。

次回からは自分で魔力を補充するか、別の誰かに頼んでください」

 

 そう言いながら私は四つのカートリッジに対して魔力を補充する。ただし四つの内二つは普通に魔力のみを、

残りの二つにはそれぞれ別の魔力を充填した。

なのはのカートリッジには火力を上げるためにサラマンダーの魔力を、フェイトのカートリッジには相性のいいジンの魔力を込めた。

私は四つを返しつつ二人に説明する。

 

 「これで補充は終わりですが、少しだけ二人に手助けをしておきます。貴女達に渡した二つのカートリッジですが、

一つは普通に魔力だけを補充しましたが、もう一つは私の力を込めた特殊な魔力を補充しました」

 

 「え?特殊な力ってエルナトさんが模擬戦で使っていた力ですか?」

 

 フェイトが聞いてきたので私は頷く。

 

 「そうです、なのはには火力を上げる力を、フェイトには相性のいい雷の力をそれぞれに込めています。

どちらも強力ですが、負担は通常のカートリッジよりも大きいです。どうしても負けられない、絶体絶命の危機以外では使用しないでください」

 

 「火力を上げるって、どれくらいなの?」

 

 なのはが聞いてきたので私はそれに答える。

 

 「そうですね、なのはなら大体通常のカートリッジ一発使用したスターライトブレイカーの3~5発分でしょうか」

 

 私の説明になのはは絶句する。

 

 「そんなに……」

 

 「ちなみに、フェイトの方に込めたカートリッジにも大体同じくらいの力が有ります」

 

 「え?……」

 

 同じぐらいの力があると聞いたフェイトもなのはと同じく絶句する。

 

 「くれぐれも安易に使用しないでくださいね?」

 

 私は二人に注意を促し、これにて模擬戦と後始末は終わりとなった。

 

 

 

*************

 

 

 

 二人が海鳴市のそれぞれの自宅に戻っていき、私も護衛のために海鳴市に行こうとしたところでプレシアさんから止められた。

 

 「エルナト、ちょっといいかしら?」

 

 「何でしょうかプレシアさん」

 

 「ちょっと話がしたいのだけれど、ここじゃアレだから海鳴市に着いてから話すわ」

 

 プレシアさんがそう言ったので、私達は海鳴市に移動したあと人気のない場所に移動し、結界と隠蔽を施して向かい合った。

 

 「それでどうしました?プレシアさん」

 

 「今は二人だけなのだからその姿はやめたら?樹」

 

 プレシアさんからそう言われたので、私は久しぶりに元の姿に戻る。

 

 「ふぅ…この姿に戻るのもなんだか久しぶりな気がします」

 

 私の言葉にプレシアさんは苦笑する。

 

 「それで樹、今回のことだけど、改めてお礼を言わせてもらうわ、ありがとう」

 

 「いえ、フェイトの友達として当然です。それに同じ屋根の下で暮らしているんです、ほぼ家族同然なのですから」

 

 「そうだったわね……。そうだわ樹、話は変わるのだけど、二人に渡したカートリッジあれはもしかして貴方の精霊の力を込めたの?」

 

 「鋭いですね。そうです、なのはには火の力サラマンダーを、フェイトには風の力ジンの魔力が込もっています」

 

 私の説明にプレシアが心配な顔を見せる。

 

 「それは問題ないの?」

 

 「問題ないといえば嘘になります。精霊の力は基本的に私しか扱えません。その私でさえ扱いきれないこともありますからね。

ただ、二人のカートリッジに込めた精霊の力はあくまでも力のみであり、精霊そのものが込められているわけではありません。

その為、多少負担は大きいですが扱えないわけではありません」

 

 「そう、貴方がそういうのなら大丈夫なのでしょう」

 

 若干まだ心配のようだったが一応納得したらしい。

 

 「ところで、私は二人の護衛をしていますが、二人が別行動した場合流石にフォローしきれません。

なので、私がなのはを担当しますのでプレシアさんはフェイトを護衛してくれないでしょか?」

 

 なのはより娘であるフェイトの方が護衛のしがいがあると思い私はそう頼んだ。

 

 「し、仕方がないわね。わかったわ、貴方がいない時はフェイトは私が守ってあげるわ」

 

 こうして私とプレシアさんの密会?は恙無くおわる。

 

 

 

*************

 

 

 

 翌日、管理外世界の一つから守護騎士の反応があったとリンディさんから通信が入った。

なのはとフェイトはすぐさま現場に行こうとしたが、なのはは担任の先生から用事を頼まれ出撃できなかった。

その為、私はなのはの下に護衛につき、フェイトには先日話したようにプレシアさんが護衛に付くことになった。

 

 管理外世界で起きた守護騎士との戦いは、後日改めて聴くことにした。

 

 フェイトが管理外世界に居るとき、此方でも襲撃があったのだ。

それはなのはが担任の用事を済ませて家に帰る途中だった。

急に封時結界が展開され、なのはだけが結界に閉じ込められたのだ。

すぐさま私は結界に近づき侵入しようとしたが、そこに邪魔が入る。

 

 「そこを退きなさい」

 

 「断わる」

 

 相手は口数少なく、しかしはっきりと断った。

 

 「ならば押し通すまでです」

 

 私は魔力を込め、魔法を放つ。

 

 「【ニードルショット】!」

 

 しかし、魔法は相手が張った障壁に阻まれる。

 

 「硬いですね、これは楽には勝てそうにはないですね」

 

 「伊達に盾の守護獣を名乗ってはいない」

 

 相手は自分を盾の守護獣と言った。それを聞いた私は、

 

 「盾の守護獣……守護騎士でしたか。なるほどならばその防御も納得できます」

 

 私は相手を正面に見ながらも、別方面からも魔力を感じていた。恐らくサポートが得意な守護騎士がいるのだろう。

 

 「一応名を名乗っておきましょう。私はエルナト、しがないフリーの魔導師です。今は護衛ですけどね…」

 

 「エルナト…そうかお前がヴィータが言っていた魔導師か。私は盾の守護獣ザフィーラ」

 

 どうやら、すでにヴィータから私の名前を聞いていたようだ。

 

 [マスター、結界内で動きがあったようです。なのはの魔力が上がりました、恐らくカートリッジを使用したと思われます]

 

 ニンフが結界内での動きを教えてくれた。どうやらなのはは襲われながらも前回とは違いうまく立ち回っているようだ。

 

 「あまり時間を掛けるのもなのはが危険になりそうなので、少し本気を出しますか」

 

 私は火力を上げるためサラマンダーにシフトする。

 

 「【エレメンタル・シフトサラマンダー】ルビス結界を展開して」

 

 [了解ですマスター]

 

 シフトした途端、湧き上がる魔力にザフィーラは目を剥く。

 

 「小手調べはしない、【イフリート・エッジ】」

 

 イフリート・エッジを発動すると、私の周りに鎌状の炎が発生する。そしてそのままザフィーラに向かって鎌が高速で飛来する。

 

 「くっ!」

 

 ザフィーラは障壁を張り耐えるが、5発を耐えたところで障壁が切り裂かれる。

 

 「なに!?」

 

 ザフィーラは障壁が破られた瞬間驚愕するが、直ぐにその場から下がり鎌の直撃を避ける。

 

 「まさか私の防御が抜かれるとは…」

 

 ザフィーラが呟いているが私はそれに構っている暇はない。続けざまに魔法を放つ。

 

 「こいつでそこを退いてもらうよ【エクスプロード】」

 

 魔法が発動した瞬間、炎の魔力が空中に発生し内側に向かって凝縮していく。

そして圧縮が限界を迎えた次の瞬間、大規模な爆発が発生する。

爆発に巻き込まれたザフィーラは大きく吹き飛び近くのビルに激突する。

動かなくなったことを横目で確認しながら、私は結界に干渉して内側に侵入する。

そしてそこで見たのはヴィータと仮面をした男がなのはの胸を貫きリンカーコアを取り出している姿だった。




第51話終了です
先週は更新できなくてすみませんでした
話はなのはが仮面の男からリンカーコアを抜き出されているところまで来ました
A's終了までどこまで掛かるのやら……

魔法紹介
イフリート・エッジ  周囲に炎の鎌が発生し高速で飛来する、炎の熱で斬撃を強化しているため生半可な防御では耐えることも出来ない。ザフィーラは防御に特化しているためかなり耐えていた

エクスプロード    炎の魔力を発生させ内側に向かって凝縮、圧縮が限界を迎えると凄まじい爆発が起こり周囲を巻き込んで吹き飛ばす。サラマンダーのシフトではかなり強力な魔法であり周囲の被害も相まって結界無しでは使われない魔法である。
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