精霊使いの転生者   作:キジトラのヌコ

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精霊使いの転生者 54

 仮面の男が樹によって捕らえられたその数時間後、ミッドチルダ時空管理局の一室。ある人物が訪れる。

 

 ―――コンコンコン

 

 「入りたまえ」

 

 「失礼します」

 

 「ロッテか、どうかしたのか?」

 

 ロッテは部屋にいた人物にこれまでの報告をした。

 

 「監視をしていたアリアはスキを観て魔導師なのはのリンカーコアを抜き出し、これを守護騎士に蒐集させることに成功。

しかし、その後護衛をしていた魔導師エルナトによって結界が張られ、守護騎士共々その場から撤退が困難になりエルナトと交戦。

鉄槌の騎士は結界の外にいた湖の騎士と盾の守護獣によって結界から逃亡、撤退に成功。

しかしアリアは私に念話によって脱出困難なため報告だけでもお父様にするように連絡をしてきました。

その後は確認していませんが恐らくアースラに捕らえられていると思われます」

 

 報告を聞いた人物、ギル・グレアムは驚愕の表情をする。

 

 「まさか魔法の達人であるアリアが負けたのか?」

 

 「分かりません、私一人では如何することも出来なかったため、おめおめを戻ってきました」

 

 「いや、ロッテ一人でも戻ってきてくれたことは嬉しい」

 

 そう言うと、グレアムは思案顔になりしばらく黙る。暫くして何か考えが浮かんだのかロッテにある策を授けた。

 

 

 

*************

 

 

 

 アースラの一室では捕らえた仮面の男に対して尋問をしていた。

 

 「……いい加減白状したらどうなんだ?」

 

 クロノが男に対して尋問をしていた。だがその成果はあまり芳しくはなかった。

男は捕まってから沈黙を貫いており成果は一向に上がらなかった。

 

 「どのような目的であんなことをしたんだ!」

 

 「………」

 

 「やはり喋りませんか、まぁ当然ですが」

 

 尋問に対しただひたすらに沈黙する。取り調べでは正しい対応だ。何気なくしゃべった内容から正体や、背後関係が把握されることもあるのだ。

まぁ私のシャドウの力を使えば簡単に喋らすことも出来たが、できれば使いたくはなかった。

なので、私はもう一つの情報をクロノとリンディに話すことにした(こちらの情報も私にとって切り札になりうる物だが)。

 

 「リンディさん、クロノこの男について話したいことがあるので少しいいですか?」

 

 私の言葉に何か思ったのだろう、アースラのクルーを二人監視に残し、私達は別の部屋に移動する。

 

 「それで、人払いしてまで貴方はどんなことを話すのかしら?」

 

 「それですが、まずあなた達はアリアと、ロッテという名前を知っていますか?」

 

 「アリアにロッテだって?それってもしやリーゼアリアとリーゼロッテのことか?」

 

 「その二人なら確かクロノの魔法の師匠よ。そしてグレアム提督の使い魔のはずだわ。それがどうかしたの?」

 

 私の言葉に二人は知っていることを話す。クロノの師匠か…私は二人がどのような反応をするのか大体分かっていたが話すことにした。

 

 「知っているのなら話は早いです。実は男との戦闘前、ある念話が聞こえたのです」

 

 「念話が!?」

 

 「ええ、かなり焦っていたのでしょう、念話がこちらに漏れてしまうほどに。そしてその内容ですが、なぜか女性の声で………」

 

 

 

 「………ということなのです」

 

 「まさか…なぜあの二人が?」

 

 「……」

 

 私の言葉にクロノは驚愕し、リンディさんは何やら思案顔していた。

 

 「ということです、もしかしたら、念話の相手ロッテが助けに来るかもしれませんので、その時に一網打尽にしてもいいし、

もしくはあの姿は恐らく変身魔法だろうから魔法を強制解除して、正体を暴くのもいいかもしれません。どうしましょうか?」

 

 私の提案に二人は沈黙する。やがてクロノが、

 

 「変身魔法の解除なら僕が使える、さっそくやるのか?」

 

 「いえ、クロノそれは早計だわ。やるなら出来るだけの策を練ってからのほうがいいわ」

 

 クロノの言葉にリンディさんが待ったをかける。

 

 「リンディさんグレアム提督のことはよく知っているのですか?」

 

 「いえ、それほど知っているわけではないわ。ただ同じ管理局でかなり地位が高い人物よ。アースラのシステムに干渉できるぐらいの権限は持ち合わせているわ」

 

 「なら、そのことを踏まえて罠を張らなければなりませんね」

 

 その後、アースラのシステムとは別の監視を付けることにした。

私は精霊シャドウを召還し視えないようにして監視。クロンとリンディさんは魔法ではなく機械で監視するようだ、その際、協力にエイミィを頼んだみたいだった。

そしてすべて配置した部屋に仮面の男、リーゼアリアと思われる人物を移動させた。部屋の前には一人だけ監視を置き、あとはロッテが来るのを待つばかりとなった。

 

 

 

*************

 

 

 

 監視を始めて二時間後、管理局からロッテが訪問すると連絡が入った。

表向きは恐らくこちらの仕事を手伝うとかだろう。だが裏はアリアの救出のはずだ。

ロッテの相手はクロノがすることになった。クロノの師匠というのが決め手になった。

暫くして、

 

 「ヤッホー、クロすけ元気してた?」

 

 「クロすけ言うな、こんなところまで来てどうしたんだ?アリアは来ていないのか?」

 

 「アリアならお父様の用事でここには来てないよ」

 

 こちらの情報を知ってか知らずかとぼけるようにロッテは言う。

 

 「ところで管理局で聞いたんだけど、何か大きな仕事をしてるってね。よかったら教えてくれる?」

 

 「あまり機密情報を漏らしたくはないのだが……」

 

 「いいじゃない私とクロすけの仲じゃない」

 

 「艦長どうしましょう」

 

 クロノは後ろに立っているリンディさんに聴く。

 

 「そうね、本来ならダメですけど、グレアム提督の使い魔である貴女なら情報の漏洩は無いでしょうしいいでしょう」

 

 「やったね、じゃあ早速教えてくれよクロノ」

 

 ロッテがクロノに教えてもらっている間、私は三人で考えていた策を思い出していた。

ロッテはどうにかしてアリアと接触するだろうから、こちらは交渉に強いリンディさんが中心となり、クロノと私で脇を固めることになった。

少しでも目の前で逃がそうとすれば即捕まえるが、そんなことは流石にしないだろうというのは三人共通の見解だった。

次に考えられるのは、アースラのシステムに干渉し扉の鍵を外し、監視システムを無効にしアリアを単独で逃がすことだった。

ただこちらにもリスクが無いわけじゃない。アースラのシステムに干渉できる人物となるとかなり限定されるため、そこから犯人が割れるのだ。

もう一つは別の人物が襲撃してくること、これはかなり可能性は低かった。

もしグレアム提督が闇の書の完成を目指していた場合、第三者に情報が流れてしまうからだ。

最後に、今回の襲撃がグレアム提督と関係なくアリアとロッテのみの犯行だった場合だ。

この時はグレアム提督に厳重注意のみしてもらい、手出ししないように指示してもらうことになった。

そんな中、クロノの説明が終わりロッテは、

 

 「へぇ、そんな奴がいたんだ。ちょっと見てもいい?」

 

 「艦長?」

 

 クロノがリンディさんに確認を取ると、リンディさんは軽くうなずき、

 

 「いいでしょう。ですが私とクロノもついていきます、ロッテさんに何かあったらいけませんからね」

 

 「そりゃそうだね」

 

 そうしてロッテはリンディさんクロノを伴い仮面の男の下に行くのだった。




第54話終了です
あまり話は進みませんでした。それと今回更新が遅れて申し訳ありません。
最後のほうの話がうまくいかなく何度も書き直したため遅くなりました。
それでも何かおかしいかも知れませんが……
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