INFINITE EVOLUTION .~ 無限の進化 ~ 作:ライドロル缶
第1話 ようこそ、新世界へ。
よっ ☆
地球外生命体のエボルトだ。
かつて俺は、この地球という惑星そのものをエネルギーとして吸収するために、長い時間をかけて準備を進めてきた。
十年だ。
人間からすりゃ気の遠くなるような年月かもしれねぇが、俺にとっては、じっくり腰を据えて計画を練るにはちょうどいい時間だった。
……だったはずなんだがな。
その緻密で完璧だった計画は、ただの利用される道具にすぎなかった自称天才物理学者──桐生戦兎によって、見事に台無しにされちまった。
それだけじゃねぇ。
古くからの友人だと思っていた葛城忍にまで裏切られ俺は 新世界創造のためのエネルギーとして使われちった。
いやぁ、可哀想だろぉ ?
俺のために泣いてくれてもいいんだぜ?
……ん?
なんで消滅したはずの俺が、こうしてお前らに話しかけてるかって?
そりゃ決まってるだろ。
今起きてることが、俺自身にも、さっぱり理解できてねぇからだよ!!
何度でも言うが、
俺は確かに人間共に敗北し、
新世界創造の糧として──消滅した。
はずだった。
身体が崩れ、力が抜け落ち、
存在そのものが削り取られていく感覚。
あぁ、終わりだな。
そう、はっきりと理解できるほどの”死”だった。
──だが、その瞬間。
俺の力の根源であるエボルトリガーが、
まるで意思を持ったかのように、突然、光り始めた。
理由は分からねぇ。
理屈も説明も、何一つできねぇ。
ただ、次に意識を取り戻した時──
俺の視界いっぱいに広がっていたのは、
どこまでも続く、澄み切った青空だった。
見上げれば、雲ひとつない空。
太陽の光が、直接、瞼の裏まで差し込んでくる。
ゆっくりと身体を起こし、視線を落とすと、
そこには瑞々しい緑に覆われた大地が広がっていた。
草は青く、木々は風に揺れ、
さらさらと葉擦れの音が耳に心地よく響く。
空気は澄み切っていて、
肺に吸い込むたび、妙に軽い。
そして、遠く──
地平線の向こうには、
明らかに人の手で造られたと分かる建造物群。
……いや。
流石に意味わかんねぇだろ。
ついさっきまで消滅しかけて、
人類に対する憎悪と呪いを吐き散らかしてた存在が、目を覚ましたら、こんな“平和そのもの”みてぇな場所にいるんだぜ? 思わず叫んじまったよ。
「一体どういうことだぁ!?」
ってな。
空気中の成分、重力、環境条件。
ざっと分析する限り、ここは間違いなく地球だ。
しかも、日本。
おかしいよなぁ?
仮にここが新世界だとしても、
俺をエネルギーとして消費して生まれた世界に、
消費されたはずの俺が存在してるなんて、
理屈が通らねぇ。
新世界じゃねぇとしても、
あの状況から生き延びられる自信は、
さすがの俺にもなかった。
ベルナージュと戦った時の、
数十倍はヤバかったからなぁ 。
肉体も、精神も、力も、全部バラバラに崩壊させられていってた。
……あ〜、意味わかんねぇ。
しかもよぉ?
せっかく生きてるなら、
今度こそ地球を滅ぼしてやろう、って
気合いを入れてベルトを見て見りゃ……。
エボルドライバーは大破損で動かねぇ。
エボルトリガーは石化して使えねぇ。
パンドラボックスはそもそもどこにあるのかわからねぇ。
ハザードレベルに至っちゃ、消滅しかけていた影響なのか信じられねぇほど下がってやがる。
「も〜……どうすりゃいいんだよ……」
思わず頭を抱え、深く息を吐く。
「はぁ……考えてても埒があかねぇか……」
擬態能力だけは残っていたおかげで再び石動惣一の姿を取り戻し、壊れたドライバーと石化したトリガーを懐へ押し込む。
「にしても……何すっかねぇ」
周囲を見渡す限り、スカイウォールも、パンドラタワーも存在しない。どう見ても、“何も起きていない平和な世界”。
だが油断はできねぇ。
下手に動けば、
今の俺じゃ、戦うのは分が悪い。
力もねぇ。
情報もねぇ。
──慎重にいくしかねぇな。
「だがなぁ……そうするにしたって、最低限戦えるようにしとかねぇと、何も出来ねぇ」
せめて、トランスチームガンでもありゃ……。
ってもそんな都合のいいもん、願ったところで空から降ってくるわけじゃ──
──ガンッ!!
「いってぇ!?」
突然、石動の頭に鈍い衝撃が走る。
激痛に思わずうずくまり、頭を押さえながら地面を見る。
そこに転がっていたのは──
配線や機構が剥き出しになった、見覚えのありすぎる黒色の銃型兵器。
トランスチームガンであった。
「……まじかよ」
しかも、
コブラフルボトル付き。
「いくらなんでも都合良すぎだろ……?」
ってか、トランスチームガンよりももっも壊れてるベルトだとか、エボルトリガーだとかパンドラボックスだとか他にもいろいろあんだろ…… 。
なんて、信じてもいない神とやらに悪態を吐きながら拾い上げ、軽く重さと感触を確かめる。
「こいつも壊れてねぇといいが……」
軽く構え、
軽くの木に銃口を向け、引き金を引く。
──バァン!!
乾いた銃声が響く。
木肌が抉れ、木片が飛び散る。
「……おっし、壊れちゃいねぇようだな?」
少なくとも、動作は問題なし。
次は──
コブラフルボトルを指先で転がしながら、ブラットスタークへの変身を試そうとした──
その、瞬間だった。
「おい! そこの男! 何をしている!!」
鋭く張り詰めた声が、森の奥深くに張り付いていた静寂を切り裂いた。
石動は反射的に声のした方向へと振り向いた。
その視線の先にに立っていたのは、拳銃を両手で構えた一人の女性だった。年齢はは二十代後半程、無駄のない姿勢、呼吸の乱れもない。
口調は感情的に見えるが、その足運びは慎重かつ迅速で、一定の距離を保ちながら、確実にこちらを制圧圏内に収めている。
──ここの警備員か?
一瞬そう思いかけて、すぐに否定する。
腰に下げられた装備、制服の意匠、胸元で小さく点滅する無線端末。
ありゃちゃんと訓練された動きだなぁ。
となれば …… 。
……警察、だな
「その手に持っているものは何だ!」
女警官の声には、石動に対する疑念と警戒、そして撃つ覚悟がはっきりと滲んでいた。
引き金にかけられた指が、わずかに震える。
「これは〜……その〜、玩具だよ。おもちゃ」
わざとらしく肩をすくめ、軽薄に笑う。
「昔あっただろ? 火薬ぶち込んでパァン! ってやるやつ。それそれ〜」
だが、その軽口が通じるほど、彼女は甘くない。
「ならば、あの木にできている傷は何だ!」
鋭く言い放ち、銃口をわずかにこちらへ寄せる。
「私は貴様が撃っているところを、はっきりと見たんだぞ! 言い訳したところで無駄だ!」
視線の先。
太い木の幹には、銃弾が抉った深い弾痕が残り、焦げた木肌が生々しく露出している。
まだ微かに煙が立ち昇っていた。
「いや〜、そんなに怒るとさぁ……」
両手を軽く上げ、わざとらしく一歩前に出る。
「せっかくの美人が台無しだぜ? ほらほら〜、落ち着いて話し合お? な?」
「何をふざけたことを!」
怒声が森に反響する。
「罪人相手に話し合う義理はない!!」
「……ったく…… 」
内心で舌打ちする。
こんな自然豊かな場所だ。
人の気配なんぞまるで感じなかったし、ましてや居るなんて思ってもいなかった。
テンションが上がって、少し派手にやりすぎたなぁ。
だが──決して悪い状況じゃねぇ。
今の俺が、この世界でどれだけ通用するか
この世界の人間がどの程度の水準なのか
そいつを試すには、ちょうどいい相手だ。
「さっさとその銃を置け! 両手を頭の上に上げろ!」
「へいへ〜い」
従順そうに返事をし、手にしていたトランスチームガンを地面へ投げる──
……ように見せかけた、その次の瞬間。
身体の動きが、ぴたりと切り替わる。
流れるような動作で、コブラフルボトルを取り出しトランスチームガンへと装填する。
粘つくような、不快な電子音声が森に響き渡ると同時に、コブラを模した青緑色の光が宙に描かれた。
「貴様ッ!!」
女警官が引き金に力を込めた、その刹那。
低く、冷え切った声が零れ落ちる。
「──蒸血」
トランスチームガンの銃口から、黒い煙が爆発的に噴き出した。濃密なミストが渦を巻き、石動惣一の身体を包み込む。
視界を覆い尽くした煙が、ゆっくりと晴れていく。
その中心に立っていたのは──
もはや、人の姿ではなかった。
血に濡れたかのような深紅の装甲。
胸部と四肢を這う、青緑色に妖しく発光するコブラの紋様。
鋭く、冷酷な複眼が、獲物を見下ろす。
──ブラットスターク。
女警官の放った銃弾は、胸部装甲に触れた瞬間、火花を散らして弾かれ、無力に地面へと転がった。
「……なっ……」
突然現れた異形の姿に言葉を失い、それでも必死に構えを崩さない。
だが、足が──じり、と1歩後ずさる。
「な……その姿は……なんだ……! まさか……いや……奴は男だ……そんなはずが……!」
「なんだァ? 今頃男女差別かァ?」
歪んだ笑みが、マスクの内側で広がる。
「そんなの、今じゃ流行らねぇぜ?」
──思っていたよりも取り乱さねぇな?
前の世界なら、泣き叫んで腰を抜かす連中が大半だった。
警官だからか。それとも、この世界じゃ
なんて、考えていると、女警官は素早く端末を取り出し応援を呼ぼうとしている。
「おぉっと、そうはさせねぇ」
銃口が閃き、引き金が引かれる。
光弾が彼女の腕を貫き、端末ごと吹き飛ばした。
「……っ゛!!!!」
「あらぁ〜、痛そうだなァ〜? お手手が消えちまった」
ついさっきまで通信端末を握っていた手が、端末ごと姿を消しその激痛と、異形に対する恐怖が混ざり合った凄惨な表情が、彼女の顔に浮かぶ。
「いい顔するじゃねェか〜……」
また一歩、距離を詰める。
「まっ 、俺も無闇に命を奪うのは好きじゃない」
「だからよぉ? 少し、俺と取引をしようぜ?」
「……と、取引……だとッ!!」
「あぁ。こいつでお前を撃ち殺さねぇ代わりに、この世界の情報を知ってる限り全て渡せ」
女警官の喉が鳴る。
「俺はここに来て、まだ日が浅くてねぇ。常識を知らねぇんだ。だから……教えてはくれねぇか?」
「……わ、わかった……」
「
だが──
彼女が口を開こうとした、その瞬間。
スタークは顎を、強引に掴み上げた。
「なっ……にゃにを……!」
「俺は“情報を渡せ”とは言ったが……」
冷たい声が、耳元で囁く。
「“話せ”なんて、一言も言ってねぇぜ?」
次の瞬間、女警官の意識が侵食される。
今で生きてきた記憶。
この世界での常識。
特殊な兵器体系。
この国の国家構造。
そして、
──IS。
全てを、吸い上げる。
「情報を渡せってのは、こういうことだ」
記憶を読み終わり、用済みとなった女警官の顔面に黒い触手が射出され、深々とと突き刺さる。
そのから地球には存在しない解毒不可な毒が流し込まれ肉体が紫色の粒子へと分解されていく。
「がはッ……な、なぜ……」
「俺は
「
「き……さ……ま……」
「情報提供、感謝するぜぇ? お嬢ちゃん♪」
死にゆく彼女に軽く手を振る。
「──Ciao☆」
粒子は風に乗り、空へと溶けていった。
背を向け、ブラットスタークは人の気配がする方角へ歩き出す。
「トランスチームシステムを使うのが久しぶりだからか、動きズレぇな」
「まっ、直になれるかァ」
肩を回し、骨を鳴らす。
「にしても……IS、ねぇ」
女しか扱えない、最強兵器。
俺の知る地球には存在しなかった未知の兵器。
「……こりゃまた、面白くなりそうじゃねぇか」
その笑みは、マスクの下から滲み出るほどに歪んでおり、破滅を予感させる。
新世界に降り立った地球外生命体エボルトによる、地球滅亡へのカウントダウンは、静かに動き始めた。
* ほぼ同時刻 。
静かな室内に、テレビの音だけが流れていた。
特別注目していたわけじゃない。
いつも通り、ただ何となく点けていただけのニュース番組。
そのはずだった。
『次のニュースです』
落ち着いたアナウンサーの声が、空気を切り替える。
「 なんと、ISを動かせる男性が発見されました」
「原因は不明ですが、自体を重く見た政府は起動させた少年・織斑一夏くんを──」
一夏とまた会える。──
春から……
また、同じ学び舎で過ごせるんだ──
あの日交わした、
最後の別れの”挨拶”。
明日の”おはよう”がない
本当の別れの言葉。
5年と15日ぶりの
”おはよう”が言える──
一夏にまた会える ──
そして──
同時に、また別の物語が始動しようとしていた 。
さてさてさて〜!!
遂に始まった物語!!
だが!今回も今回とて、短くなってしまった第1話!
どうやって導入しようか悩んだ結果、やっぱりそぉい!放り込んでしまいました!!
こういうクロスオーバーってはじめ方ってか導入の仕方が分からないんですよねぇ ~ 。
なので、気に食わなかったらガッツリ編集するかもです!
と、そんな話は置いといて!
ついに!エボルトの暗躍が始まるぜ!!
ってのと同時に……原作(2ヶ月前)の方も始まってゆく!!
そして、己の文章力のなさも露見してゆく!!
いや ~第2話はどうなるのでしょう。
エボルトは無事力を取り戻すことはできるのか!名前だけ登場した原作主人公君の運命はどうなってしまうのか!
また次回をおたのしみに〜!!!!
Ciaoっ☆