INFINITE EVOLUTION .~ 無限の進化 ~ 作:ライドロル缶
「前回のあらすじぃ !!!」
「今回から、ちょっとした冒頭コーナー的なのやっていこうと思うぜ ぇ?まッさっさと本編をみたい!ってやつはスルーしても構わねぇからそこんとこよろしく頼むぜ ッ ☆」
「ってとこて、前回は俺が新世界らしき世界になんか来ちまったんだよな〜 。」
「ったく、エボルトリガーにんな力があるなんて知らなかったぜ …… 。」
「まっ! 命が助かったんだから結果的にゃ良かったんだが… 、エボルドライバーが大破損、トリガーは再び石化し、パンドラボックスはあるのかも分からねぇ 。しかも、ハザードレベルは大幅低下で力の九割を失ったと言ってもいい。」
「あぁ ……どうすっかなぁ…、またゆったりカフェのマスターでもやって気長にやるかなぁ … 。せめて、トランスチームガンでもありゃなぁ …。」
「なんて考えていたその時!空から神の恵み…トランスチームガンが降ってくる!!」
「神なんざ信じちゃいないがこの時は感謝したぜぇ?(馬鹿みたいに悪態をついていました。) 」
「まぁ、壊れていちゃ意味ねぇから動作確認やらなんやらをやってたら。この世界の人間 …、しかも女の警官に遭遇する。」
「いや〜とんだハプニングだったが、その警官は随分とお優しいやつでねぇ?この世界の常識やらなんやらを、優しくおしえてくれた!!(脅した挙句用済みになって消してます。)」
「まぁ、そいつから貰った情報だと。どうやらこの世界には女しか扱えない最強の兵器――インフィニット・ストラス通称ISってのがあるらしい。」
「どうやら……、結局人間は破滅の道を進むのが大好きらしい 。兵器に、か弱いお嬢ちゃんらを使うときた...!思わず笑っちまったよ 。人間は何処まで愚かで、何処まで俺を楽しませてくれるんだってなぁ?」
「おっと、つい楽しくなっちまった。」
「そろそろ、あらすじも終いにして本編に行くとしよう。」
「新世界らしき世界に来てしまった地球外生命体ッ!!そこは、女しか扱えない兵器のある超男尊女卑社会の世界であった!!果たして、力を取り戻すことはできるのか、パンドラボックスは果たしてあるのか!どうなる!第2話!!」
俺の名はエボルト。
惑星を喰らい、生命も文明も余さず吸収してエネルギーに変える── そういう種類の、地球外生命体だ。
本来なら、この惑星もすでに存在していないはずだった。
だが……まあ、色々あってな。
本当に色々と、やらかしちまったんだ☆
結果として、地球を滅ぼし、吸収するという壮大な計画は完全敗北。
そして今の俺はというと──
この“新世界”。
元の地球と、驚くほど酷似した、しかし確実に別物の地球へと流れ着いた、 哀れな敗残侵略者ってわけだ。
……ん?
そんな俺が、今なにをしているのかって?
聞いて、驚け!見て笑え!
なんと──
バイト探しだ☆
今回は冗談でも嘘でもじゃねぇ。
マジのガチの方のバイトだ。
星を滅ぼすはずだった存在が、履歴書も持たず、スーツも着ず、昼下がりの街をぶらつきながら「求人募集中」の張り紙を探してる。
笑えるだろ?
俺自身が、一番笑いてぇよ。
この世界に来てから、すでに数日。
その間、俺は他人の記憶を拝借して社会構造、法律、常識、マナー ─―この世界の人間として最低限の知識は一通り頭に叩き込んだ。
よし! これから気長に計画を進めていくぞぉ!
と、思っていたら。
思わぬ壁にぶち当たった。
人生──いや、宇宙人生で初めてと言っていい壁にぶち当たっている。
それは──
肝心のバイトが、全然、見つからねぇ!!
「……流石におかしいだろ、これ」
飲食店。
コンビニ。
ファミレス。
ファストフード。
油の匂いが漂う店。
レジの音が鳴り響く店。
昼時で忙しそうな店。
目につく店には、片っ端から声をかけた。
好印象を得れるように愛想よく。
とっても陽気に人当たりよく。
それなりに良い人ってのを演じながら。
だが、返ってくる言葉は、どこも似たり寄ったりだ。
「間に合ってます」
「履歴書がないので……」
「今回はご縁が……」
断り文句のテンプレでもあるのかってくらい、全部同じ回答。しまいにゃ、バイト志望の話をする前に、俺の顔を見ただけで断られる始末だ。
「おっさんな俺に、そんなに用はねぇかァ?」
思わず、口元が歪む。
いやいやちょっと待てよぉ。
この顔だぞ?
俺が擬態している石動惣一の顔。
程よく刻まれた皺。
落ち着いた目元。
年齢を重ねたからこそ滲み出る、余裕と色気。
溢れ出るダンディさ!
どっからどう見てもイケてんだろぉ?
宣伝ポスターに使えば、主婦層だろうが若い女だろうが、客の一人や二人、余裕で釣れるぐらいだ。
それなのに、この扱い。
「へっ……」
「こ〜んなにイケてる男を雇わねぇたぁ、見る目ねぇなァ……?」
強がって、笑ってみせる。
だが、内心は穏やかじゃねぇ。
現実は非情だな。
「……流石の俺も、金欠はどうにもならねぇ」
無一文。
財布の中は、空っぽ。
ポケットを探っても、出てくるのは空気だけ。
この状態は、冗談抜きで致命的だ。
金がなけりゃ、
飯も、寝床も、情報も手に入らねぇ。
銀行強盗?
スタークになりゃ、造作もねぇ。
だが今は──
目立つのが、最悪だ。
ブラットスタークという姿が世間に知られてしまえば、他組織や勢力に警戒され動きにくくなっちまうからな。
この世界に仮面ライダーはいないだろうが、それで安心できるほど俺は能天気じゃない。
仮面ライダーとは他に、俺の知らない何かがいる可能性だって十分にある。
無駄なリスクは、取らねぇに限る。
「どうすっかなぁ〜……」
と考えた末、
休憩と情報収集を兼ねて、俺は某有名な大型電気店へと足を向けた。
冷房の効いた店内。
蛍光灯の白い光。
電子音と、客のざわめき。
一番の目当ては──
テレビコーナー!!!
大半の知識は、記憶や資料で仕入れた。
だが、それは“過去”の記憶であり情報だ。
今、この瞬間に世界がどう動いているのか。 それを知るには、新たな情報源が必要になってくるって訳だ。
その点、このテレビコーナーは実に優秀でねぇ。
金を払う必要がねぇ。
特に怪しまれもしねぇ。
ただ立ってるだけで、情報が勝手に流れ込んでくる。
……まぁ、 あんまり長居すると店員に睨まれるがな。
「便利な世の中だよなァ〜」
今テレビ画面に映っているのは、意味の分からねぇアニメお大袈裟な演技のドラマ。そして、癒し全振りの自然豊かな映像。
正直、退屈ではあるが求める情報源は別にある。
『本日のニュースです』
その一言が耳に入った瞬間、
無意識に背筋がわずかに伸びた。
──来たな。
そう、俺が求めていた情報源とはこのニュースのことである。このニュースは、日常的な事件の話しやらなんやらもあるが、その中にIS関連の情報を多く含まれている。
『本日、第二世代ISを超える次世代機──
「第三世代ねぇ ……」
眉が、わずかに跳ね上がる。
第二世代ですら、国家が保有する数々の兵器を鉄屑に帰る最強兵器。戦争の抑止力であり、外交の切り札であり、 最悪の場合は脅迫の道具。
──それを、もう次の段階に進めたって?
「科学の発展ってのは……本当に止まらねぇな」
口元を歪め、苦笑する。
画面の中では、専門家が難解な言葉を並べ立てている。
『第三世代ISは、実験的にIS学園へ投入される可能性も──』
「……なるほど」
小さく息を吐く。
IS学園は教育機関。
同時に──最高の実験場。
若い操縦者。
実戦に近い環境。
膨大な戦闘データ。
これ以上、都合のいい場所はない。
「にしても……よく堂々と流すよなぁ」
まぁ、表向きはスポーツ競技としても栄えているISだからな、ある程度は触れない方が不自然ってもんだ。
その裏では、れっきとした兵器開発をしっかりしてる。
「どこの世界でも同じか。 国も政府も……結局は“力”に飢えた生き物だ。」
前の世界でも同じような国家、同じような人間が多くいた 。核をも超えるエネルギーを秘めるパンドラボックスを求めて戦争をする日本三国首相。そして、富に名声に力という欲に溺れたどっかの会長もいたなぁ 。懐かしいねぇ。なんて、物思いにふけていたその時。鬼気迫るような声が響く。
『──臨時ニュースです!』
立ち去ろうとしていた足がぴたっと止まる。
テレビ画面に映るアナウンサーの顔は先程とは売って代わり、明らかに強張り緊張を見せていた。
『IS学園入学試験にて──男性である
「…………なに?」
周囲が、一斉にざわめく。
それもそのはずだ、だって普通に考えりゃあり得ない。
ISってのは女性しか使えない兵器。だからこそ、この超が着くほどの女尊男卑社会が形成されている。
「え、男が!?」
「嘘でしょ!?」
「ヤベェーイ!」
「パネェーイ!」
有象無象が騒いでいる中、俺は黙ったまま画面を見つめ続ける。
そして──
「……はは」
自然と、俺の口角は吊り上がった。
「いいことを思いついちまった☆」
日本政府は、この織斑一夏をどう扱う?
異物として排除?
研究所で研究材料?
──否。
そんな選択肢、最初から存在しない。
必ず、保護する。
管理下に置き、 その可能性を確かめることだろう。
だったら──
「俺も、
思いついてはいたが、試せば必ずあの織斑一夏と同じように報道され、色々な面倒事に巻き込まれることだろう。
だからこそ選択肢からは外していた。
だが、前例ができた。
ファーストペンギンは血を流す。
だが、セカンドペンギンなら流さずに済む。
『政府は、織斑一夏くんをIS学園へ正式入学させると発表しました!』
「……決まりだな」
そう呟いて、俺はテレビに背を向けた。背後では、まだニュースが続いている。アナウンサーの早口、専門家の困惑した声、それらがざわめきとなって、店内に渦を巻く。
だが、もう聞く必要はない。人混みへと身を滑り込ませる。驚きと興奮で浮き足立った人々の間を、俺は何事もなかったかのように歩いた。
ざわつく街。いつもと同じはずの景色が、どこか落ち着きを失っている。誰もがスマホを覗き込み、誰もが同じ話題を口にする。
──男が、ISを起動した。
その衝撃が街全体に伝染していく。
公園に辿り着くと、喧騒は少しだけ遠のいた。木々の葉が風に揺れ何も知らぬ無邪気な子供の笑い声が、やけに平和に響く。空を見上げれば雲ひとつない、馬鹿みたいに澄み切った青空。 さっきまで、世界の常識が崩れ落ちたとは思えないほど、あまりにも穏やかだ。
俺は木陰のベンチに腰を下ろし、背もたれに身を預ける。
「さて……問題はどうやって保護されるか、だなァ」
誰に聞かせるでもなく、呟く。
正面から入り込んで、俺もIS使えるから保護して!
なんてやれば疑いMAX。侵入者だから言い訳のしようもない、使えるところを見せても最悪、犯罪者扱いで牢獄送りで実験材料だろう。
「……ちょっと強引に行くかァ?」
侵入者なのは避けようもないし疑われるのは確実だ 。
ならば疑われはするが言い訳の効くこれしかねぇな。
「多少の強引さは……“前例”で片付けられる、か?」
ある程度考え終わると、ベンチから立ち上がり身体を伸ばし、歩き始めていた足を公園の入口付近に立つ案内図の前で止めた。多少色あせた地図に描かれた区画を、指先でなぞる。
「……IS学園……IS学園……」
視線を滑らせ、ようやく見つけたその名前は、他の施設から不自然なほど離れた場所にあった。
「って、やっぱ孤島なんだなァ?」
湾の沖合。
陸地とは細い連絡路で繋がれているだけの、人工島。
学校というより、隔離施設。閉じた空間で、閉じた管理。
「行くのがめんどそうだが……」
小さく息を吐き、
「俺の目的のためにはやるっきゃねぇな」
現在地からIS学園までは、距離にしておよそ五キロ。地図上で見ると大したことはなさそうだが、実際に歩くとなると話は別だ。
「けど、徒歩は……流石に遠ぇなぁ」
「金がありゃ、タクシーだったんだがなァ……」
と自嘲気味に呟く。
星を喰う存在が移動手段一つで頭を悩ませている。
「……世知辛ぇなぁ」
それでも、立ち止まっているわけにはいかない。俺は案内図から目を離し、 IS学園のある方向へと視線を向けた。
遥か遠くに霞む、人工島の輪郭。
「ま、長めの散歩だと思えばいいか」
そう自分を言い聞かせ、歩きやすそうな道を選んで足を踏み出し始める。
*
東京湾の沖合。水平線の向こうに、人工島が姿を現す。
──IS学園。
遠目に見ても分かる、その異様さ。
一つの学校、というよりは──
完全に都市のようだ。
高層の研究棟。訓練用アリーナ。居住区画。港湾設備。
「おぉ〜……」
まるでテーマパークかのように派手で、思わず感嘆の声が漏れる。
「実物は想像以上だな」
──IS学園。
アラスカ条約に基づいて設立された国立高等学校。
IS操縦者と、それを支える技術者を育成するための施設。世界でも類を見ない、兵器と教育の融合体。
外部との出入りは、原則として海上モノレールのみ。
警備レベルは、下手な基地より上。
共学──とは名ばかりで、実質は女子校。
地下には、教員の一部しか知らない極秘区画が存在するという噂。
国家から独立した中立地帯──
……もっとも、その中立性は、とっくに形骸化しているらしい。
「っと……」
「今ある情報は、こんなもんか」
「さて……」
視線を学園全体に巡らせる。
「ここまでデカいとなると──」
「警備員でも掻っ攫って、情報を頂きてぇな。」
と思ったがすぐに首を振る。
特別警備員らしい人影は見当たらねぇし、
そもそも人員管理は厳重だろう。
「……流石に甘くねぇか」
とはいえ、完全に手詰まりというわけでもない。今は──世界が混乱している。 “男がISを起動した”その事実だけで、政府も、学園も、余計な仕事が山積みだ。例外が生まれ規則が歪み、多少の異物が入り込む隙が生まれる。
口元が、ゆっくりと笑みを浮かべて吊り上がる。
「色々──」
「頑張ってみるかァ!!」
こうして──
星を喰らう侵略者は、
作戦── 頑張る!!!
を元に、IS学園への潜入し保護計画を執行した。
*一方、その頃──
IS学園は、入学試験を終えた直後ということもあり、年に数度しか訪れない“繁忙期”の真っただ中にあった。
合格者の最終選抜。各国への報告書作成。操縦者データの整理。保護者・関係機関との連絡調整。
教員も職員も、休む間など存在しない。連日深夜まで続く業務によって、疲労は確実に、そして容赦なく蓄積していた。
──だが。
そんな状況に、追撃が加えられた。いや、追撃などという生易しい言葉では足りない。降ってきたのは、もはや隕石だ。試験会場に偶然迷い込んだ一人の少年──織斑一夏。彼が、誰もが“不可能”だと信じて疑わなかった
”男性によるIS起動”を成し遂げたという事実。
その情報は、瞬く間に世界を駆け巡った。そして同時に、IS学園は──真正面から、その隕石を叩き込まれた。
結果。
学園の業務は、完全にブラブラブラックした。
「出ても出ても、問い合わせの電話が止まりません!!」
「対応しようにも、人手が全然足りないです!!」
「ヤベェ〜イ!」
「スゲェ〜イ!」
「モノッスゲェ〜イ!!」
混乱、悲鳴、絶望。
それらが入り乱れ、職員室はもはや戦場と化していた。電話の呼び出し音がひっきりなしに鳴り響き、 机の上には処理待ちの書類が山のように積み上がる。職員たちは走り回り、怒鳴り、転び、謝り、また走る。 室内の空気は常に震え、 一瞬たりとも静寂が訪れることはなかった。
「落ち着け!!」
張り詰めた空気を切り裂くように、怒号が飛ぶ。
「人手が足りないなら、ありったけの人員を呼び出せ! 学園長が正式な声明を出すまで、なんとか耐えるんだ!!」
怒鳴り声と電話音が交錯し 職員室は繁忙期と隕石により混沌を極めていたぁ!
その中心に立つのが──
IS学園の教師であり、元日本代表操縦者であり、
彼女もまた、他の教員と同じく、対応に追われる一人に過ぎない。次々と差し出される書類に目を通し、短く指示を飛ばし、電話に応対する。
だが──
「……(なぜ、今になってISを扱える男性が現れた……)」
ふと、資料から視線を落とし、思考が逸れる。
「(しかも……よりにもよって、一夏が……)」
無意識のうちに、奥歯を噛み締めていた。
「ちっ……」
教師であり、元日本代表。その肩書きは、誇りであると同時に、今の彼女を縛る鎖でもあった。
弟を守りたい。
姉として、当然の感情だ。
だが、動けない。
いや、動いてはならない。
「……(姉として、不甲斐ないな……)」
教師として。
姉として。
二つの立場に引き裂かれながら、
それでも彼女は選択した。
一夏をIS学園へ入学させること。
それが、姉としても、教師としても、最善だと信じて。
だが、その決断の結果が──今まさに、現実となって押し寄せている。
「(……いや、今は教師としての責務を果たすべきだ)」
一夏はすでに学園の管理下にあり、保護されている。
ここでさらに私情を挟めば、状況をさらに悪化させるだけだ。そう自分に言い聞かせ、 千冬は再び目の前の書類と電話対応へ意識を戻そうとした──
その時。
控えめな声が、背後からかかる。
「……織斑先生」
「……山田先生。何か?」
振り返ると、そこに立っていたのは
「どうやら……この学園内に侵入者が発生したとのことです」
「なに…?」
思わず、声が鋭くなる。
「……場所は?」
短く、しかし重みのある問い。
「分かりません……ですがこの校舎内であることは確かです」
一瞬、千冬は目を閉じ、深く息を吐いた。
「……わかった。すぐに探そう」
この異常事態の最中に、侵入者騒ぎ。
軍事施設並みを誇るセキュリティはどうなっているのかと、 学園長に文句の一つでも言いたくなったが──今は、それどころではない。苛立つ感情を押し殺し、千冬は踵を返して、職員室を後にした。
足早に向かった先で、織斑千冬は思いのほか早く“侵入者”を発見することになった。
──廊下の中央で、堂々と寝っ転がっている侵入者と思われる謎の男を。
「……侵入者というのは、貴様か?」
鋭く放った声は、冷たく廊下に反響する。
だが──返答はない。
「……?」
千冬の視線は自然と床に伏す男へと固定される。
視線の先にいたのは、茶色のジャケットを羽織った壮年の男。引き締まったまるでモデルのような体格。 そして、整いすぎているほどの顔立ち。
ここはIS学園。軍事施設並みの警備を誇る、閉鎖空間。侵入者がいるとすれば、もっと切羽詰まった様子か、あるいは敵意を剥き出しにしているはずだ。
だが──
目の前の男は違った。
何かに襲われたの痕跡もなく。
捕らえるための拘束具もなく。
逃走の素振りすらなく。
まるで“そこが自室であるかのように”、床に背を預けて横たわっている。
「……気絶……しているのか?」
慎重に一歩、距離を詰める。
呼吸はある。脈も正常。致命傷も見当たらない。
「……どういうことだ?」
──石動side
話は、数分前に遡る。
案外──いや、拍子抜けするほど容易く、IS学園の校内へと潜り込めてしまった。警備が堅牢なのは確かだが、今はそれどころじゃないらしい。
世界規模の混乱。
人員の分散。
判断の遅れ。
その“隙”を縫うのは、存外たやすかった。
「いやぁ〜……にしても広いねぇ……」
少し汚れてしまったジャケットを軽く払いつつ、俺は廊下を歩く。足音がやけに響く。それだけ、人の気配が薄いということだ…人気はほとんどない。監視カメラはありはしたが、そいつらの位置は事前に把握済み。死角を縫うように進んできたため写ってはいないが、それでも侵入がバレるのは時間の問題だろう。この手の施設は、異常が起きてからの対応が早い。
「そろそろ、やっとくかな」
石動は、静かに自分の胸へと手を当てた。
それは思案の仕草でも、気取った癖でもない。
──これは、気絶する“ふり”をするため準備だ。
自身の意識を深く沈め、自身の内側へと干渉する。
遺伝子を操作し「石動惣一」という側だけを分離し、この場に残す。
呼吸は続き、心臓も、脈も、正常そのもの。
だが──そこに“俺”という意識はいない。
分離されるのは、意識や思考。
自己認識そのもの。
その感覚は幽体離脱に酷似しているがこれは錯覚でも、幻覚でもない。“抜け殻”を意図的に作り出す行為だ。
力を失った身体が、ゆっくりと廊下に倒れる。石動惣一の抜け殻は、仰向けのまま微動だにしない。
これならば誰が見てもただの気絶者としか映らない。
「……これで、あとは見つけられりゃいい」
──千冬side
「……よくわからんが」
床に倒れている男を見下ろし、織斑千冬は短く息を吐いた。侵入経路、目的、素性──どれ一つ判然としないが、少なくとも敵意は感じられない。
「気絶しているのなら、丁度いい」
今は時間が惜しい。問い詰めるにしても、ここでは邪魔が入る。
「話を聞くためにも、確保しておこう」
そう結論づけると、千冬は躊躇なく男の身体に手を掛けた。肩口を掴み、持ち上げる。体格の割に重さは想定より、僅かに軽く違和感を覚える。
「……」
一瞬だけ、眉が動いた気がするが変に深追いはしない。
男をまるで米俵でも担ぐかのように肩へと乗せ、そのまま歩き出す。侵入者を担いで移動するという異様な光景。だが千冬の足取りは揺るがず、迷いもない。廊下を抜け、隔離用の別室へ向かう。
一方、粘体エボルトは、自分を建材のように担ぎ上げるその女──織斑千冬に対し、はっきりとした“驚き”の感情を覚えていた。
なぜならば
──ハザードレベル 4.2……だとぉ?
はいど〜も皆さんおはこんばんにちは!
今回は若干今までと比べて長めになってます〜!
そして!
皆様、このINFINITE EVOLUTION を見て下さり本当にありがとうございます!
並びに、お気に登録にしおりに感想まで!もうモチベ爆増しております!!
この調子で、できる限り頑張って書いていきます!
ですが!ほんっとうに大初心者なので 、アドバイスなどもいただけると嬉しいです!
それと、このキャラはこういうこと言わない!解釈違い!とかもありましたら是非〜!!!
それでは!また次でお会いしましょ〜!
Ciao ッ ☆