ギャンブラー勇者の鉄壁なる「棺桶」管理術   作:ドラクエ風短編小説

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第六章:シャンパーニの塔と、身代わりの「不動行」

 ロマリアの王から「盗まれた冠を取り戻せ」という勅命を受けた一行は、大盗賊カンダタが潜む「シャンパーニの塔」へと足を踏み入れた。

 

1. 究極の「盾」の選択

 

 塔の最上階。そこには、筋骨隆々の巨漢カンダタと、その子分たちが待ち構えていた。 「へっ! 勇者だか何だか知らねえが、この斧の錆にしてやるぜ!」

 

 カンダタが巨大な斧を振り回し、凄まじい風圧がリンとセーラを襲う。 「危ないわ! 勇者、ここは一度下がって……!」 セーラが防御呪文を唱えようとしたその時、俺は素早く、ジェニーの棺桶を前線へと蹴り出した。

 

「下がれ、二人とも! ここは……ジェニーに任せるんだ!」

 

2. 「不動行」という名のイカサマ

 

「ええっ!? ジェニーさんを盾にするんですか!?」 リンが驚愕の声を上げる。 俺は、カンダタの斧を間一髪で避けながら、必死の形相(演技)で叫んだ。

 

「違うんだ、リン! これはジェニーが望んだ『不動行(ふどうぎょう)』という魂の鍛錬なんだ! 物理的な衝撃を魂の糧に変え、どんな攻撃にも動じない最強の精神を作る……彼は今、棺桶の中でその極致に挑んでいるんだ!」

 

 棺桶の中のジェニーは、斧が棺桶の蓋をかすめる轟音を聞いて、恐怖で震え上がっていた。 (ひ、ひいいいっ! 兄貴、死んじゃう!(もう死んでるけど)……箱が割れたらボク…バラバラになっちゃうよぉぉ!)

 

「おいおい、死体が入った箱を盾にするたぁ、勇者のツラした外道じゃねえか!」 カンダタが下卑た笑いを浮かべ、棺桶を土足でドカドカと踏みつけた。

 

「やめて! 修行中の人をそんな風に扱うなんて!」 リンが激昂するが、俺はそれを制した。 「待てリン! ……見てみろ。カンダタが踏みつければ踏みつけるほど、ジェニーの魂が黄金色に輝きを増しているのが見えないか?(※ただの夕日の反射)」

 

 セーラは目を凝らし、真剣な顔で分析を始めた。 「……確かに、一定の周期で箱が振動しているわ。これは物理衝撃を精神エネルギーに変換し、内側から相殺している証拠……。ジェニーさん、なんて高尚な術式を……!」

 

 その時、カンダタの痛恨の一撃が棺桶に直撃した。 ボガシャァァァン! 棺桶の角に少しヒビが入り、中からジェニーの幽霊が(あべしっ!)という声が聞こえた気がした。

 

「ジェニーさん!!」 「……いや、今のは『脱皮』の兆候だ! 魂が古い殻を脱ぎ捨てようとしているんだ!」 俺のデタラメな解説に、セーラは「魂の脱皮……聞いたことがあるわ。聖職者が極限状態で至る境地ね!」とセーラが目を輝かせた。

 

「耐えろ、ジェニー! お前がここで一歩も引かなければ、お前の魂は真の『魂の勇者の盾』へと昇華される! お前の勇姿を、リンもセーラも、そして俺も見届けたい!」

 

 ジェニーは、目から鱗(と涙)をボロボロとこぼした。 (それに考えてみろ… お前はもう死んでるんだ。ダメージを受けるわけがないだろ…)と俺はボソッと言った(あ、兄貴……! ボクを、ボクをそこまで信じて……! そうだよね、ボクがここで頑張れば、みんなを守れるんだよね! よーし、見ててよ兄貴! ボク、絶対動かない(動けない)からね!)

 

3. 勝利の「期待値」

 

 カンダタの子分たちの攻撃が、面白いようにジェニーの棺桶に集中する。 ボカッ! バキッ! と鈍い音が響くが、ジェニーは必死に中で「修行」に耐えていた。

 

 その隙を見逃さず、リンの鋭い回し蹴りと、セーラの強力なイオラが炸裂した。 「……終わったわね。ジェニーの献身のおかげよ」 セーラが静かに杖を下ろす。

 

4. 「真紅の汗」の奇跡

 

 カンダタを撃退し、冠を取り戻した俺たちは、ボロボロになった棺桶を囲んだ。 棺桶に謎の赤い液体のシミが付いている。

 

「ああっ、ジェニーさんが血を……!?」 リンが青ざめるが、俺はそれを指で舐めて(※実はさっき俺がこぼした栄養ドリンク)ニヤリと笑った。 「安心しろ。これは『聖なる真紅の汗』だ。修行が結実した証だよ」

 

「……なんて尊いの」 セーラとリンは、ボロボロの棺桶を聖遺物のように優しく布で拭き始めた。 俺は美女二人には見えない角度で、ジェニーにだけ聞こえる声で呟いた。 「よくやった、ジェニー。お前の『不動行』、確かに届いたぜ。これでまた一歩、最強の遊び人に近づいたな(笑)」

 

 棺桶の中から、誇らしげな(兄貴ぃ〜! ボク、もっともっと重たい攻撃も受け止めてみせるよ〜!)というジェニーのかすれた声が漏れてくる。

 

「……ふぅ。誰も(一箱を除いて)ダメージを受けずに冠をゲット。まさに最高の『期待値』だな」 俺は、手に入れた王冠を懐にしまい、棺桶のヒビに接着剤を塗ると、美女二人にエスコートされながら意風堂々と塔を下りた。

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