ギャンブラー勇者の鉄壁なる「棺桶」管理術 作:ドラクエ風短編小説
一行は、転職を司る聖地「ダーマ神殿」へと到着した。 昨夜の作戦会議で、転職を機にジェニーを生き返らせる事が出来るかもしれないという話にまとまった(しかし…二人ともいろいろと余計な事を思いつくな)。「勇者様! ついに、ジェニーさんが生き返り、賢者に転職出来る時が来るかもしれませんね!」 リンが希望に満ちた声を上げ、セーラも「……遊び人が賢者になる。これこそ究極の魂の昇華だわ」と神聖な儀式を待ち望んでいる。「そうだな!待たせたなジェニー!」俺は渋い声で言い放ち棺桶を見ながら、内心で(ジェニーが賢者になって棺桶から出てきたら、俺のハーレム旅が終わるだろ……)と毒づきながら、神父の前へと進み出た。
1. 「転職」という名のフェイク
神官が転職についての説明を始めるや否や、俺は話を遮った。「待ってくれ! この男……ジェニーは、ただの賢者を目指しているんじゃない。棺桶の中で『魂の全自動高速周回(フルオート)』という、前人未到の悟りを開こうとしているんだ!通常の転職では、彼のこれまでの修行が台無しになってしまう……」
神官が困惑する中、俺は美女二人に振り返り、重々しく告げた。 「リン、セーラ。神官様の話によれば、ジェニーが生き返り、大賢者になるには……あと**三万回の『棺桶内瞑想』**が必要らしい」
2. 「千日行」の宣告
「さ、三万回!? そんな…… せっかくここまで来たのに……」絶望するリンに、俺は優しく、だが断固とした口調でさらにデタラメを畳み掛ける。
「ああ。計算によれば、魔王を倒すその瞬間まで棺桶の中で耐え続けなければならない。だが、それを成し遂げた時、ジェニーは伝説の『大賢者』を超えた存在……**『棺桶賢者』**になれるんだ!」
棺桶の中のジェニーは、その途方もない数字に気を失いかけていた。 (さ、三万回……!? 兄貴、ボクの人生(幽霊生)、ずっと箱の中なの!?)
だが、俺の「愛の鞭(追撃)」が飛ぶ。 「ジェニー! お前ならできる! いつもカジノで(兄貴ぃ!俺は普通の賢者では満足できないよ!)と言っていたのは、お前自身じゃないか!今ここで楽な道を選んで、ただの賢者で妥協するのか!?」
ジェニーは再び魂に火がついた。 (そ、そうだよね……! 三万回の瞑想、やってみるよ! ボク、頑張るからね、兄貴!)
3. 永遠の修行継続
「……わかりました。ジェニーさんの決意がそこまで固いのなら、私は彼を応援しますわ!」 リンが棺桶を見つめ、セーラも「……三万回の瞑想。未知の領域だわ。彼の成長を、私も研究させてもらうわ」と、美しく微笑んだ。
「大賢者?瞑想?」呆気に取られている神官に、俺はそっと「口止め料」として、「カジノの特賞景品(金のブレスレット)」を握らせると、神官は顔を青くして「……おお、なんと神々しい。彼の魂は今、三万回への第一歩を踏み出しました」と棒読みで宣言した。
(……ふぅ。これで転職の費用も浮いたし、ジェニーを安全にパッシブ・タンク(放置盾)として運用しながら、ハーレム旅を続けられる。期待値1000%の判断だな)
神殿を出ると、俺は美女二人の腰に手を添え(ジェニーが重くてバランスを崩しそうだからという言い訳で)ダーマを後にした。 棺桶からは、必死に(ひー、ふー、みー……)と瞑想の回数を数え始めたジェニーの悲痛な声が、秋の空に虚しく響いていた。