ギャンブラー勇者の鉄壁なる「棺桶」管理術   作:ドラクエ風短編小説

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第八章:ジパングの戦いと、生贄の「浄化行」

 一行がたどり着いた東方の国、ジパング。そこは、恐ろしい怪物**「ヤマタノオロチ」**に支配され、若い娘を生贄に捧げるという悲劇の国だった。

 

1. 「生贄」への立候補

 

 ヒミコの屋敷。次の生贄に選ばれた娘を前に、リンは涙を流し、セーラは静かに怒りを燃やしていた。 「勇者様、どうにかして彼女を助けられませんか……!」

 

 俺は腕を組み、沈痛な面持ちで棺桶を見つめた。 「……いや、むしろこれは好機かもしれん。……ジェニー、お前に行ってもらう」

 

「ええっ!? 勇者様、ジェニーさんをヤマタノオロチに食べさせる気ですか!?」 リンが絶叫する。セーラも信じられないといった目で俺を見た。

 

2. 「浄化行」という名のイカサマ

 

「……違うんだ。これはジェニーの魂を黄金に磨き上げる、伝説の**『浄化行』**なんだ」 俺は熱っぽく語り始めた。

 

「ヤマタノオロチの体内は、猛烈な瘴気(しょうき)に満ちている。だが、その瘴気の中を棺桶のまま通り抜け、胃袋の中で瞑想を続けることで、ジェニーの魂はあらゆるけがれを払い、真の『聖なる遊び人』へと覚醒するんだ……。これこそが、彼が大賢者になり棺桶から出るための、たった一つの道なんだ!」

 

 棺桶の中のジェニーは、大蛇に食われるという恐怖でガタガタと震えていた。 (あ、兄貴……! 瘴気? 正気?ショーキィィィ?ボク、溶けちゃうよ! 絶対に溶けちゃうって!)

 

 だが、俺の「決め台詞」が棺桶を貫く。 「いいかジェニー! 娘さんの代わりに食われることで、お前はジパングの英雄になる。セーラも、リンも、お前のその勇姿に心を奪われるだろう。……それともお前は、一生ただの『箱』で終わるつもりか!?」

 

 心を奪われる……その言葉に、ジェニーの妄想が爆発した。 (リンちゃんとセーラさんが、ボクに……!? ……よし、やろう! ボク、オロチの腹の中でピカピカに浄化されてくるよ、兄貴!)

 

3. オロチの胃袋への「ホールインワン」

 

 生贄の祭壇。現れたヤマタノオロチが巨大な口を開けた瞬間、俺は渾身の力で可愛いリボンのついた棺桶をその喉元へと放り投げた。 「行け、ジェニー! 浄化されてこい!」

 

「あ……ジェニーさん……!」リンが祈るように見守る中、棺桶はオロチの胃袋へと吸い込まれていった。 オロチは「なんだ、この硬い獲物は?」といった様子で困惑し、胃もたれを起こし始めた。

 

「今だ! 二人とも、オロチが苦しんでいる隙に叩くんだ!」 俺の指示で、リンの正拳突きとセーラのマヒャドが、胃もたれ中のオロチに直撃。

 

 「おのれ……勇者……! 娘の代わりに、何という『得体の知れぬ硬い不浄物』を食わせおったか……! 胃が……胃の腑が、あの派手な箱の角でズタズタだ……。無念……!」結局、ジェニーが内側から(恐怖で暴れて)壁を叩き、俺たちが外からボコボコにするという完璧な連携で、ヤマタノオロチを撃破した。

 

4. 偽りの感動

 

 オロチが消滅した跡には、胃液で少し粘り気がついた(でも中身は無事な)棺桶が転がっていた。リボンは溶けてなくなっていた。 「ジェニーさん! 無事なのね!」 リンが駆け寄り、セーラも「……信じられない。また戻って来れるなんて」と、驚嘆の眼差しを向ける。

 

 オロチの胃酸で棺桶が溶けると思っていた俺は、残念な感情をねじ伏せ、汚れた棺桶をそっと拭き、美女二人には見えない角度で、口パクでこう言った。 (ナイスだ、ジェニー。お前の『生贄修行』のおかげで、村の宝物も全部俺たちのものだぜ)

 

 棺桶の中からは、(兄貴ぃ……! ボク、胃液でベタベタだけど、英雄になれたかな!?)という、どこまでもハッピーな声が響いていた。

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