十種影法術で逝く青春記録   作:段差ダンサー

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ある日、砂漠で、ホルスに出会った♪②

「第二ラウンドって所ですか」

 

右手で大蛇の影絵を作る。

 

「大蛇ッ!」

 

シユウの影から勢い良く大蛇が飛び出る、それを分かっていたかのようにホシノが避けた。

 

ホシノの発砲。

 

(影は間に合わない、右は大蛇がいる。左に避ける!)

 

シユウは地面を蹴り、弾丸を避ける。

その瞬間を待っていたホシノがショットガンで直接殴りに来た。

 

ショットガンの銃口を持った状態での横薙ぎ。

避けれず、防御姿勢も取れず、喰らう。

 

「カハッ」

(意識が飛ぶ…保て!)

 

ホシノの追撃、シユウはそれをギリギリで避ける。

無理に避けたことで体勢を崩した、それを玉犬・白がカバーする。

 

「邪魔ですね、その犬」

(今だ。黒、忍び寄れ)

「いいだろ?式神だから食費も掛からないぜ」

 

音も無く忍び寄る玉犬、ホシノはすでに射程圏内に入っていた。

 

「そうですか、どうでもいいです…でも、邪魔ですね」

 

顎を開ける玉犬、ホシノに食いつこうとした

 

 

――減らしときますか

 

 

刹那。ホシノは忍び寄っていた玉犬・黒の方に振り向き、弾を放った。

 

直撃、それも至近距離で口内に。

 

それに耐えられず、玉犬・黒は完全崩壊した。

 

(壊された!最悪だ!気づかれていた!最悪だ!!)

 

玉犬・白を一度影に戻す。

影絵で犬の形を作る、呼び出すのは白でも黒でもない。

 

「玉犬・渾」

 

十種影法術、その術式の一部。

破壊された式神の能力継承、それをこの瞬間に終えたシユウは玉犬・黒を継承した新しい式神を召喚した。

 

「アオオオオォォォォーーーン!!!」

「やれ、玉犬!」

「仇討ちってことですね」

 

指示をもらった玉犬が高速でホシノに肉薄する。

 

(速い!?)

 

ホシノは急速に上がった玉犬の速度を対応できずに爪で引き裂かれた。

 

しかし、その驚異的な耐久力のせいか服は避けたが肌は表面しか切れていない。寸前で避ける動作をした事もあり傷は浅かった。

 

(軽傷ですね、ですが何度もくらえばマズい)

「考え事しててもいいのかァ!?こっちは一人じゃないぜ!!」

 

 

今にも飛びそうな意識。破壊された玉犬・白。度重なるダメージ。玉犬・渾により急速に減っていく呪力。

 

シユウは着実に『死』に近づいていた。

 

近づいた事でボンヤリと、しかし確実に呪力の核心を掴みかけていた。

 

初めてと言っていい格上との戦闘。

それが眠っていたシユウの呪力センスを呼び覚まし、急激に呪力操作の精度が上がっていた。

 

それは()()であり()()

 

打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。

 

 

――()()()()は微笑んだ

 

 

黒閃!!!!

 

 

黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込む。

顎に喰らい吹き飛ぶホシノ、地面に堕ちても衝撃は消えずアスファルトが砕ける。

 

「かはっ」

「立ち上がって来いよ!!第三ラウンドだ!!!」

 

土煙が晴れる。そこにはホシノの影は見えなかった。

 

(どこ行った!?後ろ、右、左、上...?)

「いない...?」

 

実際は居なくなったわけではない。

ホシノがまだ立ち上がっていなかったのだ。

 

ゆであがっていた脳が急激に冷めていく。

 

「...帰るか」

 

それにしても呪力がビックリするほど動かしやすい。

呪力の核心との距離に天と地ほどの差があるってのもホントなのかもな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

さて、あれから一ヵ月ほど経った。

その間は仕事も出来なかったし真面に動けもしなかった。あの戦いのダメージが想像以上に蓄積していたようだ。

 

「金には困ってないけどな、貯蓄は死ぬほどあるし」

 

伊達に中学生から傭兵やってるわけじゃないのだ。

始めたての頃は本当に大変だったけどな。

依頼料金を踏み倒されたり。踏み倒そうとした奴はつぶしたけど。

裏切られて始末されそうになったり。全部踏み倒したけど。

まったく依頼が来なくて干されそうになったりもした。依頼が行かないようにしていた富豪を殴り殺したけど。

 

とにかくここまでの地位を得るまで大変だった。

殆ど暴力で解決してるって?うるせぇ、傭兵は暴力大事だろ。

 

それは一旦置いておく。

あのアビドス生徒と戦って思ったのだ。

 

「才能に胡坐かいてた」

 

呪術という俺以外持っていない圧倒的な力。

それで慢心していた、驕っていたと言ってもいい。

つまり何が言いたいのかというと――

 

「修行編じゃあ!」

 

そのために今、アビドス砂漠に来ています。

ここほど他の人が居なくて広い所もない、修行でドンパチするには最適だ。

 

「まずは、玉犬・渾」

 

ズズズズズ

 

「ヴォフ」

 

呪術廻戦で見たような玉犬・渾だ、違うところは大きさだろう。

 

「でっかくなったなぁ」

 

クソデカ玉犬になってしまった。

小さな山くらいの大きさになっている、前にアビドスで咄嗟に出した時はそこまで呪力を込められてなかったから小さかったが今はちゃんと呪力を込めている。

 

ていうか

 

「すごい勢いで呪力喰うじゃん、お前」

「クゥン?」

 

何も分かってないような顔で首をかしげる玉犬。

 

「はぁ…まあいいや」

 

どういう修行をするのか、ここにはサンドバック(不良)も居ないし修行相手がいるわけでもない。しかし十種影法術は式神を二体同時に召喚できる術式である。片方を敵、片方を味方にすれば一人でも修行が可能だ。そこ、ボッチとかいうな。

 

「満象」

 

黒閃で上がった呪力出力と呪力操作をフルに使い、今できる一番大きな満象を召喚する。

その大きさは玉犬・渾すらも上回り、その巨体が蠢くだけで砂埃が舞う。

 

「修行だ、やり合うぞ」

「ヴォフ」

「ぱおーん」

 

満象の声頭悪そう(小並感)

 

 

 

 

 

 

 

それが先週の話、それから一週間毎日この砂漠に来て修行していた。

していたんだが…

 

「に…逃げて…」

 

 

―――グオオオオオオオォォォォ!!!!

 

 

死にかけているアビドスの生徒VSそして機械仕掛けのクソデカ蛇VS修行してた俺

 

「どういう状況?これ」

 

 




色つきました、評価して下さった方々ありがとうございます。
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