砂嵐に飲まれ、すべてのテナントが撤退したビルが立ち並ぶ。
道路は砂で埋め尽くされ、白線なんて殆ど見えない。
「流石アビドス。砂嵐の被害は一流だな」
「いちいち煽らないと気が済まないんですか?」
爆薬を乗せたトラックを運転しながら会話をする。
もし車をぶつけでもして誘爆すれば即・お陀仏だ。
事前に決めた指定位置に到着する。
トラックの扉を開け、爆薬を慎重に取り出す。
傭兵で似たような仕事をしたことがある、そこまで緊張は無い。
無事に設置を終え、帰路に就く。
一応だが明日の作戦を確認しておこう。
「決行する時は砂漠であいつを見つける、そして決められたルートを通ってここに誘導だ。わかってるな?」
「そんな心配しなくても忘れませんよ、ユメ先輩みたいに馬鹿じゃないので」
ホシノって意外とユメに辛辣だよな、愚痴言わせたら無限に出てきそう。
いい所言わせても無限に出てきそうだけど。
先程言った通り作戦はいたってシンプルだ。捕捉して、誘導して、爆破。
簡単な作業だ、移動はオフロードタイヤの車両で行う。昔から整備されていない道路は荒れに荒れていて罅割れがすごいから普通のタイヤでスピードを出すとすぐスリップするからだ。
「逃走用の車はこっちで用意している、既に場所は送っているから確認しておけ」
「用意していたルート分ありますが…全部買ったんですか?」
「貯蓄は十分だ、俺の財布は心配するな」
「世界が違う…」
アビドス校舎に着いた、ホシノを校門前に下ろす。
「決行は明日の朝だ、寝坊するなよ」
「私の事ユメ先輩と同類だと思ってます?」
「時々お前がユメの事を嫌いか疑ってしまう」
「そんなわけないじゃないですか、ユメ先輩ですか?」
こいつユメの事馬鹿っつってる!!
「…まあいい、恐怖のあまりバックレるなよ」
「寝言は寝てから言ってください」
トラックの運転席に乗り込み、エンジンを唸らせる。
車体が揺れ、メーターが光った。カーナビの案内が車内に響く。
アクセルを踏み込み、トラックを発進させた。
ホシノを下ろす前に着けていた冷房の冷気が残っている。
灼熱の砂漠を乗り切るため、再び冷房を付ける。エアコンから冷たい空気が噴出した。
それにより体が冷やされ気分が良くなる。どうしても砂漠では汗をかいてしまう。その上砂も飛んでくるんだから大変だ。あの蛇野郎を壊したら砂漠には二度と来たくない。
数時間かけブラックマーケットの外れにある自宅に着いた。
ブラックマーケットの中央は襲撃が多くて自宅を立てるのはやめたから外れにある。
地下に広がる車庫を開け、トラックをその中に入れる。車庫の中には他にも数台の車があった。
それは普通車や物騒極まりない装甲車などの雑多な種類であり、高級車のようなものは一つもない。実用性を重視しているのだろう。
そのまま持っていた…否、影に収納していた銃火器を取り出し、車庫とつながっていて地下にある倉庫の中に収納した。
梯子を上り、床下を開ける。
その上には生活感のない部屋が広がっていた。廊下に出て、数個ある扉の一つを開ける。
中は洗面台とトイレそして洗濯機、その奥には風呂とこの部屋を仕切る磨りガラスで出来た扉があり、それを開けると風呂と壁に立てかけているシャワーがあった。
既に洗ってある湯舟の栓を閉め、給湯器のスイッチを押す。
外に出て服を脱いだ、現れた体は鍛えられており見せるためではなく使うためにつけられたと言わんばかりの筋肉が鎧のように備えられていた。それを洗剤や柔軟剤と一緒に洗濯機に入れ脱水までするように設定してからスイッチを押す。
そして再び浴室に入る――
風呂上り、寝間着を着て洗面台の前に立ちドライヤーを手に取る。
スイッチをオンにして熱風を髪にあて、乾かす。
そこまで髪が長い訳でも毛量が多い訳でもない俺は、そこまでの時間も掛けずに髪を乾かしきった。
洗濯機はまだ回っており、脱水にも入っていない。
まだ待つ必要がありそうだ。
その間に夜飯でも作っておくか、明日のために出来るだけ早く寝たい。
部屋から出てキッチンへ向かう。
冷蔵庫の中身を観察する、冷凍白米、もうすぐで賞味期限の卵、長ネギ、ハーフベーコン…炒飯だな、今日は。
電子レンジに冷凍白米を入れ、温める。
まな板と包丁を取り出し、長ネギをみじん切りにする。
ハーフベーコンを梱包から取り出し、小さく切った。
卵を二個とも割り、解きほぐす。
チーン
白米が解凍された。容器から取り出しボウルに入れる。
その上からサラダ油を大匙一杯入れた。菜箸で白米を解す。
ほぐしたら解いていた卵をボウルに投入し混ぜる。
フライパンを取り出してIHコンロに乗せる。サラダ油を大匙一杯、IHコンロを点火する。
強火で熱し、十分に熱したら中火にする、そして卵と混ぜた白米を投入した。
そのまま4~5分炒めると、米がパラパラしてくる。
そしたら刻んだネギとベーコンを追加する。
全体を炒め合わせ、混ざったら一旦火を止める。
真ん中をあけ、しょうゆを加えた。
再び中火にかけ、しょうゆがジュッと香り出せば全体を炒め合わせ、塩や胡椒で味を調える。
「…できた」
薄い皿に盛り付け、木製スプーンを出す。
机に置き、一口頬張る。
「我ながら…まあまあかな」
悪くはない。だが良くもない。
ネットで拾った評判のいいレシピ通りにやってるんだけどな、多分俺の技量の問題だろ。
夜飯を食べ終え、食器を流し台に置く。
「…洗い物めんど……」
自炊やめようかな…