苦労人転生者はヒーローの世界へ   作:鬼塚虎吉

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地獄回避

緑谷と爆豪の元から去った後、俺は今どこに居るのかを把握する。

 

「{静岡辺りってことか・・・、ってことは轟と常闇も一緒だな}」

 

そう考えながら走っていると、山道を走っていると焦げ臭い臭いが鼻についた。

 

「なんだ?」

 

気になった俺が匂いが強い方へと向かうと、そこには白髪の少年が個性らしき蒼い炎で周囲の木々を燃やしていた。

 

「止まれ!!止まれぇえええええええっ!!」

 

「今助ける!!」

 

少年の口ぶりからして個性の暴走だと察した俺は水遁と風遁を使って消火を試みる。

 

【水遁・爆水衝波】

 

空に向かって放ったその術によって無事に蒼い炎は消し止められた。

 

しかし、消し止めれたと言ってもまだ火種が燻っている部分があり、いつ出火しても可笑しくない状況だった。

 

「お・・・とう・・・さん・・・、み・・・て・・・」

 

限界を迎えた少年は炎が消えると同時に倒れ手しまう。

 

「酷い火傷だな、腕なんて炭化寸前だぞ」

 

そう言いながらも俺は魔法を使おうとした瞬間、あることに気付く。

 

「{あれ、これって荼毘じゃね?}」

 

そう、原作で(ヴィラン)連合の荼毘として活動していた轟燈矢だった。

 

つまり、ここには金玉野郎が居る可能性が高い!!

 

そう思考を巡らせた俺は魔法を使用せずに燈矢を背負って下山することを選択した。

 

「頑張れ、頑張れ死ぬなよ!!」

 

そう言いながら俺は焼けた林を駆けていく。

 

しかし、今の状態では何が起こるか解らないため、魔法を使用することにした。

 

「【銀月(ぎん)の耀き それは女神の抱擁】【女神の寵愛受けし勇士は死なず猛り続ける】【死を恐れぬ勇士は女神の敵を粉砕する】【全ては至上の女神の為】【駆け抜けよ、女神の神意を乗せて】【ループ・エインヘリャル】」

 

燈矢は銀の魔力光を浴びて炭化寸前の腕その他諸々が完治する事に成功した。

 

そして、なんとか火が再び出火する前に下山することが出来た俺は近隣住民が呼んだ救急車に燈矢と共に乗り込んだ。

 

その際、エンデヴァーが視界に入ったがそのまま乗り込み病院に運ばれるのだった。

 

「なんだ、これは・・・!?」

 

俺、エンデヴァーこと轟炎司は自身の目を疑った。

 

瀬古杜岳の一角が炎上しているという知らせを受けたその時、俺は息子の燈矢が待っていると言っていた場所と思い出し即座に駆けつけた。

 

現場に着くと数台の消防車と二台の救急車が到着しており、その救急車の一つに呼吸器を取り付けられた燈矢が乗せられていくのが見えた。

 

そして、もう一人の黒髪の少年が自力で乗り込むのが見えた。

 

状況がつかめない、ひとまずヒーローとしての責務を全うした後にしよう。

 

今はそうしなければどうにかなってしまいそうだった。

 

 

 

 

 

無事に燈矢を背負って下山した俺は住民の人が呼んだであろう救急車に乗って病院に搬送された。

 

まぁ、身体には異常はなかったけど用心のための入院をすることになった。

 

シルに心配掛けさせちまうな、そんなことを思っていると・・・。

 

「お前は一体何をしたのか解っているのか!!」

 

耳をつんざくような怒声が響き渡った。

 

「エンデヴァーか」

 

そう言いながら俺はのっそりと動き出す。

 

「あのような事をしでかしておいてヒーローになるだと!?馬鹿も休み休み言え!!」

 

そう言うエンデヴァーの前には荼毘・・・燈矢が絶望に震えているのが見えた。

 

「エンデヴァー」

 

俺の声にエンデヴァー他轟家の全員が見てくる。

 

「君は燈矢を助けてくれた子だな。燈矢を救ってくれたこと感謝する。だが、今は大事な話の最中なのでな・・・」

 

「エンデヴァー、あんたちゃんと見ているのか?」

 

俺はエンデヴァーの言葉を遮りそう言った。

 

「? 何を言っている?」

 

俺の言葉の意味が理解できなかったのか、エンデヴァーは問い返してくる。

 

「自分の家族の顔をちゃんと見ているのかって聞いてんだよ」

 

「なんだと?」

 

俺の言葉にエンデヴァーが眉間に皺を寄せ睨んでくるが、こんなもんゼウスとヘラの連中に比べたら凪も同然だ。

 

「俺がその子を助けた時、意識も絶え絶えになりながらこう言っていたぞ。『お父さん、見て』ってな」

 

『!?』

 

俺の言葉に轟家全員が驚愕の表情をする。

 

「なにがアンタを駆り立てているのかは知らねぇが、一家を背負うんだったらそれぐらいやってのけろ。当たり前のことだろうが」

 

「今、目の前であんたの家族が一番苦しんでいるのが解んねぇのかよ。そこまで曇っちまったのか、エンデヴァー。眼ぇ逸らしてんじゃねぇぞ、エンデヴァー」

 

「失ってからじゃ遅いんだよ、失ったものばかり数えることになるぞ」

 

「・・・・・・」

 

俺の言葉にエンデヴァーは口を閉ざしている。

 

「礼も謝罪もいらねぇよ、ただ家族を大事にな」

 

俺はそう言って自分の病室に帰って行くのだった。

 

病室に入ると、シルが待っていた。

 

「ケンマさん、随分と無茶なことしましたね」

 

そう言ってくるシルの眼は怒りに満ちていた。

 

「ごめんなさい」

 

今回俺が全面的に悪い為、即座に土下座をするのだった。

 

 

 

燈矢を助けてくれた子の言葉を受けて俺は今までの自分を思い返した。

 

それは怒りと焦燥で歪んだ己の行動に怯える家族の姿。

 

俺は何をやっていたのだ、己が目的のために家族を犠牲にしてきた。

 

とんだ愚か者だ、俺は・・・!!

 

夫としても、父親としても最低だ!!

 

だが、もし・・・もしもだ・・・。

 

まだ、やり直せるのなら・・・。

 

「燈矢」

 

「お父さん・・・俺頑張るから・・・!!」

 

そう言ってくる燈矢の眼からはっきりと恐怖の感情が伝わってくる。

 

俺はこの姿から目を逸らし続けていた、だが・・・。

 

「冷、燈矢、冬美、夏雄、焦凍・・・すまなかった」

 

頭を下げ謝罪する俺に家族全員が驚きの表情を浮かべる。

 

「今までお母さん達を虐めて来たくせに偉そうなこと言うな!!ゆるせるもんか!!」

 

そう言ってくるのは末っ子の焦凍。

 

「あぁ、そうだな。その通りだ」

 

その言葉を俺は肯定し受け止める。

 

「燈矢、もうお前から目を背けずに見続ける。だから、もう苦しまないでくれ」

 

「・・・見てくれるの!?」

 

「あぁ!!」

 

「ホントの本当に!?」

 

「あぁ、俺の自慢の子供である轟燈矢をな!!」

 

そう言うと、俺は立ち上がり家族を見てこう言った。

 

「許してくれと烏滸がましいことは言わない。だが、お前達家族が胸を張れるヒーローになろう。父が偉大な男であると・・・!!!」

 

怒りで濁りきっていたその目は澄み切っていて、エンデヴァーは家族を写すのだった。

ヒロインって必要?ハーレムにします?

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