ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜 作:たかしクランベリー
『今ッ、キックオフです!!』
ピピーッ!
「ぺこら先輩っ!」
パッ。
キックオフのパスが
此方へ渡る。
「ナイスだぜヴィヴィちゃん。」
ベータ。
先手を譲ったのはこっちの
出方を窺う為か。
にしても、
動く気配がないぺこだな。
「……どうした。アンタ達は、
ウチらを潰しに
来たんじゃあないのか?」
彼女は首を横に振った。
「いいえ。個人的な下見です。
いずれはその予定ですが、
『彼』の警戒に足る存在か
どうか測らせてください。」
彼……か。
ミミーチン……
チーム名から薄々察してはいたが、
またぺこーらを潰す算段を
立ててやがったか。
アイツにとって
あたいは何なんだ。
PCゲームの次はサッカー……
いいや。
今どーこー考えたって
何も進みやしない。
そっちから刺客を
送ってくるってんなら、
ソイツらをシバいて
聞き出しゃいい話だ。
「言ったな。後悔すんじゃねェぞ。」
自チームの半数は
サッカー初心者だが、
それさえもカバー出来るのが
天才ぺこーら様のパーフェクトプレー
ってヤツだぜ。
「いいかアンタ達ィ!
深い事は考えるな。
ぺこらが
今から奏でるリズムに乗れ!
さすれば勝機は見えるッ!」
「「「「はいっ!」」」」
「必殺タクティクス
『S・T・ぺこラップ』!」
ズンズンチャ♪ ズンズン……
『出たァァア!
帆呂雷中お馴染みの必殺タクティクス!
リズムでチームを統率し、
巧みなパス回しで前線に
上がっていきますッ……!』
「あぁ、あのタクティクスの
〝猿真似〟ですか。
本物の足下にも及びませんね♪」
『どうしたミミーチン・ドメイン!?
翻弄されて身動きが取れないの
でしょうかッ?』
野球部代理サッカー戦の時と
同じだ。
敢えて立ち止まり、観察している。
測りに来てるというのは
本当らしいな。
……が。
やる事は変えない。
先制点は意地でも貰うぺこ。
「はじめちゃん!」
パッ。
ピィーーッ。
彼女の口笛に呼ばれた
ペンギン達がボールに集まっていく。
「――〝オーバーヘッドペンギン〟」
『ゴーールっ!
先制点は帆呂雷中が決めましたァ!
帆呂雷中、このまま勢いに乗って
得点を重ねるのか!
はたまた、ミミーチン・ドメインが
一転攻勢に躍り出るか?
試合の行方は如何にッ。
Don't miss it!!』
ピッ、ピーッ!
『さぁ、ソッシーナからの
キックオフで試合再開。
ベータ、ボールを踏み締め
攻めの機会を窺っています!』
「何故動かねェ、ベータ。」
「カカシ相手にゴール打ったって
退屈でしょう?
3分間、私と
ウォーミングアップしませんか。」
「ウォーミングアップだと……」
ベータは頷きながら
話を続ける。
「制限時間は5分。
10人がかりでも構いません。」
「よっぽど、ボールコントロールに
自信があるようぺこだな。」
「はいっ♪ 今のあなた達じゃ
1ミリすら掠りもしませんので、
良い運動になると思います。」
舐められたモンだな。
まずは、ぺこらから味見してやんよ。
「言ったなァ! オォラァ!」
スカッ。
何だ今のボールキープ。
空中に体を捻りながら
飛んでやがった。
しかも、ボールが吸い付くように
足の甲の上で浮いてた。
一連の動きに
隙も音も無駄も無い。
世界レベルのサッカーでも
滅多に拝めない御技を
軽々しく
やってのけてる……。
一対一じゃ無謀だ。
「はじめちゃん!
いろはちゃん、加勢頼む!」
「りょ!」
「了解でござる!」
『おおっとォ!
3人がかりで果敢にボール奪取を
狙うが、悉く躱わされるゥ!
ベータの圧倒的な
身のこなしに、
翻弄されていますッ!!』
ヒョイッ スッ シュンッ
ダメなのか。
3人で攻めても、奪えるビジョンが
全く見えねェぺこ……。
「ぉおいっ!!
いつまで戯れてやがんだテメェっ!」
「――!」
ベータが怯んだ!?
何はともあれ
せっかちな味方ぺこだな。
それ。利用させて貰うぺこ。
「とぉりゃっ!!」
「いたぁ〜い❤︎」
『おっとぉ!?
無敵かと思われたベータ。
一瞬の隙を突かれボールを
奪われたァ!
これも兎田の策略でしょうかッ!』
わざとらしく尻餅をつき、
ベータはゆっくり再起する。
「キャプテンさんよォ〜、
さっきからキャピキャピ
女Vtuberみたいな声と仕草で
媚び諂いやがってよォ……」
「えへ♪ 私ぃ〜、
やらかしちゃいましたぁ〜。
ソッシーナさん。
ごめんなさ〜い❤︎」
ギュオンッ!
ぺこらのドリブルに構わず、
敵の仲間割れが
ヒートアップしていく。
遂に、仲間の男が
ベータの襟元を掴み上げた。
これとない大チャンスなのに、
胸の奥が騒つく。
何だろう……この嫌な予感は。
「状況分かってんのかテメェっ!
その態度がさっきから
癇に障るんだよォっ!!
テメーみてぇな女が
居るからサッカー負けんだ!
分かったら
さっさと俺にボール寄越せ、
無能女ァ!!」
ドジャアンッ!
男は怒りを露わにし、
ベータを投げ捨てた。
傍から見ても
マジで酷い仲間割れだ。
だからと言って
手を抜く気はない。
同情や慈悲なんてかけない。
この場所を取り戻す為にも。
「へー。
ボールを寄越せば良いんですね♪」
その距離で何かを仕掛けるつもりか。
フン、もう遅いぺこだぜ。
既に、シュートの射程圏内だ。
ポンッ!
「決めろぉっ、はじめちゃん!」
「うっす!
――〝オーバーヘッドペンギン〟」
仲間割れ上等。
2点目もこのまま頂きだ。
シュッ 、ギュルルル……
「「――!?!?」」
(ベータ、いつの間にここにッ!)
いや、それよりやべぇのは。
シュゥゥウウウ。
『なんとなんとぉ!?
ベータ、相手の必殺シュートを
胸トラップだけで
いとも容易く制したァ!
ボールキープ力だけじゃない、
圧倒的なサッカースキルと
フィジカルを秘めている様ですッ!』
「あっ!?
えへ♪ ごめんなさ〜い❤︎
私ぃ、なんかやっちゃいました?」
「「「………………。」」」
嘘ぺこでしょ……。
何の冗談だよ。
それが許されんのは、
異世界転生モノの
俺TUEEE主人公だけだろ……。
エイプリルフールだからって、
冗談が過ぎる。
あの必殺シュートを
胸トラップだけで止めるなんて。
「やっと使い物になったぜ。
オイ、キャプテン。
小芝居はいいから
とっとと俺に寄越せ。
優れた奴の力……見せてやるよ。」
「…………。」
「オイ、
聞いてんのかよキャプテン。」
「はっ、さっきからピーピー
うるせーなァ。
そんなに欲しけりゃくれてやるよ。」
「あぁ゛!?
テメェ、一体俺を誰だと……」
また仲間割れか?
んや、でもなんか違う。
ベータの目付きが
変わったっていうか……
「来いっ!
――『虚空の女神アテナ』
〝アームド〟」
彼女は遂に化身を顕現し、
それを身に纏った。
……って、纏う?
化身の存在は知ってるが、
纏えるなんて話は聞いた事ない。
あの能力は何なんだ。
「消えたッ!?」
「どきょいっちゃ!?」
「〝俺〟はココだぜ。」
「「――ッ!?」」
『ベータ、何という速さだっ!
まさに神出鬼没。
目視できない速度で、
敵陣の前線へ到達していましたッ!』
戦いの次元が違う。
これが、ミミーチンの用意した
チームの本気なのか。
「――〝シュートコマンド07〟ッ!」
ダブルショット。
ベータの本気必殺シュート。
踏みつけによって分散した
2つのボールが再度融合し、
強力な威力で放たれる。
しかしそのボールが穿ったのは
ぺこーら達のゴールポスト
ではなく……
「ゴハアッ!!」
散々暴言を吐いてた
男の肋だった。
そのまま彼はゴールまで
撃ち飛ばされる。
そして。
『オウンゴーーールっ!
癇癪で錯綜したのか!?
ベータ、ソッシーナと自チームの
キーパーごと撃ち抜いて
利敵シュートだァ!』
「ごほっ、ごほっ……ぐへあっ!
この俺に……なんて事しやがる……」
「ほら、オメーの望んだ結果だろ?
チッ、きったねぇ
血反吐撒き散らしやがって。
船酔いのガキかよ。」
「………………。」
「何をグズグズしてやがる。
肋2〜3本イっただけだ。
まだやれんだろ。」
「……ざ、けんな。」
「ざけんなだと?
図に乗るなよ。
『セカンドステージチルドレン』の
足下にも及ばねェ凡夫が。
2度と立てない身体に
してやってもいいんだぞ〝俺〟は。」
「……すみませんでした。」
マズイな。
このまま仲間割れが続けば
楽して試合が
進むと思ったぺこだが……
暴れん坊がパワハラに屈したか。
どうしたものか。
『さぁ試合再開です。
帆呂雷中のキックオフで
スタートです!』
「さ♪ 前半も残り少ないですし、
思う存分点入れてくださーい♪」
「なんやその挑発。
自分、また仲間内で揉めるで!」
「大丈夫でーす❤︎
私ぃ、躾には自信があるんです。」
ベータ。
また元に戻ってるな。
ヴィヴィちゃんの警告も
サラリと受け流してる。
相手の目的は依然分からんが、
取り敢えず、やれる事をやろう。
「ヴィヴィちゃん。
今はそいつの言葉を信じろぺこ!
この後、どんな事を
してくるか分からない以上はな!」
「わーかったよ!」
*
[得点表]
ミミーチン・D / 帆呂雷中
0 <1st> 4
33 <2nd> 0
33 <total> 4
『後半も残り僅かッ!
前半の様子とは打って変わって
完膚なきまでに得点差を
付けられた帆呂雷中。
33-4という絶望!!
果たして、
試合はこのまま終わって
しまうのでしょうかッ!?』
分かってはいた。
ずっと遊ばれてきた事は。
ぺこらの作戦が何一つ通用しない。
そういう次元の相手だ。
「ヴィヴィはまだ諦めへんで……!
何がなんでも、終わらせへん。」
「ヴィヴィちゃん……」
闘志が尽きてない
ヴィヴィを見て、
諦めきれない自分が居る。
なのに、
なにも提案できないのが
とても悔しい。
ひたすらに、悔しい。
「えー。
まだ頑張っちゃうんですかぁ〜♪
私ぃ、困っちゃうなぁ。
もうアレ使うしかないかも〜。」
「キャプテン、妾もそろそろ
使い時だと考えておった所じゃ。
頼む。」
「ナギーギさまの頼みなら
仕方ありません。
やっちゃいますか、アレ❤︎」
「何を……する気ぺこ?」
「すぐに分かりますよぉ♪
ざぁーこざぁーこ❤︎なのにぃ、
頑張ってる皆さんにご褒美です。
その名もぉ、
必殺タクティクス『グリットオメガ』。」
「――ッ!!」
グリットオメガ。
かつて。趙金運監督率いる
イナズマジャパンが、
オリオンの使徒を倒す為に
使用した必殺タクティクスか。
回避不能の大竜巻。
アレは、サッカー協会が
禁忌指定した極めて危険な
タクティクスだ。
マトモに食らったら……終わるッ!
「みんなぁ、身構えろぺこ!」
「手遅れです♪ フェーズ1。」
ヒュォオオオ。
選手が高速移動し、
ぺこら達を拘束する突風を起こす。
「フェーズ2……フェーズ3ぃ❤︎」
ぺこら側のコート中央に
大竜巻が発生し、
ウチらの身体を宙に打ち上げる。
10m以上の位置から落下すれば、
まず人間はただじゃ済まない。
「「「「ぐわぁああああ!!」」」」
「これで、あなた達の
選手生命も終わりです♪」
「はじめちゃん、アレをやるぞ。」
「わきゃりましゅた。
ぺこら先輩っ!」
バタバタバタ……。
仲間たちが地面に倒れ伏す。
即興の手でダメージは抑えたが、
耐えられなくて当然だ。
立ち上がれるのは、
ウチら3人だけか。
「最初から……
こうしてサッカーの意欲を
削ぐのが目的だったぺこか……」
「あらら、しぶといですねー。
えーと。兎田さん、轟さん、
風真さんでしたっけ。」
「……答えろ。」
「はい。その通りです♪
下見なんて建前に決まってる
じゃないですか〜。
まぁ、〝ブリタニアクロス〟で
衝撃を低減したのは
ナイスプレーと認めましょう。」
ぺこらの緊急作戦も
バレてたか。
つくづく油断ならねェぺこだな。
「じゃあどうするってんだ?
大人しく退くか。」
「ご冗談は止してください。
試合時間は残ってます。
もう一回遊べるドン❤︎」
「テメェっ!」
コイツら、
どこまでウチらを
コケにするつもりなんだ。
「いろはちゃん、
コレを受け取って!」
「こより殿、こっ……これは……」
緊迫した状況にも関わらず、
こよりちゃんは謎のステッキを
いろはちゃんに投げ渡した。
万策尽きた今、あのステッキを
与えたという事は……
こよりちゃんなりの
最終兵器という訳か。
「いろはァ!
アンタしか居なェぺこ!
ウチらを守る為に、頼むッ!」
「分かったでござる!
絶対引かないでくださいよ!
――〝変身〟」
「ふふ♪
オモチャで悪足掻きとは……
とことん惨めですね。
では、たっぷり苦しんでください❤︎
『グリットオメガ』。」
「きゅるるるるーーんっ❤︎
みんなを照らす魔法少女
『ピュアいろは』、ここに見参っ!」
「……は?」
今度こそ終わった。
何が始まるかと思いきや、
いろはちゃんがフリフリな
魔法少女のコスプレして
楽しんでるだけだ。
相手をドン引きさせて
怯ませるつもりだろうが。
敵はおそらく鍛え抜かれた精鋭。
あの程度のおふざけじゃ
足を止める訳がない。
「フェーズ1。」
ほら、普通に
フェーズ進んでるぺこじゃん。
「くらえっ★ いろはちゃん特性、
ぴゅあぴゅあ大魔法〜〜
〝マジカルワープ〟ぅ〜♪」
カッ。
「うわっ、眩しっ……」
詠唱と同時に
魔法少女ステッキの先端が
眩い光を周囲に放つ。
次に目を開けた時。
そこにミミーチンドメインらの
姿は無かった。
「……何が、どうなってるぺこ。」
「やべぇにゃあっ!
ちゅんきゃんいどぅでゃー!」
「どーお?
これがぁ、ピュアいろはちゃんの
マジカルパワーだよ〜♪
キランっ★」
「「能力の説明をしろッ!!」」
「それは、
こよから話していいかな。」
「「――!!」」
【後書き】
どうも、たかしクランベリーです。
エイプリルフールなので、
今朝の出来事をお伝えします。
(大嘘)
ポケポケで
ゴットパック当てました。
よろしくお願いします。