ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜 作:たかしクランベリー
〜SIDE『ベータ』〜
ミミーチンドメインの面々は、
ピュアいろはの大魔法により
沖縄の那覇空港まで飛ばされていた。
「あーあ。私たち、
一杯食わされちゃいましたね♪」
「何余裕ぶってんだよォ
キャプテン!
そもそも、テメェが舐めプなんか
しなくちゃあなぁ……」
「口を慎まぬか。ソッシーナ。」
「あんだと!?
ナギーギっ! オメーまで
コイツの味方すんのかよッ。」
「妾のことはナギーギ様と呼べ。
それにな、怒鳴った所で
現状は変わらぬ。
今一度、頭を冷やしてキャプテンの
指示を聞いたらどうだ。」
「…………。」
……やれやれ。
ミミーチン様、一体どのような
お考えがあって
このメンバーを招集したのでしょうか。
おや。掌に刻まれたこの刻印……
なるほど。
帆呂雷中を警戒する理由が
なんとなく見えてきました。
「皆さん、一度掌を見てください。」
「「「「――!!」」」」
私の想定通り、皆一様に
驚愕の顔を浮かべた。
「なんじゃこのQRコードは!
妾たちは一体、
何をされたと云うのじゃッ!」
「座標固定式コードです。
約2ヶ月間、私たちは
沖縄以外への座標移動を
封じられちゃいました♪」
エルドラド内の研究機関でも、
今尚テスト運用を重ねてる
未完成技術。
おそらくコレは、
それの完成技術を応用した
代物と見ていいだろう。
容易に逃げられる様な
造りじゃない……。
「所詮、スフィアデバイス
の座標移動を
制限されただけじゃろう?
物理的な移動ならば……」
「いいえ。物理的な移動を
試みても無駄です。
コードの効力で、
私たちは此処に
強制リスポーンされるでしょう。」
「そうか。ならばコレは、
グリットオメガに対する
我々への戒めと云う訳じゃな。」
「ええ。これでは、
迂闊にグリットオメガを
打てませんね……。
てかもうっ、
八方塞がりホントだるーい。」
ビーー。
念の為、スフィアデバイスの
ハック機能を通すが……
複雑なプロンプトが
組まれており、解除は不能のようだ。
敵意を持った対象のみを
指定し、任意で発動する
座標固定兵器。
大魔法なんて
生易しいモノじゃない。
200年後の未来より先を行った、
恐ろしい科学の結晶だ。
「ならば、ミミーチン様の
お迎えを待つのみか。
……なんだか暇じゃな。」
「そんなのを呑気に待っても、
すぐ来る保証はありません。
丁度いい機会ですし、
リラックスしちゃいましょう♪」
「リラックスだと?
この後に及んで能天気の極みかよ。
フッ、めでてぇ頭だなァてめぇら。」
またまた、ソッシーナが
喧嘩腰に毒づく。
私も本性が露呈すると
喧嘩っ早い性格だけど、
普段からこのノリなのは頂けない。
まぁ、彼の処遇はもう決めてある。
ほんの一時くらい
好きにさせてあげましょう。
「ええ。幸いにも
スフィアデバイスの機能は
問題なく使えますから。
さて、宮古島に
場所を移すとしましょう。」
『ワープモード、起動……』
シュンッ。
*
――沖縄・宮古島。
言わずと知れた沖縄の観光名所。
心地良い暖かな気候と、
浜辺から覗く青々とした
美しい海の姿は……
見るものの心を弾ませ
感動へと引き込む。
本州とは異なる
南国チックな世界観が、
依然として数々の観光客を
魅了し続けてるのである。
しかし、燦々と照り付ける
太陽の日差しや暖かさ。
豊かな生態系。
それらが生み出す光は
大きいと同時に、
相応サイズの影も生み出している。
沖縄といえば
ジンベエ鮫が有名であるが、
〝それ以外のサメ〟も頻繁に
人々の遊泳域へ出没するのである。
特に漁師は、
日々それに頭を悩ませている。
水揚げ中の魚がサメによって
捕食される事件が、
幾度となく発生しているからだ。
故に、現地の漁師らは
口を揃えてこう告げる。
「漁師の島に、
サメは百害あっても一利もない。」
……と。
『ワープ処理コンプリート』
「ふふ♪ 偶には良いですね。
こういう自然に満ちた空気も……
そうだ。気晴らしに、
ビーチでも走っちゃいます?」
私の粋なジョークを
逸早く見抜いたのは、
ナギーギ様だった。
「キャプテン、
冗談がお得意のようじゃな。
みな焦らしを求めてはおらぬ。
本題に疾く移ってもよいのじゃぞ。」
「そうですね。
始めちゃいましょうか♪
ソッシーナさんへの
特大サプライズ!」
「フッ、漸く俺の偉大さに
気がついたみてェだなお前ら。
ほら、
そのキャプテンの腕章寄越せよ。」
「まぁまぁ、そんなに
急がないでください。
まずは胴上げからしましょう。
私たち11人が円陣を組むので、
ソッシーナさんは
中央で立っててください。」
「『11人』……どういう事だ?」
「ねぇソッシーナさん、
知ってますか。
宮古島で漁業をなさってる
方々は、頻発するサメ被害に
日々頭を悩ませてるそうです。
なんでも……5m級の
人喰いサメが居るとか居ないとか……
これってぇ〜、
使えると思いませんか。」
「使えるだと!?
さっきから何を言って――」
察すのが2手ほど遅れた
ソッシーナに、ナギーギが
口出しする。
「…………勘が鈍いのう。
11人に取り囲まれている。
この状況、ちと考えれば
どういう意味か分かるじゃろ。
この流れ、お主はどう思う?」
「――ッ!?」
「おめでとうございます
ソッシーナさん。
あなたは、楽しい楽しい
『サッカー送別会』の主役に
選ばれましたぁ♪」
パアンッ!
景気付けにパーティクラッカーを
鳴らしてみる。
………にしても、みなさん。
表情が固くて静かですねー。
ユーモアをたっぷり仕込んだのに、
なんだか残念です私。
「いい加減にしろよ!
サメだのサッカー送別会だの
わーわー言いやがってッ……!
はっきり言ったらどうなんだ!!」
「用済みなので、
再起不能になって貰います。
ナギーギ様はぁ〜、
救急車の手配をお願いしますね❤︎」
「御意じゃ。」
「くそおっ……
何なんだよマジでよォ!」
「何と言われてもそう云う事じゃ。
お主は〝サメに襲われ瀕死になった
可哀想な観光客〟。
向こう5年は病棟生活じゃろうな。」
「ざけんなッ!
俺ァここで終わるタマじゃあ
ねぇんだよォオオ!!」
「『荒らし国万歳』さん。
ラフプレー特訓ついでに、
あの人の指数本と
片耳も切り落としていて
くださいね♪
何事もリアリティが大事ですから。」
「了解、万歳……オデ、bfuvdjb、
切リ落トス……荒らス。jctq万歳……」
ダメだ。
分かっちゃいる。けれど。
サッカーボールを踏んだ瞬間に
湧き上がるこの衝動と喜びに
〝俺〟の気持ちは
抑えられなくなっていた。
上品なお嬢様ごっこはヤメにしよう。
今はただ、本能のままに
ボールで痛ぶる方が
清々しくて楽しい。
そう確信している……!
「さぁ、俺らで始めよーぜ!
再起不能へ導く
最高のラフプレー特訓……
もとい、『サッカー送別会』を。」
「「「「了解です。キャプテン!」」」」
*
〜SIDE『兎田ぺこら』〜
「――という訳なんだ。」
こよりちゃんから、
例の魔法について
細かな説明が入った。
要約すると、
奴らミミーチンドメインは
しばらくウチらに
手出しできないらしい。
「そういう事ぺこか。
間一髪、最悪のケースを
逃れられたんだな。
しかし……」
「凄惨な光景でござるな……」
「きょんにゃの
サッカーじゃにゃい。」
傷だらけで再起不能になった
サッカー部のみんなを見ると、
どうしようもない
無力感に苛まれる。
「こよが言うのもなんだけど……
君たちは頑張ったよ。
正直、アレを使ってくるなんて
予想だにしなかったしね。」
「…………。」
ヴワァアアアアンッ!
追撃が来ないと油断したところ、
鈍い重低音と共に
頭上から巨大なUFOが現れた。
「UFO!?
つぎゃきゃらつぎょへちょ
どーなてゃる!」
束の間の混乱。
UFOのスピーカー部分から
謝罪の声が響いた。
『遅れて悪いなこより!
このUFOで
全員基地へ搬送するぞ!』
「もうっ、遅いよラプちゃん。
安心してはじめちゃん。
これは味方の乗り物だからね。」
「お……おう。」
助けに船って奴か。
確かに、全員を搬送するには
これが1番効率良い。
……それはそれとして。
(なんて日だ。
濃密すぎる1日にも程がある。)
そんなかんや内心で呟きながら
再起不能の全員が
holoX基地・医療フロアに
搬送された。
少数精鋭の秘密結社(笑)
という認識だったぺこだが、
意外にも社員はそこそこ居た。
見た目は全身黒タイツで、
頭部には白の罰印がデザインされてる。
まるで特撮戦隊モノのモブ敵
みたいだが、普通に日本語で
意思疎通している。
案外、しっかりした
組織なのかもしれんな。
「なにぼけっとしてるんですか。
ぺこら先輩、あなたも
治療対象なので
ついてきてくださいね。」
「う……すまん。」
こよりちゃんに手を引かれ、
然る場所で適切な治療を受けた。
治療後、あちこちが痛かった
身体は嘘のように回復した。
回復後は、医療フロアの
第1待合ホールへ
集合するよう言われたので
渡された地図に従い廊下を進む。
テクテクテク……。
「……あ。ヴィヴィちゃん。」
「……。」
移動の道中、ばったりと
回復したヴィヴィと鉢合わせた。
が。
どうもいつもと様子が違う。
見慣れたキラキラな表情や
態度はどこ吹く風。
また1人で抱え込んでるような
暗い顔になっていた。
「ぺこら先輩……
やっぱりヴィヴィ、
間違ってたんやろうか。」
案の定ぺこだな。
まったく、
ホント世話の焼ける後輩だ。
「間違ってねェよ。」
「どこがやッ!
ヴィヴィがサッカーやろうなんて
言わへんかったら、
みんな傷つかずに済んだ!
ぺこら先輩とミミーチンの因縁に
巻き込む事だって
なかったやないか……!」
「………………。」
「ヴィヴィ、もうこれ以上
何も悪くないみんなが
傷付く姿……見たくないねん。」
ヴィヴィは、抱え込んだ全てを
あたいに吐露した。
2人きりの
お出かけの件だってそうだ。
人一倍能天気に振る舞ってるようで、
妙な所で責任感が強い。
そして今回の件で
それが爆発したのだろう。
彼女の頬を伝う涙が、
何よりの証拠だ。
でも言わせて貰おう。
絶対に間違っていないと。
「ああ。そうかもな。
足首を挫いたし、
めちゃくちゃ痛かった。
みんなも痛い思いをした。
オマケに
あたいの因縁に巻き込んだ。
その指摘は間違っちゃいねェよ。」
「だからッ……」
「――でもな。あたいは
〝アンタとやるサッカーが
楽しくてしょうがない〟。
だからこの先も続ける。」
「…………。」
「まぁ、なんていうかさ。
ヴィヴィちゃんが思うほど
ぺこーら、頭良くないんだよ。
どんなに辛くて痛くても、
それ以上に楽しいから
やめられねンだわ。
きっとそれは、みんなも同じ。」
「でもっ、でも……」
「でももヘチマもあるかァ!
日本一を獲る!
ミミーチンの連中も
倒せるくらい強くなる!
どっちもやりゃいい話ぺこだろ!
要は特訓だ!
特訓はおにぎりなんだよォ!」
「特訓……おにぎり……
――ぷっ、あっははっ♪
特訓がおにぎり?
こんな時に
なんてジョーク言うねん。
馬鹿らしいわホンマ!」
やっと笑ってくれた。
小賢しい口八丁並べるより、
適当な根性論の方が
ヴィヴィちゃんには刺さると
思ってた。
……上手く決まったぺこだな。
「そうそう。アンタにゃ
その明るい顔が似合ってる。
気を取り直してさ、
また明日から……
サッカーやろうぜ!」
「うん!
ヴィヴィ、アイツらを
倒せるくらい強くなったるで!
見ときぃや、ぺこら先輩……!」
「おうよ!」
再度誓いを立て、ヴィヴィと
アツい握手を交わす。
その顔と声、握られた手に
もう迷いは見えなかった。
「うんうん。青春だねぇ。
でもさ、イチャついて
みんなを待たせるのは
如何なモノかなぁ〜。」
「うわっ、
こよりちゃん居たのかよ!
てかイチャついねーし!!」
「居たっていいじゃん。
ほらほら、集合集合。」
変に長引かせたら余計
イチャついてると思われる。
ここは大人しく従って
すぐさま待合ホールに行こう。
「よし、駆け足で
行くぞヴィヴィちゃん。」
「わーかったよ。」
待合ホールへ着くと、
帆呂雷中のみんなが待合席で
各々自由に座り込んでいた。
「悪ぃなアンタたち〜。」
申し訳程度に挨拶し
ぺこらも座る。
ヴィヴィは真隣に座ってきた。
何かの説明が始まるのか、
周りを見たのち、
こよりちゃんが目立つ位置に佇んだ。
カラカラカラカラ……
計ったように、
アズちゃんが車輪付き
ホワイトボードを運んで来た。
すると、こよりちゃんは
自慢気に咳払いして
懐から水性ペンを取り出す。
「こほん……
色々あったでしょうが、
クヨクヨしてる暇はありません。
こよちゃんの天才的ずのー
により、予選のリーク情報を
得たのでぇ〜……
作戦会議をしまーす!」
「「「「――!!!」」」」
ほほう。サッカー部全員を
招集したのはこの為か。
想像の5倍くらい仕事が
早いじゃねェか。
こよりちゃんをマネージャーに
して大正解だったぜ。
キュッキュッ。
意気揚々と、彼女が
ホワイトボードにペンを走らせる。
「ズバリ、FF予選・第1回戦目の
相手はぁ〜……
『御影専農中』でーす♪」
※FF・・・フットボールフロンティアの
略称である。
アズちゃんが
ボードに情報を書き足し、
解説をする。
「彼らは、機械的な精密動作で
隙なくフィールドを蹂躙する
テクニカルチーム。
防御型必殺タクティクス
『ハードシェル』で
得点を通さない硬さも
持ち合わせています。」
「そこで
重要になるメンバーがぁ〜……
お答えくださいぺこら先輩っ!」
ビシッ。
こよりちゃんめ、
ぺこーらにキャプテンらしさでも
求めてんのかよ。
名指し&指差しなんて
良い度胸じゃないか。
さては、あたいの人選ミスを
嘲笑うつもりだな。
ふっ、その手には乗らねーぺこ。
事前に参戦チームと
その特徴を
リストアップしてんだよこっちは。
「ああ。重要になるのは
立体的防御フォーメーションを
貫く突破力と奇天烈な発想力……
それと高い観察眼。
詰まるところ
この試合のキーパーソンは2人。
〝ねねちとらでんちゃん〟だ。」
「「……へ。」」
他人事かのように構えてた
2人がパチパチと瞬きし、
互いに顔を見合う。
数秒の沈黙ののち。
2人の驚愕が叫びとなって
フロア内に響き渡った。
「「――ぇえええええっ!!」」
【後書き】
どうも、たかしクランベリーです。
普通に説明回やるんじゃ
なんか味気ないので、
たまにはヴィラン視点の
ストーリーをひとつまみ。
……近々来るねねちとらでんの
活躍にも乞うご期待!
という訳で、
今日からポケモンチャンピオンズ
遊びまくろうと思います。
よろしくお願いします。