ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜   作:たかしクランベリー   

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14話・飲む魔法、DXマヨペナル茶

 

〜SIDE『儒烏風亭らでん』〜

 

気がついたら……

らでんは救われていた。

 

サッカー部vs野球部代行チーム

との激戦。

あの闘いを目にする中で

思い出したのは、

弟としたサッカーの数々だ。

 

小学時代、

本ばっか読んでるらでんに

〝若いんだから全身を使え〟

とか変な理由付けて

挑んできたなぁ……。

 

――姉ちゃんとやるサッカー、

楽しいなぁ!

また付き合ってくれよな! ――

 

脳裏に過ぎるのは、

彼のそんな労いの言葉。

 

そして揺さぶられ。

あの試合に

心が焚き付けられたのか。

 

……またあの日のような光が

来ると信じて。

先着5名。

確率100分の5入部試験を受けた。

 

半ばダメ元の入部。

本当に受かってしまった。

 

そうして

入部から数週間経った

あくる日の日曜。

 

予選前に親善試合が

あるという話は聞いたが、

謎の集団と

サッカーするなんて

予想だにしなかった。

 

試合終盤。

圧倒的な実力に押し潰され、

さらに空中に飛ばされて

強制スカイダイビング。

 

惨憺たる結果で終わった。

 

それでも

みんなの闘志は尽きなかった。

そしてそれは、らでんも

例外ではなかった。

 

絶望もあったけれど、

それ以上に強くなって

勝ちたいという気持ちが

上回った。

 

きっと、みんなも同じ気持ちだ。

 

(絶対見返したるばい……

らでんと、みんなの力で!)

 

ピトッ。

 

頬に伝うのは、キンキンに冷たい

水筒の感触だった。

 

「ははっ♪

らでんちゃん張り詰め過ぎだよぉ。

ねねもキーパーソンらしいし、

一緒に頑張っていこーや。」

 

「あっ、ねね先輩……」

「ねねちで良いって。」

 

「おーい。アンタ達〜。

練習再開するぺこよー。」

 

そうだ……。

どうこう気を張っても

仕方ないっちゃん。

 

やけん。

今のらでんに出来ることを

目一杯やろう。

 

いつも通りなら。

リフティング練習、

パス練、ドリブル練習……

一体どれからくるとよ。

 

スッ。

 

ぺこら先輩が

ねね先輩とらでんに手渡したのは、

何の変哲もない跳び縄だった。

 

「「……へ?」」

 

「何が不満ぺこか?」

 

「い、いや。

不満って言うかその……

サッカー部ですよね?

一体何のために。」

 

「勿論勝つためだ。

クラスで博識と噂の

らでんちゃんなら

分かるぺこだろ。10分間通しで演る

〝縄跳びの効率の良さ〟が。」

 

「……!!」

「どったのらでんちゃん。」

「そういう事か。」

 

いつぞやの

本で読んだ事がある。

 

縄跳び10分(継続跳び)は

ランニング30分よりも

高い運動量だと。

更には、全身の筋肉を満遍なく使う

優れた有酸素運動らしい。

 

肺活量、持久力、筋力向上には

これ以上ない

トレーニングメニューっちゃん。

 

「気が付いたらようぺこだな。

ハッキリ言おう。

アンタたちがどう練習しようと

一朝一夕で全国大会レベルの

ボールコントロール力を

得るのは不可能だ。

そうなると、

純粋なフィジカルと持久力が

戦局の要になるっちゅーワケ。」

 

「流石です。ぺこら先輩……!」

「ぺこーらいつもありがとう!」

 

「ねねちテメェっ!

そのセリフ次言ったら

『ユニバーサル大回転

ぺこぺこの舞』させっからな!」

「へいっ!」

 

「御託はいいっ!

ぺこーらの動きを見本に

さっさと取り掛れアンタたち!

3セットみっちりやんだぞ!」

 

「ちょっとでもサボったらぁ〜

こよちゃんお手製……

『DXマヨ・ペナル茶』を飲んで

精を出して貰うよ〜♪」

 

「ひっ……!」

 

こより先輩がニヤニヤして

見せつけて来たのは、

グツグツと音を立てる

黄みがかった

如何にも粘度が高そうな謎飲料。

 

クリアカップを満たすそれは、

容量にして330ml程だろうか……

やけん飲まずとも、

全身が危険信号を

鳴らすレベルの劇物ばい。

 

それを目にした一同が

刹那青褪めた顔をし、

すぐに気合を入れ直した。

 

おそらく今この瞬間は、

みな気持ちが一つになっただろう。

〝アレだけは飲みたくない〟と。

 

「それでは始めいッ!」

「「「「――はいっ!!」」」」

 

縄跳び式・スタミナ強化

練習メニューは以下の通りだ。

 

●スタミナ強化・縄式トレーニング壱

 

●跳躍ルール

①顎を引く

②脇を締める

③肩の力を抜く

④両足の拇指球を意識

⑤1セット継続跳びで10分行う

 

●休息ルール

・・・1セット毎に3分休憩

 

●跳躍のサイクルレパートリー

・・・30秒ごとに、

サイクルモーションを

番号順に切り替える。

 

①両足跳び/②駆け足跳び

③2拍子跳び/④グーパー

⑤シザーズ/⑥モーグル

 

(わーお……)

 

1セットだけでも

そこそこキツいメニューなのに、

3セットと来たばい。

 

日本一を獲るという

目標は、どうやら本気のようだ。

 

やって分かる。

本気でやる縄跳びというのは、

想像の10倍以上ハードだと。

 

「1セット目おっけー!

次に備えて各自水飲み休憩ヨシ!

2セット目も遅れんなぺこだぞー!」

 

「ぜぇ……ぜぇ……

ぢぬぅ〜、待ってぐだざい〜。」

「りりー……」

 

りりーか。

普段活発に全身動かす割には、

スタミナがなさそうだ。

 

こりゃあ……回復が

2セット目まで間に合うか。

 

ピッ。

 

慈悲など無い。

タイマーの打音がポチポチと

響き一同の緊張感を駆り立てる。

 

みんなが続々立ち上がってく中、

案の定りりーかが

バテて倒れ込んでいた。

 

「さぁ、2セット目開始ぺこー!」

 

「うっ……

起き上がりたくないよぉ〜。」

 

ヴゥオン ヴゥオン!

 

やっぱりだ。

りりーの奴、バテて

起き上がれんくなっとるばい。

 

みんな特訓を再開したのに、

数秒でも身体を

労わろうとしている。

 

ウチのマネージャーが、

そげん怠惰を

見過ごすわけないっちゃん。

 

「りーりーかちゃーん。」

 

しゃがんで

顔を覗き込んできたのは、

こより先輩だった。

ほら言わんこっちゃ無い。

 

「あ、あのー先輩。

数十秒だけでも手心を……」

 

「そんなもの無いよ❤︎

ほぉら、こよ自慢の

DXマヨペナル茶で元気だしてこ?

グイッと

イケば、すぐ頑張れるよ〜。」

 

「それは本当です?」

「ソカモナ!」

 

りりぃ。明らかな罠だぞ。

行くのか……あっ、

グイッといきやがった。

 

ゴクッ。

 

あれれ……もしや、

ヤバいのは見た目だけなのか。

 

「どう? りりかちゃん。」

「………………。」

 

彼女の顔色が

どんどん悪くなっていく。

劇物ドリンクという認識は

あってたようだ。

 

「――ぎぃあああああっ!!

不味すぎ不味すぎ不味すぎィ!

りりか口濯ぎに行くぅうううう!」

 

ビューンッ!

 

(嘘ぺこでしょ……)

 

あのバカ舌りりぃが、

発狂して蛇口場に駆け込むって

どんだけヤバいドリンクとよ!?

 

グキッ。

 

あっ、らでんまで足滑らした。

こりゃ転倒まっしぐら。

 

人のこと気にし過ぎて

自分の方まで疎かになっちまった。

油断大敵はまさにこの事。

 

最早、時既に遅しという奴ですな。

 

ゴテンッ。

 

「ったたぁ……油断したばい。」

「らーでーんちゃーん。

それじゃあ、飲みましょうねぇ〜♪」

 

「ひっ……!」

 

「大丈夫、飲む魔法だと

思ってくれて構わないよ。

いろはちゃんばっかりに

良い顔させらんないしさ。」

「………………。」

 

こんな魔法、要らない。

 

「いいかい、らでんちゃん?

奇跡も魔法も――あるんだよ。」

「ぎぃああああああああっ!!」

 

 

 

散々な特訓だ。

身体中の疲労感と、

口内へのダメージがめちゃデカい。

 

だというのに。

 

キーパーソンという役割柄。

ぺこら先輩&こより先輩に

案内され、ねね先輩と

秘密の特訓まで追加された。

 

行われる場所は、

holoX基地内の

シュミレートフロア。

No.1〜9のブラックルーム

というのがあり、

No.2の部屋を貸切にして

特訓するそうだ。

 

「何ここ? 黒いパネルに

埋め尽くされてるだけで

何もないじゃん。

ぺこちゃん、こんな所で

秘密の特訓なんて出来るの?」

 

ねね先輩が思ってた事

全部訊いてくれた。

……感謝ですな。

 

「まぁ、百聞は一見に如かずぺこ。

こよりちゃーん。

シュミレート起動しちゃってー。」

「はーい♪」

 

ポチポチ。

 

指示された彼女は、

ホログラムキーボードを

慣れた手つきで打ち込んだ。

 

ヴーン。

 

謎の重低音と共に、

ブラックルーム内が仮想空間を

構築していく。

 

数秒にしてそこは、

ビルの屋上へと変わり果てた。

 

「なっ!? コレは……」

「へーすごーい!

秘密結社って何でも出来んだねー。」

 

「はいそこー。騒ぐなぺこ。」

 

「「…………。」」

 

そうだ。驚いてる暇はない。

こうしてる間に、

試合へのタイムリミットは

刻一刻と迫ってる。

 

「あっちを見ろぺこ。」

 

誘導する指の先にあったのは、

信号の白線サイズしかない

鉄骨の道2本。

 

「えーと、これで一体なにを?」

 

「題して……

『鉄骨ドリブルシャトルラン』。

御影専農に対抗するには、

精密で素早いドリブルを識る

必要があるぺこ。」

 

「もし落ちたらぁ〜……

なんとなんと! 

DXマヨペナル茶を

もれなくプレゼントこよー♪」

 

「「はぁあああっ!?」」

 

最初はどうなることやらと思った。

でもらでんは……ううん。

 

ねね先輩も、この厳しい試練を

なんとか共に乗り切り

『本番』に漕ぎ着けた。

 

初の

フットボールフロンティア予選。

 

予選という割に、

スタジアムは多くの観客で

賑わっていた。

 

『さぁ、いよいよ始まります

FF予選Bブロックの1stマッチ!

なんという盛り上がりぃ!?

今か今かと、

熱い歓声で凄く賑わってるぞォ!!

という訳で。実況はわたくし、

白上フブキでお送りしますッ!』

 

[帆呂雷中サッカー部]

表記省略

 

[御影専農中サッカー部]

 

FW-ロボ子さん/セシリア/アーニャ

MF-大石/岩井/鈴木/銅峰

DF-釘原/鉤望/鋤谷

 

GK-ジジ・ムリン

 

 

『今ッ、キックオフです!!』

 

ピピーッ!

 

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