ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜   作:たかしクランベリー   

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2話・同意しないぺこ

 

〜SIDE『兎田ぺこら』〜

 

 

それは、2秒を待たずして放たれた。

 

「――〝ソニックショット〟!」

 

『出たぁ〜、赤倉渾身の必殺シュート。

ソニックショットぉ!

高速で駆け抜けるボールが

キーパーへ迫り来るぞォオオ!!』

 

―――ヴィヴィも

サッカーに参加させてください!―――

 

なんで……なんでこんな時に

アイツの言葉が脳裏に逡巡するんだよ。

ったく、つくづくいけ好かないぺこ。

 

シュッ、ドンッ!! ギュルルルル!

 

ガキんちょ共相手に、

本気を出す気なんてさらさら無かった。

もし本気でやったら、

純粋に年上としてダサいから。

 

本当は、

ヴィヴィの野郎がどれ程の熱量で

サッカーと向き合うのか。

それを知るための

小芝居を打っただけだ。

 

だというのに、

気がつけば身体は動き

全身全霊でボールを返す構えに

入っていた。

 

「ぅうぉりゃああああああっ!!」

 

シュドーーンッ!

 

『おおっと何という事だ!?

兎田ぺこら選手、必殺シュートを

足で受け止めるだけに留まらず

カウンターシュートに

まで昇華させたァ!』

 

「俺が止めてみせ――」

 

ドンッ! ピピーーーッ!

 

『ゴーールっ!!

ぺこーら、

凄まじいフィジカルプレーで

小学生チームを分からせたァ!

兎の名を冠するに相応しい脚力です!』

 

「すげェぜ姉御ぉ!

いつも偉そうにしてるだけだなぁと

思ったけど、ちゃんと強いんだな!」

「「「それな!!」」」

 

「一言余計だぞガキんちょ共!

ぺこーらだってやりゃ出来ンだよ!

もう怒った。テメーら全員

ガチで叩き潰してやんよ……!!」

 

「その初心者みたいなチームで?

姉御、

それはチームを過信してるっての!」

 

「過信上等! それくれーが、

アンタらにゃ丁度いいハンデよ!」

 

ガキんちょ共め、

必殺技が綺麗に決まったからって

調子づいてやがるな。

 

ガチカウンターで

やり過ぎたなと杞憂してたが、

もうその必要はなさそうだ。

 

寧ろ

お灸を据えてやった方が良いまである。

 

(つまり……)

 

これで互いに、

全力でサッカーに向き合える。

なんだか……楽しくなってきたぺこだな。

 

そうだ。

この気持ち、このアツさ。

 

長らく忘れてた。

 

「ぺこら先輩、急に微笑んでどしたん?」

「別に、何もねェぺこだよ。

それよりヴィヴィ……

この試合、勝ちに行くぞ。」

 

「言われずとも……!」

 

「あと、試合が再開したら

ぺこらの刻むビートに

合わせて動いてみ。

めんどいからみんなにも言っといてね。」

 

「分かりました。

ぺこらチームのみんなぁ!

ぺこら先輩のビートに合わせて

動くんやでーー!」

「「「はーい。」」」

 

ピピーーーッ!

 

『試合再開のホイッスル!

再度赤倉のキックオフでスタート。

青柳がドリブルで前線へ

突き進んで行きます……!』

 

スッ。

 

「――っ!?」

「へっへぇ、頂いたで!」

 

ヴィヴィの野郎、掴んだようぺこね。

ぺこらの刻むビートとサッカーの動き。

 

「馬鹿なっ、あり得ない!

さっきまで初心者みたいな動きしてた

ヤツに俺がボールを取られるなんて。」

 

「しっかりしろ青柳!

まだ取り返すチャンスはある!」

「おうッ!」

 

ズッズッ、チャン♪ ズッズッ、チャン♪

 

(そうはさせねェ。)

 

「ヴィヴィ、前線に上がった

おかゆところねに

リズム良くパスを回せ!」

「はいっ!」

 

パッ パッ パッ。

 

『おおっと、どうしたチーム帆呂雷(仮)。

初心者寄せ集めとは思えない

リズミカルな連携パスが通っていく!

一体どんな仕掛けが潜んで……

おやや、ぺこらの動きが妙だぞ!?』

 

「ズッズッチャ……っ、

バレたようぺこだな。」

 

流石はPCゲーム部部長って所か。

ステージ全体だけでなく、個々人の微細な

変化にも目配りを欠かさない。

 

日々アクションゲームで培われた

動体視力をとことん活かしてやがる。

 

『これはこれはまさかっ!?

ラップの如しビートを刻み

チーム全体の動きの波長を

リンクさせ、能力向上を促す

新必殺タクティクス……

なのでしょうかっ!!』

 

全部言ってるじゃねぇか。

あーもう、種明かしするしか

ねェぺこだよ。

 

「――如何にも。

必殺タクティクス

『ステージ・ザ・ぺこラップ』。

みんなのアツい思いが重なって

初めて成立する技ぺこ。」

 

「すげぇぜ姉御。

こんな隠し玉持ってたのかよ!

今度オレたちにも教えてくれよ!」

「「「それなー!!」」」

 

「テメーらには10年早ェわ!

教えて欲しけりゃ

突破してみる事だな……!」

 

「みんなぁ!

絶対突破して、姉御に新技教わろうぜ!」

「「「おーーー!!!」」」

 

『急に活気付いた河川ジュニアーズ!

必殺技を打つ暇すらない

激しい攻防の応酬、

まだまだ試合は熾烈さを増すばかりッ!

勝利の女神は、一体どちらに

微笑むのでしょうかッッ……!!』

 

必殺タクティクスを攻略すべく、

果敢に噛みつき立ち向かっていく

ガキんちょ共……ふむ、良い目と動きだ。

というより、結構いいぺこじゃん。

 

互いの熱が火花を散らし拮抗する

このアツいステージ。

 

ああ、燃えるぺこ。

求めたワクワクが、帰ってきやがった。

今なら。

ヴィヴィの野郎となら……

 

(いや、高望みした所で結局……)

 

………………。

 

…………。

 

ピピーーーッ!!

 

『ここで試合終了のホイッスル!

前半後半どちらも譲らぬ戦い。

しかし双方の点差は変わらず、

一点リードで

帆呂雷中チーム(仮)の勝利!!

素晴らしい試合でした。

白上、感激でございます……!』

 

ポスッ。

 

「はあっ、疲れたぁ……

サッカーって実際やると

ごっつ疲れんのやな。

マジのガチでヘロヘロちゃんやわ。

ぺこら先輩はどうなん?」

 

試合後。木製ベンチで

寛いでるぺこらの真隣に、

そう問いかけながら

ヴィヴィは腰を落とす。

 

出会ったばかりだというのに、

かなり馴れ馴れしい。

 

「どうって言われても、

やり慣れてるしな。あとグラウンド

7周走れるくらいの体力は

残ってるぺこだよ。」

「ホンマか!? 

ぺこら先輩ごっつ鍛えとんなぁ!」

 

「当然だ。

アンタたちとは格が違うんだ。」

「ほーん……。」

 

「…………。」

「「……………………。」」

 

解散して散り散りに帰ってく

ガキんちょ共と夕陽を背景にして、

じっくりと時間が過ぎていく。

 

空気の読めるヤツなのか、

はたまた喋る体力すら残存してないのか。

声を静めてしばらくの間

一緒に街並み鑑賞に付き合ってくれた。

 

はよ帰ってくんないかなと

内心思っても……

この心地良い静寂・疲労感と

余韻をもう少し味わっていたい

気持ちが勝る。

 

今はただ、穏やかな風に吹かれていたい。

 

「ぺこら先輩、やっぱり疲れてますよね。」

「別に、疲れてなんかいねェぺこ。」

 

急に何言い出すと思いきや、

またそれかよ。

 

「そうですか…………。」

 

「何か言いた気だな。こんだけ

馴れ馴れしくしといて

今更躊躇すんなよ。

あ、もしかして新学期が不安?」

 

「違います。」

「へー。じゃあ何を言い淀んでんのさ。」

 

「ぺこら先輩、

ヴィヴィとサッカーしようや。」

「もうやっただろ。それに日も暮れる。

また明日来やがれってんだ。」

 

ヴィヴィは首を横に振った。

 

「そういう意味やあらへん。

ヴィヴィ、サッカー部を作りたいんです。

ぺこら先輩となら、

日本一獲れる気がするんです。」

 

「………ぺこらより凄い奴なんざ

ゴロゴロといるさ。

気持ちは嬉しいぺこだけど、

他を当たった方がいい。」

 

冷笑気味に自虐し、乾いた返事を返す。

本当のことだ。

志が高ければ高いほど、

ぺこらとは距離を取った方が良い。

 

ヴィヴィちゃんの為にも。

 

バッ……ビシッ!

 

その心情とは逆に、

彼女の心に火をつけてしまったようだ。

ベンチから立ち上がったヴィヴィは

真剣な眼差しで訴え、

人差し指を此方に向けた。

 

「――〝ぺこら先輩と〟が良いんです!

ぺこら先輩とやるサッカー、

めっちゃおもろくて楽しくて……

なんていうかもう……

とりま、もっとやりたいねん!!」

 

苦しい。こんなにも気持ちを

真っ直ぐぶつけてくれてるのに。

現実は突き放す選択肢しかくれない。

 

だってぺこらは。

 

「ぺこらだって……あたいだって

サッカーやりたいぺこだよッ!

アンタとチーム組んで、

日本の頂きを目指してみたい!!

でもダメなんだよ!

世間は許してゃくれねェんだ!」

 

「……どういう……こと……」

 

「アンタはぺこらの事を

何も分かっちゃあいない。

アンタが思うほど

『良い人』なんかじゃないっ!

サッカーに逃げただけの

『卑怯者』なんだよッ……!!

組んだって顔に泥を塗るだけだ!

帰れっ!」

 

ああ、言っちまった。

これきりだな。

ヴィヴィちゃんとの関係も。

 

幻滅したに違いない。

 

ギュッ!

 

あろうことか、ヴィヴィは

グッとぺこらの両手を握りしめた。

 

「ぺこら先輩のことなんて

知る訳ないやろ!

出会うてまだ1日も経っとらんねん!

でもな、ヴィヴィには分かる。

ぺこら先輩はサッカーに逃げた訳やない!

そんな奴に、あんなプレーは出来ひん!」

 

「―――!?」

 

(何で……何でぺこらの事をそんなに

信じれるんだよ……)

 

「直ぐにそーゆーの聞くのは

失礼だって自覚しとる。

だから踏み込まんとったが、

そんな顔されちゃあ黙ってられへん。

洗いざらい話して貰うで!

その上で、ぺこら先輩を説得したる……!

絶対にや。」

 

コイツ……本気だ。

ぺこらより、何百倍も

諦めの悪いサッカー馬鹿だ。

 

とことん、ヴィヴィの野郎には

驚かされてばっかりぺこだな。

敵わねェや。

 

「分かったぺこ。話してやる。

そう。あれは3年前の話――――」

 





【後書き】

どうも、たかしクランベリーです。
イナイレV本編クリア(南雲原ルート)したら、
発作的に衝動が来て筆を取った次第でございます。

おかげでストックもほぼ無し、、
はい。ライブ感でやっていく事
濃厚確定バレバレ。

次週の回は長めでお送りする予定です。
よろしくお願いします。
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