ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜   作:たかしクランベリー   

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20話・ゴーストロックをぶち壊せ

 

尾刈斗中戦、

試合開始より5日前。

 

サッカー部部室にて。

 

帆呂雷中のメンバーは

集合し、対尾刈斗中の

情報共有を行なっていた。

 

スクリーンに数々の試合を

映し、注意点をマネージャー陣が

ホワイトボードに書き連ねていく。

 

試合映像の様子には、

皆一様に戦慄を覚えた。

 

「……なんでござるかアレは。

まるで数秒、みんなが固まってる

ように見えたでござる……。」

 

「見えたも何も、本当に

止まってるぺこなんだよ。

決して、

映像不良なんかじゃあない。」

「……え?」

 

ビシッ!

 

疑問符を浮かべる風真に、

ビシっとこより殿が指を差した。

 

「その通りッ!

鉄壁のゴールキーパー……

そして、フワモコ姉妹の

連携シュートも

強力だけど、真に恐ろしいのは

この必殺タクティクス

『ゴーストロック』。」

 

「せやろな。映像見る限り、

どんな優勢な相手でも……

これで逆転されてる

試合ばっかやで。

一体全体、どうすんねん。」

 

「気にすんなヴィヴィちゃん。

この世に無敵の

タクティクスなんかねェ。

前回の試合で経験したぺこだろ?」

「あっ、そういやそうやっな!」

 

そうだけども、

やや楽観的に見てて良いものか。

 

やはり、風真が本番までに

沢山鍛えて

貢献するのが肝要でござるな。

 

「ああ。つー訳で、

今回も慎重な観察を頼むぺこだぜ

らでんちゃん。」

「分かったばい……!」

 

 

 

 

『さぁて試合もいよいよ大詰め!

両チームポジションにつき、

次なる戦いに備えておりますぞ!』

 

ピッ、ピーッ!

 

『後半戦は、モココの

キックオフからスタートだァ!

ボールを受け取った赤井が、

前線に歩み出しましたぞォ!?』

 

FWの鉄板コンビで攻めると

思いきや、まさかのMF軸。

もう、始まる流れでござるか……。

 

「はぁちゃまっ★ちゃまぁ〜♪

噂通りの腕前ね。

でもね。一点取られたら返すまで。

『とっておき』は、

まだ取っておくわ。」

 

ダダッ。

 

やはり、ゴーストロックを

警戒してる事……

バレてるでござるな。

 

「はいはい〜っ♪

フワモコちゃん達ぃ、

またまた決めちゃってねー!」

 

ポンッ。

 

「BAUっ、当然だよ!」

「私たちのコンビは、

誰も止められないよ〜っ♪」

 

シュッ シャッシャッ !

 

何というか俊敏さ………

まるで猟犬の狩猟だ。

ゴールという獲物に全速力で

喰らいつている。

 

鍛え抜いた風間たちのチームが

いとも容易く突破されるほどだ。

 

けれども。

何度もそうゴールを許す程

ウチのキーパーも甘くない。

 

今試合に向けて

ずっと訓練してたのは皆同じ。

 

風真は、信じてるでござるよ。

 

「行っくよー!」

 

(来る……!)

 

「「――〝ツインブースト・アビス〟」」

 

出た。

赤と青の鋭い牙が交わった

連携シュート。

 

バッ!

 

急に千速殿が跳び上がった!?

遂に出るでござるか、

噂の新技。

 

「もうっ、失点させないだよ!

――〝ホイールダンク〟!!」

 

真っ直ぐ整えた掌に力を込め、

バスケのダンクの要領で

地面にパワーを炸裂させる。

 

シュゥウウウウッ。

 

「「――!?!?」」

 

驚きだ。地面がタイヤに

押し潰された様に凹んでいる。

刻まれた轍とパワーの矛先は、

言わずもがなボールだ。

 

……成る程。

強大なダンクパワーの反動を

軽減する為に、

跳び上がっていたのでござるか。

ナイスプレーだ。

 

これで相手の得意技も

封じれた。

残るは、点をリードして 

試合を勝利に持ち込むのみ。

 

『WAO!

なんという事でしょうッ!

土壇場で輪堂、新技を編み出し

失点を防いだァ!!

ボールと共に

試合の流れを掴み始めた

帆呂雷中、更なる快進撃を

魅せてくのでしょうかっ!?』

 

どうだろうか。

相手側も、手の内を全て

見せた訳じゃない。

 

ゴーストロックを

切るタイミングによっては、 

そのまま逆転されて

敗北を喫す可能性もある。

 

本当は出来るだけ早く

奥の手を使わせたかったが、

時既に遅し。

そんな贅沢も言ってらんない。

 

いくら流れを取り戻したとはいえ、

油断大敵だ。

 

(この状況、厳しいでござるな……)

 

ポフンッ。

 

千速殿のパスがぺこら先輩に渡る。

 

「ぺこら先輩、もう一度

はじめ殿に決めさせ……」

 

「ダメだ。尾刈斗中の奴らも、

これ以上の失点は許されねェぺこ。

おそらく、3〜4人体制で

はじめちゃんのマークに

回るだろうな。」

 

「じゃあ……」

 

ぺこら先輩は頷いた。

 

「千速ちゃんは失敗を恐れず

覚悟を見せた。なら次は、

いろはちゃん……

アンタがその覚悟を見せる時ぺこ。」

 

「やっと真打登場か!?

いろは先輩、ばっこし頼むで!」

「……分かったでござる。」

 

そうだ。

真にカッコいいプレーを

見せてやる。

 

「覚悟は良いなッ!

よぉしっ、進めぇええっ!」

 

ダッ。

 

「さっきからベラベラ喋って

隙だらけね!

――〝蜘蛛の糸〟」

 

「何ッ……!」

 

地面に広がった蜘蛛の糸が、

ぺこら先輩を捕える。

しかし構っては居られない。

 

急ぎ前線に上がる。

それが、

今の風真のミッションだからだ。

 

「はぁちゃまっ★ちゃま〜♪

コレでボールはこっちのモノね。

さ、有り難く頂戴しようかしら……

ッ!?」

 

絶体絶命と思った束の間、

先手を打っていた様だ。

 

「アンタの足元に、さっきまで

ボールあったじゃない!?

どこにいったのさ!!」

 

「フッ、一手遅かったぺこだな。

奇襲くらい想定内だっての。

構わず突き進めっ、

ラミィ。いろはちゃん!」

 

「了解です。〝氷の矢〟っ!」

 

シュヒュウンッ。

 

「ふっ、アナタの方こそ

油断したね。

上手くパスを繋いだって、

既にあの子は私たちのDF陣が

徹底的に包囲してる。

そう何度も同じ手は食わないわ!」

 

「ああ。そうぺこだな。

はじめちゃんといえど、

あそこまでマークされちゃあ

打てねェよ。それでも……」

 

バッ!  タッ。  タッ。

 

あの高さ。

ジャストフィットでござるよ。

ラミィ先輩とあの特訓を

沢山やって良かった。

 

じゃなきゃ、このチャンスは

掴めなかっただろう。

 

相手には相手の……

こっちにはこっちの

コンビネーションがある。

 

『うぉっとぉ!?

風真、空気を蹴って

アクロバティックに

ボールの高軌道へ追いついたァ!!

まさかまさかぁッ……!?』

 

「――〝パルクールアタック〟!」

 

「面白い。ペンギンの次は

パルクールね。

……〝歪む空間〟。ぐっ…………」

 

パシュウンッ。

 

『ゴーーールッ!!

またもや帆呂雷中の新必殺技が

炸裂だぁああっ!

コレには敵チームも驚きを隠せません。

序盤とは打って変わって

押され気味の尾刈斗中。

こっから試合を

巻き返せるのでしょうかッ!?』

 

出来た。

ずっと頑張った甲斐があった。

 

「やったぁああでござるぅう!!」

「へっ、やるときゃやるって

信じとったで先輩!

ナイスプレーや!」

 

和気藹々とみんなで

得点の喜びに浸る一方で。

敵側は次のステップに

移ろうとしていた。

 

「……本当、驚かされてばかりね。」

「どうするのしおりん。

『アレ』、使っちゃう?」

 

「ええ。時間も

そろそろ押し迫ってる。

それに……

ここまで公平に遊んで

あげたんだし、これから

何をしようと恨みっ子なしだわ。」

 

ピーーーッ。

 

『さぁて、赤井の

キックオフで試合再開ですッ!」

 

ポッ

 

モココが赤井殿にボールを返した。

姉妹のコンビネーションで

素早く攻め込む訳じゃないのか。

 

となると。

遂にあのタクティクス

解禁でござるか……

 

「あなた達、実に素晴らしい

戦いっぷりだったわ。

得点を取る為に、技を2つも

温存して

慎重に立ち回ってたのね。

でも、その快進撃もそこまでよ。」

 

シュッ。

 

彼女が右手を横へ薙ぐ。

するとチームが

謎のフォーメーションを

組み始めた。

オマケに、監督までもが

ベンチから立ち上がった。

 

予想通り、始めるようだ。

相手の動きを

封じる必殺タクティクス。

 

「さぁ、絶望なさい。

私たちの最強タクティクスに。」

 

ダダダダダ。

 

フォーメーションを組んだ

彼らが複雑にポジションを

変形させながら進んでいく。

 

レマトレマトレマト……レマート。

 

「必殺タクティクス――

『ゴーストロック』!」

 

ガチインッ。

 

(身体が……動かない。)

 

風真だけじゃない。

みんな金縛りにあったみたいに、

固まってる。

 

ヤラセじゃない。

ホントに映像通りの現象が、

みんなの身に起きている。

 

「これで終わりいっ!」

 

「く、首から下が動かないだよ……」

 

パシュウンッ。

 

『ゴーーールぅ!

尾刈斗中、ここで奥の手

ゴーストロックを披露し

点を返したァ!

まさしく、波乱の展開で

ございますッ!』

 

「特大サービスよ。

もう一回味わいなさい。

――『ゴーストロック』!」

 

パシュウンッ。

 

『続けてゴールだァァ!

帆呂雷中、敵の本気に

翻弄され途端に窮地ですッ!

このまま試合が

片付いてしまうのでしょうかっ!?』

 

「このまま片付くなんて……

嫌でござる。」

 

「安心しろペコ、いろはちゃん。

こんな所で終わらせやしない。

気持ちはみんな同じだ。」

「せや! 無敵の技なんか

この世にあらへん。

最後の最後まで諦めへんで!!」

 

「この目で、

必ず看破したるばい!」

「次こそ止めるだよ……!」

 

(みんな……)

 

そうだ。諦めなければ、

勝機は掴める筈でござる。

 

「ふふ。威勢だけは一丁前ね。

なら、満足いくまで

味あわせてあげる。

――『ゴーストロック』!」

 

くっ、ダメでござる。

いくら気を張っても

身体は思うように動かない。

 

また、突破されてしまうのか……

 

「おっ、しいっ、りぃいいいっ!!」

 

パアンッ。

 

「「「「!?!?」」」」

 

『おっとォ!?

桃鈴、気合いでボールを

ステージ外に蹴飛ばしたァ!

帆呂雷中、突破口が

見えてきたかッ!?』

 

なぜ、ねね殿だけ動けたでござるか。

全くもって不明だ。

 

……ん?

らでん殿は何かに気が

ついたみたいでござるな。

 

「ぺこら先輩。

わたくし、分かったかもしれません。

監督の不審な起立にも、

合点がいったばい。」

 

「ああ。ねねちが最初に

抗ったから、

尚更分かりやすかったぺこ。

……そんじゃ、かましてやろうぜ。

ウチらの大逆転劇をよォ。」

 

彼女は呼応するように頷き、

行動を始める。

 

「りりぃ、ちょっといい?」

「ん。どったのらでんちゃん。」

 

コソコソコソ………

 

らでん殿がりりか殿に

こそこそと耳打ちする。

 

「え、本当にやるの?」

「勿論っちゃん。

勝つにはこれしかない。

それにさ。らでんは

りりぃのアレ……すいとーよ。」

 

「へぅ、へへぇ〜。

そう言われちゃあ仕方ないなぁ。」

 

 

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