ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜   作:たかしクランベリー   

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21話・りりかの雄叫び

 

 

「へぅ、へへぇ〜。

そう言われちゃあ仕方ないなぁ。」

 

弛みきった笑みを浮かべ、

彼女は快く了承する。

 

攻略の糸口が見えたのであれば、

風真から出来るのは

シュートをぶちかますのみ。

 

パシンッ。

 

両方の太ももを叩き

気合いを入れ直す。

 

(やってやるでござるよ。)

 

 

[得点表]

帆呂雷中  /  尾刈斗中

1 <1st> 1

1 <2nd> 1

2   <total> 2

 

ピーッ!

 

『さぁて、尾刈斗中の

スローインから

試合再開です。』

 

幸い、スローイン状態で

陣形が乱れてる都合……

相手側がすぐにゴーストロックを

展開する事はない。

 

「ぺこら先輩、畳み掛けるなら

今でござるか?」

 

「ああ。スローインの

ボール主導権は

相手側に譲る。此方は、

守りを固めてカウンターに

注力するぺこ。」

 

「……成る程、

MFからFWにボールを繋ぐ

隙を狙うという訳でございますな。」

 

「如何にもぺこ。らでんちゃん。

てな訳で、頼むぞヴィヴィちゃん。

棒読みちゃうわ!」

「そのネタもうええて!

わーかったよ!!」

 

『何だなんだァ!?

帆呂雷中の各自ポジションが

守備寄りになりましたぞ!』

 

ピッ。

 

シューーン。

 

投げられたボールが案の定、

相手のMFに飛んでいく。

 

マークしてる味方は、

後衛ラインに退くようにして

そのボールを敵に譲った。

 

「あらら。あからさまな

忖度プレーね……罠かしら。」

「だったらどうするよ?」

 

「当然、後ろに下げて様子見だわ。」

 

ポシュンッ。

 

「今ぺこッ!」

「御意でござる!」

 

ダッ。

 

「「「――っ!?」」」

 

『ここですかさず

風真がインターセプトを

決め込んだァ!

So speedy!』

 

「やってくれるわね。

さっきの会話は全てブラフ。

愉しませてくれるじゃない……!」

 

「裏の裏をかく。それが

ゲームメイクのコツだっての。

へっ、読みが足りねェぺこだな。」

 

「みんなっ!

4人がかりでも良いから

あのFWを止めなさいな!!」

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

ダダダッ。 ヒョイッ。

 

4人がかりで囲おうモンなら、

手出ししにくい

空中へ跳べばいい。

 

「なぬっ!?」

「高ェ!」

「あんなんどうやって……」

「くっ……」

 

「狼狽えてる場合なのアンタ達!

現状況下でシュートを

打てる相手はただ1人っ!

今からフォローしても間に合うわ!」

 

「「「「うっす!!」」」」

 

マズい。なんてフォロー速度。

はじめ殿にパスを通すのは

無理筋になってきた。

 

ならば安定択。

 

(リベロのねね殿に託すべきで

ござろうか……)

 

「なっ!?」

 

ダメだ。

 

それも読まれてフワモコ姉妹が

マークしてる。

 

ダッ、ダッ ダッ。

 

「いろは先輩〜っ、ここでーす!」

「りりか殿!」

 

ぺこら先輩、まさかねね殿だけ

じゃなく第二の攻め手として

彼女を密かに

育成してたのか……?

 

もう空中で迷ってる暇もない。

ノーマークなりりか殿なら、

ワンチャンスあるかも

しれぬでござる。

 

「早く!」

「オッケーでござる!」

 

ポシュンッ。

 

「ナイスパスですいろは先輩!

今度限界メシご馳走しますね……!」

「それは遠慮してね!?」

 

ボールを受け取った

りりか殿がドリブルで

進んでいく。

 

思いの外順調だ。

 

あとは風真が追いつけば、

全然得点を狙える。

 

「MFではなく、

またDFのリベロ起用……

アナタ達、随分と

可笑しなゲームメイクするのね。

すぐに後悔させてあげる。」

 

「へっ、それはどうかな?」

 

「〝蜘蛛のい――」

「〝セカンドライフフープ〟」

 

何処から取り出したか分からない

青いフラフープが、

瞬時に相手を拘束する。

 

「こっ、これはッ……」

「ふふん♪」

 

あっという間に

フォーカスを突破し、

りりか殿は進行を続ける。

 

「へー、良い技持ってるね。

……でもその輪っか。

『1つ』が限度じゃないの。」

 

「――っ!?」

 

ダダダッ。

 

速攻で3人に取り囲まれた。

これじゃ流石に……

 

「ネリッサ、ビジュー、オリー、

頼んだわ!!」

 

「「「――〝フラクタルハウス〟」」」

 

ズゾゾゾ。

 

三角錐の黒い空間が

彼女を閉じ込め、開いたと同時……

落雷が襲いかかり、

黒い渦と共に身体を吹き飛ばした。

 

「ぐはあっ!」

「りりか殿!?」

 

「……だ、大丈夫。

にしても、なんなのあの技。」

 

「氷の矢でゴリ押してたぺこ

だが、真っ当にディフェンスを

通せばこうなるか……。

面白ェぺこ。」

 

「面白がってる場合やないで!」

 

「――その通りよ。まぁでも、

中々手こずらせてくれる

じゃないアナタ達。」

 

ボールを足下で抑えた彼女は、

ニヤリとそう告げた。

自分らの勝利を

確信したかのような物言いだ。

 

「アンタらもな。初見殺しの

オンパレードで

てんやわんやしたぺこだぜ。」

「大丈夫、もうじき私たちが

楽にしてあげる。

敗北の苦汁を添えてね。」

 

「…………。」

 

ぺこら先輩が沈黙した。

言い返す威勢も、

作戦も残ってないのでござるか……。

 

否。

そんな訳がない。

 

さっきは、ゴーストロックの

突破口を見つけたみたいな

会話を交わしてた筈だ。

 

決してアレは、

出鱈目な虚勢じゃない。

……よね?

 

「残念だけど……

もう、アナタ達の

下らない戯言には騙されないわ。

本当はないんでしょう?

ゴーストロックの突破法なんか。」

 

「……!!」

「ぺこら先輩、

マジなんでござるか!?」

 

「……ななな、ああたらりを

いっへるんらら。」

「滑舌がはじめ先輩並に

終わってるで自分!?

ホンマいけるんかいな!」

 

「はぁっ!?

失言やみぇてゃね!」

 

ダシにされた本人まで

不服そうに声荒げてる……。

 

「図星ね。……分かってるわ。

概ね、出鱈目な虚勢で牽制し

ゴーストロックを

使わせない為のブラフでしょう?」

 

「だから何だというんだ。」

 

「次のゴーストロックで

終わらせてあげる。

試合時間もそろそろ潮時だし、

いいフィナーレじゃない。」

 

「望む所ぺこ。」

 

『おっとォ、尾刈斗中の面々が

またフォーメーションを

組みましたァ!

試合に終止符を打つ為、

あのタクティクスで

攻め込むようですッ!』

 

ガタッ。

 

ベンチの監督も立ち上がった。

いよいよでござるな。

 

レマトレマトレマト……レマート。

 

まただ。

一斉に前進しながらも、各自が

的確に位置をシャッフルして

視覚がぐわんぐわんしてくる……。

 

「必殺タクティクス――

『ゴーストロ……」

 

「行くとよりりぃ!」

「うん。」

 

スゥーッ。

 

りりらでの2人が息を呑み溜め込む。

 

「りりぃの限界メシはぁ〜……」

 

「何をしても無駄よ。

ブラフなのは分かり切ってるの!

喰らいなさいッ!!」

 

ガチィンッ。

 

あっ、また身体が金縛りに。

 

「――世界一ィィイイイイイ!!!」

 

「「「「!?!?!?」」」」

 

りりか殿の雄叫び!?

何故この期に及んで……

 

(ハッ!)

 

何だ。急に身体が軽くなった。

これなら自由に動ける。

 

みなも同様でござるか。

 

「らっきっきー♪

なんでか知らへんが、

自由に動けるで〜!!」

 

「呑気に喜んでる場合かッ!

勝負はいつでも

一瞬ぺこだろうが!」

 

「んもうっ、わーかったよ!

――〝真空魔〟」

 

シュッ、ズゾゾゾゾォ。

 

空気の亀裂が、ボールを

ヴィヴィ殿の足下に吸い寄せる。

 

「へっ、どないや自分ら。

得意技が

効かんくなった気持ちは!

これでボールはウチらのモンや!」

 

「嘘でしょ……

虚勢じゃなかったの。」

 

「おいおいおい。

誰がいつ虚勢って言ったぺこだよ。」

「――!!」

 

危なかった。

攻略法を

見つけたのは本当だったのか。

 

……天晴れ。

これまでの全ては、

この瞬間を作る為の演出。

 

裏の裏をかいた、

実にぺこら先輩らしい

狡猾なゲームメイクだ。

 

「アンタ達のカラクリは見切った。

苦汁を飲むのはどちらか……

いい加減、

ハッキリしたぺこだろ。」

 

「な……何よ。でもそれは

其方も同じでしょう?

FWとリベロDFを主軸にした

錯乱プレーで試合を詰める

チームスタイル……ハッ!」

 

ぺこら先輩はニヤリと

口角を上げ

見透かしたように言葉を紡ぐ。

 

「ようやく気がついたぺこだな。

100%のパワーを出す為にも、

奥の手は温存するに限る。

そうは思わないかね?」

「天才ゲーマーの異名は……

嘘じゃないようね。」

 

「どういう事でござるか、

ぺこら先輩っ!」

 

「FW、MF、DF、GK……

この試合に備えて、

適切な特訓メニューを

組んでおいたのさ。」

「成る程……

そうでござったか。」

 

「かかってきなさい!

奥の手だろうと、受け切ってみせる!!

ねぇアンタたちぃ……!」

「「「「うっす!!」」」」

 

「ねねち、指揮を頼むぺこ。」

「ふーっ。やっとアレをやる気に

なったかぁ〜、ホント焦らすねぇ

ぺこちゃん先輩は。」

 

アレ……。

まさか風真に内緒で

連携技を仕上げてたのか。

 

味方ながら、つくづく油断ならない

キャプテンだ。

 

「つー訳で

キャプテンのオーダーだ。

木曽路、ヴィヴィちゃん、ラミィ、

らでんちゃん、りりかちゃん。

位置についてね〜★」

 

「FWのウチらは

左右に分かれて

敵陣へ走り込むぺこ!」

「はいっ!」

「おちょけぃ!」

 

走りつつ、

仲間のフォーメーションを観察する。

 

ねね殿を取り囲むように、

5角形を形付くっていた。

 

「行くぞーっ、

ウチらの新必殺タクティクス!

喰らえいっ……

――『軍隊アリの行進』!」

 

「「「「―――!!!」」」」

 

ドドドドドド!

 

「なっ、コレはっ……」

 

バババァァンッ。

 

『WAO!!

帆呂雷中、隠し持ってた

奥の手……軍隊アリの行進で

一気に敵陣を強行突破だァ!

圧巻の勢い! その名に恥じない

進撃で攻め上がるゥ!!』

 

凄い。

相手プレイヤー達が速度による

勢いと風圧に

押し潰されて怯んでる。

 

確かに、

このタクティクスを放つには

体力がかなり必要だ。

 

そしてナイス進撃。

 

ここまでくればもう……

 

「決めたれやぁ、はじめ先輩っ!」

「全ての力、

叩き込めでござる!!」

 

ピュイイイッ。

 

「――〝オーバーヘッドペンギン〟」

 

パシュンッ。

 

『ゴーーーールッ!

まさかのドンデン返しっ!

超★exciting!!』

 

 

[得点表]

帆呂雷中  /  尾刈斗中

1 <1st> 1

2 <2nd> 1

3   <total> 2

 

ピッ ピッ ピーーッ!

 

『こぉこで試合終了の

ホイッスルぅ!!

激闘の末……

最後に奥の手で捩じ込んだ

帆呂雷中の勝利でございますッ!』

 

「「「「ォォオオオ!!」」」」

 

 

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