ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜 作:たかしクランベリー
〜SIDE『綺々羅々ヴィヴィ』〜
ぺこら先輩の狙い通り。
第二回予選をなんとか突破して
最終予選にまで
出場可能になった。
……そんなあくる日の日曜日。昼。
帆呂雷中のみんなは
次戦の戦いに備え、
holoX基地でミーティングを
行う事になった。
ぺこら先輩の呼び出しだ。
だというのに。
彼女以外の面々が先に揃って
待機している。
もうかれこれ
10分ほど経っとるんやが……
またすっぽかして
ロボットアニメみとんのか?
最近不登校だったし、
ハマりまくった可能性も
大いにある。
と。疑いの気持ちが
強くなってきた所で
ミーティングホールの
エレベーターが開いた。
プシュー。
「よぉーアンタ達ぃ〜。
待たせて悪ぃぺこだな。
っぱ不便なんよ、コレ……。」
「「「「――!?!?」」」」
「ぺこら先輩っ!?
どないしたんやそのキズ!」
皆一様に驚き。
ヴィヴィも
思わず訊いてしまった。
右足がグルグル包帯巻きに
なってる上に、
松葉杖まで装備してたら
聞きたくなるのも
仕方あらへん。
「ああ……これはな。」
「成る程。次なる戦いは、
それ程までに
過酷な特訓をしないと
通用しない敵って訳ですな。
恐るべしばい……」
「さっすがぁ〜らでんちゃん。
りりかも、丁度
そう思ってた所だよ。」
「んや、違うぞ。」
「「どわーw」」
ドジャアアンッ!
りりか先輩とらでん先輩が
椅子から横転した。
「じゃあ何やねんソレ!
道路で轢かれそうな
猫や婆ちゃんでも
助けたいうんか自分ッ!
マジだとしてもベタすぎやろ!!」
「いやさ。それがそのぉ〜……」
気恥ずかしそうにしながら、
ぺこら先輩は
ケガの経緯を語った。
「はぁぁああっ!?
風呂で熱唱してたら
石鹸踏んで転んで捻挫やて!
チームのキャプテンなのに
情けなさすぎるやろ!」
「分かってるさ、あたいが
1番情けねェってのは……
でもみんなの力なら勝ち抜ける!
それに、
プレーコートに立てなくとも
策は立てられるぺこ!
さぁ気持ちを
切り替えて行くぞぉ!」
相変わらず口だけは達者やな。
……まァ、グチグチ言うても
足がすぐ治る訳やない。
みんなもそれを理解して、
頷いとるんやろな。
「全くもってその通りこよ。
アズちゃん。いつもの頼むよ。」
「はい!」
ガラガラガラ……
アズちゃんがいつもの様に
タイヤ付きホワイトボードを
倉庫から持ち寄ってくる。
待ってましたと言わんばかりに
咳払いし、懐から出した
水性ペンを板に走らせる。
キュッ キュキュキッ。
「予選ラストマッチで
お相手するのは〜……
じゃんじゃんっ♪
『星章学園』でーす!」
「……星章学園やと。」
「おー、知ってるのか
ヴィヴィちゃん。
……やるぺこじゃん。」
「ま、まぁな。当然や。」
星章学園か。
かつて、サッカー強化委員制度で
あの鬼道さんが派遣された学校。
おそらく、帝国学園の
サッカーノウハウも吸収して
強さに磨きがかかってる筈や。
正直、ぺこら先輩の
卑しいゲームメイクも
あまり通用しなさそう……
ホンマ、
どないするつもりなんやろな。
「ふっふっふ。今年の星章も
変わらず強いよ〜ん。
攻めのFWコンビ・みこめっと。
強メンタル&光のムードメーカーMF
大空スバル。
連携力の高いDFとGK……
ネオン、ライラ、ミラ。
……といった感じで。
チームとしてのアベレージパワーは
相当高いこよ。」
「隙がない布陣って訳ですかい。
面白いねぇ……面白いよ。
ねね。燃えてきたよ。」
「成る程ぺこだな。
攻めのタッグに、
優れたメンタルサポーター。
オマケに連携の砦か。
これじゃ、ぺこーらが
得意なメンタル揺さぶり戦法も
きちぃなァ。」
「ホントですよ!
一体全体どうするつもりやねん!」
スッ。
「そこでだ。
アンタの出番ぺこだよ。
千速ちゃん……」
ぺこら先輩は自身あり気な
顔つきで指を差した。
「へ?」
「千速ちゃん。次の試合、
オメーを代理キャプテンとして
指名する。部長命令だ。
拒否権はねェぺこ。」
「ぇえええっ!?」
*
――星章学園。
〜SIDE『響咲リオナ』〜
「みこ先輩っ!
予選ラストマッチの相手、
決まりましたね……!」
「あぁ、そうだな。」
「帆呂雷中……って、
なんだか聞いた事ない学校ですね。
強いんですか?」
みこ先輩は少し沈黙し、
答えた。
「すいちゃんが言うには、
今年出来立てホヤホヤらしいにぇ。」
「じゃ、ラッキーで勝ち進んだ
新参チームって訳ですかい?」
彼女は否定の
ニュアンスを込め首を振った。
「いいや。そうでもなさそうだ。
帆呂雷中のキャプテン……
『兎田』は、タダでやられるような
ヤツじゃあないにぇ。」
「そんなにヤバいんですか。
でも私が居ます!
リオナ、あの日の借り……
試合でとことん返しますからッ!」
「気にすんなって。
純粋な気持ちでやる方が、
絶対楽しいだろ?」
「はいっ! 変なこと言って
すみません。素直な気持ちで、
精一杯プレーしてみますね!!」
凄いやみこ先輩。
サッカーへの向き合い方も
真っ直ぐで綺麗だ。
だからチームメイトも、
迷う事なく真っ直ぐ彼女に
ついて行くんだろうな。
……なんて大きな背中だ。
リオナも、もっと見習わないと。
「そうだ。その意気だにぇ。
さっ、気を取り直して
特訓がんばっぞォ!!」
「うっす!」
そうだ。
……あの日も、そのスタンスと
暖かな光に救われたんだ。
入学早々。
引っ込み思案で内気。
右も左も分からないような
私にも友達ができた。
クラスでもムードメーカー的な
立ち位置の3〜4人グループで、
いわゆるクラスカースト一軍
という子たちだ。
自分とは違う、楽観的で明るい
性格の子が纏まっている。
それなのに、単なる偶然か。
私の即興ラップやちょっと
出来のいいダンスがウケて
輪に入れた。
初め1週間くらいは何もかもが
新鮮でキラキラしてて
楽しかったけれど。
程なくして異変を感じる様になった。
「ねぇー。なんか今日のダンス
バズり具合が微妙くね。」
「音源も振り付けも
まぁまぁイイ気がすんだけどねー。」
「それなー。
リオナちゃんはどう思う?」
振り付けの動きが固く、
単調で画一的。
全身でリズムの調和と滑らかさを
表現しないと、
映えるのは難しいだろう。
……と、マジレスした所で
彼女たちの気分を害するだけに
決まってる。
2〜3年前痛いほど痛感しただろ
響咲リオナ。
我が強いエゴイストは浮くだけ
浮いて淘汰されるんだ。
ここは穏便かつ、
丸く収まるムーブをしよう。
「リズムにより近い、
新しい動きを取り入れるって
言うのはどうかな。
私の動きをちょっと
参考にしてみてよ。」
「うん……。」
渋々彼女らは了承してくれたので。
充分にストレッチをさせ、
手本を見せた。
「準備は良いね。いくよっ!」
タッ サッサッ ダンッ♪
「こ……こう。」
「あんまり使わない
筋肉使ってる感じで、
結構効くわね……。」
ぎこちないけれど、
いい線はいってる。
「いいよいいよ。
じゃあ次のステップいってみよー。」
シュシュサッ カットッ ダンッ♪
よし。みんな踏ん張って
ついてきてる。コレなら……
ゴツンゥ。
「あっ……」
危惧してた事態が起きた。
ダンスに付き合ってた友人1人が
足を捻り転んだのだ。
「痛ったたぁ……
ちょいとハードじゃないの
リオナちゃん。」
「それな。バレエ教室
通ってたんだっけ?
流石って感じ〜。」
「ご、ごめん。
傷つけるつもりはなかったの。」
「分かってるよ。
でもちょいとバテて来たし、
指導はまた今度でいいかな。」
「うん。」
やっぱハードル
上げ過ぎちゃったかなぁ。
気をつけないと。
「でさー。話変わるんだけど、
クラスの肝田、ヤバくな〜い。
アタシ、最近狙い
つけられてんだよねー。
キモさ限界突破ってかんじぃ〜。」
「分かる〜♪
あっ、そういや隣のクラスの
蒲路ってヤツもヤバくてさー……
毎日あくびとステマばっかり
してんだって。」
あぁ、出た。
恒例の陰口談議。
そう……コレが、リオナが
感じてる近頃の異変だ。
友達になってから
初めの頃、彼女らはこんな事を
する人たちじゃなかった。
街のスイーツ巡りやアップロード。
カラオケ。ボーリング。
人っ気のない静かな場所で
撮った……拙くも気持ちがこもった
ダンスのアップロードが
細やかな非日常で、青春だった。
初めは、少ない数の閲覧者がくれる
反応に一喜一憂して
満足していたんだ。
マンネリというヤツだろうか。
なのに、いつの日かを境に
数字に固執するようになった。
撮れ高の為に、場所や周囲の
迷惑なんか気にしなくもなった。
撮れ高パワーで
数字は多少跳ねたが、
一時的な高波だった。
そうして今、第2の壁に当たり。
それらから目を背ける様に、
陰口で盛り上がる事が増えた。
正直聞いていて
気持ちのいいモノではない。
もう、我慢できそうになかった。
「ねぇ、みんな。」
「「「??」」」
「あのさ、人の悪い事ばっかり
言うの……飽きないの。」
ガタッ。
グループのリーダーちゃんが
冷たい目をして立ち上がった。
「リオナちゃん……
今〝飽きた〟って言ったの?
それって私たちとつるむのに
飽きたって事でいいのかな。」
「ち、違う……
そういう意味じゃなくて。」
「じゃあ、私たちの言う事は
何も間違ってないよね。」
「――間違ってる!
もっと楽しい話しようよ!
一緒にダンス頑張って
上を目指そう!
その先に、きっと楽しい事が
待ってるよ……!!
みんな、私たちの進化した
ダンスを待ってるんだって!」
(あっ、言っちまった。)
全部全部。思いの丈を。
こんだけ啖呵切ったら、
もう後戻りできないよ。
「みんなって何?
アンタも分かってるよね。
数字が停滞して、
ジワジワと減ってるの。
自分がちょっと上手いからって、
綺麗事でウチらを
丸め込もうとしてんの?」
「綺麗事だって、やってみなくちゃ
分かんないよッ!」
「ふーん。そっか。
じゃ、アンタ1人でやれば。
居座らせても、話が
全然合わなそうだし……目障り。
特に、アンタみたいな
偽善者(エゴイスト)はね。
つー訳で絶交よろ。ばいばーい。」
手を振って笑顔を向ける
彼女の目に、
温かみなど一切無かった。
「危なーーーーーいっ!」
「「「「!?!?」」」」
ドグシャアンッ!
人一倍反射神経に自信がある
リオナは避けれたが、
運悪くリーダー女の
顔面に豪速球のサッカーボールが
クリーンヒット。
上手く状況が飲み込めないまま、
駆け寄ってきた人がリオナを
抱えて飛び上がった。
「……大丈夫。敵じゃないよ。」
青髪の少女はそう言い、
別の場所へ連れてった。
ガシャンッ。
「ここは……サッカー部の部室?」
「その通り。偶然立ち会ったけど、
君、良い『エゴ』もってんねぇ。
ずっと待ってたよ。
君みたいな眠れる原石を。」
「ちょちょちょちょっ!?
待ってください。
一体何が何なんですか!
何でサッカー部が
私を助けるんです!」
タッタッ タッ。
ピンク髪の人が、近寄って来る。
「そりゃあ決まってるにぇ。
部活の勧誘ってヤツだ。
なぁ、すいちゃん。」
「おうよ。」
勧誘っていうか……
この状況、明らかに
拉致みたいなモンですけど。
「部活の勧誘にしては、
めちゃくちゃ強引ですね。
そんなに切羽詰まってるんですか、
サッカー部の部員数……」
「んや。足りてるっちゃ
足りてるけど、色んな人が
いた方が楽しいじゃん?
だからさ、騙されたと思って
入ってみなよ。
絶対楽しーにぇ!」
騙されたと思って……か。
ここで断れば、
おそらく。明日から
クラスの中で
リオナは孤立するだろう。
あの頃のように、壁だけが
友達の日々が帰ってくる。
その空虚な苦しみに比べれば……
うん。悪くない話だ。
でもまた
エゴが暴発して、
この前と今回のような事を
繰り返す可能性だってある。
無理に波長を合わせて
周りに迷惑かけるくらいなら
いっそ……
「ごめんなさい。」
「どうしてだよ?
みこは適当な事ぬかしてるが、
行くアテもないっしょ。
ちょっとぐらい
ウチら遊んでみようや。
どうだ? 私とシャ●バすっか。」
「すいちゃん!?
そこはせめて
サッカーの誘いにしてよ!」
違う。そうじゃないんだ。
どうせ私の本性を知ったら
さっきのみんなみたく、
追い払うに決まってる。
だったらもう、
取り繕うのはヤメだ。
「いい加減にしてくださいよッ!
どうせすぐ皆
私の事嫌になりますよ!
だって、私の方から
すぐに〝飽きて〟しまうんですから!」
「「………………。」」
はぁ……はぁ。言ってやった。
結局付き合いを作っても
一時の御芝居。
最初からこう言っとけば、
お互いの被害を最小限に
抑えられる。
時間は、取り戻せないから。
「……はいはい。杞憂ね了解。
新年感じるなぁ。
アンタのお気持ち、軽いにぇ。」
「杞憂っ! 新年っ!?
何言ってるんですかッ!
私のこの巨大な不安は
そんな適当な単語で
片付けていいモノじゃないッ!!
アナタは一体、
何様なんですか……!」
「――さくらみこ。
星章学園サッカー部の
キャプテンだにぇ。」
「…………。」
真っ直ぐと此方を見つめる目は、
真剣そのものだった。
「飽きるってさ、
そんな悪い事なのかな。
みこにとってそれは……
当たり前な気がするんだよね。」
「……え?」
「人って、飽きと好奇心の
繰り返しなんじゃないかな。
寝るのに飽きるから起きる。
起きるのに飽きるから寝る。
そんなモンじゃにぇの。
変な理屈を絡めるから、
頭こんがらがるんだよ。」
「――!!」
「何度みこ達に飽きたっていい。
その分、ウチらが
興味を引いてやんよ。
みこに言わせれば――
繰り返すこの綱引きでできた
引っ張り合いの関係を……
『縁』と『絆』っていうんだにぇ。」
「引っ張り……絆、縁……」
「ったく、たまには面白ぇコト
言うじゃねぇか。
みこさんよぉ……。」
(忘れません。
あの日のご恩は……)
*
フットボールフロンティア予選、
Bブロック・ラストマッチ。
当日。
『さぁ、燦々と照る日光の下……
今、Bブロック予選
ラストマッチが始まろうと
していますッ!
帆呂雷中vs星章学園。
Bブロック屈指の対戦カードに、
白上もワクワクが
止まりませんぞ……!』
[帆呂雷中サッカー部]
監督-花園さやか
ベンチ陣-AZKi、兎田ぺこら
FW-風真、轟、輪堂
MF-木曽路、博衣、ヴィヴィ
DF-一条、桃鈴、雪花、ニコたん
GK-JFT
[星章学園サッカー部]
FW-さくらみこ、星街
MF-獅白、常闇、角巻
MF-大空、音之瀬、響咲
DF-清澄、宵凪
GK-玲銘ミラ
『今ッ、キックオフです!!』
ピピーッ!
【後書き】
どうも、たかしクランベリーです。
まずはイナイレクロス、
リリースおめでとうございます。
えーと、久々の後書きですが、、
あまり喋る事がないですね。
あと楽しみなのは、メガライチュウを
ポケチャンで使う事くらいです。
よろしくお願いします。