ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜 作:たかしクランベリー
決戦の契りから1週間経過。
約束の時刻が訪れた。
校庭のグラウンドには
仮設サッカー場が建てられ、
そこを多くの生徒が
取り囲むようにして群がる。
話題は、新聞部や共用掲示板を
通じて瞬く間に
学校中へと広がっていたのだ。
生徒会、並びに放送委員会の協力の下。
仁義なき
一大イベントが幕を開ける……!
『さぁ〜始まりましたァ!
野球部第二グラウンドを賭けた
野球部vsサッカー部(仮)の
サッカーバトルぅ!
解説はわたくし、白上フブキで
お送り致しまぁす!!』
「「「ォオオオオオオ!!」」」
『双方、どのような活躍を
魅せてくれるのか。
興奮が止まりません!』
[ Xanthous Guardian]
FW-博衣こより、風真いろは
MF-沙花叉クロヱ、尾丸ポルカ
DF-ラプラス・ダークネス
GK-鷹嶺ルイ
[帆呂雷中サッカー部(仮)]
FW-兎田ぺこら、轟はじめ
MF-木曽路、ヴィヴィ
DF-ニコたん
GK-輪堂千速
〜SIDE『兎田ぺこら』〜
(……遂にこの時が来たぺこか。)
一週間という猶予。
あちらも必死でチャーターし、
試合に向けてチューニングを
行ってる筈だ。
甘く見たら痛い目を見る。
此方も、
古タイヤ修行法やぺこら流の
鬼ヤバ特訓メニューを叩き込んだが、
どこまで通用するかは未知。
個々で最低限ひとつだけ
技を覚えてもらったのが
唯一の希望だ。
後は、事前に覚えて貰った
2種のタクティクスを切る
タイミングが肝要ぺこだな。
「ぺこら先輩……?」
おっと、考え込み過ぎたか。
「気にすんなヴィヴィちゃん。
ちと考え事に耽ってただけだ。
伝えた通り、開幕
フルスロットルで行くぞォ!」
「はいっ!」
ピピーッ!
『さぁ試合開始のホイッスル!
ぺこら選手からのキックオフで
スタートですッ!』
ダッ、ザッザッ。
「行くでぇ!」
「必殺タクティクス
『ステージ・ザ・ぺこラップ』!
ブンブン……チャ♪」
相手が動きを把握する前に
先制点を取る。
そうすれば試合全体の流れや
士気が向上し、立ち回り易くなる。
ん?
一瞬、こよりちゃんが
口角を上げてなかったか……。
いや、今そんなのはどうでも良い。
さっさと決めて余裕を作ろう。
パッ パッ パパッ!
『おおっとチーム帆呂雷中(仮)、
ラップ調のビートを刻んだ巧みな
パス回しで前線に押し上がるッ!
チームXG、あまりの速さに
唖然として立ち尽くしています!』
違うぞフブちゃん。
彼女らは唖然としてる訳じゃあない。
視線で分かる。
……観察だ。
診ているんだ、
ぺこーら達の動きを。
プレーじゃなく、そちらに
リソースを全て注ぐことで
カウンターの下地を整えているのか。
しかしだ。
この動きを不自然に
変えたら……ビートだけじゃなく、
チーム全体の今後の士気に支障をきたす。
敵に踊らされてるとしても、
このまま押し切らせて貰うぺこ。
「決めろぉ、はじめちゃん!」
「はうぃっ! プイーーーッ!」
空中に飛び上がった
はじめちゃんが口笛で何かを呼び出す。
ヴィヴィの〝ペンギンが生えてきた〟
という証言が、運の良いことに
コレを開花させるキッカケになった。
ズポ ズポズポ。
ヒヒューン、ギュルルルル!
地面からペンギンが続々と顔を出し、
空に浮かんだボール目掛け
飛び込んでいく。
ペンギン達の回転エネルギーが
球に集約し、そこへはじめちゃんの
オーバーヘッドキックが炸裂する。
名付けて……
「――〝オーバーヘッドペンギン〟」
「!?」
ドドォン!
『ゴールぅ! ダンス番長、
活き活きしたペンギン達を従え
強力なシュートを決めたァ!
勢い付いた帆呂雷中(仮)、
波に乗って猛攻を続けるのか!?
試合の熱気は一段とヒートアップ
していきますッ……!!』
「やりましたね、ぺこら先輩!」
「……いや、油断ならねェぺこだぞ。
ヴィヴィちゃん。」
「どいゆうこっちゃ。」
「おそらく、ウチらは泳がされてる。」
「だとしても、必ず勝つ!
せやろ? ぺこら先輩。」
「ああ。」
ピーッ。
『さぁ、博衣選手のキックオフで
試合再開ですッ! 風真選手に
パスを繋ぎ、切り込んで行くぅ!』
「決めさせへんで!
――〝真空魔〟ッ!!」
シュッ 、ズゾゾゾゾ……。
空気の亀裂がボールを吸い込み、
ヴィヴィの元に手繰り寄せた。
「へー、やるじゃん。」
多少は認めたように
こよりが笑うが、どこか
下に見ている雰囲気を感じる。
ヴィヴィも
それを感じ取ったようだ。
「自分ら、
さっきから何わろてんねん。
追い詰められとる自覚……ないんか。」
「〝追い詰められてる〟?
ぼく達が? あははははっ♪
ヴィヴィちゃん、面白いこと言うね。」
「…………。」
「ここまで
遊んでやったんだからさ、
感謝してほしいくらいだよ。」
「そんな心持ちやと、
サッカーが泣くで。
本気で向き合うから楽しいんや。
サッカーは。」
「サッカーが泣く?
――〝上っ面〟やめてね❤︎
その目、その綺麗事……
虫唾が走るよ。」
「ッ!?」
「ヴィヴィちゃんッ!
ヤツらのペースに乗せられるな!
今はぺこら達を信じて
プレーに没頭しろぺこ!!」
「――はいっ!」
「行くぞ!
『ステージ・ザ・ぺこラップ』」
ブンブン チャッ♪
『おおっ!?
立ち止まったと思いきや、
再び必殺タクティクスでチーム
帆呂雷中が攻めに転じたァ!
チームXG、更なる失点を
許すのでしょうかッ!』
「そろそろ状況を
理解して貰おっかな。
いろはちゃん。ひと暴れ決めちゃえ♪」
「御意でござる。」
パッ パッ ダンッ!
「「「!?!?」」」
『なんとぉっ!?
風真選手、跳び上がりからの
インターセプトだぁッ!
難攻不落のタクティクス
S・T・ぺこラップを
いとも容易く看破したァァ!
剣道部で鍛え抜かれた
瞬発力とフィジカルを、
存分に発揮していますッ……!』
※インターセプト・・・
パスカットと同様の意味。
どちらの言い回しをするかは
ライブ感で決める。
貴方は貴方の宜しいように。
(嘘ぺこでしょ……。)
くっ、このレベルの猛者を
チャーターしてくるとはな。
予想だにしてなかった。
ダンス番長に並ぶ才能の原石が
まだ帆呂雷中に
潜んでいるとは……。
S・T・ぺこラップ。
フットボールフロンティア本戦までは
通用すると思ってたが、
改良を進めた方が良さそうぺこ。
まァ、所詮は
あの『伝説の必殺タクティクス』の
猿真似でしかないが……。
「兎田殿、もうそのビートは
見切ったでござる。
次なる術、期待してるでござるよ。」
サッ、ダッダッダッ。
『風真選手、
ドリブルで切り込んだァ!』
「木曽路ぃ、取り返せぺこ!」
「はいっ!」
「踏み込みが甘いでござるな。
――〝そよ風ステップ〟」
「ぐわーっ!?」
おい、オフェンス技まで
持ってるのかよ。
……そうか。剣道の間合い管理技、
『縮地』を応用し
体得させたんだな。
野球部のマネージャーならではの
審美眼ってヤツか。
「こより殿っ!」
「ほいよっ♪」
『なんという連携プレー!
必殺タクティクスに
負けず劣らずの華麗な動きで、
一気にゾーンエリアへ
駆け寄ってくるゥ!!』
「決めちゃえ♪ いろはちゃん!」
このまま決めさせっかよ。
「ニコちゃん、両サイドからの
スライディングでカットするぞ!」
「おうよッ!」
そよ風ステップは、
左右どちらかに身体の軸を置き
ステップを刻むオフェンス技。
挟み込みには滅法弱い筈だ。
「「!?」」
シュッ、サッ ササッ。
何だと……。
蹴ったボールの
進行方向に先回りし、
ドリブルの瞬間キャンセル。
続けて
ノーモーションヒールリフト……!
からのジャンピングターン。
なんつーヤツだ。
これじゃあダブルの
スライディングカットは不発。
……いや、それどころか。
ダッ。
「――初めましてサッカー部諸君。
拙者が……風真いろはだ!」
「大丈夫、ちはが絶対に止め……」
ドンッ!
『ゴーーーールぅうッ!
恐るべき高速ボレーシュート!
チームXG、土壇場の対応力で
点を返したァ!
ついに力を爆発させたXGの面々、
今後どのような試合展開を
繰り広げるのでしょうかッ……!』
[得点表]
仮S部 XG
1 <1st> 1
0 <2nd> 0
「分かって貰えたかなぁ〜、
僕たちとの実力差。
差は歴然だよね〜♪」
身に染みて分かる。
たかが一点返されただけじゃあない。
今までのプレーが
まるで通じてないんだ。
(こんな形で終わるぺこか?)
本当に、どうすりゃ勝てる……。
「何言うとんねん!
試合はまだ終わっとらんで!
しかもなぁ、
たかが一対一やないかい!!」
「ヴィヴィちゃん……」
ヴィヴィの野郎がここまで
闘志を燃やしてるのに……
ぺこーらは、なに諦観してんだ。
「往生際が悪いね。
ま、お望み通り最後まで
遊んであげるよ。」
「…………。」
ポンッ。
静まり返ったヴィヴィの肩に
手を乗せてやる。
励まされた分、励ましてやんないとな。
チームとして。
「ぺこら先輩……」
「任せろヴィヴィちゃん。
あの練習やタクティクスの特訓。
無駄にしねぇぺこだから。」
「うん……!!」
よぉし、
気持ちも段々あったまって来た。
ここいらで気合入れ直すか。
「へー、まだ奇策を秘めてるって
云うのかい。楽しみだねぇ。
じゃあ、魅せてごらん。」
ピーッ!
『さぁ、試合再開のホイッスル!
兎田選手の
キックオフでスタートです。
フォワード陣、前線に切り込む……』
「とぉりゃっ♪」
シュポーンッ!
ボールがこよりちゃんの
スライディングでカットされる。
ステージの枠外に
そのまま飛んでくと思いきや。
パッ。
『なんとぉ!
風真いろは選手、またもや
俊敏かつ軽やかな動きで
ボールを抑えたァ!
2点目を早々に決めるという
強い意志を感じますッ!!』
「させるかよ!」
「ニコたんもブロックすんぜ!」
「くっ、厄介でござるな。
なんてねっ!」
シュッシュッ!
『木曽路、虎金妃の
ツインブロックも虚しく
速攻で突破ァ! 風真選手の
快進撃が止まりません……!』
ピッピッピーッ。
『ここで前半終了のホイッスルっ!
徐々に動きのボルテージが
増してくチームXG。
後半、どのような立ち回りで
サッカー部(仮)がいなしていくか。
試合の展開に要注目ですッ……!』
「命拾いしたこよねっ♪」
「勘違いすんなぺこ。
今度はこっちが〝手〟を打つ番だ。」
【後書き】
どうも、たかしクランベリーです。
イナイレGO3編アニメ全話視聴終わりました。
もう……最高でした。
てか、GO3イレブンが1番好きに
なっちまったよ。
所でナギさまお前……
凍りついて逝ったのか。
悲しいなぁ。
という訳で、次回の後半戦は長めです。
よろしくお願いします。