ホロメンイレブン〜雷門をぶっ倒ぉおす!〜 作:たかしクランベリー
[得点表]
仮S部 / XG
1 <1st> 1
0 <2nd> 0
1 <total> 1
審判-井月みちる
解説&実況-白上フブキ
『さぁ〜、試合もいよいよ大詰め。
前半終盤で畳み掛けた
チームXGに、どう返していく
チーム仮サッカー部。
今、怒涛の後半戦が
幕を開けようとしていますッ……!!』
「ついに後半戦ぺこか。」
「ぺこら先輩、何か秘策は
ありますか?」
「あるに決まってるだろ
ヴィヴィちゃん。何の為に、
この1週間鍛えたと思ってんだ。
ハーフタイムの指示通りに
頼んだぺこだぞ。」
「せやね!
ヴィヴィ達ならイケる……
イケるで!」
ピーッ!
『博衣選手のキックオフで
試合再開ッ!
再びパスを回し合い順調な
滑り出しを見せていくッ!』
まだだ。
1、2……3……4。今だ。
「ヴィヴィ、木曽路、
ニコちゃん……やるぞッ。
必殺タクティクス!!」
「「「はいっ!」」」
『おおっと、3人の選手が
タイミングを見計らったように
風真選手を一定間隔で
取り囲む……この
タクティクスは一体!?』
「『ブロック・ザ・キーマン』
それが、この必殺タクティクスの
名前ぺこ。」
スリーマンセルによる
徹底的なブロック体制で
対象のパスラインを消失。
更にパフォーマンスを半減させる。
こうなれば、攻めに上がれるのは
博衣こよりちゃん1人のみ。
ぺこーらとサシなら、
充分に逆転の目がある。
前線に居るはじめちゃんに
ボールを繋げられるからな。
『必殺タクティクスが功を奏し、
兎田選手と博衣選手の対面だァ!
さぁ、仮サッカー部。
反撃の狼煙を挙げられるのか。』
「ふふっ、こよちゃんも甘く
見られたモンだねぇ。
この程度で勝算が見込めると?
残念だけど、
いろはちゃんのワンマンチーム
じゃないよ。こっちは……」
「なん……だと。」
ポッ。
彼女が指を鳴らすと、
突如ボールと分身体が複数出現した。
「こっ、これは!?」
「ほーら、どれが本物か
直感で当ててみなよ。
無理だろうけどね。」
惑わされるな。
どんな手品だろうが見破ってみせる。
ボールを奪って、みんなの
期待に応えんだよ。
それが、
キャプテンぺこだろーが。
「うぉりゃあぁっ!」
スカッ。
くっ、外したか。
「――〝デコイ・リリース〟」
マズイぞ。
必殺タクティクスが
裏目に出て、
ゴールゾーンがガラ空きだ。
こよりちゃんの
シュート力も未知数。
最早、信じるしかない。
千速ちゃんのセーブ力を。
「ソウル『ローザ・コヨーテ』!」
「「「!?!?」」」
あっ、アレは……。
嘘ぺこでしょ。
野球部の
1マネージャーでしかない子が、
これまでの力を秘めてたというのか。
これまであの余裕綽々な態度を
取っていたのも頷ける。
にしても。
(そんなのって、ないぺこじゃん。)
『なんという事だァ!
博衣選手、一瞬にしてローザ色の
コヨーテへと変貌したぁ!?
It's amazing!
こぉれはまごう事なき
〝ソウル〟だぁああ!
風の便りで聞きましたが、
実在する能力のようですッ……!』
口吻でボールを宙に打ち上げ、
コヨーテ化した彼女が
追うように跳び上がる。
バチッ、バチバチバチバチ !
来るか。
必殺ソウルシュート。
「――〝エレクト・コヨーテール〟」
バシュンツ!
蒼い電撃を帯びたボールが、
前回転のかかった
こよりちゃんの尻尾に
よって撃ち出される。
特訓ですら打った事ない
強烈シュート。
求められるのは、
予行練習以上の底力……
頼むぺこだぞ。
「止めるだよ……!
――〝バーニングキャッチ〟」
拳に込められた炎が、
鉄槌としてボールを抑え込む。
「うっ……ぐっ。どわー!」
『ゴールぅぅううう!
千速ぁ〜!
ヤベェなァ、今の攻撃〜!!
……こほん、
急な新世界構文失礼しました。
さぁ点をリードされてしまった
サッカー部(仮)。
どう返していくのでしょうか……!
Don't miss it!!』
「いい加減分かったでしょ、
実力の差。いろはちゃん1人
封じて止まると思ってたの?
ぼくがキャプテンって事、
忘れて貰っちゃあ困るねェ〜。」
「くっ……」
フォワード2人が同等の強さ。
いや、ソウルを使ってくる
こよりちゃんの方が厄介か。
2人を同時に封じられる策は
今の所無い。……どうする。
「はっ! なぁにがソウルや!
サッカーがちょっと賑やかに
なっただけやないかい!
そないな力でぺこら先輩は
止まらへんで!」
まだ、信じてくれてるぺこか。
この絶望的な状況下で、
ぺこらが打開策を立てられると。
分かる。
ヴィヴィちゃんの目から
アツい闘志は消えてない。
なら、応えてやんねェと。
(気が済まないぺこ!)
思い出せあたい。
eスポーツで組立ててきた
ゲーム戦略の全てを。
将棋で云う、敵陣に飛車と角が
揃った状態。
一方、此方は同等の駒を
持たずして桂馬や香車と
いった変化球を活かすのが
ベストなやり方と見た。
あの慢心と高揚……使える。
イケるかもしれないぺこ。
「当然ぺこだぜヴィヴィちゃん。
逆境なんて
喰らい尽くしてやっぞォ!」
「はいっ!」
「いいぺこかッ!
8分9拍子、3+2変拍子、
4分の3拍子の
サイクルテンポを忘れるなァ!」
「「「はいっ!」」」
「ふーん。次の手を決めたか。
面白そうだ♪」
ピーッ!
『兎田選手のキックオフで
試合再開だッ! むむ……何だァ?
兎田選手、
タクティクスの展開を行わず
細かいパス回しで攻め上がる。
かなりシンプルな動き、
焦燥感に駆られたのでしょうかッ!?』
「はじめちゃん!」
「はうぃっ!」
「ヴィヴィつぁん!」
「ええパスや!」
「はっ、何かと思えば
ストレートな進行だけじゃん。
肩透かしだね。
いろはちゃん右方向に割って
ボールを奪うよ!」
「了解でござる!
てやっ! ――!?」
スカッ。
「ラプちゃん、クロたん
次は左から取り返すよ!」
「「ああ!」」
スカッ。
「ッ!?
何が起きている……!」
『わぁおッ!?
キャプテン博衣の指示、
並びにXGの面々の動きが
全く噛み合わずボールが取れない!
タクティクス展開も無しに
翻弄されているゥ!
これも兎田選手の仕組んだ
罠なのかァッ……!』
「ぺこらつぇんぱいっ!」
パゥ!
ナイスパス。そして、
チャンスタイム来ぃてらぁっ。
「ルイ姉、お願いっ!」
「言われなくとも!」
「うぉおりゃああっ!!」
ドンッ !!
『ゴーーーールっ!
兎田選手、素早い弾速シュートで
同点に追い上げたァッ!』
「お、可笑しいこよ。
ぼくの指示は相手を
正確に読んだ上でやってる……
なのに、ルイ姉の動きが
3.4秒くらいズレた……何故……」
「おいおい、どうしたぺこか?
ご自慢の威勢は……『見栄』だった
って訳じゃないだろ?」
気づくな。
3点目を決める為には、
調子に乗ったままでいて貰わないと
こっちが不利だ。
「……分かったよ、ぺこら先輩。
あなたのトリック。
見事にしてやられた。
さっきの言葉も、
全てがブラフだったんだね。」
「――!?」
くそっ、
思ったより早くバレちまった。
ぺこーらの
マインドコントロール大作戦。
相手は正確にリズムやビートを
見切った。そしてそれを
難なく破れるほどの優れた
フィジカルを併せ持つ。
ここで重要になるのは、
上記2点から生まれる慢心と隙。
これらに刺激を与え紐付けし、
逆に相手側をズレたリズムに乗せる。
リズム拍子をデカデカと
宣言したのは、無意識に
歪んだリズムを脳に擦り付ける為。
「つくづく油断ならないね。
〝窮鼠猫を噛む〟ってヤツかい。
面白い……面白いよ!」
「へっ、分かったからといって
感情はそう容易くリセット出来る
モンじゃあないぺこ。
どうするよ? こよりちゃん。」
感情の起伏、変化には時間がかかる。
かつて、スマホという媒体の
距離感を通じて
ある対照実験が行われた。
ある講習を受ける時、
スマホを傍に置くグループと
スマホを預かり
部屋外に置くグループで
分けて実験を開始。
時間の経過と共に、
理解度や感情にどのような変化が
表れるのかを調べる実験だ。
手放したグループは10分後に
ストレスホルモンの
コルチゾールのレベルが急上昇。
更に、同じ内容でも
講習15分後以降の内容理解度は
手放したグループの方が高いという
結果が出た。
以上の結果から、少なくとも
感情の大きな切り変わりには
10分弱かかる。
今からどう思おうとも、相手側は
この心身的優位の罠にかかったまま
後半の試合を終える。
故に。
(チェックメイトぺこ!)
バッ!
「!?」
勝利の確信を抱き、
ユニバーサル大回転を心の中で
したその時。
こよりちゃんは懐から
スタンガンを
二丁取りだし、脛に当てた。
「ぺこら先輩、敬意を示そうッ!
逸脱したこのゲームセンス!
貴方は
バッドマナー兎田なんかじゃあない。
全力で潰すべきプロゲーマーだと!」
バリバリバリ……
「ぐぁ゛ぁぁあああ゛っ!」
「!?」
なんてヤツだ。
自らにスタンガンの電圧を当て
ぺこらのマインドコントロールを
打ち破りやがった。
相当の激痛が伴う筈だ。
そもそも意識を保つのすら
困難なダメージなのに、
気合いと勝利への執念だけで
自我をリセットした。
「ルイ姉っ!」
「……了解です。」
ブチブチブチッ。
「何っ!」
キーパーの人も、
覚悟を決めたように
頭部にある羽を数十本毟り取った。
「こんなん可笑しいやろ……
そないな事までして、勝ちたいんか。」
あまりの奇行に、ヴィヴィが
柄になく困惑してる。
「気圧されるなヴィヴィちゃん。
気持ちで負けたら、この試合……
食われるぺこ。」
「……はいっ!」
『さぁ、試合時間も残り僅かです。
拮抗し始めた両者の激闘……
行く末は如何にッ!?
Don't miss it!!』
ピーッ!
ダッ ダダッ。
『風真選手のキックオフで
試合リスタートぉ!
うおw 博衣選手、たった1人で
素早く敵陣に切り込んでいくゥ!
so speedy!』
自分とキーパー以外は
戦力外と考え、独断の強行突破か。
しかし、多対一はこっちの方が
有利になるぺこだぜ。
「木曽路、ヴィヴィちゃん。
2人でブロックするんだ!」
「「はいっ!!」」
よし。これでパス先に
飛ばしたとしても
ボールは余裕で奪取できる。
ポッ。
「〝デコイ・リリース〟」
「「!?!?」」
『Ooh NO!
ダブルブロックも分身で
易々と突破ァ! 恐るべき速さで
シュート技射程圏内へ
足を進めました!』
「終わらせるこよ。
〝パーフェクトコース〟!!」
ズザザッ。
ニコちゃんが颯爽と
シュートコースに割り込む。
その顔には、相手の気迫にも負けない
強い意志を感じる。
「これ以上、千速に指一本
触れさせっかよ!
――〝ハンターズネット〟」
シュゥウウウッ。
「何っ!?」
巨大な建網が出現し
ボールを捉える。
威力の減衰どころか、
シュートそのものを抑え込むとは。
意志の強さが、技の耐久性を
極限まで高めたらしいな。
何はともあれ、
またと無いビッグチャンス。
「へっ、止めてやったぜ。」
「いいぞニコちゃん!
そのままゴールラインまで
ロングパスだ!」
「えっ、ええっ!?」
「良いからッ!」
「うっす!!」
ピューンンッ
『WAO!
ニコ選手、見事なディフェンスから
即座に超絶ロングパスだァ!
このままゴールを狙うのは
無謀だぞぉッ!?』
果たしてそうかなフブちゃん。
高めに飛ばしたのには、
勿論理由がある。
「はじめちゃん!
分かってるぺこな!?」
「そういうこちょきゃ!」
バッ。
「ピュイーッ!」
意図を汲んだはじめちゃんが、
すぐに跳び上がり
口笛でペンギンを呼び出す。
「――〝オーバーヘッドペンギン〟」
『こぉれは予想外!
持ち技の高さを活かした
奇襲型必殺シュートだぁああッ!
So cool!』
「我々が何度も
同じ手にかかるとでも?
つくづく、愚かです。ハッハー↑
……ソウル『レッドホーク』!」
「「!?」」
「――〝紅蓮の鷲掴み〟」
「そこは鷹掴みやろ!?」
「ツッコむ所そこぺこか!
ソウル使いが2人居るんだぞ?」
「そんなんええわ!
絵面が追加で
ちょいと賑やかんなった
だけやろぺこら先輩!
味方にペンギン召喚するヤツおるし、
今更やろがい!!」
「……能天気ぺこだなぁ。」
シュゥウ……
「ふっ、カッコよければ
問題はないのです。
ではでは、貴方たちのプレーを
参考にしてみましょうか。
こよりちゃんッ!」
ポーンッ!
『キーパー高嶺、カウンターの
超絶ロングパスで応戦ッ!
果たして
シュートに繋がるかァ!?』
……ふっ、生憎
カウンター&コピーなんて
ぺこーらの想定内なんだよ。
当然、その一手を断ち切る手段も
用意してある。
タイミングは……決まりだ。
「ヴィヴィちゃん。今ぺこッ!」
「わーかったよ。
―――〝真空魔〟!」
シュッ ズゾゾゾゾッ。
ボールだけを吸引する
強力なディフェンス技。
甘えたロングパスは
通用しねェぺこだぜ。
「ナイスカット。
そのままぺこらにカモン!」
「わーかったよ。」
ポォン。
『兎田選手の裏を掻いた策略が
見事にHIT!
またとないアタックチャンスを
手にしたぞォ!』
ザザッ。
「吾輩も忘れては困るな。」
「ばっくばっくばくーん♪」
「真打ポルカ、見参だぜ……」
そうか。
こよりちゃんの闘志に感化され、
MF陣とDF陣が立ち上がったか。
良いチームを
見つけてきたぺこだな。
ブロック点数70点だ。
だが……
「――〝アグレッシブビート〟」
「「「ぐわーっ!」」」
緑色の波形線が3人を通り過ぎ、
ギザギザとしたカドを立て
襲いかかる。
『Excellent!
兎田選手、オフェンス技で
3人を押し除けゾーンエリアへ
特攻したァ!
ついに勝負を決める気ですッ!』
「はじめちゃん!」
「うっす!」
高めのパスを渡し、
指でこっそり軌道指示を加える。
もう、勝利への道は開かれた。
「〝オーバーヘッドペンギン〟」
「しつこいですね。
結局決め手はそれだけですか。
ソウル『レッドホーク』」
待ってたぞ。
ソウルを発動し
隙を見せるその瞬間を。
『おおっと、必殺シュートが
思わぬ方向へGO!
これは不発か!?
ボールの軌道上に誰も居な……
WAO!
下がった筈の兎田が
猛ダッシュでボールの軌道上に
追いついたァ!』
「シュートチェインこよか。
(成る程……
今まで得点をはじめちゃんに
頼り切ってたのは、
全てがこの時の為のミスリード。)
くっ…………」
気がついても遅い。
ソウルのパワーは大したモノだが、
鳥類であれば
人体よりも小回りが効き辛い。
(この勝負、頂きぺこ。)
「〝白兎ダッシュート〟ぉお!
ぅうおおおっ!」
パァンッ!
『ゴーーーーールっ!
キャプテン兎田、虚を突いた
シュートチェインで
得点をもぎ取ったァ!
It's just wonderful!!』
[得点表]
仮S部 / XG
1 <1st> 1
2 <2nd> 1
3 <total> 2
ピッ ピッ ピーッ!
『こぉこで試合終了の
ホイッスルぅ!
白熱する試合、勝利の女神が
微笑んだのは……
サッカー部(仮)だァ!』
「「「「ォオオオオオオ!!!」」」」