ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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この話は色々な人の視点に切り替わるため、視点が移動するたび、Side.〇〇の表示を致します。

また台詞の名前ですが、サムライソードは長い為「SS」としていますのでご了承下さい。


※2月5日 読者様のご指摘により、呪いの悪魔の能力発動を3回から4回に修正致しました。誤った描写をしてしまい、誠に申し訳ありません。


第10話 特異課襲撃 VSサムライソード戦

 

 

Side.玲世

 

私は今日、少なからず原作を破壊する。

 

 

新人歓迎会の後、私は大家さんに連絡し、ある頼み事をした。それは岸辺さんへの連絡。いくら私が襲撃の件を知っているとしても、全員を救う事は出来ない。誰か、外部の協力者が必要だった。もちろん私に岸辺さんとの関わりどころか面識もない。だが、大家さんが過去に公安にいた事と、ケーちゃんで度々公安の誰かに連絡していた事で大家さんは岸辺さんと面識があるのでは、と考えた。

 

 

大家「あるわよ。面識。っていうか言ってたでしょ?昔の教え子というか弟分だって。近々玲世ちゃんを紹介しようとは思ってたけど、手間が省けたわ。ケーちゃん、借りるわね。」

 

 

あっけらかんとそう言って大家さんは岸辺さんに連絡を取る。自分で言い出した事だが、今更ながらに緊張してきた。自称最強のデビルハンター。私が知っているのは、悪魔も恐れる戦闘力。姫野さんの師匠であり、デンジ君とパワーちゃんのコンビを文字通り瞬殺する。「悪魔が恐れるのは、頭のネジがぶっ飛んでいるヤツだ。」とは岸辺さんの談だが、大家さんの教えかそれとも自身の経験からか。

 

 

大家「じゃ、変わるわね。」

 

 

頭の中で岸辺さんの情報を考えていると、大家さんが私にケーちゃんを渡してきた。この電話の先に、岸辺さんがいる。

 

 

玲世「もしもし、はじめまして。七篠 玲世と申します。」

 

 

岸辺「お前が姐さんの教え子か。1つ聞く。なんで俺に連絡してきた。よりにもよって姐さん経由で。」

 

 

玲世「それは……」

 

 

私は岸辺さんに事情を話す。未来を知っていて、明日特異課が襲撃を受ける事。それで死んでしまう人達を助けたい事。自分1人では皆を助けられない為、大家さんに協力してもらい、連絡させてもらった事。様々な事を端的に話す。

 

 

岸辺「はぁ。姐さんからの連絡で嫌な予感はしていたが、特級品の面倒事だな。………未来を変えるか。姐さんの紹介じゃなきゃ、0点でただの頭のおかしい奴だが、俺も掴んでいない襲撃情報と全員助けたいなんて幻想を夢見ている頭のイカれ具合は100点だな。良いだろう。何を協力すればいい。」

 

 

玲世「では…」

 

 

こうして岸辺さんの協力は取り付けた。マキマさんは襲撃自体は見逃す方針だったから、襲撃自体を止めようとしなければ大丈夫だろう。ポイントは襲撃を起こしつつ、被害を抑えること。あとは岸辺さんがどこまで動けるかだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.岸辺

 

岸辺「じゃあ姐さん、そういう事で。……わかってます。アイツを殺すには奥の手が必要ですが、貴女の教え子は切り札になり得る。だから弟子にしてるんでしょう。…………いつまでも子供扱いしないでください。あれから何年経ったと思ってるんですか。…………わかりましたよ、師匠。切りますよ。」

 

 

俺は電話の受話器を置く。10年以上音信の無かった人からいきなり連絡があったのが去年の夏。ひさびさに会ったあの人は年齢を重ねていたが、その佇まいは全く衰えていなかった。自称最強のデビルハンターの俺だが、今の彼女と戦っても良くて相討ちだ。彼女が全盛期だった時など考えたくも無い。

 

 

岸辺「しかし、姐さんの弟子か…。姐さんがあそこまで言うって事は、余程気に入ったか。違う世界から来て、悪魔になった人間で、未来を知っていて、マキマを止めようとしている。本来なら正気を疑うところだな。」

 

 

あの人がわざわざ弟子に取るくらいだ。なにか内に秘めるものがあるのだろう。自分といい、クァンシといい、彼女が目を掛ける人は何かしら人間から逸脱している場合が多い。

 

 

岸辺「さて、襲撃だが、相手は銃を使う、か。スーツの下に防弾ベストの着用命令とバディでの警戒強化、可能であれば非戦闘員でも銃の所持って所だな。襲撃時間が分かっているのはありがたいか。初動で即死しなければ、銃で死ぬ奴は多くないだろう。」

 

 

特異1課の権限で、特異課全体に明日だけ防弾ベストの着用命令、銃の所持を認める。明日マキマは朝から会合のために京都に移動するため、移動してから通達を出せばマキマの邪魔は入らんだろう。同行予定の者は体調不良を理由に休んでもらい、1人で行かせる。いきなりの連絡に騒ぎ立てる馬鹿がいるかも分からんが、マキマが狙う特異課全滅は避けられるはずだ。

 

 

岸辺「これで襲撃が起きなければ、俺は厳罰ものだな。まぁ、その時は公安を辞めて姐さんと一緒に弟子を鍛えるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.玲世

 

襲撃当日。澄み渡る程の青空だ。岸辺さんには昨日のうちに、銃での襲撃があるのと時間帯は昼頃だと伝えてある。デンジ君達はラーメンを食べていたし、マキマさんは新幹線内で駅弁の話をしていた。コベニちゃんや荒井さん、他の特異課の人達も町中に出ていた所を銃で撃たれている。

 

 

玲世「もう少しコベニちゃんと荒井さんを探したいところだけど、もう時間がない…。一応対策は岸辺さんがしてくれたはずだけど、大丈夫かな…。」

 

 

デンジ君達の居場所は分かっているが、2人は町中だ。朝から探していたが見つからない。岸辺さんも「全員が助かるなんて夢は見るなよ。特異課全体への襲撃だ。人の生き死にはどうしても出る。」と言っていたし覚悟はしている。それでも、見知った人が死んでしまうのは嫌だった。

 

 

その時

 

 

パンパンパンパンパンパンパンパン

 

 

町中に銃声が響いた。

 

 

玲世「…来た!ボンちゃん、サポートよろしく!!」

 

 

ボンちゃん「任せろ!!」

 

 

私は力を隠さずに脚力を爆発させ跳躍。ビルの上に着地し、更に跳躍。空気を爆発させてデンジ君達のもとへ向かう。レゼちゃんが爆弾で飛んでいたやつの空気版だ。練習はしていたが、まだ繊細な力の調整は難しい為、ボンちゃんにサポートしてもらっている。

 

 

玲世「……皆、無事でいてよ…!!」

 

 

高速で空を飛びながら、私は祈りを呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.アキ

 

デンジ「なんだ、こん音…?」

 

 

パワー「知らんとは愚かじゃの…。太鼓の音じゃ。」

 

 

アキ「祭りか…。」

 

 

なにか破裂する音にデンジが反応し、パワーが太鼓の音と答える。祭りか。そういえば、近くの神社で夏にお祭りがあったな。マキマさんを誘ってみるかな…。

 

 

俺達は4人で京都へ向かうマキマさんを見送りに行った後、ラーメンを食べに来ていた。デンジとパワーがラーメンを食いたいと言い出したからだ。4人でラーメンを啜っているが、味は普通。特出すべき所は無い、普通のラーメンだ。

 

 

男「ここのラーメンよく食えるな…。味酷くないか?」

 

 

姫野「誰…?」

 

 

デンジ「俺はフツーにうめぇけどな。」

 

 

パワー「ワシに気安く話しかけるな!」

 

 

隣の席に居た男がこちらに話しかけて来た。

 

 

男「味の良し悪しが分からないんだな。まぁ仕方のないことだ。幼少期に同じような味のモンしか食べてないと大人になってバカ舌になるらしい。舌がバカだと幸福度が下がる。」

 

 

アキ「店、出るか。」

 

 

いきなり見知らぬ男にバカ舌と言われたり幸福度の話をされて微妙な空気になったため、店を出ることを提案する。まだ食べ終わってはいないが、この男の横で食う気にはならなかった。

 

男は続けて自分の祖父の話を始め、デンジに「お前も好きだっただろ?」と1人の老人の写真を見せる。

 

 

デンジ「なんのつもりだ、テメぇ。」

 

 

アキ「知り合いか?」

 

 

デンジが写真に反応したため、確認してしまった。コイツがこういう反応をするのは珍しい。しかし、

 

 

男「銃の悪魔はてめぇの心臓が欲しいんだとよ。」

 

 

銃の悪魔。男はそう言って懐から銃を取り出し、デンジ、俺、姫野先輩を撃った。デンジは頭、俺は肩、姫野先輩は胸を撃たれた。パワーだけ奴に反応し反撃。

 

 

パワー「チョンマゲ!!」

 

 

アキ「コン……!」

 

 

俺は狐の悪魔を呼び出し、男を喰らわせる。なりふり構っていられなかったため、店は全壊。ふと横を見ると、頭を撃たれ死んでいるデンジと胸を撃たれた姫野先輩がいた。事態に頭が追いつかない。

 

 

狐の悪魔「早川アキ……。私の口にとんでもないモノを入れてきたねぇ。人でも悪魔でもなっ……」

 

 

狐の悪魔の頭から刃物が生え、中からデンジのように頭と両腕に刀を生やした男が出てきた。コイツは敵だ。ホテルでの悪魔のようにデンジの心臓を狙ってきた。

 

 

アキ「パワー…、姫野先輩の血を止めてろ。」

 

 

パワーに指示を出し、俺は武器を構える。大きな釘に刀の鍔と柄がついた「呪いの悪魔(カース)」だ。相手がすかさず襲いかかってくる。斬撃を避けつつ、

 

 

アキ「打て!」

 

 

カース「3」

 

 

相手に釘を突き刺す。あと2回。

 

 

アキ「打て!」

 

 

カース「2」

 

 

アキ「打て!」

 

 

カース「1」

 

 

よし。これで条件はあと1回。しかし、油断したか敵に蹴り飛ばされ、ガレキに叩きつけられる。

 

 

男「不気味なモンを使いやがって」

 

 

どっちが不気味だ。クソ野郎。

 

 

アキ「カース!!トドメをさせ!!」

 

 

カース「0」

 

 

俺の声と同時にカースの呪いが発動し、敵は巨大な手に掴まれ宙に浮き、死ぬ。これが「呪いの悪魔」の力。釘で4回刺した相手を呪い殺す。強力だが代償に自分の寿命を使う為、ホテルでは姫野先輩に使用させてもらえなかった。今回はそれに加え、更に寿命を使い、4回目を省略して発動させた。

 

 

アキ「姫野先輩は!?」

 

 

パワー「早く医者に見せたほうがいいの。」

 

 

アキ「アイツ銃を使っていやがった。日本では警察とデビルハンター以外入手は不可能なのに…。……一先ず、姫野先輩の治療を」

 

 

女「呪いの悪魔…。その持っている釘で何回か刺したら死ぬ…みたいな感じか?アンタ、いい動きだったね。」

 

 

背後に女が立っていた。赤いパーカーに金髪の若い女。

 

 

アキ「どこから来た…?そいつの仲間か?」

 

 

女は答えず、死んだ男に触れると男が起き上がる。

 

 

アキ「なっ…?」

 

 

あり得ない。「呪いの悪魔」の力は確かに奴を殺したはず。女がなにかしたのか?それとも…?混乱する俺を他所に、男と女は会話する。

 

 

女「どうして負けた?」

 

 

男「油断した。マジで油断した。」

 

 

女「じゃさっさと殺して。」

 

 

男は刀を構え、深く沈み込む。俺は武器を構える。が、男が急に消え、

 

 

俺は胸を切られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.姫野

 

アキ君がやられた。謎の男の攻撃で胸を切られ跪く。

 

 

女「まだ生きてるぞ。デビルハンターのスーツは頑丈だからな。トドメをさして。」

 

 

女が男に指示する。アキ君が殺される。

 

 

姫野「私はいいから……、アキ君を助けて……。」

 

 

私は胸の痛みを我慢し、血を止めてくれているパワーにアキ君を助けるよう頼む。

 

 

パワー「無理じゃ…!アイツの動き…、見えんかったもん…!」

 

 

パワーが無理ならゴーストだ。私は契約している「幽霊の悪魔」に確認する。

 

 

姫野「ゴースト…!」

 

 

ゴースト「イヤだ…。あの女、恐ろしい……。」

 

 

ゴーストも無理。どうする。考えろ。あの敵を倒してアキ君を救う方法を。そして私の頭に1つ考えが浮かんだ。

 

 

それはゴーストに私の全てを捧げ、ゴーストの全てを使う事。

 

 

恐らくこれをすれば私は消える。右目がそうだったように全身が跡形も無く消える事になるだろう。自分が消えるのはイヤだ。後悔だってある。死んでしまうのはまっぴらごめんだ。脳裏にこれまでの人生が浮かび上がる。これが走馬灯、というものか。

 

 

だけど、アキ君は助ける。

 

 

アキ君は泣く事が出来る。玲世さんと同じで優しくデビルハンターらしくない。涙が出なくなった私とは大違いだ。そんな彼に泣くほど想ってもらえたら嬉しいな。

 

 

だから、

 

 

私はゴーストに言う。

 

 

姫野「私の全てをあげるから…」

 

 

直後、

 

 

狐の悪魔が壁を壊し、見通しの良くなった空からなにかが降り立ち、男は吹き飛ばされて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.玲世

 

 

ボンちゃん「レーセ!!あいつ、刀の悪魔だ!チェンソー野郎に消されたはずなのに!?」

 

 

玲世「間に合えーーーー!!」

 

 

マズい!アキ君がサムライソードにやられてる!って事は姫野さんがゴースト使っちゃう!ボンちゃんの叫びを聞きながら、私はそのままサムライソードの前に着地、振り向きざまに腕力を限界まで爆発させた右ストレートをお見舞いし、ついでに相手の運動エネルギーも爆発させ向かいのビルに吹き飛ばした。だが、あれくらいでは武器人間は倒せない。すぐ戻ってくるだろう。

 

 

玲世「姫野さん!アキ君!無事!?まだ死んだり消えたりしてないね!?」

 

 

襲撃者の沢渡アカネ含め、その場にいる全員が呆気にとられていた。なによ、その化け物見るような目は。

 

 

玲世「あ!姫野さんとアキ君がヤバい!クーちゃん、治療!」

 

 

私が言うと共にクーちゃんが2枚に分裂、アキ君の胸と姫野さんの胸の傷に貼り付く。クーちゃんの「掃除し、元に戻す」力は傷を掃除し元に戻す、つまり傷を治す事が可能になった。ただシートの大きさしか傷は治せず、掃除の関係上、時間がかかる。また、傷を癒す事に汚れていき次第に力は落ちていく。汚れで掃除能力が落ちるクリーナーそのものだ。

 

 

アキ「貴女は……七篠さん?」

 

 

姫野「どうして…ここに……?」

 

 

玲世「はいはい。怪我人は大人しくしてること!イーちゃん、バリアよろしく。ほらほら!デンジ君も起きる起きる!!」

 

 

イーちゃんも進化しており、「音を外部に漏らさない」力は見えないドームを張る事が可能になった。ようはバリアだ。姫野さん、アキ君、パワーちゃんをバリアで覆い、デンジ君の胸のスターターを引っ張る。同時にサムライソードが戻ってきた。

 

 

SS「おい!アイツは誰だ!事前情報には無かったぞ!」

 

 

アカネ「分からない。完全に不確定要素。とはいえ、ここで撤退は無い。引き続きチェンソーを相手に出来る?」

 

 

SS「誰に物を言ってる!…真っ二つにしてやる。」

 

 

アカネ「心臓は傷つけないで。あいつは私が対応する。」

 

 

ブォン!ヴヴヴヴヴヴヴヴ

 

 

エンジン音が唸りを上げる。デンジ君が復活してチェンソーマンになった。

 

 

デンジ「死んでたからわかんねぇけど、テメぇらが悪いヤツだって事だけはなんとなくわかったぜ。悪いヤツァは好きだぜ〜?ぶっ殺しても誰も文句言わねぇからなぁ〜。」

 

 

玲世「デンジ君、おはよう!起き抜けで悪いけど、アイツ相手にこのまま行ける!?」

 

 

デンジ「当たり前だ!ナナシ!また借り作っちまったな〜、ちくしょ〜が〜!!」

 

 

デンジ君がサムライソードに突撃していく。刀の悪魔とチェンソーの悪魔の戦いが始まった。私も加勢しようとしたが、それと同時に沢渡アカネが動いた。

 

 

アカネ「ヘビ 尻尾。」

 

 

巨大なヘビの尻尾がこちらを狙ってきた。避ければ後ろの3人に直撃する。私は再度腕力を爆発させ、尻尾先端を殴り、右に逸らす。あまりの質量に左腕が折れたが構ってられない。

 

 

アカネ「さっきといい、本当に人間か?……こちら沢渡。練馬西大ビル3階でチェンソー及び不確定要素と戦闘している。援護しに来い。」

 

 

沢渡アカネがトランシーバーで手下に指示をする。私はすかさず無力化しようとするが、横合いからデンジ君達の戦いが通り過ぎ、増援を許してしまった。

 

 

「撃ちますか。」

 

 

SS「腕か心臓を狙え。」

 

 

デンジ君と私に銃弾が殺到する。私はイーちゃんのバリアに入り、デンジ君はそのまま戦い、敵の1人を人質に取った。

 

 

デンジ「おい!そこのワルモン!!こいつテメぇの仲間だろ!!1ミリでも動いてみな〜!お仲間のお顔がおミンチになるぜ〜!!」

 

 

SS「糞野郎が…。」

 

 

サムライソードが姿勢を低くする。あれはマズい!

 

 

デンジ「そ〜そ〜!そこで座ってな!!」

 

 

アキ「デンジ!気をつけろ!!攻撃が来るぞ!!」

 

 

アキ君がデンジ君に叫ぶ。あれはサムライソードの「居合」だ。自らを刀とし、居合の如く発動する高速移動攻撃。

 

 

デンジ「ん?消えた!?…………あっ」

 

 

デンジ君が人質ごと胴を両断される。助けに行こうとしたが、銃撃が激しく、身動きが取れない。

 

 

SS「こいつを運ぶ。さっさと車を持ってこい。急げよ。チェンソーのお仲間はこいつら以外撃ち殺したはずだが。……ぐっ…!」

 

 

サムライソードの変身が解けていく。苦しそうな顔でこちらを見る。

 

 

SS「デビルハンターも人だ…!銃には勝てんだろう…!」

 

 

玲世「デンジ君!待ちなさい!」

 

 

デンジ君の上半身を持ち、敵が撤退する。追いかけたいが、姫野さんとアキ君を放っておく訳にもいかず、立ち往生してしまう。するとパワーちゃんが、

 

 

パワー「こいつらはワシに任せておけ。…おい、ナナシ。後でキサマの事、説明せぇよ。」

 

 

姫野さん、アキ君もこちらを見て頷く。

 

 

玲世「わかった。今までの事を含めて、必ず。」

 

 

パワーちゃんに2人を任せ、私はデンジ君を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.コベニ

 

襲撃の直前ーーーー

 

 

私は地図を片手におばあちゃんに道を教えていた。町中を巡回中に急に道を訪ねられたからだ。荒井さんは進んでおばあちゃんに道を教えようとしていたが、私はおばあちゃんというのは苦手だった。私のおばあちゃん、つまりお父さんお母さんの母親だ。娘に風俗かデビルハンターの2択を迫るような人達の親だ。カエルの子はカエル、とは言うが正にその通りだった。

 

 

「やっとわかったわ。道を教えてくれてありがとうね。」

 

 

コベニ「あ、はい。ではこれで。」

 

 

荒井「気をつけて!」

 

 

陰鬱になる心を押し殺し、私達はおばあちゃんに背を向け歩き出す。イヤな気分だ。私の心にある黒い気持ち。ホテルで七篠さんを刺してしまった時もそうだ。こんな時は良いことが無い。

 

だけど、七篠さんを事を考えていたからだろうか。

 

後ろから「コベニちゃん」と七篠さんの声が聞こえた気がした。

 

私は声に対し振り向く。そこには荒井さんの向こう側に、銃をこちらに向けるさっきのおばあちゃんがいた。

 

 

コベニ「荒井さん!!後ろ!!」

 

 

荒井さんが私の呼ぶ声に反応し、後ろに振り向く。が、

 

 

パンパンパン

 

 

乾いた音が鳴り、荒井さんが胸を抑え、仰向けに倒れる。私はそれ以上撃たせまいと、包丁を構えおばあちゃんに肉薄する。

 

 

パン

 

 

乾いた音が再び鳴ったが、私の頬を掠っただけだ。そのまま、おばあちゃんの首を切り裂き、殺す。止めていた息を吐き、早くなった心臓を鎮める。

 

 

コベニ「あ、荒井さん!大丈夫ですか!?」

 

 

荒井さんに駆け寄る。うめき声を上げるが、よかった、生きている。

 

 

荒井「うぅ。なんだったんだ一体。防弾ベストのお陰で助かったが…。」

 

 

コベニ「た、多分、午前中に、通達のあった件じゃ。特異課は今日、防弾ベストと警戒を忘れるなって。」

 

 

荒井「…あぁ、これを予測しての事か分からないけどな。う!ゴホッ」

 

 

荒井さんが血を吐く。いくらスーツと防弾ベストを着ていても、3発も撃たれたんだ。一命は取り留めたけど重傷である。荒井さんを起こし、壁に背を付けて座らせる。

 

 

パンパンパンパンパンパン

 

 

その時、町中に乾いた音が鳴る。きっと他の皆も襲撃されてるんだ。

 

 

荒井「…ぐぅ…。コ、…コベニ…ちゃん。俺に構わず…行くんだ…。」

 

 

コベニ「あ、荒井さん!で、で、でも!」

 

 

荒井「お、俺は…大丈夫。俺に、ついている、より、動けるコベニちゃんが皆、を、助けに行ってくれ…。き、君は、強い。君が皆を、助けるんだ…!」

 

 

荒井さんが苦しそうに私に言う。私に出来るだろうか。一定以上のパニックになると、考えるより先に身体が動くけどそれだけだ。今は身体が震えて動けない。

 

 

コベニ「あ、荒井さん。で、でも私なんかじゃ」

 

 

荒井「でもじゃない!ゴホッ。……ホテルの、時に七篠さんが、言ってただろ…!君が動く事で助かる命が、あるんだ…!」

 

 

……そうだ。あの時、七篠さんに言われた言葉。

 

 

「アナタはその気弱な性格からは考えられないほどの戦闘能力があるわ。だけど、自信がないからあんな事になってしまう。自信を持てとは言わないわ。だけどアナタが動くことで救われる命がある事を忘れないでね。」

 

 

身体の震えが収まる。身体に力が入っていく。それと同時に遠くのビルから狐の頭部が出てくるのが見えた。あれは早川先輩の狐の悪魔だ。あそこで戦闘が始まってる。

 

 

私は立つ。そして荒井さんに一言。

 

 

コベニ「行ってきます。」

 

 

私は走る。自信なんかないけれど、私が動く事で助かる命があるなら。

 

走り去る私の後ろで、ゆっくり倒れ込む荒井さんに気が付かないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.沢渡アカネ

 

 

「急げ!そっち持て!」

 

 

SS「しばらく俺はもう戦えねぇぞ。」

 

 

アカネ「うん。」

 

 

部下がチェンソーの上半身を車に入れようとしているが、重くて無理らしく2人がかりで試すらしい。刀の悪魔も戦えないようだ。不確定要素の女のせいで、釘の男と眼帯女を殺せなかった。銃で最初に殺せていれば、もっと楽に撤収できたのだが。

 

 

「…なんかっ。なんだコレ……。」

 

 

「テンパってんじゃねぇ!持て!」

 

 

「おい!なんか変な感じだ!!」

 

 

部下が作業せず、喚いている。嫌な予感がした。

 

 

アカネ「変な感じって」

 

 

パシャ

 

 

喚いていた部下が潰れた。上から超重量のなにかに押し潰されたかのように、服だけ残して、地面に血の花が咲いた。

 

 

SS「おっ」

 

 

「うわぁ……!!」

 

 

こんな事、普通じゃあり得ない。恐らくマキマの力だ。だが、マキマは1人で新幹線にいた所を襲撃し殺したはずだ。急いで他の班の部下にトランシーバーで連絡する。

 

 

アカネ「E班!C班に再度マキマの死亡を確認させろ!」

 

 

E班が呼び出しに出た瞬間、トランシーバーからなにかが潰れる音がした。

 

 

アカネ「あの女…」

 

 

次々に部下が潰れていく。私と刀の悪魔以外、潰れて潰れて潰れていった。部下達が全員潰れたあとは静寂だけが残った。

 

 

アカネ「止まった…?」

 

 

おそらくマキマがなにかした。そう確信し、青ざめている刀の悪魔に声を掛ける。

 

 

アカネ「こんなデタラメな力は多分マキマのだ。大丈夫な間に逃げるぞ。」

 

 

SS「畜生…!殺したんじゃなかったのかよ…!」

 

 

刀の悪魔がチェンソーの上半身を持つと同時に、

 

 

玲世「待ちなさい!」

 

 

コベニ「貴方達、銃撃犯ですよね?」

 

 

不確定要素の女と公安の女が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side.玲世

 

 

玲世「待ちなさい!」

 

 

3人を残して、デンジ君を救出するため、道路に出る。するとコベニちゃんがいた。原作通りに来たコベニちゃんに声をかけようとするが、

 

 

アカネ「ヘビ 尻尾。」

 

 

沢渡アカネがヘビの悪魔を繰り出した。私はコベニちゃんを助けようとするが、コベニちゃんは尻尾を躱して相手に接近。サムライソードが「猿か!?」といいながら銃を構えるが、なんと包丁で腕を切断し、後ろ向きで銃を手に発砲。サムライソードを無力化した。そのまま沢渡アカネに銃を向けるが弾切れ、逆に銃撃されるがデンジ君を盾として防いだ。

 

呆気にとられていた私はデンジ君達の前に立つ。沢渡アカネは瀕死のサムライソードを車に押し込み、逃げていった。

 

 

コベニ「この間は殺そうとしてゴメンね…。フフフ…!殺そうとしてゴメンって…!なんだソレ…!フフフフフフフフ…!フフ…!ダメだ…。ハイになっちゃってる……。」

 

 

コベニちゃんがデンジ君を見ながら、ブツブツと呟いている。瞳の焦点が合ってないし、見ていていたたまれない。

 

 

玲世「コベニちゃん、大丈夫!?」

 

 

コベニ「あ、………七篠さん?なんでここに…?」

 

 

玲世「皆を助けに来ました!……あんまり活躍出来てないかもだけど……ね?」

 

 

コベニちゃんは私に焦点を合わせると、不思議そうに確認してきたので、場を和ませようと笑いかけた。そして私の気にしている部分を聞いてみる。

 

 

玲世「コベニちゃん。そっちも襲撃されたと思うけど、荒井さんは…?一緒にいないってことはもしかして…。」

 

 

コベニ「あ、荒井さんは…無事…というか…重傷です。正面から体に3発撃たれました。……そうだ!救急車!」

 

 

玲世「あ、コベニちゃ〜ん!……行っちゃった。」

 

 

デンジ君を放り投げ、コベニちゃんは凄まじい早さで消えていった。哀れ、デンジ君。可哀想になったデンジ君に血を与え、復活させる。

 

 

玲世「おはよ。私に借りがどんどん出来ていくね?返せる当てはあるかい?」

 

 

デンジ「ナナシか……。助かったぜ…。……アンタがいなきゃ、アキも姫野も死んでた。借りは………いつかな。ってかアンタ、そんな雰囲気だったか!?」

 

 

 

玲世「ふふ、女にはいくつも顔があるのさ。なんちゃって。ほら、3人を迎えに行くよ!男の子なんだからキビキビ動く!」

 

 

 

デンジ「なんだ、そりゃ〜?っておい!腕引っ張んな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公安の襲撃は終わるーーーー

 

本来なら姫野の死など様々な悪影響をもたらした悪意の嵐ーーーー

 

レールから外れた物語は何処へ行くのかーーーー

 




公安襲撃篇でした。視点が色々切り替わり、読みづらい等があったら申し訳ありません。

大筋は漫画を元に描いていますが、部分部分の補完や会話内容のため、オリジナルの会話を入れています。こうして漫画の台詞を文章に起こすと、いかに漫画の台詞回しが秀逸かよく分かります。

楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
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