ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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襲撃篇ラストです。1万字になってしまい長い為、注意をお願い致します。よろしくお願い致します。


第12話 新4課出動 襲撃完結

 

 

病院での説明の翌日ーーーー

 

公安会議室にて

 

 

マキマ「岸辺さんから話は聞いています。襲撃による人員民間からの協力者が来ると。………まさかアナタが来るとは思いませんでした。ホテルの時に続いて、襲撃の際もメンバーを助けて頂きありがとうございます。」

 

 

マキマさんが頭を下げる。ここは公安の会議室。私の横には朝に退院した姫野さんがいる。今日から民間からの協力者として公安に所属する。期間は未定。重傷者が多く、民間と連携して巡回や悪魔への対処をしていくがいきなり大勢を、とはいかず、まずは試験的に私が所属する、という設定だ。

 

うん、怪しい。私がマキマさんの立場なら、姫野さんを助けたばかりか自分の「支配」が効かない?相手だ。警戒するだろう。岸辺さんは「反対する奴らは顔を突き合わせて説得した。最近はすぐ掌返しをする腑抜けばかりで困る。それなら初めから反対するな。」と言っていた。岸辺さんの説得は、それはそれは大変な事だったろう。…………説得を受ける相手がだが。

 

 

マキマ「では、七篠さんは今日から4課預かりとなります。………活躍を期待していますよ。姫野ちゃん、あとはよろしく。」

 

 

姫野「了解です。」

 

 

マキマさんが部屋を出ていき、私は大きく息を吐く。マキマさんは私の事を怪しんではいるけど、どういう存在か見定めようとしているみたいだ。その証拠に、歓迎会の時の様に、いきなり「支配」の力を使ってはこなかった。マキマさんも確証が無いうちは、大きく動くことはしないだろう。

 

 

玲世「これからよろしくお願いします。姫野さん。」

 

 

姫野「こちらこそよろしくお願いします。玲世さん。じゃあ早速、制服に着替えますか。とは言ってもスーツですが、普通のスーツより頑丈で、悪魔退治にも使える優れものですよ!」

 

 

姫野さんに連れられ、更衣室に行く。私の名前のロッカーがあり、中には白いシャツとネクタイ。ジャケット、ベスト、パンツがセットになったスーツがあった。これが私の衣装だが、ふと気になった事を姫野さんに聞いた。

 

 

玲世「あれ?そういえば、皆さんってベストは着ないんですか?」

 

 

姫野「私達はジャケットだけですよ。先生みたいにジャケットじゃなくコート着てたり、デンジ君みたいにジャケット着ない人とかもいます。玲世さんは民間の人ですから、上層部も奮発したんじゃないですかね?」

 

 

確かに普通のスーツでもベストがある分、いくらか値段は高くなる。公安の特殊仕様ならなおさらだろう。せっかく用意してもらったので、ありがたく着させてもらおう。

 

 

姫野「おっ、こうして見ると印象変わりますね。デキる女!って感じですよ。ジャケットのボタンを止めないのもナイスです。」

 

 

元の世界でも役でスーツを着たことがあったが、これは段違いだ。伸縮性があり、耐久性も抜群。激しい戦闘が多いデビルハンターも納得の制服だ。………実はベストを着てジャケットのボタンを止めるとすこーしだけキツかったからボタンを開けたのだが…。

 

 

姫野「よし。じゃあ巡回行きましょうか。アキ君は悪魔との契約。デンジ君とパワーは先生との戦闘訓練。コベニちゃんは報告書作成でいないので。習うより慣れろの精神でいきましょう!」

 

 

私は姫野さんと巡回へ赴く。公安の衣装に身を包んだ事で、静かにやる気を漲らせた。

 

 

姫野「そういえば先生から、明日、新4課のお披露目として襲撃犯を捕まえに行くと連絡がありました。私も復帰しましたので一緒に頑張りましょう!」

 

 

姫野さんが私の緊張をほぐす様に、明日の予定を口にする。襲撃犯である沢渡アカネとサムライソードの捕縛。姫野さん達が生存している為、徐々に原作と離れていくので注意が必要だ。誰も死なないよう、頑張って立ち回ろう。そう決意し、巡回をしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

公安地下幽閉施設にて

 

 

黒瀬「ここには公安が生け捕りにした悪魔達がぶち込まれてる。昨日の人みたく、ここで武器を見つけましょ、アキ君。」

 

 

天童「この部屋にいる悪魔とキミは契約してもらいます。いるのは「未来の悪魔」。公安でコイツと契約しているのは2人。1人は寿命半分。もう1人は両目と味覚、聴覚を差し出しています。」

 

 

俺は京都から来た公安の2人と地下施設にいる。狐の悪魔に愛想をつかれ、呪いの悪魔も寿命で使えない俺はデビルハンターを続ける為、新たな悪魔と契約をしに来た。2人が言うには目の前の部屋には「未来の悪魔」がいるらしい。2人に見送られ、俺は部屋に入った。

 

 

部屋の中は真っ暗だった。天井に格子がはめ込まれている丸い穴があり、そこから光が差し込むが、部屋全体を照らすにはとても足りなかった。部屋の奥、暗闇の中に大きな目が現れる。少しづつ光に照らされ、悪魔が姿を現した。

 

 

それは案山子の様に両手を広げた樹木のようだった。腹部に巨大な穴があり、そこに大きな目がある。

 

 

未来の悪魔「未来、最高。未来!最高!未来!!最高!!イェイ、イェイ!未来、最高!お前も未来最高と叫びなさい!!」

 

 

アキ「俺はお前と契約しに来た。お前は俺の何が欲しいか言え。」

 

 

悪魔の戯言に用は無いしそんな時間も無い。俺は早く戦う力を得ないといけない。

 

 

未来の悪魔「………過去最悪な態度だぞ、オマエ!まぁいい。オマエの未来を見せな!未来次第で契約内容は考えるぜ!ほら、早くお腹に頭を突っ込め!じゃなきゃ未来が見えないだろ!」

 

 

悪魔の腹に頭を入れる。その事に若干の戸惑いがあったが、俺は意を決し悪魔の腹に頭を入れた。中は真っ暗だ。すると頭頂部に何か柔らかい者が触れる。もしかして、コイツの腹部にあった目だろうか。

 

 

未来の悪魔「ム、フ、フフフ………ム?ムムムム?………フフフフフフ…ム?……ムムムム?…………………………ム」

 

 

悪魔が笑ったり唸ったりを繰り返し、黙ってしまった。俺は悪魔から頭を出すが未来の悪魔は動かない。黙っている。

 

 

アキ「…おい。俺の未来はどうだった。契約内容はなんだ?」

 

 

未来の悪魔「…ム?……そうだな。契約はこうだ。お前の右目に俺を住ませろ。そうなればお前の力になってやる。…それだけでいいのか?…って顔だな。お前の未来をこの目で見たくなったからな。」

 

 

悪魔が契約内容を話してきたが、正直拍子抜けだった。姫野先輩の様に右目を奪われるならともかく、住まわせるだけならなんのデメリットも無い。しかし悪魔が次に発した言葉が問題だった。

 

 

未来の悪魔「何故ならオマエは未来で最悪な死に方をする!どういう死に方をするか聞きたいか?オマエは…。」

 

 

オレの未来。それはどうやら最悪な死に方をするらしい。未来の悪魔が言うのだ。そうなる可能性は高い。瞬間、自分の死を考える。そうなった場合に皆はどうなっているのか。姫野先輩はまだ自分のバディか。デンジやパワー、コベニは生き残っているのか。考えたが、答えは無い。当たり前だ。未来は未来。俺達は今を生きるしかないのだから。

 

 

アキ「言わなくてもいい。そんな未来に興味は無い。俺は戦い続ける為にお前と契約するだけだ。さっさと目に入れ。」

 

 

俺は未来の悪魔と契約する。未来は未来と割り切りながら、自分の死というモノに一抹の不安を感じていた。

 

 

 

 

 

 

未来の悪魔「フフフ。コイツの未来が楽しみだ!……しかしあれはなんだったんだ?本来人の未来は1つだけだ。それを観るのが我が力。だが、コイツの未来はノイズだらけで異なる未来が同時に見えた…。」

 

 

未来の悪魔はアキの右目の中で思案する。今まで人間の未来を観た時は必ず1つの未来に収束し、その未来が訪れた。ノイズだらけの異なる未来など見たことが無い。契約する際に伝えた未来は今の所、1番可能性が高く、自分にとって望む未来だった。

 

 

未来の悪魔「もしやコイツの未来を不確定にする何かが干渉しているのか…?………………………まぁいい。我が望む未来が今の所、1番可能性が高い…。無様な足掻きを見せてもらうぞ!未来!最高!!」

 

 

未来の悪魔と契約したアキは部屋を後にする。誰も居なくなった部屋の暗闇に金色の目が光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都心 とある料亭にて

 

 

2人の人物がテーブルを挟み、会話をしている。1人は合併された公安特異課全ての指揮権を持つマキマ。もう1人は公安対魔特異1課から新4課の隊長になった岸辺だ。料亭だがテーブルには料理は無く、岸辺が酒だけを飲んでいた。

 

 

マキマ「………それで、話っていうのはなんですか?」

 

 

岸辺「今回の特異課襲撃…、公安も馬鹿じゃないだろ。お前、分かっていて見逃したな。」

 

 

マキマ「私も襲撃に遭いましたよ。」

 

 

岸辺「…お前がどんな非道を尽くそうと、俺の飼い犬を殺そうと、人間様の味方でいる内は見逃してやるよ。内はな。」

 

 

岸辺の言葉に場の空気が少し重くなる。

 

 

マキマ「では私も聞きたいのですが、襲撃の日の朝、私が移動中に特異1課より防弾ベストの着用と巡回の周囲警戒の通達があったそうですが、それについて教えて下さい。」

 

 

岸辺「俺自身の伝手で襲撃に関するタレコミがあった。確証が無かったから通達を代わりに出した。それだけだ。」

 

 

マキマ「その伝手とは誰ですか?」

 

 

マキマも岸辺も表情を崩さない。場の空気がひりついていく。空気が歪み、岸辺が酒を飲んでいたグラスにヒビが入った時、部屋の襖が開き、1人の女性が現れる。

 

 

大家「それは私よ。マキマさん。」

 

 

マキマ「貴女は……。」

 

 

岸辺「姐さん……。」

 

 

それは大家だった。着物を着ており、一見すると料亭の女将の様に見える。が、その実態は岸辺の師匠であり、その昔、人が悪魔と契約せず、自らの力で悪魔と対峙していた時代に生きた人。岸辺を鍛え、クァンシとバディを組ませた人物である。

 

 

大家「私が昔の伝手で公安が襲撃される事を掴み、それを弟子である岸辺君に伝えた。…何もおかしくはないでしょう?」

 

 

マキマ「………そうですね…。貴女であれば事前に察知する事は可能でしょう。ただ勘違いしないで欲しいのは、私は悪魔から1人でも多くの人を救いたいだけです。今回の襲撃犯に対する捕縛作戦が成功すれば、4課の存在を積極的に報道することになっています。そうすれば4課は今より動きやすくなって、より悪魔から人を救える。」

 

 

岸辺「嘘つき。」大家「嘘ね。」

 

 

2人同時にマキマの言葉に嘘と返す。マキマは不適に笑い、部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

大家「岸辺君。彼女、厄介ね。」

 

 

岸辺「ええ。中々尻尾を掴ませません。玲世の言う未来ではこの時点で特異課は人外以外ほぼ死亡。合併してマキマの指揮下になる。…今回の襲撃に関する奴の目的はおそらく手駒となる死体の確保と4課の地位向上でした。玲世の情報で死者は抑えられましたが、マキマに指揮権が移ってしまった。」

 

 

大家「まだまだ予断は許さないわね。そういえば、例の少年と魔人を育てているんだって?あのヤンチャだった岸辺君が今は先生か〜。………………狂犬岸辺から見てどんな感じ?」

 

 

岸辺「やめてください、昔の事は…。とりあえずは及第点ですかね。2人がかりでなんとか俺に傷を付けられるくらいには育ちました。………なんですか、その顔は。」

 

 

少し笑みを浮かべデンジとパワーの事を語る岸辺を、笑みを浮かべた大家が見ている。岸辺は顔を逸らし、酒を飲む。

 

 

大家「別に。こうして後進が育っていって、いずれ老骨はいなくなる。私もそろそろかしら。こっちも玲世ちゃんが育ってきてるし。」

 

 

岸辺「貴女はそんなたまじゃないでしょう。狂犬や始まりのデビルハンターが恐れる女傑が何を言ってるんですか。冗談はその強さだけにしてください。」

 

 

大家「ふふふふ岸辺、死にたいか?………………ッコホン。イヤだわ、こんなか弱い年寄りにそんなに辛く当たって。弟子が反抗期で、私泣いちゃいそう。」

 

 

岸辺「もう勘弁してください。姐さん……。」

 

 

先程までの空気はどこへやら。そこにはかつての師弟の顔をした岸辺と大家がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襲撃犯捕縛作戦当日ーーーー

 

都内某ビルにて

 

 

岸辺「作戦は無い。特異課全員をビルにぶち込む。いいな。」

 

 

特異課の合併により、新4課の隊長となった岸辺さんから簡単過ぎる作戦が告げられた。新4課、つまりデンジ君、パワーちゃん、アキ君、姫野さん、コベニちゃん、あとは原作通りビーム君、暴力の魔人さん、蜘蛛の悪魔、天使の悪魔こと天使君、そして民間からの協力者である私の10名だ。

 

とは言ってもビーム君以下4人の悪魔、魔人はすでに地下駐車場に突入している。私達はこれからビル内部に突入する。

 

 

岸辺「あとは…姫野、任せた。俺は神奈川県警と退魔2課に悪魔どもの説明をしてくる。……面倒くさいが。」

 

 

岸辺さんは姫野さんに任せて場を離れる。姫野さんは「まったく、先生は変わんないな」と溜息をつき、私達の方を見る。

 

 

姫野「えーと、じゃあ私とアキ君は地下駐車場の敵を掃討後、ビル内部に突入。デンジ君とパワーは先にビル内に突入して敵を発見次第、無力化して。コベニちゃんはバックアップよろしく。あと玲世さんは……。」

 

 

玲世「えっと、私もデンジ君達と一緒で良いでしょうか。駐車場と違って2人だけだし、何かあった時に対応が難しいんじゃないかと…。」

 

 

姫野「…だそうだけど、2人はどう?」

 

 

デンジ「ナナシが良いなら別に〜。……待てよ。逆になんかあったら助けて、借りをチャラに出来るんじゃねぇか!?」

 

 

パワー「フン。ワシの強さに恐れ慄くがいい。」

 

 

姫野「…………うん。大丈夫そうだね。じゃあ玲世さん、2人の面倒よろしく。新4課、出動!!」

 

 

私達はビルに向かう。襲撃篇の最後の山場だ。特に問題はなかったはずだけど、油断せずに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下駐車場内にて

 

 

駐車場内に2種類の死体がひしめき合っていた。1つは喰われ、粉砕され、切断された死体。もう1つはゾンビの悪魔によってゾンビ化させられた民間人である。先に突入していた悪魔、魔人達と先程突入してきた姫野達の手で徐々にゾンビは掃討されつつあった。

 

 

姫野「相変わらず悪魔と魔人は恐ろしいね。ゾンビと言えど同情するかも?」

 

 

アキ「姫野先輩、調子はどうですか?」

 

 

姫野「何?アキ君、心配してくれてるの!?大丈夫!君のバディは絶好調〜!」

 

 

アキ「なら良いんですけど、ね!」

 

 

2人は会話をしながらゾンビを殺していく。姫野はゴーストの手で。アキは天使の悪魔が生成した刀で。刀は狐の悪魔、呪いの悪魔が使用出来ないアキに岸辺が天使の悪魔に用意させた物だ。ゾンビ相手なら容易く両断出来る威力を持つ。

 

 

姫野「その刀凄いね。私のゴーストも切れるんだって?ゴーストが「刀、怖い……」って言ってたよ。」

 

 

天使の悪魔「うぇぇ…靴汚れた…コイツ最悪…。そこのキミ…ハンカチ持ってない?」

 

 

そこに刀を生成した張本人である天使の悪魔がアキに話しかけてきた。その名の如く、頭に天使の輪、背中に翼を持つ赤い長髪の男性だ。しかし天使の特徴と中性的な顔立ちから女性にも見える。

 

 

姫野「あ、天使君だ。お疲れ様。」

 

 

アキ「ほら。これ使え。」

 

 

アキが天使の悪魔にハンカチを手渡す。

 

 

天使の悪魔「よく僕に近づけるね。触れられたら寿命短くなんのに…。」

 

 

アキ「布越しならだったら大丈夫なんだろ。」

 

 

周りが未だ戦闘中にも関わらず、そこだけ普段の一面の様に見えた。

 

 

姫野「むぅ。アキ君がなんか天使君に優しい…。私も汚れたかもー。アキ君ー。拭いてー。」

 

 

アキ「先輩はゾンビに近寄ってすらない……、っ先輩!」

 

 

棒読みでアキにありもしない汚れを拭かせようとする姫野にアキが返事をした瞬間、角から現れた2人の人間が銃を発砲した。しかし2人を包む翼によって防がれ、姫野とアキが敵に反撃し昏倒させる。

 

 

天使の悪魔「いたた…。」

 

 

姫野「あ、ありがと…。天使君。」

 

 

アキ「……悪魔。こいつらを外に運べ。俺達は上に向かう。」

 

 

天使の悪魔「人間に命令された…。まぁ戦うよりいいけど…。」

 

 

地下駐車場は掃討が終わろうとしていた。姫野とアキは地下駐車場を悪魔と魔人に任せ、ビルの上階へ向かう。

 

 

姫野「アキ君。ストップ。」

 

 

アキ「ええ。分かっています。」

 

 

ビル内の通路の先に金髪に赤いパーカーの女がいた。沢渡アカネだ。アキは投降を促す。

 

 

アキ「大人しく投降し」

 

 

アカネ「ヘビ 吐き出し。」

 

 

沢渡アカネが鼻血を出しながらヘビの悪魔に命令する。ヘビの悪魔は大量のゾンビを吐き出し、2人と相対する。

 

 

姫野「アキ君、あの女をお願い!私は周りのゾンビを殺る!」

 

 

アキ「了解!」

 

 

姫野がゴーストの腕で周りのゾンビを削り殺し、アキが沢渡アカネに接近する。

 

 

アカネ「ヘビ 尻尾。」

 

 

アキ「くっ!!」

 

 

通路にヘビの尻尾が現れ、ゾンビを砕きながらアキに向かう。大量のゾンビが目眩ましとなり、アキは回避に精一杯だった。

 

 

アカネ「まだだ。ヘビ  尻尾 振り下ろし。」

 

 

ヘビの尻尾が上から振り下ろされる。回避直後でアキはすぐに動けない。アキに直撃する直前、尻尾の動きが急に止まる。

 

 

姫野「ふぎぎぎぎ!…だ、大丈夫?アキ君…。」

 

 

姫野がゴーストの腕を伸ばし、尻尾に絡ませ動きを止めていた。

 

 

アカネ「ちっ、だがキサマは無防備だ!ゾンビども、あの女を殺れ!」

 

 

沢渡アカネの命令で残りのゾンビが姫野に殺到する。ゴーストの腕はヘビの尻尾の動きを止めているため、対処が出来ない。

 

 

アキ「姫野先輩!」

 

 

アキが叫ぶ。あと僅かでゾンビが姫野を襲う瞬間、斬撃が走り、周りのゾンビの首が飛ぶ。

 

 

コベニ「だ、大丈夫ですか?姫野先輩。」

 

 

そこにいたのは、包丁を構えたコベニ。バックアップとして丁度、2人の応援に来たのだった。

 

 

姫野「コベニちゃん。ナイスタイミング!アキ君、こっちは大丈夫だからやっちゃえ!」

 

 

アキ「うぉぉぉぉ!!」

 

 

アキが裂帛の気合と共に、ヘビの悪魔の尻尾を両断し、沢渡アカネの首筋に刀を当てる。ゾンビを殺し終えた姫野とコベニが合流する。

 

 

アキ「悪い、コベニ。助かった。」

 

 

コベニ「い、いえ、こちらこそ、応援が遅くて、すみません!」

 

 

姫野「いやいや、お陰で助かった。また死にかけちゃったな〜。…………公安襲撃の実行犯として、お前を捕縛する。大人しくしな。」

 

 

姫野が沢渡アカネの両手に特製の手錠をはめる。ここに沢渡アカネとの戦いは決着した。

 

 

 

 

 

 

 

時間は遡り、新4課突入直後ーーーー

 

エレベーター内にて

 

 

エレベーター内が臭い。肉が腐った匂いがしている。私は鼻を摘みながら、エレベーター内にいる。他にはデンジ君とゾンビの腕を食べながら言い争いをしているパワーちゃんがいる。

 

 

デンジ「ゲロォ〜!」

 

 

パワー「あ?肉は肉じゃろ!豚も牛も人も同じじゃ!!」

 

 

デンジ「全然違うね!俺達の仕事はサムライソードを捕まえる事だ!捕まえても食うんじゃねえぞ!」

 

 

玲世「まぁまぁ、2人ともそこら辺で」

 

 

チーン

 

 

エレベーターが音を立て、扉が開く。表示は7階となっていた。扉の先にはフロアいっぱいのゾンビが。まだこちらに気づいていないようだが、映画などではこういう時に音を立ててしまい、一斉に気付かれるのが定番だ。

 

 

3人で黙り込む。考えている事は同じかな、と思った襲撃、パワーちゃんが、

 

 

パワー「ワシの名はパワー!!…コイツらなら倒せる…勝負じゃ!!」

 

 

とゾンビに向かって叫んだ。

 

 

デンジ「はあ!?」

 

 

玲世「ええ!?」

 

 

パワー「デンジ、ナナシ!!ワシについて来い!後ろは任せるぞ!!」

 

 

パワーちゃんは血の武器を作り出し、ゾンビに突撃する。私とデンジ君は言葉を失い、エレベーター内で呆然と立つ。

 

 

パワー「どうじゃ!どんなもんじゃ!ワシは逃げてない!!気高い!!美しい!!」

 

 

ゾンビを切り殺していくパワーちゃんの前に一際大きいゾンビが立ち塞がる。

 

 

パワー「強敵じゃ…!デンジ、ナナシ!見てろ!そして言い伝えろ!パワーが1番最強じゃ!ガハハハハハ!」

 

 

ウィーン、バタン

 

 

高らかに笑うパワーちゃんを他所にエレベーターが閉まり、上に向かう。私は正気を取り戻し、デンジ君に確認する。

 

 

玲世「えっと……、パワーちゃん大丈夫かな…?」

 

 

デンジ「大丈夫だろ〜、多分。あんなのに付き合ってらんね〜よ。」

 

 

チーン

 

デンジ君は欠伸をしながら胸のスターターに指を掛ける。エレベーターが止まり、扉が開く。今度は扉の外にゾンビではなくサムライソードが待っていた。

 

 

玲世「サムライソード…!」

 

 

デンジ「出たなモミアゲマン。」

 

 

SS「待て待て待て。少し話さないか?お前の態度次第じゃ俺達は投降するつもりだ。俺達はただ怒りを収めたいだけなんだ。」

 

 

サムライソードが両手を上げ、デンジ君に語りかける。人を殺しても心が痛まないデンジ君に対し、心が人ではないと言うサムライソード。

 

 

SS「少しでも人の良心が残ってるなら、俺達に大人しく殺されねえか?あんたもそう思うだろ?」

 

 

サムライソードは私にも話しかけてきた。私は問いに対し、

 

 

玲世「貴方にデンジ君の何が分かんのよ。そもそも貴方達だって同じ様なモノじゃない。何の関係も無い公安の皆さんを襲撃して殺そうとして。自分のアホ面を見てからもの言いなさい!このスットコドッコイ!!」

 

 

デンジ「そうだ、そうだ〜!」

 

 

SS「なるほど……。じゃあ2人とも斬り殺してやるよ!!」

 

 

デンジ「やってみろよ、バァ〜カ!!」

 

 

サムライソードは左手を引き抜き、デンジ君は胸のスターターを引く。武器人間特有の変身手段だ。私も臨戦態勢をとる。直後、サムライソードが変身しながら身を屈める。「居合」だ!

 

 

デンジ「ああ!?出たなソレ!!それズルいんですけど!!」

 

 

玲世「デンジ君!!」

 

 

次の瞬間、私達にサムライソードが突進。デンジ君がチェンソーで「居合」を受け止め、私が背中の空気を爆発させ、少しでも衝撃を和らげるが、一塊となってビルの外に飛び出す。

 

 

玲世「くぅ!!」

 

 

SS「何ィ!?」

 

 

デンジ「俺を斬り殺すんじゃねぇのかよ!?あァァ!?」

 

 

私達はもつれ合い、建物の屋根を滑り走行中の電車の上に激突する。私はデンジ君のクッションとなり、上を見上げる。サムライソードが降ってくる。

 

 

デンジ「ワリぃ!ナナシ!…アイツどこ行った!?」

 

 

玲世「デ、デンジ君!上!!」

 

 

サムライソードがデンジ君に襲い掛かり衝撃が走る。電車の屋根を突き破り、内部に叩き込まれた。電車が急停止し、乗客が一目散に避難する。再度サムライソードが身を屈め「居合」を使おうとするが、巻き込まれた乗客だったろう女性がタイミング悪く起き上がり、デンジ君と私が庇う。

 

 

デンジ「オイオイオイオイ!!」

 

 

玲世「危ない!!」

 

 

キィィィィィン

 

 

金属音が鳴り響き、デンジ君の左腕と私の右腕が斬り飛ばされ、私は吹き飛ばされる。腕の激痛に耐えながら、乗客の女性に避難するよう促し逃がす。再度、サムライソードが「居合」の構えをとる。

 

 

玲世「ハァ、ハァ、ハァ、…アイツ…!」

 

 

息が荒くなるが、右腕を抑えながらサムライソードを睨み、反撃の機会を伺う。ボンちゃん達が心配する気持ちが伝わる。心配かけてゴメンね。

 

 

デンジ「なぁ!禁止にしようぜ、それ〜!」

 

 

「居合」が閃き、デンジ君の右腕が切断される。私は急いでデンジ君を支える 。するとデンジ君が私だけに聞こえるように小声である事を話す。私はそれに頷き、その時に備え準備する。

 

 

SS「もう戦えないだろ、なぁ、デンジ。死ぬ前に爺ちゃん殺した事…俺に謝罪しろ。」

 

 

デンジ「まだ戦えるぜ…。頭んチェンソーが残ってるからなぁ!!」

 

 

SS「馬鹿が!!」

 

 

デンジ君とサムライソードが高速ですれ違う。デンジ君の頭のチェンソーが砕ける。

 

 

SS「爺ちゃんに教わらなかったか?引き時ってヤツをよ。…爺ちゃんに謝罪しろ。そうしたら楽に殺してやる。」

 

 

デンジ「ご丁寧に頭狙ってくれてよぉ!あんがとなバァ〜カ!」

 

 

SS「は?」

 

 

サムライソードの言葉と同時に、サムライソードが両断される。狙い通り。最後の対決の前に、デンジ君が私に小声で話しかけてきたのは、

 

 

デンジ「ナナシ、次の時に俺の背中とアイツの前を爆発できるか?」

 

 

私の爆発を使い、デンジ君の加速とサムライソードの減速を提案してきた。一瞬のタイミングだったけど成功してよかった。両断されたサムライソードから血が噴き出す。私はデンジ君の隣に立つ。

 

 

玲世「お爺ちゃんに教わらなかったかしら?」

 

 

デンジ「獣が狩人の言葉を信じるなってな〜!?」

 

 

満身創痍だが、なんとかサムライソードを撃破した。デンジ君と2人でサムライソードを電車の外に出し、サムライソードの左手を引き抜くと、まるで巻き戻しの様に身体がくっついた。

 

 

玲世「…良し。私は警察に連絡してくるから、デンジ君コイツ見張っていてくれる?」

 

 

デンジ「良いけどよ…。オマエ腕大丈夫か?人間は腕くっつかねぇだろ?俺はくっつくけどよ。」

 

 

玲世「大丈夫。私は魔人…だから。血を飲めばくっつくわ。…ふふっ、吸血鬼みたいだね。」

 

 

デンジ「キューケツキー?なんだそりゃ?」

 

 

私は警察に連絡しに行く。警察の人と会った時、アキ君が事前に連絡していたようで応援に行く所だった。警察の人とデンジ君の所に戻った時、デンジ君とアキ君が大会を開いていた。……何の大会かは聞かないでほしい。サムライソードが悶絶し、悲鳴を上げていた事は伝えておこう。

 

夕日が輝く空に2人の笑い声と1人の悲鳴がいつまでも響いていた。

 

 

 

 

 

 

襲撃はこれにて完結したーーーー

 

次の試練は玲世に密接に絡み合う縁ーーー

 

名無しの少女と爆弾の魔人が待ち受けるーーーー

 




これにて襲撃篇完結となります。
次回は襲撃篇までの人物紹介を行う予定です。
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