ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜 作:wasirunoguchi
場面転換が何度かありますがよろしくお願い致します。
※レゼの名前ですが、レゼの姿の場合はレゼ、武器人間の場合はボム表記とさせて頂きます。ご了承下さい。
高台にて
ドカァァァァァァァァァン!!
高台が爆発する。レゼちゃんとの戦闘になった私は足で地面を削り滑りながら後方の木に背中をぶつける。レゼちゃんは少し後退しただけだ。
強い。
一度力を交えたけど、それだけで不完全な変身の私とは雲泥の差がある。これが武器人間。サムライソードも強かったけど、レゼちゃんはもっと強い。
ボム「私と同じ力……?……そうだとしても、この程度で私を止めようとしてるんですか?…………邪魔だから追ってこないでくださいね。邪魔だから。」
玲世「…!待ちなさい!」
レゼちゃんは柵に乗り、足を爆発させてビーム君を追う。マズい。早くレゼちゃんを追わなくちゃ!
私は空気を爆発させて後を追う。柵の向こう側ではビーム君とレゼちゃんが戦っていた。
ボム「アナタも4課の一員なのかな?今デンジ君を置いて逃げるなら見逃すよ?」
ビーム「ヴヴ、ヴヴヴヴヴ!!ヴァ!!ギャワ!!」
ボン!!
ビーム君が頭をサメの悪魔に変身させて襲いかかるが爆弾の力で一蹴されてしまった。私は上空から空気弾を乱射。弾幕を張りつつ近寄るが、簡単に弾かれる。そのまま、身体能力を爆発させ、格闘戦に入る。
ボム「往生際が悪いって言われませんか?私には敵わないんだから、無駄な足掻きは止めてください!」
レゼちゃんの爆弾パンチが私の腹部を捕える。吹き飛ばされ、斜面に激突する。腹部に激痛が走り血を吐く。見ると腹部が右半分爆撃によって無くなっていた。クーちゃんが傷に貼り付き、ケーちゃんが千切れかけたウエストポーチから血を取り出す。その時、道に車が止まる。原作でもあったデビルハンターの人達が出て来る。
ハンターA「チキショ。祭り行きたかったのに…。」
ハンターB「うわ、なんか殺してやがる。」
ハンターC「祭り解除付近で悪魔発見。18時34分、戦闘開始。」
ボム「民間のデビルハンターかな?」
パチン
レゼちゃんが指を鳴らすと電撃の様な火花が3人に向かう。私は治りかけの腹部を無視し、爆発前にその火花を殴り、相殺する。
玲世「退きなさい!ここは公安が対処しています!死にたくないなら避難して!!」
私の一喝に3人が慌てて車で走り去る。危なかった。私の見てる前で、人殺しはさせない。
玲世「ハァ、ハァ、ハァ…。」
ボム「いい加減しつこいですよっと。」
パチン
レゼちゃんが再度指を鳴らす。私は咄嗟に爆発を防御するが、腹部の傷もあり、踏ん張りが効かず、腕ごと吹き飛ばされる。
ボム「さて…、デンジ君は…、って逃げ足早っ。」
レゼちゃんが爆発の力で空を飛んでいく。今度は公安の人達が危ない。痛む腕と腹部を無視し、私は再度、レゼちゃんを追う。
公安対魔2課訓練施設にて
「勝負アリ!!」
アキ「ありがとうございました。」
俺は試合後の一礼をする。ここは対魔2課訓練施設。先輩の野茂さんに頼まれ、ここで2課の人と模擬戦をしている。姫野先輩、天使の悪魔も一緒だ。
姫野「お疲れ様。アキ君。」
野茂「アキィ〜。わざわざ来てもらってすまないな。」
アキ「野茂さんの頼みは断れません。」
野茂「おお?そうか?なら今からでも2課に戻ってこい。特異課なんて血生臭い話しか聞かないぞ。順当に行けば5年後には俺が副隊長になる。そうなったら本気でお前を誘うからな。」
アキ「ありがとうございます。」
姫野「ちょっと〜!?野茂君、アキ君を変な道に連れてかないで。アキ君は4課でずっと私のバディだからね!5年後でも駄目〜。」
野茂さんが本気でオレに来てもらいたいと考えているのは分かる。問題はオレが5年後に生きてはいない事だが。オレの寿命の事はデンジとパワーしか知らない。
帰り支度を終えて、3人で通路を歩いている時に、天使の悪魔が口を開く。
天使の悪魔「ねぇねぇ。5年後にはもう死んでますって言ってないの?」
姫野「ぇ゙?…なにそれ?アキ君、私聞いてないよ。」
アキ「………その事、誰から聞いた。」
天使の悪魔「パワーちゃん。」
アキ「あの糞悪魔………。」
姫野「アキ君〜?先輩に〜、何か〜、言う事が〜、あるんじゃないの〜〜!!」
オレはパワーの口の軽さに辟易し、天使の悪魔の無神経さに呆れ、姫野先輩の怒気を前に寿命の事を話した。話す予定は無かったが、姫野先輩には逆らえない。なぜならたくさん弱みを握られているから。
姫野「あと2年ってど〜ゆ〜事〜!?このままじゃ私未亡人じゃん!!何処かに寿命の悪魔とかいない〜!?」
アキ「いや、先輩。まだ結婚してませんし、寿命の悪魔とかいても嫌ですって。」
天使の悪魔「君達は愉快だね…。僕は早く死にたいな〜。生きてると頑張らなきゃいけないからね。死ねば頑張らなくていいし…。」
天使の悪魔がそう言って先に行く。すると野茂さんが先の曲がり角から現れる。
野茂「姫野さん!アキ!下に来てくれ!すぐ!」
姫野「行くよ!天使ちゃん!」
ただならぬ雰囲気に姫野先輩とオレは意識を切り換え、野茂さんの後を追う。姫野先輩はゴーストの手で天使の悪魔の服の襟を掴み、引きずっていく。いい気味だ。
野茂さんを追い玄関に来ると、そこには瀕死の状態のデンジとサメの魔人がいた。
野茂「入り口で自分は特異課だと呻いていた。この魔人が本当に仲間なのか?」
アキ「は…はい!……おい、デンジは悪魔にやられたのか?」
ビーム「うぅ…。ボムが来る…!ボム同士で戦ってたけど、強い方が…。ボム…。銃の悪魔の…仲間。」
姫野「銃の悪魔…!?」
アキ「なんでお前がそんな情報を知ってるんだ。答えろ。ここでお前を殺す事だって出来るんだ。」
ビーム「話したら殺される…!マキマ様との約束…!」
アキ「マキマさん…?」姫野「クソお……マキマさん?」
何故マキマさんの名前が魔人から出て来る?なにか契約している?でも今の言い方だと契約しているのは魔人の方…?
ビーム「あ!キタ!キタ!ボム来た!」
魔人の声で現実に引き戻され、その場にいた全員が玄関から外を見る。女だ。謎の女が笑みを浮かべ、立っていた。
野茂「そこの美女!!すまないがこれ以上近づくな!!ここは対魔2課の訓練施設だ!!民間人の立ち入りは禁じられている!」
レゼ「……ませ〜ん!!」
デンジ「レゼ……!」
野茂「レゼ…?」
レゼ「すいませ〜ん!!助けてくださ〜い!!悪魔に襲われてま〜す!!」
笑顔の女が笑みを浮かべ、悪魔に襲われてると言っている。その光景は異常の一言だった。姫野先輩がオレの袖を引く。
姫野「アキ君、アイツヤバい。ゴーストがサムライソードの時と同じ反応してる…。怖いって…。」
アキ「野茂さん。」
野茂「ああ。お仲間を連れて後ろに下がってろ。本部と副隊長に緊急連絡。ここにいる2課を全員呼べ。……しかしあの女、何処かで見た気が…。」
レゼ「ダメみたいだな〜。そりゃダメか〜。なら仕方ない。皆殺しコースかな?」
女の呟きは聞こえず、オレはデンジを担ぎ、姫野先輩、天使の悪魔と裏口に向かった。
町中にて
急げ、急げ、急げ!
私は傷だらけの状態でビルの上を飛ぶ。正直な話、もう少し勝負になるかと思ってた。もう少し粘れるものだと。大間違いだ。原作でもレゼちゃんは最後に海に落とされるまではほぼ敵無しだった。
ボンちゃん「レーセ!アイツ、悪魔の時の私と同等以上だ!多分、私から離れた心臓が純粋に爆弾に特化した感じだ!爆弾の恐怖が全部アイツの方に凝縮してる!だからあんなに強いんだ!」
玲世「わかってる!それでもやんなくちゃいけないの!!彼女を止めるのを、私が諦めるわけにはいかない!!どんなにみっともなかろうと、何度でも追い縋るしかないの!!」
私は叫びながら対魔2課の訓練施設の真上まで来た。レゼちゃんが公安の人達と向かいあっている。レゼちゃんが首を爆破し、首が落ちる。首爆弾だ!それを見た私は落下しながらレゼちゃんの首を爆破して着地。驚く公安の人を尻目に、首がないレゼちゃんの身体を蹴り飛ばし、敷地の壁に激突させる。。
野茂「誰だ!!……その制服は公安の仲間か…?何課だ!?」
玲世「特異4課の七篠です!彼女は私が食い止めますから、撤退を」
ボム「しつこい女は嫌われます、よ!!」
ボムとなったレゼちゃんが、超速で私の懐に飛び込み、ミサイルと化した足で蹴り上げ、爆風と衝撃で私を上空に打ち上げる。
ボム「もっと痛めつければ諦めてくれますか!!」
玲世「…っがぁ!!」
レゼちゃんの追撃が私を襲う。なす術のない私は攻撃を受けながら、地上に落下していった。
訓練施設裏口にて
アキ「車はオレが運転します!姫野先輩は2人に天使の悪魔の血を飲ませてください!」
姫野「わかった!ごめん、天使君!お願い!」
天使の悪魔「え〜…。仕方ないなあ…。」
アキ「…………………………。」
姫野「アキ君?どうしたの?」
アキ「畜生…。勝手にヤな未来見せやがったな…!」
直後、車の前方に人影が降りてくる。車のライトに照らされたその姿は黒い爆弾の様な頭に、ダイナマイトを付けたエプロンをした悪魔だった。そして、未来の悪魔がオレに見せた未来通り、こちらに突き出した手にはある女性が首を掴まれ宙吊りになっていた。
アキ「七篠さん!!」姫野「玲世さん!!」
ボム「私の力を見せるために痛めつけた。出来るだけ人殺しはしたくない。デンジ君を車から降ろして去りなさい。」
どうにかして彼女を助けようと考えていたがよく見ると、玲世さんの口が動く。
逃げて
姫野「アキ君!」
姫野先輩の言葉を合図に車を急発進させる。しかし敵が車の屋根に乗ってきた。
ボム「車はガソリンで丸焦げになっちゃうからな〜。色々面倒くさいん、だけど!!」
暴力の魔人「オラァ!!」
姫野「玲世さん!ゴースト、お願い!」
暴力の魔人が敵を蹴り落とすと同時に姫野先輩がゴーストで七篠さんを救出し、車の中に入れる。
アキ「特異課にも救援要請しといたが、助かった!」
七篠さんには聞きたい事があるが、今はここを離れる事を優先する。オレはアクセルを踏み込み、車を加速させた。
暴力の魔人「ッシャあ!!!」
俺は足の筋力を増大させて、ヤツに渾身の踵落としのお見舞いする…が、片手で止められてしまった。
暴力の魔人「嘘だろ!?……俺の本気の蹴りだぜ!?今の!!」
レゼ「いい蹴りだったよ。やろうか。」
相手がファイティングポーズを取る。これはヤバい。敵わない。そう感じた俺は瞬時に次の手段に移行した。
暴力の魔人「コベニちゃん!!作戦変更!!戦略的撤退だ!コイツは俺達より想像以上に強い!!逃げるぞ!!」
コベニ「!」
敵に後ろから襲いかかろうとしたコベニちゃんを担ぎ、戦略的撤退を行う。後ろから追撃が来ると思ったが、幸運にも何も無かった。
コベニ「な、なんで撤退を…!?」
暴力の魔人「あれはダメだ。俺が死ぬ気で、とかコベニちゃんと一緒に戦えば、とか関係無い。コベニちゃんが殺されるなら、迷わず撤退だ。俺達はバディだからね。」
コベニ「で、でも皆戦っているのに…。」
暴力の魔人「それなら、ここら一帯の避難を主導して欲しい。俺の勘だけどこの先もっと大きな被害が出ると思う。俺達が全力で戦えるように皆の避難をお願い。」
コベニ「わかり…ました。…本部、応答を。こちら特異4課…」
コベニちゃんが持っていた無線機で公安に連絡を取る。俺はコベニちゃんと別れ、アイツの後を追う。対抗するにはもっと力が必要だが…。……狐の手とか出せないか?俺?
アキ運転の車中にて
姫野「玲世さん!大丈夫!?」
玲世「ひ、姫野、さん……。彼女は……?」
アキ「今アイツから逃げてる所です。…アイツは一体何なんですか?」
アキ君が私に問いかける。魔人と言っていたお陰か姫野さんから血を貰っているが、あまり回復しない。
玲世「彼女は……レゼちゃん。……デンジ君の心臓を狙ってきたソ連の工作員。デンジ君と、仲良くなったんだけどね…。ボタンの、かけ違いってやつかな…。…爆弾の武器人間になっちゃった…。」
姫野「武器人間…?それってサムライソードと一緒の!?」
アキ「アイツと同じヤツか…。どうします?」
玲世「う、海に向かって…。爆弾は水分で爆発出来なくなるから…。町中だと被害が出る…。彼女を止めなくちゃ…。」
アキ「了解です!………あとでまた説明してもらいますよ!!」
車は方向転換し、海に向かう。なんとかしてレゼちゃんを海に叩き込むしかない。ボロボロの身体でどこまで出来るだろうか。
天使の悪魔「…………来た!!」
ボン、ボン、ボン
爆発音を轟かせ、レゼちゃんが追ってきた。後ろのトラックの荷台に着地する。
デンジ「…はっ!?」
天使の悪魔「ねぇねぇ。チェンソー君蘇ったけどさあ…、ボムガールもう後ろ来ちゃってるよ?」
アキ「チキショウ…。糞っ、どうなってんだ!この車、無線がイカれてやがる!…………いよいよとなればアイツに車ごとぶつかる!!アイツにデンジをやる訳にはいかない!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
姫野「アキ君!」
アキ「なんですか!?」
ギィィィィィン
姫野「デンジ君が車の屋根を切ってる!!」
アキ「ハァ!?やめろ、デンジ!!まだそんな血ィ飲ませてねぇぞ!!」
デンジ君がチェンソーマンとなって車の屋根を破る。市街地から少しは離れたとはいえ、まだ町中だ。私はイーちゃんの力をスタンバイさせる。
デンジ「痛くて死にそ〜って思いながら、俺のこんがらがった脳みそで、よォ〜〜〜く思い出してみたんだけどよ〜。」
デンジ「俺の知り合う女がさあ!!ナナシ以外、全員オレん事殺そうとしてんだけど!!」
デンジ「みんなチェンソーの心臓ばっか欲しがっちゃって!デンジーの心臓は欲しかねえのか!?あ〜!?」
デンジ君が魂の叫びをあげる。私の事はちゃんと女性として見てくれてたんだ。以外に細かいデンジ君に少し気が楽になった。
姫野「ち、ちょっと、玲世さん!?そんなボロボロで駄目だよ!!」
玲世「大丈夫です…。デンジ君1人じゃ太刀打ち出来ないから…。」
私は屋根から外に出ると、風が身体に打ちつける。デンジ君とレゼちゃんは激突寸前だ。
ボム「しっつこいな〜、玲世さん。あれだけやられてもまだ足りないの?」
玲世「…私が諦めの悪い女だって知らなかった?」
デンジ「ナナシ!オメェ大丈夫なのかよ!?…チッ、これ以上、俺のせいでコイツやられると借りは返せねぇし、目覚め悪くなっからよ〜。逮捕!逮捕する!」
ボム「ふぅ…。いいよ、おいで、2人とも。私達の戦い方ってのを教えてあげる。」
デンジ「教!えて!もらおーか!!」
デンジ君がレゼちゃんに突撃。迎撃のバンチを繰り出すレゼちゃん。私はイーちゃんの力でレゼちゃん自体をバリアで覆う。デンジ君がバリアで跳ね返って道に落ち、バリアが爆発で消滅する。爆発で周囲の人が逃げていく。
デンジ「ってぇ!なんだぁ〜?」
玲世「ごめん!デンジ君!大丈夫!?」
ボム「………何、今の?奥の手持ってるなんて意地が悪いね。」
道の真ん中で煙からレゼちゃんが現れる。傷らしい傷は無し。一瞬ターミネーターが被って見えた。
ボム「不思議なんだけど、玲世さんの力って何?私みたいに空飛んできたかと思えば、今みたいな変なのあるし。本当、なんなの?魔人の力?」
レゼちゃんの雰囲気に怒気が混ざる。魔人の事がバレてるとは思わなかった。…デンジ君経由かな?
玲世「デンジ君を殺したかったら…、私をなんとかする事だよ…?」
ボム「あっそ。わかった。」
デンジ「ナナシ!!」
レゼ「邪魔。」
デンジ君が私を守ろうとし、間に入るが、一撃で吹き飛ばされる。レゼちゃんが私の首を片手で絞め上げる。
玲世「…ぐぅ…!」
ボム「手加減してあげてれば調子に乗って。…もういいよ。楽にしてあげる。」
そのまま上空に飛び、私は離される。かろうじて見えたレゼちゃんの足がミサイルの形となり、私に突き刺さる。爆発を起こしながら、急降下していき、地面に貼り付けになる。
玲世「……がふっ。…ゴブォ。」
腹部から先の感覚がない…。左腕も…。私は血を吐き出し、横を見る…。そこにはレゼちゃんが立っていた。
ボム「…………ごめんなさい…。アナタは何も悪くないのに…。私の事は嫌いでいいから…、もう立たないでくださいね。」
私は薄れゆく意識の中で、泣いている少女の幻影が見えた。
爆弾の武器人間になす術がない玲世ーーーー
玲世は力尽き、万事休すーーーー
レゼに、玲世に、救いはあるのかーーーー
デンジ君があんまり活躍出来ていませんがご了承下さい。
次回もよろしくお願い致します。