ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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少し文章短めですがよろしくお願い致します。


第18話 変身の力と発想の力 VS武器人間ボム、台風の悪魔戦

 

町中にて

 

 

道路の中心で2人の人影が、まるでダンスの様に舞っている。だが、それはそんな生易しいものでは無い。人影の1人は早川アキ。数秒先の未来を見る未来の悪魔の力で、当たれば即死の猛攻を凌いでいる。そんな猛攻を仕掛けているのは武器人間ボム。レゼが爆弾の悪魔の力を解放した姿であり様々な「爆弾」を操る、いわば歩く兵器であった。

 

 

だが、そんな悪夢の様なダンスは長くは続かない。数秒先の未来に対し、アキが反応し切れずボムの攻撃が直撃する瞬間、2つの爆発が起こった。一つは暴力の魔人が既の所でアキを救い、外れたボムの攻撃によって起こった爆発。そしてもう一つは玲世が倒れていた場所から起こった爆発であった。

 

 

暴力の魔人「あっぶな!悪い、遅くなった!」

 

 

アキ「初めて悪魔とダチになりたいと思ったぜ。だけどあっちの爆発はなんだ?さっきまで見えてた未来が急に見えなくなった。」

 

 

暴力の魔人「分からん。あそこには女性が倒れていたが。…なんだ?この重圧…?」

 

 

ボム(あそこは玲世さんが倒れていた場所…。もうあの人になにかする力は無いはず…。だけど、何?今感じてる謎の威圧感は…!?)

 

 

コッコッコッコッ

 

 

立ち昇る爆発の噴煙から足音がする。足音の主が噴煙より姿を現す。

 

それは純白の衣装であった。膝丈の白いノースリーブのワンピースの様な服に糸の様に細い導火線で編まれたロンググローブとハイヒールブーツ。そしてやや鋭角的になり、目元までを覆う爆弾の悪魔の頭部。口元は人であり、服装だけ見ればそのままパーティに出れるような出で立ちだった。

 

 

玲世「ゴメンね、レゼちゃん。衣装替えに時間が掛かっちゃった。役どころも把握したし、もう不甲斐ない所は見せないよ。」

 

 

まるでこれから劇の演技を再開するかの様に、玲世は立ち振る舞う。それを侮りと受け取ったか、ボムは無言で腕をミサイルに変化させ、玲世に攻撃する。今までとは違い、敵の全てを消滅させるかの如き速度とパワーであった。

 

玲世は右手を前に出し、ミサイルと化したボムの攻撃を受け止める。

 

ドカァァン!!

 

激しい衝突音が鳴る。アキ達は瞬間的に爆発に備えたが、爆発はなく、衝撃によって玲世の足元の地面が粉砕されただけだった。

 

 

ボム「…なっ!?」

 

 

玲世「駄目だよ、レゼちゃん。こんな町中で「爆発」なんて起こしちゃ。お姉さん、許さないよ。」

 

 

玲世は右手で掴んだボムの腕を引き、軽い動作で左裏拳をボムの腹部に打ち込む。直後、激しい爆発音と共に衝撃がボムの身体を襲う。玲世の打ち込んだ拳の衝撃がボムの体内で多重爆発。その音がまるで爆発音の様に聞こえたのだ。

 

 

ボム「げうぅ!!」

 

 

玲世「次行くよ!!」

 

 

純白の服をはためかせ、玲世が上段回し蹴りをする。ボムも腕を上げ蹴りを防御するがあまりの衝撃に後退を余儀なくされる。

 

 

アキ「あれは……、七篠さん…なのか…?まるであの爆弾野郎みたいな…。」

 

 

暴力の魔人「ありぁとんでもないな。俺みたいな魔人とは違う、本物の悪魔の力だ。」

 

 

ボム「ぐっ……!…アハハハ!凄い!なんですか、その力!私みたいな爆弾の力じゃない、だけど似た様な力を感じる!!」

 

 

玲世「ある意味、レゼちゃんと同じ力だよ。だけどこれは殺す為の力じゃない、誰かを守る為の力。」

 

 

玲世は同類を見つけたかの如く喜ぶレゼを憐れむかの様に言い放つ。同じ力であろうとも、使い方に隔絶した差があると。

 

 

ボム「ハハッ、悪魔の力が守る為!?そんなわけない!どこまで行っても悪魔の力は誰かを殺す為の力!普通の人間が持っていい力じゃない!」

 

 

ゴシャァァァ!!

 

 

台風の悪魔「レゼ様!台風、タダイマサンジョウシマシタ!」

 

 

ボムの諦めに似た叫びと共に、ビルを倒壊させながら台風の悪魔が乱入してくる。

 

 

ボム「さぁ、玲世さん。誰かを守るって言うんなら、まずは自分を守らないと!教えてよ、貴女の戦い方を!」

 

 

ボムが両手を広げ、爆発で空を飛びながら言う。玲世はその挑戦を受ける様に、自身も爆発の力で高速の空中戦に躍り出た。

 

 

台風の悪魔「レゼ様!…!?ナンダ、コノ膜は!?」

 

 

玲世「アナタが動くと街が壊れるから大人しくしといてね!!」

 

 

玲世はイーちゃんのバリアを台風の悪魔の周囲に張る。玲世が変身した事で、イーちゃんのバリアの出力も上がっていた。

 

 

ボム「余所見する余裕があるのかな!」

 

 

高速移動の中でボムは小手調べとばかりに両手から無数の火花を乱射する。御得意の遠隔起爆だ。

 

 

玲世「これくらい!ふん!」

 

 

玲世は正拳を繰り出す。放たれた拳は爆発的に加速し、音の壁を突破。それにより生じた衝撃波で遠隔起爆を防ぐ。

 

 

ボム「それはちょっと力技すぎない!?…じゃあ今度はこれ!」

 

 

ボムは自身のエプロンに付いていたダイナマイトを切り離し、ミサイルの様に発射する。ミサイルの雨と言わんばかりに広がり、玲世を追尾し、追いかける。

 

 

玲世「ちょっと!マク〇スじゃないんだから!!」

 

 

某アニメの可変戦闘機のミサイルの様に襲い掛かる攻撃を後退しながら、空気弾をマシンガンの様に射ち、迎撃する。

 

 

玲世(やっぱりさっきのやり取りで私がレゼちゃんの爆発に干渉出来るのは触ってる場合だけってバレちゃってるか。あれから直接の攻撃がないもんね。私もまだこの力に慣れてないし。)

 

 

玲世も大気を爆発させる事で不可視の攻撃とし反撃する。

 

 

ボム「…いったぁ…!玲世さんはさっきから意地が悪いですよ!卑怯です!もう少し分かりやすい人だと思ってました!」

 

 

ボムが爆弾をばら撒く。

 

 

玲世「そういうそっちこそポンポン爆弾ばら撒いて!周囲の被害も考えなさい!!このやんちゃ娘!」

 

 

玲世が爆発を突っ切り、ボムを殴り飛ばす。

 

 

玲世とレゼも先程までのシリアスな空気は何処へやら。口では互いに悪口を言いながら、片や憑き物が落ちたように、片や相手と対等になれた事を喜ぶ様に、戦いを続ける。それは殺し合いというより、試し合い、比べ合い、はしゃぎ回る友人の様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫野「アキ君!大丈夫!?」

 

 

コベニ「暴力さん!だ、大丈夫ですか?」

 

 

姫野はアキに抱き着きながら、コベニは少し距離を置いて相手の無事を確かめる。この辺り、性格が出ていると言えよう。

 

 

アキ「せ、先輩!そんな事してないで、近隣住民の避難はどうなったんですか!?」

 

 

姫野「それは大丈夫。コベニちゃんと協力して避難は完了。対魔2課や他の特異課の皆も手伝ってくれてね。」

 

 

天使の悪魔「ねぇ、お姉さん。悪いんだけど、血くれない?チェンソー君蘇らせたいんだけど。」

 

 

天使の悪魔が姫野に声を掛ける。どうやら頭を残して四肢が無いデンジを蘇らせようとしていた。

 

 

姫野「あ!さっきは気が動転してて忘れてたけど、先生に言われて血液パック持ってたんだった!はい、これ!」

 

 

天使の悪魔「………これがあるんなら、さっき僕が血を出さなくてもよかったんじゃ」

 

 

姫野「あ〜!ほらほら、急いで!玲世さん?があの怪獣みたいなのと爆弾の悪魔を抑えてくれてる間にさ!」

 

 

見ると巨大な悪魔の周りに透明な膜の様なものがあり、動きを封じている。あれが無ければ、街は破壊されているだろう。更にその周りを戦闘機のドッグファイトの様に2つの影が爆発を轟かせながら戦っている。

 

人が避難し、制御を失った花火が上がり、その戦いを彩る様に咲く。奇しくもそれは、一種の芸術にも見えた。

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴ

 

デンジに天使の悪魔が血を与え、息を吹き返したチェンソーのスロットル音と共にデンジが起き上がる。

 

 

ビーム「普通の悪魔なら死んでるのに…!さすがチェンソー様!すげぇすごい!!」

 

 

天使の悪魔「今は玲世さんって人が抑えててくれてるけど、このままキミの彼女を野放しにしたらもっと被害が拡大するよ。チェンソー君、選びなよ。大人しく彼女に殺されて被害を抑えるか、彼女を殺すか。」

 

 

デンジ「………こっちは簡単な選択肢だなぁ。レゼはわけわかんねぇくれぇツエーぞ。」

 

 

デンジの脳裏に高台でのレゼからの選択肢が浮かぶ。あれに比べれば、天使の悪魔の選択肢は簡単だった。

 

 

天使の悪魔「サメ君はチェンソーの悪魔の事、知ってるみたいだね。今日死にたくなければ話せる事を話すべきだよ。」

 

 

ビーム「………チェンソー様…、足超速い…。でも移動する時、足だけじゃない…!チェンソーのチェーン使って移動してた…!チェーン飛ばして、引っ掛けて建物から建物へ…!」

 

 

デンジ「そうか…!サムライソードは居合で移動してたし、ナナシやレゼも爆発で移動していた!俺も自分の力を応用するべきなんだ!」

 

 

デンジの頭に電流の如き閃きが走る。今までノーベル賞とかを取ったヤツはこういう感じだったのかとデンジは悟る。

 

 

ビーム「チェンソー様天才!チェンソー様天才!」

 

 

デンジ「チェンソーを使った移動…!そういう事か!わかった!じゃあやってやるぜ!!ビーム!サメになれ!!」

 

 

ビーム「はい!」

 

 

 

 

 

デンジ「こういう事だあア!!」

 

 

 

 

 

こうしてサメの悪魔に変身したビームの上にチェンソーのチェーンを手綱代わりにしたデンジが跨るという形態が爆誕した。

 

 

デンジ「俺がチェーンで調教して!ビームが馬みてぇに走るってことだ!!」

 

 

ビーム「チギャウ……、チギャウ……。」

 

 

天使の悪魔「そういう事なの!?違うんじゃないか!?なんかこうチェーンを腕から飛ばして建物に引っ掛けてさ!ねぇ!?」

 

 

想像の斜め上を行ったデンジの発想と言葉から感じれるビームの悲壮感にさすがの天使の悪魔もツッコミを入れ、姫野に確認する。

 

 

姫野「あ〜、うん。どうしようもないね。」

 

 

デンジ「あ〜?これが正解だよなぁ、ビーム!!」

 

 

ビーム「………正解!!正解!!正解!!正解!!」

 

 

デンジ「っしゃあ!!走れビーム!!」

 

 

デンジを乗せ、ビームが高速で走り出す。ビルの壁を垂直に登り、玲世とレゼの戦闘に乱入する。

 

 

玲世「デンジ君!?……っアハハハ!やっぱりやった!ビームカーだ!」

 

 

ボム「あはははは!なにそれ〜!」

 

 

ビームに乗るデンジを見て玲世とレゼが笑い合う。

 

 

デンジ「あんだ〜!?お二人さん!随分楽しそうじゃねぇか!!俺も混ぜろや!!」

 

 

台風の悪魔「フン!来タナ!!チェンソー!!」

 

 

台風の悪魔がイーちゃんのバリアを破壊し、自由になる。

 

 

ボム「デンジ君!蘇った事後悔させてあげる!意地悪な玲世さんもね!!」

 

 

デンジ「ナナシ!ビーム!俺を後悔させんじゃねぇぞ!!」

 

 

ビーム「ハイ!!」

 

 

玲世「了解!デンジ君!やんちゃ娘のレゼちゃんを一緒に止めるよ!!」

 

 

ここに玲世&デンジ&ビーム対武器人間ボム&台風の悪魔の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

こうして戦いは最終局面を迎えるーーーー

 

玲世、デンジ、レゼは戦いを通じて何を掴むのかーーーー

 




デンジの発想は斜め上です(笑)
次回もよろしくお願い致します。
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