ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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前回の続きとなります。
よろしくお願い致します。


第19話 長い夜の夜明け VS武器人間ボム、台風の悪魔戦2

 

 

町中にて

 

 

天使の悪魔「うわ!」

 

 

アキ「糞っ…!皆、何かに掴まれ!」

 

 

姫野「わわ!?ゴースト!!」

 

 

コベニ「う、うわ、わ〜!!」

 

 

暴力の魔人「コベニちゃん、掴まれ!こりゃ怪獣バトルだ!大人しく観戦してるしか無い!」

 

 

台風の悪魔によって瓦礫が浮き上がる。デンジ達の戦闘機の余波で爆発や切断されたコンクリート片が吹き荒れ、アキ達を苦しめる。

 

 

天使の悪魔「わ!?」

 

 

天使の悪魔が風に耐えきれず、身体を浮かせ台風の悪魔に吸い込まれていく。咄嗟に電柱に掴まったアキが天使の悪魔の服を掴み耐えていた。

 

 

アキ「何かに掴まれ!…お…、う…ぐうう…!!」

 

 

天使の悪魔「ムリ!無理だ!!……いい、いいんだ!手を離していい!死ぬなら死んでいい!今日が死期だったんだ!大丈夫…!死ぬ覚悟はずっと出来ている!」

 

 

アキの手が耐えきれずに離れる。全てを諦めた天使の悪魔は目を閉じ、自身の死を受け入れていた。

 

しかし、身体になにかか巻き付いて来た。天使の悪魔が目を開くと、アキの横に姫野が居り、幽霊の悪魔の腕を天使の悪魔に巻き付かせていた。

 

 

姫野「アキ君!今!」

 

 

アキ「おおおおおお!!」

 

 

アキが天使の悪魔の手を掴み、自身へと引き寄せる。それを見た姫野が、2度と飛ばされぬ様に幽霊の悪魔の腕で3人毎、電柱に括り付ける。

 

 

天使の悪魔「何っ…なっ、なんで僕の手を触った!?死にたいのか!?」

 

 

アキ「死にたいワケねぇだろ!!今のでどれくらい寿命減った!?」

 

 

天使の悪魔「……2ヶ月くらい…。」

 

 

姫野「またアキ君の寿命が減った!…けど、私はまだ寿命の悪魔諦めてないからね!!」

 

 

天使の悪魔の申し訳無さそうな声に、姫野の大きな声が返す。いい意味で変わらない先輩にアキの気が少し紛れる。

 

 

アキ「死にたいならどっか目の届かない場所で死んでくれ。今みたいな事が続くとオレの寿命が保たないし、姫野先輩が本気で悪魔を探しに行っちまう。」

 

 

3人は身を寄せ合い、強風に耐えていく。

 

 

 

 

 

町中上空にて

 

 

台風の悪魔によって巻き上げられた瓦礫に交わる様に、レゼ、デンジ、ボムは鎬を削る。爆発し、切断し、殴り、蹴る。台風の悪魔も自身を構成する触手の様なものでボムを援護していた。

 

4者共に攻撃を繰り出すも台風の悪魔の風、破壊された瓦礫などがあり、命中には至らない。デンジはビームに乗り、ビルの壁や大きな瓦礫を使い移動を行い、玲世とボムは自身の力によって飛び回る。

 

 

デンジ「混ぜろとは言ったけど!全然当たんねーなぁ!フラフラし過ぎだぜ!2人ともよー!!」

 

 

ボム「まるでゴキブリみたいなデンジ君が言う事!?こっちだって当たんないよ!」

 

 

ビーム「バクハツもうコリゴリ!」

 

 

玲世「デンジ君、いちゃついてるとこ悪いけど、大きなお友達がご立腹!!」

 

 

台風の悪魔「チェンソオオオ!!」

 

 

台風の悪魔の触手がデンジを襲う。ビームに乗ったデンジはそれを足場としてボムに接近。片足を両断する。

 

 

ボム「イッた!!」

 

 

デンジ「もったいね〜な〜!美女の足ぃ切り落としちまった!」

 

 

台風の悪魔「レゼ様、ワタシノ血ヲ!」

 

 

台風の悪魔の血がボムに降り注ぎ、足が瞬時に再生される。

 

 

デンジ「あ、よかった!…よかね〜か!」

 

 

ボム「なんだかもうメチャクチャだ!」

 

 

玲世「デンジ君!ちょっと後ろ乗せてね!スピードアッ〜プ!」

 

 

玲世がデンジの後ろに跨る。それと同時に玲世の爆発の力によってビームがスピードアップする。

 

 

デンジ「うお!こりゃあゴキゲンだぜ!!上れ!!ビィーーーム!!!」

 

 

ビーム「ハァイ!!チェンソー様!!」

 

 

予想外のスピードにデンジが煽り、ビームが台風の中を爆走する。ビームの足は残像が残る程に速く動き、ボムや台風の悪魔の触手を置き去りにしていく。

 

 

玲世「…って、ビーム君!ストップ、ストップ!!上がり過ぎだって〜!!」

 

 

ビームは台風内の瓦礫や車などを足場に爆走していたが、暴走し過ぎて遥か上空に飛び出してしまっていた。直下には台風の悪魔が見える。

 

 

デンジ「へっ!台風ヤローがよく見えらぁ!こっから切り裂いてやるぜ!!」

 

 

玲世「デンジ君!チェンソーのチェーンって結構伸ばせる!?台風の悪魔を雁字搦めにするくらい!」

 

 

デンジ「あぁ!?やってみなきゃわかんねぇーけど、どうなんだ!?ビーム!?」

 

 

ビーム「大丈夫!チェンソー様、すごい距離伸ばしてた!」

 

 

その言葉を聞き、玲世達は急降下する。台風の悪魔が迎撃しようと触手を伸ばすが、デンジはチェンソーを触手に突き立てチェーンを伸ばしながら台風の様に回って切り裂いていく。

 

 

デンジ「俺ぁラクでい~ぜ~!!馬鹿みたいにチェンソー回してチェーン伸ばしてりゃいいだけだからな〜!!」

 

 

台風の悪魔「ギャアアアアアア!!くるなああアアアアア!!」

 

 

デンジはそのまま台風の悪魔をチェーンで雁字搦めにし切り裂きながら駆け抜ける。後ろの玲世がビームから飛び降り、デンジから伸びたチェーンに触れる。

 

 

デンジ「仕上げ頼むぜ!ナナシィ〜!!」

 

 

玲世「了解!!チェーン大爆発!!」

 

 

ボボボボボボボボン!!

玲世が力を発動すると、チェーンから連鎖的に爆発が起こっていく。炎が広がりやすい爆燃効果を持たせた爆発が台風の悪魔自身の風と巻かれたチェーンから急速に燃え広がり、台風の悪魔を消し炭にしていく。

 

 

台風の悪魔「オオオォォォォ………」

 

 

デンジ「よっしゃ〜!!…ってレゼは何処だ!?」

 

 

ビーム「あ!?チェンソー様!!」

 

 

いつの間にかデンジ達の真下にいたボムが腕を天に上げ、指を鳴らす。直後、光が瞬き、天を貫く程の大爆発が上がる。

 

 

ドドドドドドカァァァン!!

 

 

玲世「デンジ君!」

 

 

上空に打ち上げられたデンジをボムが追撃する。玲世もデンジを守る為、後を追う。ボムの腕の導火線が伸び、デンジを捕まえたボムは未だ上がり続ける花火の中、手を繋いだ恋人の様にデンジを振り回す。

 

 

玲世「させないよ!」

 

 

玲世がボムの導火線を蹴りで引き千切ると同時にビームがデンジをキャッチする。ボムが逃すまいと急速に接近し、両手が赤く光る。

 

 

玲世(これはヤバいかも!!)

 

 

すかさずイーちゃんのバリアでデンジとビームを包み、玲世はボムの攻撃に身構える。ボムは両拳で恐るべき早さのラッシュを打ち込む。一撃一撃が必殺の爆弾パンチだ。玲世も最大限に身体能力を向上させ、ラッシュの応酬で立ち向かう。

 

 

玲世「おおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

拳と拳がぶつかりあう。あまりの速さに玲世は爆発を抑制する事が出来ず、2人の間で無数の爆発が起こりバリア内のデンジ達と一緒に吹き飛ばされ、海辺の建物の近くに落下する。

 

 

玲世「いたたたた…。まさかラッシュの応酬するとは思わなかった…。」

 

 

デンジ「…いってぇ〜…!助かったぜビーム、ナナシ…。」

 

 

デンジはビームの口から這い出る。ラッシュの瞬間、バリアの中でビームがデンジを口の中に隠し、衝撃から守ったのだ。そこにボムが現れる。

 

 

ボム「デンジく〜ん。そろそろ諦めない?玲世さんも。」

 

 

デンジ「ん〜。」

 

 

玲世「う〜ん。」

 

 

デンジと玲世は唸りながらお互いの顔を見合い、ボムに向き直る。

 

 

デンジ「やだ。」玲世「やだ。」

 

 

ボム「ふふふ…。そうして息ぴったりな所を見せられると…、嫉妬しちゃうな…!」

 

 

玲世「……!」

 

 

デンジ「ナナシ!待ってくれ!」

 

 

ボムの威圧感が高まる。玲世は身構えるが、デンジが待ったをかける。

 

 

デンジ「わりーけど、最後まではオレ1人でやらせてくれ。ナナシはビームを頼む。」

 

 

玲世「………わかった。私は影の功労者を助けておくね。」

 

 

玲世はビームに近寄り、クーちゃんの力でビームの傷を癒していく。クーちゃんも変身に伴い、効果範囲が増大しておりビームを覆うように拡がった。

 

 

玲世が見守る中、デンジとボムが向かい合う。初動はボム。火花を飛ばし、爆破を狙う。デンジの右腕に命中し腕が飛ぶが、チェンソーのチェーンが繋がっており、鎖鎌を様に振り回し、ボムを近付けさせない。

 

 

ボム「…いい加減面倒だからさっさと死んでくれないかな!?」

 

 

ボムもデンジを見て中距離は不利と感じたのか、接近戦にシフトする。が、デンジも残る左手と頭のチェンソーを使い、やすやすと懐へは入らせない。

 

 

デンジ「だったら電話ボックスで初めて会った時に!さっさと殺しとくんだったな!!今まで殺して来たみたいによ!!」

 

 

デンジの言葉に瞬間、ボムの動きが止まるのを玲世は見た。戦いながらの移動により、デンジが海を背にする形で2人は海のすぐ横の建物に立っていた。

 

 

ボム「後ろは海。もう逃げ場はないよ。」

 

 

デンジ「ど〜かな?俺に泳ぎ方を教えたのは間違いだったな〜。」

 

 

ボム「え〜泳ぐの〜?溺れちゃうんじゃない?」

 

 

言うと同時にデンジは胸のスターターを引き、ボムは火花を放つ。デンジの左腕が爆破されるが、右腕同様チェーンで繋がっていた。勝機と見たボムは右腕を爆弾に変え、最大威力で決着を着けようとする。

 

 

ボム「…!?」

 

 

腕を振る瞬間、ボムの視界の隅に小さな火花が映る。ボムは自身が使うのと同じ、玲世からの遠隔起爆と推察。一瞬、ボムの意識がそちらへ向く。デンジから意識が離れる。その瞬間、火花は消え去り、ボムの身体にはデンジの身体ごとチェーンが巻き付いていた。

 

 

ボム「なっ!?」

 

 

デンジ「シケてても爆発できるのかァ〜!」

 

 

玲世「邪魔して悪いけど大好きな人の抱擁だよ。喜んでね!!」

 

 

玲世の言う通り、愛する2人が抱擁し合い、身を投げる様に海へと落下していった。

 

 

玲世「……ふぅ…。終わった…。……ビーム君、大丈夫?」

 

 

ビーム「…ウゥ、チ、チェンソー様は…?」

 

 

玲世「ん?…え〜と、好きな人と一緒に泳いでる…かな?でも2人の邪魔しちゃ悪いから、少し待ってようか…。」

 

 

ビーム「…わかった。…アンタ同じボムでもイイヤツだ。」

 

 

玲世は夜の海を見ながらデンジ達が死ぬのを待つ。町の被害は大きいが、恐らくレゼが虐殺するのは避けられた。しばらく経って玲世はビームと一緒に2人を引き上げ、海岸に移動した。死亡し、変身が解けた2人を横にする。

 

 

ビーム「ゴメン…。もうムリ………」

 

 

ビームが人型に戻りデンジの横で豪快なイビキをあげて寝る。レゼ、デンジ、ビームが並んでおり、変身を解いた玲世はそれを見て微笑んで海岸に座り、海を見ていた。水平線に日が昇り始める。

 

 

玲世「…イイヤツなら生き返るのを分かってたとしても、海で死ぬのを待ってたりしないよ……。」

 

 

推しの子が死ぬのを待つ。救う為とはいえ、見殺しにした。頭では分かっていても、心がそれを許さない。玲世の小さな呟きが海の音にかき消されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして混沌を極めた夜が終わるーーーー

 

明けない夜はなく、日が昇らない朝はないがーーーー

 

名も無き少女とチェンソーの少年に明日は来るのかーーーー

 




ボム、台風の悪魔戦決着です。
次回は本命とも言えるターニングポイントとなります。
次回もよろしくお願い致します。
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