ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜 作:wasirunoguchi
よろしくお願い致します。
公安会議室にて
岸辺「ーーーーと言う事で本日から彼女が4課に配属になった。何か質問はあるか。」
ここは公安の会議室。いつもの4課の皆が集まっている。ビーム君や暴力の魔人さんも一緒だ。そして岸辺さんの横に公安の制服を来たレゼちゃんが立っている。私と同じベスト有りのバージョン。一応、爆弾の悪魔と契約した民間のデビルハンター、先に4課へ出向していた私の後輩で協力者第2段、と言う設定だ。
………設定に無茶が有りすぎるのは重々承知。アキ君や姫野さんは対魔2課の訓練所で笑いながら助けを呼ぶ彼女を見ているし、パワーちゃんは「二道」でデンジ君のバディを取り合ったお陰で険悪だし。ビーム君はレゼちゃんがボムだと分かってガタガタしてるし、コベニちゃんはそんな皆の状況をあわあわしながら見ている。一見いつも通りは暴力の魔人さんぐらい?
アキ「………あの。彼女は本当に民間のデビルハンターなんですか?対魔2課の訓練所で彼女を見たんですけど…。なんか笑いなが」
岸辺「夜だったしな。見間違いだ。」
アキ「いや、」
岸辺「夜は暗い。見間違いだ。」
アキ「………」
岸辺「見間違いだ。」
アキ「…そうですね…。見間違いでした…。」
アキ君が岸辺さんの圧力に屈した。真顔であれは卑怯だよね…。岸辺さんも対魔2課の人達に同じ様な説明をしたって言ってたし、ご愁傷さまとしか言いようがない。副隊長さんの合コンもあの騒動で未開催だったらしいし、踏んだり蹴ったりで可哀想に思う。…対魔2課宛で何か見舞い品を送っておこう。
姫野「とりあえず先生は納得しているんですよね。まぁ聞きたい事は色々あるけど、それは玲世さんに後で聞こうかと思います。」
姫野さんが横目で私を見る。そりゃそうか、あれだけ色々と動き回れば訝しみもする。
岸辺「そうだな。…お前等、今日の夜この場所に集まれ。そしてこの事は誰にも喋るな。マキマにすらな。以上、玲世と新人以外は解散しろ。」
そう言って岸辺さんは大家さんのアパートの地図を皆に渡す。そう、私はもう皆には隠し事が出来ない。今回レゼちゃんを救う為に、今まで皆にしてきた説明では説明出来ない事をしてきたからだ。恐らく今回の事件は各国の注目を浴び、デンジ君の心臓を目当てに刺客が送られてくる。所謂原作で言う所の「刺客篇」と呼ばれるものだ。
今まで以上の戦いになるのは間違い無く、4課全員の協力無しでは乗り越えることは難しい。その為、大家さんのアパートで全ての説明をする。私の事、未来の事、マキマさんの目的の事も。
岸辺「さて、お前等に残ってもらったのはこれからについてだ。お前等2人でバディを組んでもらう。」
レゼ「えっ?」
レゼちゃんが驚きの声を上げる。確かに監視という面目でレゼちゃんを公安に入れたのは私だし、民間デビルハンターと後輩とバディを組むという説明もつく。…多分レゼちゃんはデンジ君とバディ組みたかったんだろうな。パワーちゃんが勝ち誇るのが目に浮かぶ…。
岸辺「いいか。玲世が何を考えてお前を助けたかは知らん。だが、デンジは今の所、重要人物だ。元々スパイでデンジがお前に惚れていようと関係無いし、重要人物と簡単に組ませてやる訳にはいかん。今はコイツで我慢しとけ。」
岸辺さんが突き離す様にレゼちゃんに説明する。レゼちゃんは俯き、悲しそうな顔をするので私はフォローを入れる。
玲世「レゼちゃん。岸辺さんはね、厳しい言い方をするけど、裏を返せば実績上げて重要人物でも一緒にバディを組めるように頑張れって言ってるんだよ。私と一緒に頑張ろう!ね、岸辺さん!」
岸辺「……そうだな。お前がそんなにやる気なら姐さんにも殺る気を出して特訓してもらう様に伝えておく。なんなら俺が殺る気で特訓してもいいぞ?」
玲世「うぇ…。き、岸辺さん…?あの…やる気の文字が違う様な気がするんですけど…?殺す方の殺る気じゃないですよね…?」
岸辺「………。」
岸辺さんは真顔で沈黙してしまった。まずい。このままでは大家さんか岸辺さんに殺られる…!
レゼ「……っぷ、アハハハ!大丈夫です、玲世さん。誰も文句が言えないくらい頑張ってデンジ君と一緒にいられるようにしますよ。デンジ君のバディは私です。」
玲世「レ、レゼちゃん…!そうだね、頑張ろうね!」
岸辺「ふん…、せいぜい頑張れ。良くも悪くも公安は実力社会だ。強ければ大抵の道理は引っ込む。俺の様にな…。」
岸辺さんがニヤリと笑う。私は岸辺さんが本当は人情家で仲間思いなのは知っているからいいが、知らない人には悪役の不敵な笑みにしか見えないのは言わないでおこう。
岸辺「じゃあお前等も解散」
「失礼します!岸辺隊長はおられますか!?」
岸辺さんが解散を言いかけた時、公安の人が会議室に駆け込んで来た。何事かと岸辺さんに耳打ちしている。何か問題でも…ってそういえばそろそろかな。
岸辺「………分かった。すぐ行く。玲世、レゼ、お前等も来い。」
私達は岸辺さんに連れられ、ある一室に入る。そこには1台のテレビとマキマさんやデンジ君達4課の皆がいた。他にも特異課の人達もいる。
岸辺「マキマ。来たぞ。」
マキマ「岸辺さん、不味い事になりました。公安で規制をかけていましたが今回は町の被害が大きく、テレビ局を止められなかったようです。」
テレビには「敵か味方か?恐怖、デンノコ人間と謎の女性!」とテロップがあり、電車で戦うデンジ君と私が映っていた。デンジ君なんかは「テレビに映るってのはいい気分ですね」なんて言ってるけどそれどころじゃない。
マキマ「ボムちゃんはこうなる事を分かっていたのかな?」
レゼ「ッ………。」
マキマさんがこちらをチラリと見て、レゼちゃんが俯く。そう、レゼちゃんを助けられたはいいが、結果としてデンジ君の事が世間に大々的に出てしまった。
マキマ「報道のせいでデンジ君が日本にいることを世界中に知られた。アメリカと中国辺りはデンジ君を欲しがるだろうね。デンジ君の様な悪魔でも魔人でもない存在は凄く貴重だから。」
マキマさんの言葉に冷や汗が垂れる。私もボンちゃんと融合した事で人でも悪魔でも魔人でもない存在だった。今は悪魔となったが感覚的には人の時と然程変わりはない。私は世間にバレない様に気を付けようと強く思った。
アキ「ボムはソ連の刺客でしたよね?なんでわざわざ欲しがる敵を増やすんですか?」
マキマ「…デンジ君が私の手にさえ無ければいいって事だろうね。………デンジ君、悪いけど休暇は無し。これからしばらくは色んな国の刺客がデンジ君を殺しに来る。しばらくは自由が無いと思ってね。」
マキマさんは他の人に指示を出しながら部屋を後にする。部屋に残ったのは私、レゼちゃん、デンジ君、パワーちゃん、岸辺さんの5人。
デンジ「せっかくの休み…。レゼとどこ行こうか考えてたのに…。」
パワー「なんじゃ、辛気くさいのう。テレビに出たのだから嬉しいじゃろ?」
レゼ「…………!!」
玲世「あ!レゼちゃん!…、岸辺さん、バディが心配なので後を追います!」
レゼちゃんが部屋から飛び出す。岸辺さんに後を追うと告げると岸辺さんは手を払うようにする。さっさと行けと。廊下に出た私は外に向かうレゼちゃんを追う。外に出たレゼちゃんは空を見上げて佇んでいた。
レゼ「…ごめんなさい、玲世さん。せっかく助けてもらったのに私のせいでデンジ君に迷惑かけちゃうなんて。私はやっぱりデンジ君の近くにいない方が…」
レゼちゃんの前に移動した私はそれ以上言わすまいとレゼちゃんの頭を抱きしめる。
玲世「それは絶対に違う…!それを言うなら私の方が皆に隠し事して迷惑掛けてる!レゼちゃんを助けたのも、元々は只の助けたいって自己満足!でも死にかけたり大変だったけど私は後悔してない!デンジ君とレゼちゃんが二道で再会出来て本当に良かったと思ってる!それともレゼちゃんは助けて欲しくなかった?デンジ君と逢いたくなかった!?」
私のまくし立てる様な言葉にレゼちゃんは頭を横に振る。助けて欲しかった。デンジ君と逢いたかったと。私は抱きしめるのを止めて、レゼちゃんの肩に両手を置く。レゼちゃんの目には涙が浮かんでいた。
玲世「レゼちゃんは今まで独りで頑張って来たんだから、もっと迷惑かけていい。それでデンジ君がなんか言ったら「男の甲斐性見せなさい!」って引っ叩いてやるわ。アンタのレゼちゃんを想う気持ちはそんなもんかってね。」
私はニッコリ笑い掛けると、レゼちゃんも笑顔になる。やっぱり可愛いなぁ、ちくしょ〜!
デンジ「…ぉ〜い、レゼ〜!」
建物からデンジ君が出てきた。どうやら後を追ってきたようだ。私はクーちゃんでレゼちゃんの涙を拭き、デンジ君に向かってレゼちゃんの背中を押す。レゼちゃんは振り返り私を見るが、私は大きく頷き、レゼちゃんはデンジ君に向き直る。
デンジ「……レゼ、悪りい!俺ぁ馬鹿だし学校行ってねぇけど、テレビの事でレゼの事、悪くなんか思ってねぇから!そりゃあ休暇が無くなったのは残念だけど、レゼがいなくなる方がもっとダメだ!だから………!」
デンジ「だから俺はやるぜ!!刺客だろーがなんだろーが、全員ブチのめして俺らの事、邪魔出来ねえ様にしてやる!!そんでもって自由に堂々とレゼとデートしてやるぜ!!!」
デンジ君が声高らかに宣言する。するとレゼちゃんはデンジ君に抱き着く。周りに何事かとちらほら人が見えるが、そんな事お構い無しにレゼちゃんはデンジ君を抱きしめ続ける。やがてデンジ君もレゼちゃんを抱きしめて、見つめ合い始めた。こりゃいかんと2人を建物へと連れて行く。そして3人で笑い合うのだった。
原作では刺客としてアメリカから皮の悪魔と契約している3兄弟、ドイツから人形の悪魔と契約しているサンタクロース、そして中国からは岸辺さんの元バディの弓の武器人間クァンシが来る。私は岸辺さんの為にクァンシも救いたいと思っている。最終的に岸辺さんの目の前でマキマさんに殺されるが岸辺さんは何も見たくないと言い、悲しそうな雰囲気だった。
……多分、クァンシは岸辺さんや大家さんぐらいじゃないとまともに太刀打ち出来ない。デパートでの戦闘中に地獄の悪魔に地獄に落とされた事で有耶無耶になったけど、あの人の相手は難しい。大家さんに相談しよう。
こうしてレゼはデンジ達と新たな道を歩み始めるーーーー
しかし、道の先に待ち受けるは各国の刺客達ーーーー
そして、「闇」が静かに玲世を待っているーーーー
レゼ公安入りと刺客篇導入でした。
次回もまたよろしくお願い致します。