ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜 作:wasirunoguchi
よろしくお願い致します。
大家アパート地下訓練所にて
ここは大家アパートの地下訓練所。その名の通り、大家さんのアパート地下にあるかなり広いスペースだ。そこに、デンジ君、レゼちゃん、アキ君、パワーちゃん、姫野さん、コベニちゃん、ビーム君、暴力の魔人さん、天使の悪魔君、岸辺さん、大家さん、私がいた。12人も集まると結構な大所帯だ。
岸辺「全員揃ったな。各自、それで顔を拭け。これから大事な話がある。」
私は皆におしぼりを渡す。これから話す事が事だからだ。各自、言われた通りに顔を拭く。
アキ「…?」
パワー「む?」
ビーム「あ…。」
天使の悪魔「あれ…?」
デンジ「おいおい、なんだそりゃ〜!?いくらなんでも汚くなり過ぎだろ?真っ黒じゃねぇか!」
アキ君、パワーちゃん、ビーム君、天使の悪魔君のおしぼりが真っ黒になる。他の皆は特に変化は無いみたいだ。岸辺さん、大家さん、私は目線を合わせ、頷き合う。
姫野「アキ君、ちゃんと顔洗ってる…!?私のおしぼりも貸したげるよ。…ハイ、フキフキ!」
アキ「ちょ…!ひ、姫野先輩!大丈夫ですって!顔は毎日洗ってます!!」
パワー「ふん、ワシの様に綺麗にしないからそんなになるんじゃ。サメもじゃ、サメも。」
デンジ「お前もそんなに風呂入んねえから真っ黒だろ。まぁ確かにビームは地面潜ったりするからな。その分汚えんだろ。」
レゼ「デンジ君、私はお風呂入ってるし綺麗だからね!」
天使の悪魔「…………。」
コベニ「あ、あの…。そんなに落ち込まなくても…だ、大丈夫だと思います!」
暴力の魔人「ま、余計な「汚れ」が取れて良かったろ。少しは頭がスッキリしたんじゃないか?」
天使の悪魔「……余計なお世話だよ…。でも…そうだね。少しスッキリしたかな…。」
各々がおしぼりを使い、その結果に色々と言い合う。この様子だと、この後の事も大丈夫そうだとは思う。
玲世「は〜い。おしぼり回収しま~す。」
私は皆からおしぼりを回収する。やっぱりアキ君、パワーちゃん、ビーム君、天使の悪魔君のおしぼりは真っ黒。これ以上汚れを取り切れないくらいだ。暴力の魔人さんも黒くなるかと思ったけど…、そんな事ないな?
大家「あら、やっぱり玲世ちゃんの言う通りだったわね。岸辺君、実験通りよ。」
岸辺「そうですか…。それなら一安心です。今、マキマに聞かれる心配は無いですね。後は何処まで隠せるか…。」
デンジ「お〜い。そっちで何話してるか知らねえけどさ、そのバァちゃん、誰?先生も敬語使ってるみたいだけど偉い人?」
パワー「貧弱そうな人間じゃの〜。ワシの配下にしてやっても良いぞ!」
岸辺「バ…!バカか、2人共!彼女は…!」
大家「岸辺君…、大丈夫よ。…………フフ、私も舐められたものね…。」
デンジ君とパワーちゃんが大家さんの地雷を踏み抜き、あのポーカーフェイス岸辺さんが見たことも無いほど動揺する。いや、岸辺さんのビックリ顔なんて初めて見た。
大家さんは一瞬でデンジ君とパワーちゃんの後ろに回り込むと、2人の首根っこを掴む。
大家「2人共…、ちょっと向こうで「お話」しましょうか…。岸辺君、玲世ちゃん、少し向こうにいるから話を進めておいてね。」
岸辺「了解です。」玲世「わかりました。」
ああなっては誰も逆らえない。2人が無事に戻るのを祈ろう。何故か不自然に暗くなっている一角に大家さんは2人を連れて行った。南無。
姫野「あの……、先生、あの人は一体…?」
岸辺「…ふぅ、あの人は……俺の若い頃の師匠だ。ここ10年以上音沙汰が無かったが、去年の今頃にコイツの事で連絡があった。…悪魔連中含めてお前等全員、あの人に逆らわない方が良いぞ。恐らく、瞬時に殺される。今の俺で良くて相打ちぐらいだな。悪くて惨敗だ。」
デンジ、パワー「ぎゃぁぁ〜〜〜!!!」
岸辺さんの説明の後、タイミング悪くデンジ君達の悲鳴が聞こえる。その場にいた全員の顔が真っ青になる。
アキ「……それほどですか。」
岸辺「それほどだ。玲世も弟子入りしてるみたいだが良かったな、全盛期の姐さんじゃなくて。」
玲世「あはは…。それはもう、身に沁みてます…。」
姫野「だから玲世さん、民間の人なのにあんな戦えたんだ…。…ってそう!玲世さん、あの姿なんだったの!?なんかほら!あの刀の奴みたいに変身してたけど!!何の悪魔の力、あれ!?」
アキ「俺も気にはなっていました。あのデンジの様なサムライソードの様な…。人とは違う…まるで悪魔にでもなった感じでした。」
暴力の魔人「それは俺も思った。俺みたいな魔人とも違う感じだ。どっちかって言うとあのボムみたいな印象なんだけど、悪魔そのものって言うか…。」
玲世「うん…。皆に集まってもらったのはその辺り、本当の事を言わなくちゃと思って。少なからず皆に嘘付いてた事になるから。」
そして私は本当の事を話す。私が元の世界から来た事から今迄の事を話した。流石にこの世界が漫画になっているのは皆驚いていた。必然的にレゼちゃんがボムだって事も話さなきゃいけなかったけど…。
玲世「…それで私はレゼちゃんを助けて監視の名目で公安に入れたんです。皆、今迄嘘を付いてすみませんでした。」
皆が私の話を聞いて沈黙する。いきなりこんな話をされて困惑するのは当たり前だ。
沈黙の中、アキ君が声を上げる。
アキ「では…、七篠さんは違う世界の人で俺達は漫画の登場人物で、人間から魔人、みたいなのになって、あの戦いの中で悪魔になったと…。正直、理解が追いつきません。作り話と言われたほうがしっくりきます。」
玲世「私もね、なんでこの世界に来たかとか分かってなくて。大晦日の夜に寝て起きたら地獄でしょ?その後にボンちゃん…、爆弾の悪魔に会って心臓の片割れと融合して現世に来て大家さんに助けられて。あはは…自分で言ってても訳わかんないや。」
レゼ「私とデンジ君の話が映画になってるなんて…。しかも私の役は玲世さん…。……まさか、玲世さん!学校の話も……!」
玲世「あ〜、うん。プールでの事ね…。もちろんやりましたとも…!レゼちゃん大胆だったね〜…。お陰様で大変だったよ。」
レゼ「うぅぅぅぅ〜!」
レゼちゃんが顔を真っ赤にして手で顔を覆う。そうだよね。誰にも見られてないと思ってるようだったから恥ずかしいよね…。
姫野「……話を切るようで悪いけどちょっといい?元の世界の漫画では…もしかして、ホントは私、襲撃の辺りで死んでたりする?」
玲世「…はい。あの襲撃時、サムライソードとの戦いで早川君を助ける為に。幽霊の悪魔に自分の全てを捧げて幽霊の悪魔の全てを使える様にしましたが、あの襲撃犯、沢渡アカネのヘビの悪魔に丸呑みにされて消滅しました…。」
アキ君が姫野先輩を見る。姫野先輩は納得がいった表情だった。
姫野「なるほどね…。ようやく喉につっかえていた小骨が取れた感じ…。やっぱり私、玲世さんが来なかったら死んでたか…。…いや、ほら。助けに来てくれた時に「まだ死んだり消えたりしてないね」って言ってたじゃない?死んだりって言うのは分かるけど、消えるってその時の私の心情を知らないと出てこないと思ってね。」
アキ「先輩…。あの時、消えるつもりだったんですか?」
姫野「しょうがないじゃない?あのままだとアキ君が死ぬ。私も瀕死の状態だったから、どっちも死ぬんならアキ君だけは、って思ったの。だけど、あの時の事は誰にも言ってない。なら、玲世さんはなんで私の考えを見透かした様に「消えたりしてないね」って言ったのか。それが今の話で分かった。ホントならあそこで死んでたんだ、私。それを玲世さんが助けてくれた。」
コベニ「えっと、じゃああの日、防弾ベストの着用と警戒があったのも……。」
コベニちゃんが続けて質問する。
玲世「本当はあの襲撃で特異課はほぼ全滅。4課もデンジ君、パワーちゃん、早川君、コベニちゃんくらいしか生き残らなかった。助けたかったけど、私一人だと皆助けられない。だから岸辺さんにお願いしてなんとか被害を抑えてもらったの。」
岸辺「うるさい奴は幾らかいたがな。あの時に出来る最善があれだった。」
暴力の魔人「なるほど…。」
コベニ「だ、だったら襲撃が来るのを皆に伝えてれば、死んだり怪我しなくてもいい人がいたんじゃないですか!?荒井さんだって、あんな…!」
コベニちゃんが私に批判の目を向ける。未来が分かっているのならと。荒井さんの様に怪我をする人はいなかったんじゃないかと。そう目で言っているコベニちゃんに暴力の魔人さんが肩に手を置く。
暴力の魔人「コベニちゃん、それ以上はいけない。キミだって分かってるだろ?あの時、今の話をされた所で信じる人がどれだけいたか。七篠さんと岸辺さんが動いてくれたから全滅から被害を抑える事が出来たんだ。…………と、荒井君だったら言うだろうね。」
コベニ「それは…………、はい…。」
暴力の魔人さんがコベニちゃんをなだめてくれた。…暴力の魔人さんってあんなキャラだったかな?喋り方もなんか違うし。マスクをしててよく分かんないんだよね…。
レゼ「…玲世さん、今のが本当なら「二道」に頻繁に来てたのも私の為だったりしますか。」
玲世「あー…。そう、だね。初めはレゼちゃんと仲良くなって戦いが起こんない様に、って思ってたけど、私が知ってる未来、というか漫画の出来事がほぼ起こると分かったからね。申し訳無いけど成り行きを見させてもらっちゃった。でも、騙そうとか思った事は一切無いよ。それは信じて欲しい。」
レゼ「それは…、大丈夫です。スパイの私が見てもそんな風には見えませんでしたから。でも、2つに別れた爆弾の悪魔の心臓が玲世さんにあったなんて。片方が私でもう片方が玲世さん。でも漫画…だと玲世さんはいなくて、私はマキマとそこにいる天使の悪魔に路地裏で殺られてた。デンジ君に会えないまま…。」
天使の悪魔「…………。」
天使の悪魔君が俯く。「支配」されていたとは言っても、殺しかけた本人から言われるのはキツイものがあると思う。
大家「うふふ、話は丁度良い所かしら。2人にも「お話」出来たし、良いタイミングだったわね。」
デンジ「いや、ホントもう…、すいませんでした……。」
パワー「オオヤ怖い…、オオヤ怖い…、オオヤ怖い…。」
大家さんが2人を連れて戻ってきた。2人共ボロボロなのは…、見なかったことにしよう。パワーちゃんがトラウマになってるけど…。
アキ「…でもなんでマキマさんは襲撃の事を言わなかったり、ボム…レゼ、さんの事を殺そうとしたりしたんだ…?まるで公安の不利益になるような事を?」
玲世「それは…」
岸辺「待て、玲世。………「支配」の事はバレてるぞ。俺と敵対するか、マキマ。それとも今「支配」している奴らが何か弁解するか?」
アキ君の疑問に私が答えようとした時、急に岸辺さんが皆に向かって言葉を掛ける。そうだ、これは大事な確認だった。4課にも「支配」を受けている人がいる。もし私の対策が上手くいってない場合、ここでマキマさんについては喋れない。…私の事は喋っちゃったけど…。
しばらく沈黙が場を支配する。特にマキマさんが現れたり、誰かがいきなり喋りだす事は無さそうだ。
岸辺「………………………………、どうやら恐れていた事にはならなそうだな。念のための確認だったが。」
姫野「あの、先生…。いきなりどうしたんですか?マキマさんはここにはいませんよ?って言うか支配ってなんです?」
玲世「姫野さん、私から説明しますね。……皆さん、初めにおしぼりで顔を拭いてもらいましたよね。あれがとても重要だったんです。顔を拭いておしぼりが黒くなった人、いますよね。あれ、マキマさんにある事をされてた人なんです。」
私の言葉と共に、皆がある4人を見る。それはアキ君、パワーちゃん、ビーム君、天使の悪魔君だった。
玲世「自分より格下と思う相手を支配出来る「支配」の力。それがマキマさんの能力です。パワーちゃんとビーム君は公安に協力させる為に畏怖を与え、天使の悪魔君には…故郷の人達の寿命を奪わせ、アキ君には自身に好意を抱かせるように。ただこの「支配」の力は受けた側は認識出来ません。記憶の改竄等も出来る様です。」
私の脳裏に特異5課となったレゼちゃんやクァンシが浮かぶ。ああなってしまっては、マキマさんを倒す以外元に戻す方法は無い。3人は元より私、岸辺さん、大家さん以外の皆は絶句する。
天使の悪魔「…やっぱりね…。顔を拭いた時に急に思い出したのは間違いじゃなかったんだ。アイツが僕に皆を…!」
ビーム「マキマ、怖い…!チェンソー様、助けて!」
パワー「ワシがあんなにマキマに対して恐怖を感じておったのはそのせいか…。相当にワシが怖いと見える。」
アキ「マキマさんが…、俺を…?でも確かに、いつからそう思っていたのか思い出せない…。これが記憶の改竄…?」
3人が頭に手を当て、支配されていたという事実に苦しむ。パワーちゃんは…相変わらずか。恐ろしいのは支配されていたとしても本人には何も分からない事だ。支配されてしまった時点でマキマさんの操り人形になる。記憶の改竄もそうだ。
姫野「チッ、あのクソ女…。玲世さんさ、それってマキマが契約してる悪魔の力って事でいいの?」
玲世「いいえ、契約しているとかではなく彼女自身が支配の悪魔なんです。彼女が様々な力を行使出来るのも今迄死んだ悪魔や人を支配してその力を使っています。また、内閣総理大臣がマキマさんと契約し、受けた攻撃をランダムに日本国民に事故、病気として反映させて無効化し、死んでもすぐに生き返ります。」
姫野「なにそれ…、無敵じゃん。ていうか総理もなにやってんのよ〜!バカじゃないの!?」
岸辺「それだけマキマの力が強大だって事だ。俺も独自で動いているが、隙が無くてな。……玲世、マキマの目的だが…。」
玲世「…マキマさんの目的はチェンソーマンの支配です。それを阻止したいと私は考えてます。」
デンジ「……俺?」
デンジ君が自分を指差す。
玲世「ううん。正確にはデンジ君の心臓となっているポチタ君なの。ポチタ君の真の姿がチェンソーマンと呼ばれる悪魔。」
デンジ「それが何の関係があんだよ。ポチタはチェンソーの悪魔だろ。マキマさんは木でも切りてーのか?」
玲世「違うよ。チェンソーマンの怖い所はね、チェンソーマンに食べられた悪魔は消滅しちゃうってこと。悪魔って概念を司ってるの。例えばビーム君が「サメ」だったり、天使の悪魔君が「天使」だったり。そして悪魔は死んでも地獄で新しく復活する。だから世界から概念が消える事は無い。でもチェンソーマンに食べられた悪魔は?」
コベニ「えっと、消滅するから概念も消える……ですか?」
玲世「そう。例えば耳の悪魔が居たとして、チェンソーマンに食べられた場合、耳って言う概念も言葉も無くなる。そうすると世界から耳が無くなる。人間の耳も動物の耳も全て。耳って言われても何それ、ってなっちゃう。」
アキ「……つまり、マキマさんはチェンソーマンを支配して何かを消滅させたいと?」
玲世「うん、それが「死」や「戦争」、「飢餓」とかの概念。無くなった方が良い世界になると考え、その為にマキマさんは行動している。あらゆる犠牲を蔑ろにして。」
皆が一様に黙ってしまう。大家さんや岸辺さんは信じてくれたが、皆には私の妄想話と捉えられてもおかしくはない。そんな中、デンジ君がゆっくりと声を上げる。
デンジ「……なぁ、ナナシよ〜…。俺ぁ〜難しい事はよくわかんねぇんだけど、要はマキマさんは俺を幸せにしたくねぇって事か?だからレゼも殺そうとした?」
玲世「…そうだね…。漫画では最終的にデンジ君が勝つけど、岸辺さんとコベニちゃん以外皆死んでて、デンジ君もデンジ君の中からチェンソーマンを引き出す為に精神崩壊まで追い込まれてポチタ君との契約を破棄しかける所まで行っちゃう。」
デンジ「…なら答えは簡単だ。マキマさんブチのめして「支配」すんの止めろって言う。聞かねぇなら何度でもブチのめす。ポチタはポチタだ、チェンソーマンとか言う奴じゃねぇ。普通の生活を送るって約束した!俺らの幸せを邪魔すんならマキマさんだろーとブチのめすだけだ…!」
デンジ君が静かに宣言する。こういう時、彼は頼もしい。自分の目的の為なら傷付く事も恐れずに突き進む。レゼちゃんと再会してから、漫画にはなかった面が垣間見える。
パワー「デンジが偉そうに。じゃがワシも手伝ってやろう!あのすました顔をぎゃふんと言わせてやるわ!……あ、足が震えているのは、む、武者震いと言うやつじゃ!」
レゼ「私もやる。いくら相手があの女でも、私とデンジ君を邪魔するんなら遠慮しないで爆破させるよ!」
姫野「私もアキ君を勝手に支配なんかして好意求めるなんて羨ま…ふざけた事してるのは見過ごせない。玲世さんへの恩返しもあるしね。」
コベニ「あ、わ、私も手伝います…!良い世界にするのは賛成ですけど、誰かが死んで、とかはダメだと思います!」
暴力の魔人「コベニちゃんがそう言うなら俺も付き合いますか。本当は平和が1番だけど、どうしようもなく戦わなきゃいけない時があるもんな。ビームはなんかあるか?」
ビーム「マキマ、怖い…。けど、チェンソー様が戦うならビームも手伝う!チェンソー様を背中に乗せて走り回る!」
アキ「俺は…マキマさんに真意を問いただしたい。そこまでの事が本当に必要なのか、本当にその方法しかないのかを。……お前はどうする。」
天使の悪魔「やるに決まってるだろ。マキマは僕に故郷の皆を殺させて記憶を改竄させた。その報いを受けさせるよ。」
皆がマキマさんを止める為に賛同してくれた。結構皆次第な所があったので緊張しており両手を握りしめていたが、ゆっくりと力を抜く。
岸辺「俺としては信じる信じないは半々かと思ったが…、マキマに逆らうっていう頭のネジが外れた奴等の集まりで良かったな。」
大家「またそんな意地悪言っちゃって。玲世ちゃん、彼、嬉しいのよ?こーんな感じだから皆から狂犬とか言われちゃってあんまり人が近寄らなかったから。仲間がいてくれて嬉しいから狂犬が尻尾を振ってるわ。」
玲世「へ〜、そうなん、ですね〜……。」
岸辺さんがこちらを睨む。大家さんに頭が上がらないのは分かるけど、こちらに当たるのは勘弁して欲しい。岸辺さんの方に目線は向けず、大家さんと話していく。
大家「それで、これからどうするの?」
玲世「そうですね…。大家さん、岸辺さんは出来ればマキマさんと総理の契約を破棄して貰える様に動いて貰っていいでしょうか。彼女の不死性をどうにかしない事にはなんともなりませんから。最悪、最後の手段がありますが、それは使いたくありませんし…。」
大家「う〜ん、今の総理とはあんまり話した事ないから期待薄ね…。岸辺君は言わずもがなだし。ちなみに、その最後の手段って?」
玲世「えっと…、なんというか…。」
デンジ「なんだナナシ。言いにくい事かよ?ここまで来てそれはナシだぜ?」
姫野「そうね〜。作戦的にも最後の手段は知っておいた方が良いと思う。それって誰でも出来るの?」
天使の悪魔「もし誰かが死ぬとかで気にしてるなら僕がやるよ。刺し違えても達成してあげる。」
各々が教えてと声を上げる。まぁ、その、うん。知っといた方が良い、かな?
玲世「え〜と、愛をもって食べるんです。マキマさんを。」
瞬間、皆が固まる。もうちょいカッコいい作戦だったら良かったんだけど…。文句ならデンジ君に言って!
玲世「いや、漫画だとですね!?攻撃しても意味が無いマキマさんに対してデンジ君が閃いて行ったんですけど!愛をもって食べる事で攻撃と見なされなかったと言うか、契約を逆手に取ったと言うか!そうすると復活しなかったんですよ!でもこれは本当に最後の手段です!」
デンジ「マジか、漫画の俺…。流石にマキマさんを食うとか自分ながら頭がぶっ飛んでやがる…。……は!いや、レゼ。俺はそんな事考えてねぇよ!だ〜!ピンに指掛けんな!!」
岸辺「……それが本当に最後の手段なのは分かった。そうならん様に頑張って動くとしよう。俺と姐さんは良いがこいつらはどうする?」
珍しく大家さんと岸辺さんも若干引いていたが、軌道修整してくれた。私はこれからの事を話す。
玲世「皆にはこのクーちゃんを何枚か持っていてもらい、マキマさんの支配を受けた際に先程の様に支配を解除出来るようにしておきます。なのでマキマさんと会うときは肌身離さず持っていて下さい。恐らく解除したら先程の様に黒く汚れます。」
そう。先程のおしぼりはクーちゃんだった。「掃除し、元に戻す」力で支配を解けるか試したのだ。結果は大成功。これなら支配を受けてもなんとかなると確信した。
玲世「こちらのアドバンテージは支配を解除出来るのと、この先の出来事を知っている事。皆さんはマキマさんにどうにかこの事を悟られないようにいつも通りにしていて下さい。今後、デンジ君を狙ってアメリカの3兄弟、ドイツのサンタクロース、中国のクァンシが来ます。」
大家さんと岸辺さんがクァンシの言葉を聞いた時、微妙に反応する。私としてもクァンシはなんとかこちらの味方をして欲しい。一度倒す必要がありそうだけど、お付の4人の悪魔の人権とかに拘ってたからそこら辺が落とし所かな?
岸辺「いいか、お前等。マキマは小動物を支配してあらゆる会話を聞いている。ここみたいな虫一匹入り込まない様な場所か筆談以外、今日の事は口にするな。なにかあればここに呼ぶ。マキマにここを聞かれたら、俺や姐さんに訓練を受けていると言っておけ。」
玲世「皆、マキマさんを止める為に、どうかよろしくお願いします!」
これからの事に対し玲世は全てを打ち明けるーーーー
全てはマキマに抵抗する為にーーーー
気持ちを1つにした4課は各国の刺客達を待ち受けるーーーー
総オリジナルの皆の会話でした……。
なにかキャラに合わない、会話がおかしい点が有りましたらご感想頂ければ幸いです。
次回もよろしくお願い致します。