ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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前回から玲世場面(闇の空間)と原作キャラ場面(地獄)の同時進行となります。
よろしくお願い致します。


第27話 闇の悪魔の提案

 

闇の空間にて

 

 

ケーちゃんが闇の悪魔に説明を始めてからしばらく経った。闇の悪魔は黒い人型の為、表情など感情が読み取れない。しかし、目は口ほどに物を言う、というか身振り手振りで話に興味津々なのはわかった。

 

 

ケーちゃん「…というのが現在までの玲世様です。闇の悪魔様はこちらを影から見られていた様ですので承知かとは思われますが。」

 

 

闇の悪魔「やっぱりオマエ、面白い。ワタシも今迄地獄にいたが、悪魔でもオマエみたいのはいなかった。監理の悪魔はいい仕事をした。」

 

 

玲世「…監理の悪魔さんを知ってるんですか?」

 

 

闇の悪魔「当然。悪魔でアイツを知らないヤツはいない。偉そうだけど。そんな事よりオマエの力が見たい。だから変身しろ。」

 

 

玲世「うぇ!?」

 

 

闇の悪魔はさらっととんでもない事を言ってきた。力が見たいから変身しろ?それって戦うって事でしょ?無理無理!

 

 

玲世「無理無理!」

 

 

闇の悪魔「なんでだ。戦えないのか。なにか理由があるのか。」

 

 

玲世「えーと、その…。なんていうか…。」

 

 

ケーちゃん「闇の悪魔様。玲世様は地獄にいる他の皆様が心配の様で、今すぐには戦えないと考えています。ご再考頂ければと…。」

 

 

口ごもる私にケーちゃんが助け舟を出してくれた。ケーちゃん、ナイス!皆の事が心配だからね、しょうがないね!早く皆の所に行かないとね!

 

 

玲世「そうそう!そんな感じなので…」

 

 

闇の悪魔「他のヤツ…?…ああ、オマエと一緒に来た人間達か。そういえばワタシが挨拶に行ったぞ。チェンソーのヤツが人間の心臓になってたから連れてきてもらった。」

 

 

冷や汗が流れる。脳裏に蘇るのは原作の場面。闇の悪魔になす術も無くやられていく皆。私は焦りから闇の悪魔に突っかかる。

 

 

玲世「ちょっと!!皆になんかしてないでしょうね!?傷付けてたりしたらいくらアンタでも承知しないから!どうなの!?」

 

 

闇の悪魔「…………まだ何もしてない。大抵のヤツはワタシを見た恐怖から敵意を向けてくる。今いる人間達はそれが無いから、ただ向き合ってるだけだ…。」

 

 

私の剣幕に闇の悪魔がポツポツ喋る。皆が無事と聞き、私はホッとした。

 

 

闇の悪魔「……人間達が無事なら力を見せてくれるか。」

 

 

玲世「…………まぁ、考える。あ、でも死んじゃうくらいのは無しよ。問答無用に腕とか切るのとか!」

 

 

闇の悪魔「わかった。なら、行こう。」

 

 

玲世「え、ちょっと!?わぁぁぁ〜〜〜!!」

 

 

闇の悪魔が云うやいなや、謎の落下感が私を襲う。私は見えない闇の底に落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

地獄にて

 

 

闇の悪魔が大勢の人間達と向かい合っている。上空を埋め尽くす扉の1つから降りてきた闇の悪魔は瞬く間に周囲を闇に染め上げた。人間、悪魔、魔人の誰しもががその絶対的恐怖に当てられ、満足に立つ事すら出来ない。

 

例外として立っていられるのは大家とクァンシだけだ。しかし、大家も玲世から「敵意を持ってはいけない」と言う事を聞いていなければ、本能的に敵意を持ってしまい返り討ちに遭っていたと悟っている。クァンシも闇の悪魔が出てきてから、大家に「敵意を持つな」と言われた意味が分かっていた。あれは戦ってどうにかなる次元ではない。

 

敵意より恐怖に支配されている面々と敵意を持たない様にしている大家とクァンシ。奇跡的に誰も闇の悪魔に対し敵意を持っていない事がこの状況を作り出していた。

 

 

大家(これは…駄目ね。今迄色々な悪魔を見てきたけど、そもそもの力が違う。私1人ならまだしも皆もってなると…)

 

 

クァンシ「おい、大家。」

 

 

大家がどうにかこの場を切り抜ける方法を考えていると、クァンシが小声で声をかけてきた。

 

 

大家「…なに、クァンシ。」

 

 

クァンシ「色々考えてるとこ悪いが、状況は待ってくれないぞ。人形が動いた。」

 

 

大家はクァンシの言葉を聞き、トーリカであった人形が闇の悪魔に近付くのを見た。そのまま人形は闇の悪魔に話しかける。

 

 

人形「私は人形の悪魔です。契約通り、チェンソーの心臓を持ってきました。私にどうか…、マキマを殺せる力を下さい。」

 

 

アキ「…………!」

 

 

デンジ「な…、何言ってんだ…、テメェ…!」

 

 

大家「…なるほどね…。」

 

 

闇の悪魔は人形の首を掴み、持ち上げる。人形は苦しむ素振りも無く、宙吊りにされ、そして首が落ちる。そのまま人形を投げ捨て、デンジの方を向く。

 

 

レゼ「…デンジ君、私が守るから。」

 

 

大家「ダメよ!レゼちゃん!」

 

 

ピィィン

 

 

レゼは首のピンを抜き、爆発と共に変身し、武器人間ボムとなる。足の裏を爆発させて一気に間合いを詰め、ミサイルと化した右腕を闇の悪魔に炸裂させた。

 

 

ドカァァァン!

 

 

闇の中で爆発が光る。レゼは即座に離れ、闇の悪魔から間合いを取る。だが、レゼは臨戦態勢を解かなかった。少しして立ち昇る煙の中から闇の悪魔の腕が現れると

 

レゼの両腕が切られていた。

 

 

レゼ「…くぅ!!」

 

 

デンジ「レゼ!!……テメェ!レゼに何してんだ!ウラアアアアアア!!」

 

 

レゼが傷付いた事により、デンジが不完全な変身のまま腕のチェンソーで闇の悪魔に斬りかかる。が、チェンソーが闇の悪魔に届く事は無く、透明な壁に当たっているかのように闇の悪魔の眼前で火花を上げながら止まっている。火花が散る毎に闇の中に謎の顔が幾つも浮かび上がりそれを見ていた。

 

闇の悪魔の身体を構成している人型達が合掌すると、デンジの全身が不規則に折れ曲がり、レゼの方に吹き飛ばされた。

 

 

レゼ「デンジ君!」

 

 

レゼが両腕を失いながらもデンジに駆け寄る。デンジはすでに死んでいたが、レゼが自身の肩から流れる血でなんとか蘇生させた。しかし

 

 

レゼ「あ……。」

 

 

闇の悪魔が2人の眼前に現れた。顔であろう部分をデンジとレゼに近づけ、しばらくじっと見ている。

 

 

クァンシ「…おい、大家。手を貸せ。あいつをなんとかしてここから脱出するぞ。私はまだ死にたくない。」

 

 

大家「…それしかない、か…。」

 

 

大家はクァンシの提案を聞き、玲世には敵意を持つなと言われていたが、恐らくはこういう事なのだろうと実感した。残念ながら闇の悪魔に勝てる未来が見えないが、自分の命と引き換えにでも若い子達を逃がす。そう決心した時だった。

 

 

闇の空間の上方から、玲世が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前、落下中の玲世

 

 

玲世「ど、どうしよう、これ?何処に落ちてくの!?ていうか闇の悪魔いなくなってるし!」

 

ケーちゃん「玲世様。どうやら徐々に闇の空間から地獄に移動しつつあるようです。準備を。」

 

 

慌てる私を横目にケーちゃんが冷静にそう告げる。少しして落ちて行く先に扉が見えた。あれってまさか…。

 

 

玲世「地獄の扉!?」

 

 

ケーちゃん「スキャン完了。あの扉の先に皆さんを検知致しました。デンジ様、レゼ様が負傷中の様です。」

 

 

玲世「デンジ君とレゼちゃんが?もしかして闇の悪魔と戦っちゃった!?マズイよ、それ!」

 

 

大家さん達には敵意を持たないでって伝えてあったけど、不測の事態があったのかも。私は落下の勢いのまま地獄の扉を蹴破り、直下の闇の空間に突入し、着地する。

 

私の突然の登場に皆の目が私に集まる。私は周りを見渡し、黒い人型のすぐ近くにいるデンジ君とレゼちゃんに駆け寄る。

 

 

玲世「デンジ君、レゼちゃん大丈夫!?ってああ、デンジ君は血塗れだし、レゼちゃんは両腕無いし!」

 

 

デンジ「ナナシ…、アブねぇぞ…!」

 

 

レゼ「玲世さん!私達はいいから闇の悪魔から離れて!」

 

 

2人は自らの怪我を余所に、私に警告してくれる。私は2人を見て闇の悪魔に向き直った。

 

 

玲世「ちょっと!私言ったわよね!?皆に何かあったら承知しないからって!思いっきりなんかしてるじゃない!ていうかレゼちゃんの両腕無いじゃない!デンジ君ボロボロじゃない!どうなってんの!?」

 

 

闇の悪魔「……いや、向こうが先に攻撃してきた。悪魔がチェンソー連れてきたから力くれって。確かに契約したけど邪魔だったからワタシの肉あげてどっか行ってもらった。それでオマエ来るまでチェンソー見ようかなと思ったら爆弾の匂いがするヤツやチェンソーが攻撃してきた。だから反撃した。悪いか?」

 

 

玲世「いや、もうちょっと手加減っていうか。普通の人なら死んじゃうからね!これ以上なんかやったらさっきの約束は無し!」

 

 

闇の悪魔「…………わかった。コイツらがなんかしてこない限り、何もしない。それでいいか。」

 

 

玲世「わかったならよし。ちょっと皆と話するから待ってて。」

 

 

デンジ君やレゼちゃんも血を分けて回復させ、皆と合流する。原作通り皆はそのまま地獄に来た様だ。だけど皆は信じられないものを見たかのように私を見ている。なんか居心地が悪い。

 

 

玲世「なによ皆。化け物見るような顔して。私、なにかした?」

 

 

アキ「いや…、七篠さん、あの悪魔に対してあんな事言って大丈夫なんですか?なにか知り合い…みたいな感じでしたけど…。」

 

 

姫野「そうそう、あんなおっそろしい悪魔によく平気だね。あいつが何言ってるか分からなかったけど、言葉も通じてたみたいだし。」

 

 

皆がアキ君と姫野さんの言葉にウンウンと頷く。まぁ確かに黒い人型は不気味かもだけど、原作みたいな感じじゃないしあんまり気にならなかった。

 

 

玲世「そんなですかね…?黒い人型で不気味だけどそこまでは…。あ、言葉はケーちゃんが翻訳してくれました。凄いですよね。」

 

 

ケーちゃん「お褒めに預かり恐縮です。」

 

 

大家「…なるほどねぇ。そう言う仕組みか…。確かに黒い人型だわ、あの悪魔。あれが本当の姿かしら?」

 

 

大家さんの言葉に皆が首を傾げる。どういう意味?

 

 

大家「えっと、皆には難しいかもしれないけど、あの悪魔に対しての恐怖を薄めてご覧なさい。あの恐ろしい姿が黒い人型になったわ。玲世ちゃんがあの闇の悪魔をさっきまでの姿じゃなくて黒い人型に見えてたのはそのせいね。」

 

 

ん?恐怖がないと黒い人型?どういう事?確かに初めて地獄で会った時より闇の悪魔に恐怖は無いけどそれって相手に恐怖があると原作の姿で、恐怖がないと黒い人型って事?

 

 

大家「とは言ってもすぐには無理か…。クァンシ、貴女はどう?」

 

 

クァンシ「確かにな。まだ薄っすらさっきの姿が見えるが…、黒い人型も重なって見えてきた。しかしあの恐怖は本能的なものだ。お前や私ぐらいしかコントロールは出来ない。」

 

 

ピンツィ「ク、クァンシ様…。ど、どういう事ですか…。というかあの人間はなんなんですか。あの超越者にあんな事言うなんて命知らずなんでしょうか。相手はあの「根源的恐怖の悪魔」なんですよぅ…。」

 

 

クァンシ「あの悪魔には本当の姿があるって事さ。まぁ、あの悪魔を目の前にして恐怖が無いヤツがどうにかしてるんだ。私もバカになれって言ったが、フフ、ああいうバカもいるらしい。」

 

 

なんだろう。クァンシからなにかバカにされてるように感じる。ふんだ。大家さんの昔の知り合いでも言って良い事と悪い事がある。私は不機嫌な顔でクァンシを見る。

 

 

大家「玲世ちゃん、不貞腐れないの。クァンシはね、あれでも貴女に一目置いてるのよ。岸辺君も言ってるでしょ?頭のネジが外れてる人が生き残るって。それと一緒。」

 

 

玲世「本当ですか…?な〜んか常識知らずみたいなニュアンスですけど。…………ってうわ!!」

 

 

私が大家さんを訝しんでいると、いつの間にか横に闇の悪魔がいた。びっくり!

 

 

闇の悪魔「おい、もう良いか。お前の力が見たいぞ。」

 

 

玲世「あ〜、うん、約束だしね…。でもさっき言ったように死んじゃうくらいのは無しね!殺し合いじゃなくて力を見せるだけだから!」

 

 

闇の悪魔「わかった。ちょっと準備する。」

 

 

闇の悪魔が距離を取ると、背後に黒い渦が何個か発生した。渦から現れるのは4つの鈴の付いた刀、先端が鋭い刃となった白い腕、異常に筋肉が発達した大きい手、黒い霧の様なもの、渦自体がブラックホールとなったものなど様々だ。

 

 

闇の悪魔「準備出来た。来い。」

 

 

あれが闇の悪魔の力。原作では不可視の攻撃とか色々やっていたが、多分私の力を見るためにわざとああやって能力を見せていると思う。力を見せると言った以上、私も準備をする。

 

 

右手を前にし、爆発の悪魔の仮面を被る様に掌を顔に翳す。そして意識を切り替える様に右手を下に引いた。

 

 

瞬間、爆発が起こり、煙の中から変身した私は闇の悪魔に突撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

闇の悪魔は告げる。力を見せろとーーーー

 

玲世は変身する。力を見せる為にーーーー

 

地獄での出来事はまだ終わらないーーーー

 

 




引き続き地獄回でした。引っ張ってしまい申し訳ありません。
あと1、2話で地獄回は終了予定です。
次回もよろしくお願い致します。
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