ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜 作:wasirunoguchi
刺客篇は登場人物が多く1人1人の描写が描ききれない為、描写不足となる部分は各々で御想像頂けると幸いです。
申し訳ありませんがご容赦下さい。
現世にて
デンジ「うげっ!!…いって〜、いきなり真っ暗になったかと思ったらなんだよ!……あれ?ここって……。」
パワー「ふぎゃ!」
日下部「ここはデパートの屋上…?戻ってきたのか?…はっ!全員無事か!?」
デンジ達はデパートの屋上にいた。闇の悪魔によって地獄にいた面々は全て現世に戻って来ており、各々が状態を確認する。いきなりデパート屋上の上空に出されたため、デンジやパワーは上手く着地出来ず尻から落下していた。
クァンシ「……っと。2人共、大丈夫か?」
ピンツィ「も、申し訳ありません…!クァンシ様!お手をわずらわせました…!」
龍「ありがとうございます!」
大家「ふぅ、帰って来れたわね。老体に地獄はキツイわ〜。」
クァンシもお付の魔人2人を担いで着地する。大家も肩を回しながら音も無く屋上に着地していた。あの絶望的な状況から帰ってこれた。そう一瞬、全員の気が緩んだ時、デパートの下から爆発音が聞こえ、下から跳んできた何かが屋上に着地する。
「ふ…、ふふふ…。そういう事なのですね。これが闇の力…。」
それは異形の姿だった。闇の悪魔の力を取り込んだサンタクロースは上半身に球体関節の腕が複数装着され、足は人形の頭部が幾重にも繋がり構成されていた。元は人であったであろう人形をまるで無駄遣いするような人形の悪魔に相応しい姿であった。
サンタ「素晴らしいです。全てを理解して行きます。ではさようなら。」
サンタクロースの腕が巻き付き合い、巨大な腕となり上空から落ちてくる。屋上を覆いつくす程の攻撃に反応出来たメンバーは少なく、その攻撃が直撃する間際、
「ばん」
女性の声と共にサンタクロースの腕が何かに穿たれたかの様に消し飛ぶ。
マキマ「やっぱりこのタイミングを狙ってきたね。サンタクロース。」
アキ「…マキマさん…!」
マキマが片手を銃の様に構えながら後方から歩いてくる。サンタクロースは吹き飛ばされた腕を一瞥するとマキマに顔を向ける。
サンタ「はじめまして。マキマ。」
マキマ「こんにちは。サンタクロース。」
まるで今のやり取りが無かったかのように挨拶をする2人。感情を見せない2人に薄ら寒い空気を屋上にいる全員が感じていた。
大家「…助けてくれてありがとう、って言うべきかしら。」
マキマ「礼には及びませんよ。彼女はどちらにせよ排除しなければいけませんし。ただ…、敵は闇の悪魔の肉片を取り込んだので、闇の中での攻撃は一切通じません。日没までに倒す必要がある。」
マキマは空を見上げ、大家も合わせて空を見る。日は沈み始めており、空は少しづつ赤くなっていた。マキマはデンジの方を向くと
マキマ「デンジ君、助けてくれる?」
顔を傾げ、問いかけるように助力を求めた
デンジ「…ったく、しゃあねぇな〜!マキマさんの頼みだから聞くけどよ〜、貸し1つだぜ!マキマさん!!」
レゼ「…もう!デンジ君!…………私もやる! あんな人にデンジ君は渡さないから!デンジ君もデレデレしないの!」
大家「ちょっと向こうだと暴れ足りなかったから私も手伝おうかしら。あ、そうだクァンシ、貴女もどう?ここで協力しておけば、後々良いことあるかもね。」
クァンシ「………良いだろう。マキマやお前の手のひらで転がされている感じが無性にイラつくが…。人形にもイラついてた所だ。」
デンジ、レゼ、大家、クァンシがマキマの横に並び立つ。マキマはデンジ以外が協力するとは思っておらず、面白そうに笑みを浮かべた。
マキマ「じゃあやろうか。これならサンタクロースと言えど直ぐに終わるでしょう。」
サンタ「フフフ、マキマ、アナタの夢はここで終わり。……とはいえこの人数差では少々面倒なので…」
サンタがそう言うと2つの何かが下から跳んできてサンタクロースの横に着地する。
サンタ「私をもう2人追加します。文句はありませんね。」
下から跳んできたもの。それは今のサンタクロースと瓜二つの人形だった。
デンジ「ずっる〜!自分がもう2人ってインチキじゃねーか!ふざけんな!」
マキマ「デンジ君、あいつに何を言っても無駄だよ。じゃあ私達も3組に分かれようか。どうする?」
デンジ「んじゃ…」
レゼ「デンジ君は私と!それ以外駄目!」
クァンシ「おい、大家。業腹だがお前と組んでやる。他のヤツよりはマシだ。」
大家「………いいわよ。「弓」は出し惜しみなくね。」
マキマが分かれて戦う提案をするとデンジとレゼ、クァンシと大家のペアに分かれた。
マキマ「…………嫌われたものだね。まぁいいや。私は真ん中をやるから左右はよろしく。」
マキマの言葉に反応するように、デンジが胸のスターターを引き、レゼが首のピンを抜き、クァンシが右目の眼帯から矢を引き抜き、大家がナイフと爪、そして針を展開する。
マキマ「ばん」
そしてマキマの攻撃で吹き飛ぶサンタクロースをきっかけに、変身した3人と大家は残る2体の人形と戦闘を開始した。
狭間にて
地獄から戻る為に闇の悪魔の力によって玲世を除く全員が現世に戻った際に、玲世だけは何故か別の場所にいた。
玲世「最近ここによく来るな〜。…監理の悪魔さんに怒られちゃうかな…?」
地面に広がる無数の扉と上空の青い空。そこは監理の悪魔が住まう狭間であった。
闇の悪魔「別に問題無い。ここはあいつがいるだけで、あいつの世界じゃない。だからいつ来てもセーフ。むしろ誰かが来て嬉しいはず。」
玲世「わひゃあ!!…………お、脅かさないでよ…。」
自分の独り言に返事が帰ってくるとは思わず、後ろから聞こえた声に驚き振り返りと、そこには闇の悪魔がいた。
監理の悪魔「…そんな訳がなかろう。貴様といい、可能性のといい、何故静寂を崩そうとするのか。爆発の。また会ったな。」
そこに呆れた顔をした監理の悪魔が現れる。玲世は慌てて佇まいを直すと挨拶をする。
玲世「あ、監理の悪魔さん!あの時は助けて頂きありがとうございました!またお邪魔しています!」
監理の悪魔「貴様も大変だな。こやつらに振り回され…。しかし闇の。貴様がここに来るという事は、余程この者が気に入ったか。よもや契約もせずにこやつの仲間に力を貸すとはな。」
闇の悪魔「あの程度、なんて事は無い。コイツには力を見せてもらったし面白かった。それに、ワタシの刀を見る目がある奴がいただけ。」
監理の悪魔「それを「気に入った」と言うのだ。………案外こやつには悪魔たらしの才があるやもしれぬ。我等超越者にここまで興味を持たれるのだから。」
監理の悪魔は玲世に同情の目を向けてから、闇の悪魔と問答を始める。自分の目の前で自分の事を色々話されるのは少し恥ずかしかった。玲世は話題を変えるべく、何故自分がこの場にいるかを聞いた。
玲世「あの…、なんで私はここに居るんでしょうか?他の皆は無事に戻れたんですかね…?」
監理の悪魔「…ああ、すまん。闇のとは久方ぶりに会ったのでな。つい興が乗ってしまった。貴様以外は現世に戻っている。」
闇の悪魔「そうだった。おい監理。コイツ空間を爆発させて地獄に「穴」を開けた。一応塞いだが、監理的に大丈夫か?」
監理の悪魔「ふむ…、闇のも少しは役に立つ。爆弾の、命拾いしたな。あのままでは闇のが言う様にあの場は消滅していたであろう。」
玲世「う…、えっと、すみません…。」
監理の悪魔は厳しい表情で答える。玲世もまさか思い付きで放った攻撃が自分や皆を危険に晒すとは思っていなかった。
監理の悪魔「…まぁよい。力の使い方を知らぬ若輩者を導くのも監理の内か。爆発の。今後あの様な事をする場合は外にでは無く、内に向ける様にせよ。」
玲世「外じゃなくて内…?」
監理の悪魔「…そうだな、空間を水面とした場合、水面に石を投げ込むと、外に向かって大きく波が立ち、最後には波が立った分の水が引き込まれ中央に水柱が上がる。これが貴様がした外に向けての爆発だ。世界への影響が大きく、空間も激しく揺れ動く。」
玲世は水面に石が投げ込まれるシーンを思い浮かべる。石が大きければ大きい程、波は立ち、最後の中央の水柱は高くなる。
監理の悪魔「しかし水面の中から石を引き抜いた場合は引き抜いた所に静かに水が引き込まれるだけだ。水面は多少揺れ動くが、投げ込んだ場合程ではなく危険性は少ない。それが内に向けての爆発だ。」
玲世「なる…ほど…?」
監理の悪魔「…………分からなければ練習をしていけ。貴様の力はそれだけの危険性があるのだ。迂闊に力を使い、周りを巻き込むのは貴様の願う所ではあるまい。」
玲世「練習は良いんですが…、あの、私も現世に戻らないと…。」
玲世は力の練習をさせる気の監理の悪魔に、現世に戻らなければならないと伝える。原作では現世に戻った直後にサンタクロースが襲ってくる筈だった。
闇の悪魔「向こうではさっきの奴らと人形が戦ってる。支配の奴も一緒。」
玲世「うぇ!?もう戦ってるの!?って言うか支配の奴ってマキマさん?なんで?」
闇の悪魔「そんな事ワタシは知らない。人形は3体いて…チェンソーと爆弾、弓と1人の人間、支配の奴が別々に戦ってる。」
玲世「人形が3体…?原作と違う…。皆がやられてないから?」
玲世の脳裏に原作が思い出される。闇の悪魔に殆どの仲間がやられた後に、マキマが現れ闇の悪魔と戦闘。劣勢のマキマはトーリカの人形を支配し、全員が現世に戻るが、闇の力を取り込んだサンタクロースが襲撃。復活したデンジが応戦する流れの筈だった。
しかし、今回は闇の悪魔が玲世に興味を持った事から原作通りには進まなかった為、皆は無事だった。すでに原作とは違う状況に玲世は先の展開が読めず焦りが生まれる。
玲世「ちょっと!直ぐに私を現世に戻して!皆を救いに行かなくちゃ!」
監理の悪魔「待て。監理を司る者として今は出来ぬ。戻りたくばその力を制御出来る様になってからだ。……焦る気持ちは分かるがな。貴様が全てを救わなければならないと思うのは、些か傲慢が過ぎよう。それは他の者を信頼していないのと同じだ。」
玲世「……!」
監理の悪魔「今迄が上手く行き過ぎていたからかも知れんな。力が制御出来ずに、貴様が皆を殺す場合もあるのだぞ。それは貴様や爆弾のが望む未来ではあるまい。」
監理の悪魔は厳しく言い放つ。玲世は以前岸辺に言われた事を思い出していた。人の生き死には必ず出る。自分の腕が届く範囲しか救えない以上、自分のケツは自分で拭かせろと。
玲世は恥ずかしくなる思いだった。皆を助けられるのは自分しかいないと思っていたあの時と同じだ。まるで成長していない。皆を信じろ。私が居なくても皆は大丈夫。
玲世「…すみません。勝手を言いました…。でもなるべく早く戻れる様に助言をお願いします!若輩者を導くのも監理の内、なんですよね!?」
玲世の言葉に瞬間、目が点になる監理の悪魔。監理の悪魔の肩が次第に震えていき、玲世は怒らせたかと内心慌てる。しかし
監理の悪魔「…………ふ、ははは。そうだな。……闇の、貴様も手伝え。少しこの者に悪魔の怖さを叩き込まくてはな。」
闇の悪魔「わかった。厳しく行くから覚悟する。」
そう言って威圧感を放ちながら、じりじりと玲世に詰め寄る監理の悪魔と闇の悪魔。玲世は自分の言った事に若干後悔しつつも、力の練習を開始した。
原作とは異なるサンタクロースとの戦いーーーー
玲世は皆を信じて力の制御を行うーーーー
刺客との戦いは終局に向かって行くーーーー
刺客篇は後1,2話で終わると言ったな。……あれは嘘だ。
と言う事で申し訳ありませんが、まだ少し刺客篇が続きます…。色々と書きたい事が出てきてしまい、サンタクロースは3人に増えてもらいました(笑)
次回はクァンシ、大家ペアとサンタクロース①の戦いとなります。
次回もよろしくお願い致します。