ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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サンタクロース三連戦、第1回戦です。
大家、クァンシペアの戦いとなります。
よろしくお願い致します。


第30話 闇を祓う炎  VSサンタクロース戦①

 

 

弓の武器人間。それがクァンシの正体である。かつてチェンソーマン(ポチタ)に半身を喰われた悪魔の心臓がその身に宿り、不老性と血さえあればほぼ完全な不死性、そして「弓」の力を操る人物。

 

 

バババババババ!

 

 

3体のサンタクロースに対し、3つのペアに分かれたデンジ達。その内の1体を大家とクァンシが引き受け、変身したクァンシが弓矢を雨あられにサンタクロースに撃ち込む。

 

サンタクロースは屋上のフェンスを破壊し、下に落下していった。

 

 

クァンシ「大家、先に行く。ピンツィ、龍、不満だろうが公安と一緒に居ろ。」

 

 

ピンツィ「う……分かりました。クァンシ様、ご武運を。」

 

 

龍「ご武運を。」

 

 

大家「はいはい、先鋒は任せるわ。私も皆に指示をしたら直ぐに行く。」

 

 

クァンシは大家が言葉を言いきる前に屋上から飛び出す。

 

 

大家「全く、いつまで経っても落ち着きの無い…。じゃあ皆、デンジ君とレゼちゃんも戦い始めたし、至急デパートから避難。下に岸辺君が居るだろうから合流して。」

 

 

ズン!

 

 

大きな音の方を見ると、屋上に大穴が開いており、どうやらデンジ達が下に落下したようだった。ミシミシとデパートが軋み始め、アキ達は避難を開始した。

 

 

大家「姫野さん!早川君!途中人形達の襲撃の可能性があるわ!クァンシの子達もよろしくお願いね!!」

 

 

大家はアキ達にそう伝えると自身もクァンシの後を追い、屋上から飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

地上ではクァンシが一足早くサンタクロースと戦闘しており、周りからも続々と一般人の人形が集まっていた。しかしクァンシは圧倒的な弓の火力でサンタクロースと人形達を寄せ付けない。

 

 

クァンシ「ちっ。別に脅威になるような力は無いが、夕日の影になっただけでこの再生能力か。」

 

 

サンタクロースは闇の力を取り込んだ事により、闇の中では攻撃が通じない。今はまだ完全な闇、即ち夜にはなっていないがビルの影が広がり決め手が無い状態だった。

 

 

サンタ「無駄です。影とは言え闇は闇。弓で闇を晴らすことは出来ません。」

 

 

周囲の人形が一斉にクァンシに飛びかかる。しかし上空から無数の針が飛来。人形達の服を地面に縫い止め、身動きが出来ないように無力化した。

 

 

クァンシ「遅いぞ。耄碌して時間も分からなくなったか?」

 

 

大家「うっさいわね、貴女の大事な子達を公安の皆にお願いしてたのよ。まだまだ人形が襲ってくるから危ないでしょうが。」

 

 

上空から現れたのは大家だった。屋上から飛び出した後、ナイフの悪魔を使い壁に突き刺しながら落下。地上へ向かう最中に上空から針の悪魔を使い、人形達を縫い止めたのだ。

 

 

サンタ「なるほど…。最初のデビルハンターと言われた人間と人間でありながら悪魔を殺戮した人間。会えて光栄です。」

 

 

大家はチラリとサンタクロースを見ると、瞬時にサンタクロースの後方に移動。残像すら残さない動きでナイフで切り刻み、そこにクァンシが弓で胴体と四肢を撃ち抜く。大家はトドメとばかりにナイフを頭部へ刺し、そのまま地面に頭部毎突き刺した。

 

 

サンタ「ふふふ、チクチクします。なるほど、痛覚も他の人形と分散出来るのですね。」

 

 

サンタクロースは自身の状態などお構い無しに感想を述べる。

 

 

大家「これでも駄目か…。呆れたこと。」

 

 

サンタ「おや、どうやら向こうの私が面白い事を始めた様ですね。」

 

 

「な、なんだよ、これ!?」

 

 

「いやぁぁぁ!腕が無い!」

 

 

「え、あ、なん!おばさん!どうなって」

 

 

周囲から人の悲鳴がする。何事かと周りを見渡すと人形となった人が悲鳴を上げながら襲い掛かってきた。あまりの光景に面食らった大家だったが、直ぐに正気に戻り、攻撃を回避。なおも追い縋る人形だったがクァンシが弓で残らず穴だらけにした。

 

 

「ぎゃぁぁアアあぁ!!」

 

 

大家「流石にこれはちょっとね…。」

 

 

クァンシ「人形が人のマネをしてるだけだ。昔のお前なら躊躇無く殺っていただろ?」

 

 

大家「昔とは違うのよ。悪魔と分かれば絶対に殺す…そんな事は卒業したわ。」

 

 

クァンシ「お優しい事で。だが今の隙にヤツに回復されたし…、何よりマズイな…。夜が来る…。」

 

 

夕日が落ち、辺りを闇が包んでいく。そして完全な夜が来た。

 

 

サンタ「ふふふふふ。これが闇の力なのですね。もう2人の私もこうなった以上、もう終わりです。」

 

 

人形が妖しく笑う。人形の様な白い身体は闇に染まり、異形さが増していた。サンタクロースはお返しとばかりにクァンシの眼前に移動。そのまま殴り飛ばし、クァンシはビルに吹き飛ばされた。

 

 

大家「クァンシ!」

 

 

サンタ「次はアナタです。行きなさい、人形達よ。」

 

 

大家は続けての攻撃を避けるが、サンタの身体から人形が這い出て来る。大家は爪を長く伸ばし硬質化。薙ぎ払う様に人形をバラバラにした。

 

 

サンタ「その様な悪魔でよくやりますね。感心します。」

 

 

大家「昔はもっと酷かったからね!色々工夫はしているのよ!」

 

 

大家は続けてナイフを展開。1本かと思われたナイフが2本、4本、8本と倍々に増えていく。

 

 

サンタ「なんと…。」

 

 

そして道の幅いっぱいにナイフが展開され、マシンガンの様にサンタクロースへ投射される。ナイフの圧力に押されるサンタクロースに、自らを弓から放たれた矢の様に高速でクァンシが突撃。サンタクロースは道端にあった車に激突した。

 

 

大家「お帰り、クァンシ。しっかしこのままじゃジリ貧ね…。」

 

 

クァンシ「あぁ…。幸いアイツの実力自体はなんてことないが、攻撃が通らないとなるとな…。」

 

 

2人がどうしたものかと悩んでいると車からサンタクロースが起き上がる。

 

 

サンタ「ふ、ふふふふふ。無駄です。無駄無駄…。闇の力を取り込ん」

 

 

クァンシ「うるさい。考え中だ。」

 

 

大家「せっかちは嫌われるわよ。」

 

 

クァンシがサンタクロースの頭部に弓を放ち、大家が車から漏れ出したガソリンにナイフを放ち引火させる。

 

 

ボォォン!!

 

 

サンタ「グ、ガァアア!!」

 

 

車が爆発する。炎に巻かれたサンタクロースが身悶えしながら炎を払う。

 

 

クァンシ、大家「「あ」」

 

 

2人が炎に照らされたサンタクロースを見る。

 

 

大家「なるほど…。闇を照らす炎ね……。」

 

 

クァンシ「大家。少し耐えろ。龍を連れてくる。」

 

 

大家「龍って…。あぁ、そういう事。じゃあ私は…………よし。準備しておくわ。」

 

 

クァンシ「やり過ぎるなよ。」

 

 

大家は周りを見渡し、クァンシは龍の元に向かう。2人に説明は要らない。何を考え、何をしようとしているかは互いに理解していた。

 

やがてサンタクロースを包む炎は消え、再度闇が広がる。

 

 

サンタ「ハァ…ハァ……彼女は逃げましたか。この程度の炎では闇を照らす事は出来ません。無意味です。」

 

 

大家「生憎とアナタみたいなのは昔から幾つも相手していてね。…………来なさいな、もう少し遊んであげる。」

 

 

大家はナイフを構え、サンタクロースを迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

アキ「なんだよ、コイツら!先輩!そっち行きました!」

 

 

姫野「ああ、もう!コイツら人っぽくて嫌な気分!」

 

 

コベニ「わ!わ!わ!」

 

 

暴力「コベニちゃん、触られないようにね!」

 

 

日下部「クソっ!陣が無いとどうにもな!見た目人間なのもやりづらい!」

 

 

玉置「中村ァ!!踏ん張れェ!!」

 

 

中村「押忍!ウオォォォォォ!コォォォン!!」

 

 

岸辺「おらおら。気張れ、お前等。サメ、天使、サボるな。」

 

 

ビーム「人形食っても上手くない!!」

 

 

天使「同感。ゾンビの方がまだマシかな…。」

 

 

パワー「ガハハハハ!!そんなものか、人形共!!やはりワシにかなうヤツはおらんのじゃ〜!!」

 

 

ピンツィ「ふん!コイツらに守られるのなんか虫唾が走るけど…!ホラ、そこ!3時方向から人形が来る!」

 

 

龍「火を吐く…。」

 

 

コスモ「ハロウィン、ハロウィン、ハロハロウィン♪」

 

 

ツギハギ「……………………」

 

 

吉田「蛸、足。ほら、あんまり外に出ない。」

 

 

デンジ達が戦っている中、アキ達は地上にいた岸辺達と合流。周囲から次々に襲って来る人形達に対処していた。辺りは人形の残骸が無数に転がっている。

 

 

ドドドドドドドド!!

 

 

いつ終わるとも知れない襲撃は、突如、上空からの謎の攻撃によって一掃される。それは変身したクァンシだった。

 

 

クァンシ「龍、いるか。力を貸してくれ。」

 

 

龍「クァンシ様。」

 

 

岸辺「また懐かしい姿をしてるな、クァンシ。」

 

 

岸辺がクァンシに話しかける。

 

 

クァンシ「……岸辺。今は時間が惜しい。また後でだ。」

 

 

岸辺「!……あぁ、こっちは任せておけ。」

 

 

クァンシは龍を連れて大家の元に戻る。また後で。それは少なからず話を聞く気持ちがあるという事。

 

 

姫野「先生、また来ました!」

 

 

ざわつく心を押し込めて、岸辺はナイフを手に人形達を葬っていく。

 

 

 

 

 

 

 

サンタ「もう諦めたらどうです。色々と小細工をしている様ですが無駄なのが分かりませんか。」

 

 

大家「それは残念。私は諦めが悪い方なの。勝機があるのに辞める馬鹿はいないでしょう?」

 

 

大家とサンタクロースの戦いは周囲を巻き込み、道路の陥没や店舗が一部崩壊、車が破壊されたりしていた。そこに龍を連れたクァンシが戻る。

 

 

クァンシ「なんだ、まだ死んでなかったか。サンタクロースも老いぼれ1人殺せないとはな。」

 

 

大家「ちょっと遅刻よ?全く。ところでその子が龍ちゃんね。一応準備はしておいたけど…。」

 

 

クァンシ「なら直ぐにやるぞ。いい加減飽きた。」

 

 

大家「了解。ならそこら中にあるのでよろしくね。仕上げはやるわ。」

 

 

サンタ「クァンシ…?今更アナタが戻った所で、どうにかなると思っているのですか?いい加減理解不能です。」

 

 

クァンシは散乱する瓦礫や車を規格外の膂力で次々にサンタクロースに投げつける。ガスタンクや車、コンクリートの破片が散らばる。

 

 

サンタ「気でも狂いましたか?この様なものを投げたところで」

 

 

クァンシ「お前、人形なら嗅覚はあるのか?」

 

 

サンタ「?…何を急に。そんなもの、私には必要ありません。」

 

 

クァンシ「無いなら好都合。恨むなら自分が人形な事を恨め。」

 

 

クァンシが指差す方向には、大家の展開したナイフに龍が炎を纏わせていた。

 

 

サンタ「……!まさか!」

 

 

サンタクロースの周囲には瓦礫に混ざり、プロパンガスやガソリンが撒かれていた。周囲はガスやガソリンの匂いに満ちており、サンタクロースはそれに気が付かなかった。

 

 

大家「言ったでしょう?色々工夫してるって。」

 

 

大家がナイフを一斉に撃ち出す。炎を纏ったナイフは一直線にサンタクロースに刺さる。すると気化したガソリンに引火。次いでガスにも引火し爆発。サンタクロースの半身以上を吹き飛ばし、全身が炎に包まれた。

 

 

サンタ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

サンタクロースが断末魔の叫びを上げる。強烈な炎に照らされ、闇の人形が朽ちていく。炎が辺りを照らす中、、大家とクァンシがサンタクロースに近付く。すでに残るはサンタクロースの頭部だけとなっていた。

 

 

大家「さしずめ、闇を祓う文明の炎かしら。」

 

 

クァンシ「ゴミを燃やす焼却炉の炎だろ。」

 

 

サンタ「ふ…ふ…ふふ。見事です。しかし私は人形の一部。私が倒されようと、人形がいる限り私は不滅。もう少し遊んでいたかったですが残念ですね…。」

 

 

今際の際でもサンタクロースは淡々と告げる。大家とクァンシはナイフと弓を眼下のサンタクロースに構える。

 

 

大家「ごめんなさいね。遊びは飽きちゃったわ。」

 

 

クァンシ「人形遊びはとっくの昔に卒業したんでな。」

 

 

ナイフと弓矢がサンタクロースの頭部を粉砕する。まるで炎に浄化される様に破片は灰になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

大家とクァンシは文明の炎により人形を燃やし尽くすーーーー

 

残る人形は2体ーーーー

 

デンジとレゼが力を合わせ、闇の人形に挑むーーーー

 




サンタクロースとの戦い①でした。
大家とクァンシの掛け合いとサンタクロースの戦いを楽しんで頂ければ幸いです。
次回はデンジ、レゼペアとサンタクロース戦②になります。
よろしくお願い致します。
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