ある可能性のお話 〜名も無き少女に祝福を〜   作:wasirunoguchi

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サンタクロース三連戦、最終戦です。
申し訳ありませんが、戦闘描写はある理由からかなり少ないです。
またここに見に来られている方なら大丈夫かと思いますが、一部、原作のネタバレ要素がありますのでご注意ください。

よろしくお願い致します。


第32話 予期せぬ登場と予期せぬ決着 VSサンタクロース戦③

 

 

デパートの向かいのビルに吹き飛んだサンタクロースを追い、開いた穴からビル内部に侵入したマキマ。後ろを振り向くと2体のサンタクロースと戦う大家とクァンシ、デンジとレゼが見えた。

 

 

マキマ「やれやれ…。まさか地獄に落とされて、闇の悪魔と遭遇しても死者無しか。優秀な人材達と喜べば良いのか、予定通りにいかない事を悲しめばいいのか…。」

 

 

蜘蛛の悪魔「マキマ様…。」

 

 

マキマ「ああ、プリンシ。今のは只の独り言。そっちに言った訳じゃないよ。」

 

 

いつの間にか現れた蜘蛛の悪魔は、マキマの素っ気ない対応に何も思わない。誰が何をしても彼女はいつも同じ対応だ。ただ1人、あのチェンソーの少年には執着があるらしいが、その瞳は彼を見ていない事は分かる。

 

 

マキマ「何事も上手くいかない時はあるか…。アナタもそう思うでしょう?サンタクロース。」

 

 

サンタ「そうですね。ワタシの予定では有象無象を片付けてアナタとの戦いに集中したかったですが。闇の力と言ってもワタシが使いこなせていないのが理解出来ます。」

 

 

サンタクロースが無傷で現れる。正確にはダメージは有るのだが、それ以上の再生能力で元に戻っていた。

 

 

マキマ「私を倒せる力か…。闇の悪魔本体ならまだしも、力を借りただけのアナタじゃ無理じゃないかな?」

 

 

マキマが指を指すとサンタクロースの腕の先からベキベキとねじ曲がっていく。それを他人事の様に見たサンタクロースはマキマを一瞥し、笑う。

 

するとまるで逆再生されたかの様に腕が元に戻っていき、指先までいくとバチンッと音がなり、マキマの力が弾かれる。反動でマキマの指先が裂け、血を流れた。

 

 

サンタ「闇の中ではワタシは不死身。アナタの攻撃は無駄なのです、マキマ。」

 

 

サンタクロースは勝ち誇る様にマキマに告げる。マキマは裂けた指先の血を舐め、不敵に笑う。

 

 

マキマ「…ふぅん。少しは楽しめそうだね。」

 

 

ここに、闇の力を取り込んだ人形の悪魔と、支配の名を冠する悪魔の戦いが静かに始まった。

 

 

 

 

 

 

 

狭間にて

 

 

玲世「はぁ、はぁ、はぁ…。」

 

 

闇の悪魔「うん。ちょっと手こずったけど、及第点。」

 

 

監理の悪魔「何を貴様が偉そうにしている。指導したのはほぼ我だろうが…。」

 

 

玲世は闇の悪魔と監理の悪魔の指導を受けていた。自分の思いつきで放った力を自在に操れる様にするため、力を使ってはダメ出しされ、使ってはダメ出しが繰り返される悪魔の様な訓練だった。

 

 

玲世「はぁ…。ち、力が入らない…………。」

 

 

闇の悪魔「いくら悪魔でも疲れる時は疲れる。向こうも後少しで終わる。それまで休め。」

 

 

玲世「…そうだ。皆は無事?」

 

 

監理の悪魔「チェンソーや爆弾、弓の心臓まであの場にいるとはな。1人人間が混ざっていたが、中々どうして。たかが70年しか生きておらぬ人間が良い動きをする。」

 

 

闇の悪魔「面白いけど不愉快。ワタシの力を使っているのに、人形が負けてる。残るは支配と戦っているヤツだけ。」

 

 

まるでスポーツの観戦をしている様に2人は現世の様子を口にする。皆の無事に玲世はホッとするが、残るマキマとサンタクロースの戦いが気掛かりだった。

 

 

玲世「マキマさんは勝ちそう…ですか?」

 

 

監理の悪魔「マキマ…?………そうか、支配のはそう呼称させているのか。…硬直状態、と言うやつだな。互いに攻撃を繰り返しては、再生しておる。…………む?」

 

 

闇の悪魔「あ。」

 

 

2人が同じタイミングで何かに気づく。監理の悪魔の顔の眉間には皺が浮かび、不機嫌そうになる。

 

 

監理の悪魔「あやつめ…。呼ばれておらぬのに現世へ出向くとは…。あやつは自身の影響が分からんのか…。闇の?」

 

 

闇の悪魔「知らない。頼んでない。」

 

 

玲世「あの〜…。何か問題ですか…?」

 

 

いきなり不機嫌そうになった2人に玲世は恐る恐る聞く。恐らくは何らかの悪魔が現世に行った様子だが、玲世には分からない。

 

 

監理の悪魔「…、すまんな。馬鹿者が自分の影響を考えずに現世へ出向きおった。今から纏めて此処へ呼ぶが良いか?我は後始末をしてくる。」

 

 

玲世「えっと…、大丈夫、です。」

 

 

監理の悪魔「そうか。では。」

 

 

監理の悪魔が足を一度踏むと、離れた場所の床の扉が開く。そこから現れたのは本来居るはずがない悪魔だった。

 

 

 

 

 

 

 

現世にて、少し前

 

 

マキマは室内で人形達を破壊していく。純粋な膂力による格闘、人差し指を向けての圧力や初めにサンタクロースを吹き飛ばした攻撃など多彩な攻撃を展開する。

 

対するサンタクロースも怪力による殴打や人形による物量、そして闇の力による再生能力で対抗して行く。

 

戦いは夜となった後も続き、他2ペアの戦いが終わった後も尚、戦いは続いていた。

 

 

マキマ「もう人間っぽい人形は品切れかな?他2体は倒された様だし、夜になっちゃったし、そろそろお開きといきたいところだけど。」

 

 

天井が崩れ、月明かりが指す大量の人形が山となった場所に座り、サンタクロースに問う。服には無数の切り裂かれた跡が残るが、その下の素肌には何の傷もついていない。それらは全てマキマの力によって見知らぬ日本国民に事故や病気として変換された。

 

 

サンタ「それはこちらの台詞です。いい加減、諦めて欲しい所ですが。」

 

 

対するサンタクロースも再生能力によって傷1つない。お互いがお互いを殺せぬ、千日手となってしまっていた。

 

 

マキマ「さて、このまま朝までやっても良いけど…、どうしようか?…………ん?」

 

 

僅かだが、足元の人形の山が動く。また性懲りもなく何か仕掛けてくる。そう思ったマキマだが、此方を見るサンタクロースの緊張した表情と、人形の山の中に発生した気配に飛び退く。

 

 

サンタ「これは…。……まさかあの人形達が…?」

 

 

マキマ「はぁ…。色々と予想外が起きすぎだね…。」

 

 

そして人形の山が崩れ、悪魔が姿を現す。

 

一見すると裸体の女性。しかし頭部は無く、肩から生えた腕が首に絡み合っている。そして背中には鳥の前肢の骨格に似た肢が逆さまに生えていた。

 

悪魔は肩から生える腕で人形の顔をもぎ取ると、頭の位置へ置く。すると顔の目、鼻、口、首の断面から血が流れ始め、コックコートに前掛けエプロン、コック帽というコック風の姿へと変化した。

 

 

「おやおやおや。見苦しい姿をお見せしてしまいました…。私、落下の悪魔と申します…。面白い気配の確認と珍しい食材の吟味をしに参上致しました。」

 

 

それは落下の悪魔と名乗った。立ち振る舞いは丁寧ではあるが、マキマとサンタクロースは突然の乱入者に警戒をする。

 

 

マキマ「落下…。闇の悪魔と同じ「根源的恐怖」の悪魔、か…。」

 

 

落下の悪魔「おや、やはり支配の悪魔様でしたか。あの方の妹様にお会い出来るとは光栄でございます。そしてそちらの方は…。」

 

 

落下の悪魔はマキマに対し、慇懃に一礼をする。「あの方の妹」と呼ばれたマキマは3人の姉の顔を思い浮かべた。一礼した落下の悪魔はサンタクロースに顔を向ける。

 

 

落下の悪魔「これは…、闇の匂いがする元人間…でしょうか。些か闇の匂いがキツいですが、人間を元にした人形とは私も長く料理人をしていながら数える程しか取り扱いの無い珍味。」

 

 

サンタ「理解しました。アナタは根源的恐怖の悪魔である落下の悪魔。あの闇の悪魔と同等の力を持つ悪魔ですか。」

 

 

落下の悪魔「おやおや。食材に名前を覚えられるとは、初めての体験。直ぐに調理に取り掛からないと。支配の悪魔様、私のテーブルへご招待してもよろしいでしょうか。」

 

 

マキマ「別にそれは良いけど…、これは姉の命令?」

 

 

落下の悪魔「いえ、今回は私の独断となります。料理人たるもの、食材の目利きや研究は怠れませんので。では」

 

 

 

 

 

落下の悪魔「落ちなさい。」

 

 

 

 

 

サンタ「…!これは?私の人形達も!?」

 

 

落下の悪魔が上を指差すと、重力が逆転し、マキマとサンタクロース、大量の人形達は空に落ちていき、次々に上空に現れた扉へ落下していく。

 

これは落下の悪魔の重力を操る能力。マキマは落下の悪魔の招待のため、特に影響は無いが、サンタクロースや外にいる人形達は強制的に。

 

後に残ったのは、壁に引っ掛かった僅かな人形の欠片と静寂のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

岸辺「全員、攻撃を受けてる!何か分からんが空に飛んてで行くぞ!何かに掴まれ!それか屋根のある所だ!」

 

 

サンタクロースとの戦いを終え、人形の残党の片付けていた公安メンバー+クァンシ一行だったが、突如、全員が空へ飛びび始めた。この状況をいち早く察知した岸辺が全員に対処を促す。

 

 

パワー「な、なんじゃ、こりゃ〜!!」

 

 

コベニ「わ、わ、わ!!」

 

 

日下部「クソっ!なんだこれは!?」

 

 

ビーム「空に落ちてる…!」

 

 

ピンツィ「まさかまさかまさかまさか…」

 

 

各々が必死に落下を防ごうとする。だが運悪く、屋根が無かったり、何も掴めずに飛んで行くメンバーもいた。

 

 

姫野「ああ、もう!ちょっとゴースト!!腕貸しなさい!!」

 

 

ゴースト「…や」

 

 

姫野「あんた根性見せなさい!他が頑張ってんのに恥ずかしくないの!?ここで踏ん張んなきゃ契約解除よ!そうしたら駆除対象よ!」

 

 

ゴースト「…………」

 

 

幽霊の悪魔は無言で腕を展開し、姫野を含めたメンバーを捕まえて、屋根のある場所に避難させる。

 

 

ゴースト「今回は……これだけ…。…………怖い悪魔がいたから…。」

 

 

姫野「え?悪魔?これってやっぱり悪魔の仕業なの?人形の仲間?」

 

 

ゴースト「知らない…。けど、地獄にいた奴と同じ感じがした…。」

 

 

幽霊の悪魔の言葉に全員が警戒する。地獄にいた奴。それは闇の悪魔。それと同じという事は下手をすると全滅の可能性がある。

 

しばらくすると異常は収まり、世界は正常に戻る。あれだけいた人形達は残骸を含め、空に飛んでいき扉へ吸い込まれていった。

 

 

アキ「とりあえず元に戻ったか…。人形も飛んで行ったが何だったんだ、一体?」

 

 

ピンツィ「ク、ク、クァンシ様…。ももももう1体居ました…。そ、そこの眼帯女の契約悪魔が言う様に、もう1体居たんです。」

 

 

クァンシ「ピンツィ…?」

 

 

ピンツィ「あのマキマとかいう女とサンタクロースのそばに、闇の悪魔と同じ「根源的恐怖の悪魔」が…。」

 

 

ピンツィはガタガタと震えながらクァンシに伝える。その声は不思議な程、他の者の耳に届き、否応なしに緊張感を高まらせる。クァンシはピンツィの背中を擦るが、ピンツィの震えは止まらない。

 

 

ピンツィ「あれは…、「落下の悪魔」です…。私達や人形は空に飛んでいったんじゃない…。あれは落下の悪魔が空に「落下」させたんです…!」

 

 

ピンツィの言葉に全員がその異常さを感じる。地球上の物は全て上から下へ落下する。それが世界の法則だ。しかし、落下の悪魔はその法則を無視して、下から上へ落下させた。

 

 

大家「まったく…。闇の悪魔といい、サンタクロースといい、落下の悪魔といい…。玲世ちゃん、貴女の知る物語とは大分ズレてきてるみたいよ…。貴女は無事でしょうね…?」

 

 

皆が絶句する中、大家はこの場に何故かいない玲世の身を案じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

狭間にて

 

 

監理の悪魔が開いた扉から3人の人影が飛び出した。1人はマキマ。空中で身を翻し、スマートに着地する。

 

もう1人はサンタクロース。マキマとは違い、扉の縁に手をかけて移動を拒んでいたが、腕が1本1本外れていき、完全に扉から出てきてしまう。着地は流石にしていたが。

 

そして最後は落下の悪魔。マキマと同じく身を翻すが、無駄に捻り等を加えての着地だった。

 

 

マキマ「ここは…、もしかして狭間…?落下の悪魔、こんな場所にアナタのテーブルがあるの?」

 

 

落下の悪魔「おかしいですね…?あの扉の先は私の領域だったはず…。」

 

 

サンタ「ここは?……………………なるほど、ここは現世と地獄の文字通り、「狭間」という事ですか…。」

 

 

玲世「マキマさんとサンタクロース!?それに…………まさか落下の悪魔…?ちょっと、2人共!なん…………っていない!?」

 

 

玲世は扉から現れた3人に驚愕する。慌てて闇の悪魔と監理の悪魔に確認しようとするが、2人は忽然と姿を消していた。

 

 

マキマ「アナタは…七篠さんでしたか。地獄ではお疲れ様でした。アナタも彼女に呼ばれて此処に?」

 

 

玲世「いや…、私は別口で…。そ、それよりそこにいるのは落下の悪魔…?」

 

 

落下の悪魔「おやおやおや。これはまた珍しい。アナタは…人間…?いや、違いますね。人間と悪魔の匂いがしますが、魔人ではなく…、まるで悪魔になった人間…………と言うのが正しいでしょうか。」

 

 

落下の悪魔は玲世に近寄り、匂いを嗅ぐ仕草をする。料理人を自負しているからか、匂いだけで正確に玲世の正体を見切っていた。

 

 

落下の悪魔「連れてきた人形といい、アナタといい…。今回は心踊る食材ばかり…。鮮度が落ちるといけませんので…、さて、どう調理しましょうか?」

 

 

落下の悪魔がその身に宿る力を解放しようとする。玲世は何故落下の悪魔が現時点で姿を現すのか、などの疑問を頭の隅に追いやり、素早く臨戦態勢を取る。敵は落下の悪魔。あの闇の悪魔と同じ「根源的恐怖の悪魔」。

 

今まさに2人がぶつかろうとした時、

 

 

闇の悪魔「止めろ、落下。コレはワタシの関係者。」

 

 

闇の悪魔が2人の間に現れた。黒い人影を挟んだ玲世と落下の悪魔だが玲世は警戒を解かず、落下の悪魔は少し驚いた顔をするが事も無げに闇の悪魔に話しかける。

 

 

落下の悪魔「これはこれは、闇の悪魔様。お久しぶりでございます。アナタが此方にいらっしゃるとは思いませんでした。地獄で何やら遊んでいたそうですが、もうよろしいのですか?」

 

 

闇の悪魔「そんな事はどうでもいい。コイツに手を出すな。」

 

 

落下の悪魔「それは出来かねます。この様な食材、今後出会えるかどうか。ワタシにも料理人の意地が…」

 

 

闇の悪魔「黙れ、落下。何処かの奴に殺されたらしいが、もう一度殺されたいか。」

 

 

闇の悪魔から空間が歪む程の殺気が迸る。その激しいプレッシャーに玲世は全身が激しく震え、サンタクロースは膝をつき、マキマは冷や汗をかく。

 

玲世は闇の悪魔の恐ろしさを再認識していた。いくら原作と違い、意思の疎通や友好的に出来たとしても、相手は人知を超越した悪魔。あの殺気の矛先がいつ自分に向くかは分からない。

 

 

落下の悪魔「おや。確かに私はあの方の配下となりましたが…、それを馬鹿にされるのは…!」

 

 

闇の悪魔の言葉に落下の悪魔も譲らず、おぞましい殺気を放つ。両者の足元の扉がビシビシと音を立てて罅が入っていき、今度は闇と落下が一触即発になるが、

 

 

監理の悪魔「止めよ。この狭間を破壊する気か、貴様らは…!」

 

 

監理の悪魔の一言にその気配は霧散する。

 

 

2人の殺気は霧散し、闇の悪魔は瞬時に玲世の背後に移動、落下の悪魔はその顔の流れ出る血とは別に汗をダラダラと流す。

 

 

落下の悪魔「あれま…………。こ、これは監理の悪魔様…。お久しぶりでございます……………。」

 

 

監理の悪魔「そうだな、真に久しい…。だが、誰のせいで貴様は狭間に来ることになり、誰のせいでこうして会うことになったかは分かるか…?」

 

 

闇の悪魔「…マズイ。監理が怒ってる…。こうなると思ったから離れてたのに落下のせいで無駄になった。」

 

 

監理の悪魔はギロッと音が聞こえる様な目付きで闇の悪魔を睨む。ただ、闇の悪魔は玲世の背後にいる為、それを食らったのは玲世だった。完全にとばっちりである。

 

 

落下の悪魔「…な、なにか私が粗相を…。」

 

 

監理の悪魔「…貴様は自らが現世に与える影響が分からんのか…。貴様が食材の吟味等とほざいて勝手に現世に現れたのでな、現世では重力異常が起こったのだ。監理を冠する者として地獄に影響があってはならぬ故、我が収めておいたがな。」

 

 

監理の悪魔は右腕をローブから出す。その手は強大な力を有する訳でも何らかの異常がある訳でもない。しかし威圧感だけが迸っていた。

 

 

監理の悪魔「分かるか?貴様の身勝手な行いの結果、我にその後始末をさせたのだ。なにか申し開きはあるか…。あったとしても聞かぬがな………!」

 

 

監理の悪魔は音も無く跳ぶと、右拳を落下の悪魔の頭に振り下ろした。俗に言う拳骨。しかしドゴンッ!というとても拳骨には思えない音と共に落下の悪魔は気を失った。

 

その光景に玲世の目は点になる。監理の悪魔はそのまま着地。何事も無かった様に立っている。

 

 

監理の悪魔「しばらくそこで寝ておれ。…………さて、貴様も久しいな、支配の。いや、今はマキマと名乗っているらしいな。」

 

 

マキマ「そうですね。監理の悪魔様もお変わり無く。……申し訳ありませんが、そこにいる七篠さんとはどの様な御関係ですか?闇の悪魔も居るのには驚きましたが。」

 

 

監理の悪魔「ふふふ…。なに、こやつとは縁があってな。そうさな…、目が離せぬ子供、といった所か。」

 

 

闇の悪魔「ワタシは単純に興味だ。」

 

 

2人の言葉にマキマはその特徴的な目を見開く。悪魔である以上、人間には少なからず敵意を持つ。それは監理の悪魔や闇の悪魔と言えど例外ではない。しかし、2人は玲世に対し敵意以上に興味を持っている。その事にマキマは内心驚いていた。

 

気が付いていないが、マキマ自身も玲世に興味を持っている。自分が知らないイレギュラーな悪魔。最大級の脅威とみなしているが、逆に言えば最大級の興味を持っていると言える。

 

 

マキマ「……そうですか。貴方方がそう言われる事に驚いてしまいました。」

 

 

監理の悪魔「…そうだな。闇のと話しておったが、案外こやつには悪魔たらしな面があるやも知れぬ。貴様もせいぜい気を付けることだ。」

 

 

監理の悪魔が玲世を見ながらマキマにそう伝える。マキマも玲世を見てから薄く笑う。

 

 

マキマ「…………ええ、せいぜい気を付けるとします。」

 

 

玲世「あ、ははは……………!!」

 

 

玲世はいたたまれなくなり、乾いた笑いを浮かべた。しかし、そんな空気を破壊するように、人形の腕が飛んできた。玲世は咄嗟に身構えるが、マキマが腕を突き出し、飛んできた人形の腕を空中に縫い止める様に防いだ。

 

 

マキマ「油断大敵ですよ、七篠さん。」

 

 

玲世「あ、ありがとうございます…。」

 

 

サンタ「ふ、ふふふふふ…!初めは戸惑いましたが、落下の悪魔が動かないのであれば好都合。さぁ、闇の悪魔よ。マキマを殺す為に協力を!」

 

 

攻撃してきたサンタクロースは、確信的に笑い、闇の悪魔に協力を願う。マキマを殺す為に契約としてチェンソーの心臓を地獄に持っていき、闇の力を授かった。契約するという事は闇の悪魔にもマキマを殺す目的があるという事。

 

玲世は内心慌てる。確かにマキマを殺す為に闇の悪魔はサンタクロースに闇の力を与えた。つまり殺す事に協力的な立場だ。実際に戦った事もあり、仮にマキマと協力して戦うとしても闇の悪魔に勝つ可能性が見えなかった。

 

マキマも僅かに焦る。いくら自身への攻撃を無効化出来ても、日本国民の数以上に攻撃されれば殺られる可能性がある。闇の悪魔に日本国民なんて関係ないだろう。

 

 

闇の悪魔「は?…嫌だ。」

 

 

サンタ「…………え?」

 

 

しかし三者の考えは闇の悪魔の一言で崩れ去る。サンタクロースは信じられないと言わんばかりの表情を浮かべる。

 

 

サンタ「な……何故です!アナタもマキマを殺したいのでしょう!?だからワタシとチェンソーの心臓を持ってくるように契約し、見返りとして闇の力を授けた!ワタシにマキマを殺させる為に!残念ながらまだマキマを殺せてはいませんが、今が直接殺せるチャンスでしょう!?」

 

 

闇の悪魔「そんな事一言も言ってない。契約したのは、チェンソーのヤツが人間の心臓になってるから一度見たかっただけ。それにオマエに渡したのはほんの少しの力。それで支配を殺せる理由が無い。」

 

 

サンタクロースの叫びに闇の悪魔は淡々と告げる。サンタクロースは先程までの自信が嘘の様な表情になっていた。

 

 

サンタ「ふ、ふざけるな!!」

 

 

サンタクロースは腕を振り回し、闇の悪魔に攻撃する。しかし攻撃は闇の悪魔をすり抜ける。何度も攻撃をするが、ことごとくが当たらず、逆に闇の悪魔に腕を掴まれる。

 

 

闇の悪魔「…オマエ、ワタシに敵意を向けたな?」

 

サンタ「!!」

 

 

周囲が闇に包まれ、闇の悪魔は姿を変える。玲世やデンジ達が地獄で会った、あの恐ろしい姿に。そして鈴の音と共に刀が現れ、瞬時にサンタクロースの頭部以外を細切れにした。

 

 

闇の悪魔「あの程度の力で全てを理解した気でいるとは。…いいだろう、闇の深淵を見るがいい。」

 

 

闇の悪魔はサンタクロースの頭を掴み上げる。闇の悪魔の腕から黒い霧の様なものがサンタクロースを包む。

 

 

サンタ「あ、あアアイアエあアアアアああアアァァ!!」

 

 

サンタクロースの頭部が狂った様に叫び声を上げる。少しすると叫び声は小さくなっていき、完全に沈黙する。

 

 

サンタ「……」

 

 

闇の悪魔「これがオマエの欲しかった闇の力だ。オマエには理解出来なかった様だがな。」

 

 

闇の悪魔が手を離すと、サンタクロースの頭部が落ちる。その瞳には何も映しておらず、表情は無になっていた。そして端から砂の様に崩れていく。全てが崩れた後、サンタクロースだったものは、闇の悪魔の影に取り込まれていった。

 

 

闇の悪魔「……疲れた。」

 

 

黒い人影に戻った闇の悪魔はただ一言呟くのみだった。

 

 

 

 

 

 

本来現れぬ乱入者と予期せぬ決着ーーーー

 

「皮」は姿を消し、「人形」は闇の深淵に沈んだーーーー

 

ただ1人残る「弓」はどの様な未来に進むのかーーーー

 




という事で突然の乱入者と決着でした。
戦闘描写が少ないのは、前2ペアが戦闘したので…(笑)
次回は戦闘後の話となります。
よろしくお願い致します。
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