普通すぎる男が聖杯戦争を壊すまで   作:笑嘲嗤

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第10話 デート

 放課後になって九十九に捕まった。

 

「今街が大変なことになってる。協力を要請するわ」

 

「そういうのは警察の仕事でしょ。俺は市民だから何もできないぞ」

 

「吸血鬼が出たのよ。世界に悪影響極まりないわ。止めなきゃいけない」

 

「だからそれは警察の仕事。じゃあ行くわ」

 

「ちょっと!?」

 

 構ってられないので俺は予備校に向かう。今日は早めに入って自習室を使いたい。そして電車を乗り継いで中央区の駅について広場に出た。

 

「あ、あの!こんにちわ!三郎さま!」

 

「ええ……」

 

 昨日会った紫の髪の女の子がいた。どういうことなの。

 

「こんにちわ。なにやってるの?」

 

「あなたを待ってました!」

 

「約束した覚えがないのだが……」

 

「だって昨日またねって言った!ここで昨日からずっと待ってたの!」

 

 言ったのはお前やろ。その言葉はぐっと飲みこむ。兄も姉もいる身である。兄からは付き合った女の子のめんどくささというものを語られて、姉は存在そのものがめんどくさかった。つまり目の前の女の子も面倒くさいのだ。言葉選びは慎重にしないとね。

 

「そ、そうか。うーん。とりあえずカフェでも行く?」

 

 まだ予備校の講義までは時間がある。それまでならまあ。

 

「カフェ?どんなところなの?」

 

「コーヒーかお茶飲むところ」

 

 カフェ知らないとか危険信号ぷんぷんなんですけど。まあいい。とりあえず駅そばにある大きなショッピングモールに入ることにした。この駅は新幹線も停まる東北の一大中核都市の中枢だ。いいカフェはある。そしてモールの中のカフェに入る。

 

「コーヒーありあり」

 

「あの。うちはありありとかではなくて普通に頼んでいただく処なのですが……」

 

「じゃあカフェオレ二つ。あとこのプリン二つ」

 

 ありありが通じないとは御ハイソである。受験生の敵だな!なんか高いし。

 

『マスター。その黄色いプルプルした物はなんだ?』

 

『夜になったら食わせてあげるから今は静かにしてて』

 

 ライダーがなんかおねだりしてくるけどシャットアウトした。二人で窓際の席に座ってとりあえずお喋りすることにした。

 

「これがデートなんですね!」

 

 そんなつもり毛頭ないんだけどなぁ。俺もう高2病過ぎてるのよ。男女が一緒にカフェはいったくらいじゃデート判定には引っかからないのよね。まあ黙っておくけど。

 

「これは食べるものなの?」

 

 プリンを見て不思議そうな顔してる。普段何喰ってんだよ。食生活が心配になるわ。

 

「どうぞ食べてよ。俺は好きなんだプリン。結構いろんなところで食べ歩きするくらいにね」

 

「そうなの!あなたが好きならあたしも好き!」

 

 スプーンで美味しそうにプリンを食べる紫色の髪の女の子。綺麗な子だけどなんか変な印象をうけるなやっぱり。

 

「美味しい!」

 

「そりゃよかった」

 

 まあプリンにハズレは基本ないからね。俺もカフェオレ飲みつつプリンを食べる。

 

「君、この街の子じゃないよね?何しに来たの?」

 

「うーん?なんか呼ばれたような気がしたから来たの。でも今思えばきっとあなたに会うために来たんだよ!」

 

 呼んだ覚えがなさすぎる。会話が異次元過ぎて微妙についていけない。

 

「そう。この街はどうだい?楽しい?」

 

「最初は街が初めてだったからなんかわくわくしたけど、慣れると普通かな。何が面白いのかわからなかった。でもこのカフェは好き!」

 

「ふーん。そりゃよかった」

 

 田舎から来たのかな?この街はまあデカいからな。300万人近くいるし。都会っちゃ都会である。

 

「ねぇここは他にも何か色々あるの?」

 

「まあモールだからね」

 

 あーこれ誘えってサインだわ。めんどいなぁ。俺が大学生になった後ならいくらでも頑張っちゃうけど今は受験生なのよ。デートとか考えてる時間はないんだよね。まあ放っておくのもあれなので抗議の時間までは付き合うけど。カフェを出てからモールを歩き回る。

 

「わぁいい薫り!花もないのにどこからするの?」

 

「あれだね。石鹸屋さん」

 

 俺はモールの一店舗を指さす。いろんな石鹸が置いてある。

 

「石鹸?知識によると身体を洗う奴だよね?」

 

 あれかな?環境保護が極まって水で体を拭くだけの人なのかな?個人の自由ではあるけど衛生は気を付けて欲しいなぁ。

 

「試してみる?」

 

「試す?」

 

 店先に洗面台が儲けてある。俺は石鹸の一つを手に取って目の前で泡立てて手を洗って見せた。

 

「泡が立ってる?!すごい!それにいい匂い……」

 

 洗い終わった俺の手を紫色の髪の子は手に取ってクンクンと匂いを嗅いでいた。そして俺の人差し指を口に含んだ。

 

「おい」

 

「んんー。プリンみたいに美味しくない……いい匂いなのに……変なの」

 

「石鹸は食べ物じゃないよ。君もやってみたら?」

 

 俺もついでに舐められた空手をもう一度洗う。二人でお手々を洗う。なんかシュール。

 

「これは薔薇?でもなんか他の花や果物の匂いもする……素敵……森の中なのに森じゃこんな匂いはなかったもの」

 

「まあ人間は欲張りだからね。こだわったらいくらでもこういうものを創るよ。街の中にいても森の気持ちを味わうとかね」

 

「そうなんだ。森から出ていって草原をあるくようになったくせにね。変なの。でも……不思議だね。ガイアから見たら裏切りなのに。なにか素敵に思えるわ。うふふ」

 

 そしてその後いくつかの店を回った。おかし食べたり、ゲームしたりした。そして予備校の時間が迫ってきた。

 

「じゃあそろそろ俺は行くね。予備校あるから」

 

「え、行っちゃうの?やだ!ずっと一緒にいて!」

 

「そういうわけにもいかんのよ。俺受験あるから」

 

「その受験とあたしどっちが大事なの!?」

 

 やめてそのどっち選んでも地獄の二択。俺はだから第三の選択肢を選ぶ。

 

「はいこれ」

 

「え?これって」

 

 隠し持っていた紙袋を渡す。

 

「さっきの石鹸屋さんで買ったんだ。石鹸とオリジナル香水だって」

 

 石鹸知らなくて水ぶきで風呂誤魔化してるなら香水は喜ばれるだろう。

 

「これがプレゼント……!嬉しい!ありがとう!」

 

「よかった。じゃあ。その。またね」

 

「うん。またね!」

 

 俺たちはそれで別れた。彼女はずっと手を振っていた。また会うことにはなるだろう。その時は受験がないときがいいんだけどな。そう思った。




うーん!吸血鬼美少女とデートとかまじで型月って感じでエモいっすねぇ(*´Д`)

感想とかお待ちしております!

今後もよろしくねぇ
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