普通すぎる男が聖杯戦争を壊すまで   作:笑嘲嗤

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第12話 警告 ついでに登場人物紹介

 休戦協定が決まった次の日。俺は気持ちよく学校に来れた。しばらくは騒乱に巻き込まれずに済む。そう思うと楽々である。だけど昼になって九十九は俺のところに来なかった。気になってライン入れてみた。

 

さとうさぶろう:どこいんの?学校来てないの?

 

九十九理々花:ごめんなさい。昼食には行けません。私は今中央区でギギ・アプス探しをしています。学校に行けないのは寂しいけど、これも世界を守るため。今は少しだけ見ないふりをします。この街にはたくさんの人が暮らしているから……。

 

さとうさぶろう:草

 

 

 なんかそういうことらしい。見てなかったけどグループチャット見たらラピスさんとエーミールさんと九十九の三人で同盟組んで吸血鬼一狩り行こうぜ!って感じになってた。まあ頑張ってくれ。遠くから応援している。そして俺は予備校に向かう。そしていつも通り中央の駅を降りて広場に出ると。いました……ノクティラリアがね。

 

「あ、遅いよぉ!待ちくたびれちゃった!」

 

「待ってたの?約束とかしてないんだけどなぁ……まあいいけど」

 

「今日は大変だったの!お猿さんたちが襲ってきてね!でもあたしの方がずっと強いから返り討ちにしてあげたよ!すごいでしょ!?」

 

「そっかそれはすごいね。倒しちゃった?」

 

 こんなにカジュアルに言われるとなかなかこたえるな。九十九達死んでないよね?

 

「ううん。逃げられちゃった。しぶといよねぇ」

 

「そっか。まあ気をつけなよ」

 

「うん!」

 

 一応生き延びてるようだ。ならいいけど。というかなんか期待されたような目で見られてる。困るなぁ。

 

「とりあえずコンビニ行く?チキン食べようぜ」

 

「うん!楽しみ!」

 

 コンビニデートで喜んでくれるなんてなんていい子なんだろう!俺が大学生なら即告白してるのに!

 

『マスター。ワタシの分のチキンは?』

 

『ちょっと静かにしてて』

 

『(´_ゝ`)』

 

 テレパシーが顔文字送ってきて俺も(´・ω・`)である。

 

「これ甘いの?」

 

「いや。UMAMIだ」

 

「UMAMI?」

 

「まあ食べてみろって」

 

 俺たちはコンビニの前でチキンを食べる。ノクティラリアは美味しそうに食べていた。

 

「美味しい!三郎は美味しいものマスターなんだね!」

 

「まあそうだね。美味しいものを食べると元気出るからね」

 

 そう。人間はそんなもんだ。勉強して仕事してちょっと嫌な目にあって美味しいもの食べて眠って。そんな繰り返して生きている。……それをこの子は知らないのだ。気がついたらノクティラリアは俺の左手に腕を絡めていた。女の子の柔らかさを今初めて知った。心地いいしドキドキする。だけど。あの映像がチラつく。

 

「ノクティラリア」

 

「なに三郎?」

 

「キャスターとの契約を破棄してこの街を去ってくれ」

 

 だから俺は正直に言うしかないと思ったんだ。人を食うこの子に何かいい言葉なんて届けられる自信がない。かと言ってこの子が討伐されるのも見たいとは思わない。だけど共存方法もわからない。なら距離を取るほかないんだ。

 

「三郎?三郎もマスターなの?」

 

「うん。だから頼んでる。ノクティラリア。この街から逃げろ。他のマスターたちが全員で君を狙ってる。今のままだと誰かに殺される。だから逃げろ。この街を振り返るな」

 

「いやだ!いやだいやいや!!」

 

 俺に抱き着いてノクティラリアは子供のように駄々をこねる。

 

「だって他のところに行ったら三郎がいないじゃない!そんなのいやだよ!そばにいたいの!だって三郎の傍に居るのは楽しいの!嬉しいの!……幸せなの……」

 

「ノクティラリア。だけどごめん。俺は君を選べない」

 

「いや!そんなことない!他のマスターなんて怖くないもん!じゃああたしが聖杯を取るよ!それでいいよね!聖杯を三郎にあげる!だから一緒にいてよぉ……」

 

「俺は聖杯なんていらない。特別な人間じゃない。だから君とは一緒にいられないんだよ」

 

 失恋なんて普通のことだ。現代では特に。誰もが当たり前のように彼氏彼女を取り換えてる。だから通じるかなって思った。ノクティラリアはひどく悲しそうに泣いていた。駄目なのかな。そういう俺たちの常識はこの子には通じないんだ。特別でも何でもない俺がこの子の特別になってしまったんだ。それは……とても哀れなことだと思うんだ。

 

「待ってて三郎!あたしは勝つよ!みんな殺して聖杯を持ってくる!聖杯にお願いしようよ!ずっと二人でいられるように!」

 

「そんな願いはきっと叶わないよ」

 

「叶うもん!絶対に叶えてみせるから!あたしはこの星で一番強いんだから!!」

 

 そう言ってノクティラリアは俺から離れて影の中に消えていった。ただただ虚しい。わかったことはやっぱりあの子は熊と同じなんだってことだ。境界線を越えてはいけなかったんだ。俺たちは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでの登場人物紹介(ネタバレなし)

 

 

佐藤三郎

 

本作の主人公。ザ・普通人。ライダーのマスター。普通に生きて普通に死ぬっていう高難易度の人生を歩もうとする普通人。大学デビューしてモテたいくらいの夢しかないチンケなやつ。いいのか?こんな奴が型月で主人公していいのかってくらいに夢も野望も悲願もトラウマもない。ガチャゲーすらしないのでまさに運営の敵でしかない一般人。聖杯戦争にはなんの因果もなく巻き込まれたマジもんの一般人である。聖杯戦争に参加する気もさらさらない。漫画やラノベはラブコメ物だけしか読まない。チートもないし無双もしない。本当に普通のやつである。

 

 

ライダー

 

真名はカルキ。インド神話に刻まれた未来に現れる英雄。未来に現れるという予言から英霊の座に登録されているのか、未来で現れることが確定しているから座に登録されているのかもはやよくわからない存在。本人曰くこの時代はカリ・ユガであり終末が来るそうである。なんか機械的な性格をしているが、チキンを食べさせないと不機嫌になるくらいには人間性がある。

 

 

 

九十九理々花

 

ヒロイン。ザ・正統派魔術師さん。両親はすでに亡くなっているが一人で親の財産と土地の貸し出しテナント料で生きている。わりとお嬢様である。黒髪ロングの美少女で学校の人気者。文武両道。魔術属性は『未至』。青い瞳は数代前の先祖が第二魔法らしき何かに微かに辿り着いて得たものであり遺伝性の魔眼。未来視もどきとかできる。他にもいろいろできる。剣術が得意であり、実は剣道の全国大会の優勝者でもある。モテるけど家系の維持を優先しているため恋愛経験はない。

 

 

 

セイバー

 

現時点で真名は不明だが円卓の騎士ではある。ピンクの長い髪の美少女。髪は長めで左目が隠れている。律儀な騎士であり、性格も穏やか。正義感も強く間違いなく当たりサーヴァントである。聖杯にはかける願いがあり、意外に背景は重いようだ。

 

 

 

セプティムス・オルビス・ラピス

 

バーサーカーのマスター。彷徨海からきた神代至上主義な魔術師。だけどわりと常識を重んじているし野蛮でもないのでマスターの命を狙ったり一般人に被害をだすこともない紳士。だけどバーサーカーのことは誇りに思っててどやってる。なお何の代償もなくバーサーカーを運用できるくらいには優秀なマスターである。制御もちゃんとできている。なお聖杯にかける願いは神代の復興であり、そこで思いきり研究がしたいそうである。真面目な奴である。

 

 

 

バーサーカー

 

剣の化身たる大英雄。すごく強い。体がそもそも剣そのものなのでめちゃくちゃ防御そのものも堅いし一撃がすでに対人宝具レベル。願いは不明。

 

 

 

 

エーミール・セバスティアン・フォン・クロイツェン

 

時計塔から来たエリート魔術師。家系は1000年くらい続いている。真っ当な魔術師だけどわりと現代と折り合いをつけているタイプ。研究者としては熱心な人であり、現在の魔術の研究体制そのものが詰んでいると思っている。聖杯にかける願いは全人類が魔術を使えるようになること。本人はそれが幸せなことだと思ってるし特に疑っていない。

 

 

 

アーチャー

 

線の細い美少年。だけど弓の腕はやっぱり英雄。なにか切実な願いがあるようであり召喚に応じた。

 

 

 

 

伊吹政宗

 

三郎のクラスメイト。すでに推薦で都内の名門私大にスポーツ推薦が決まっている。人生リア充街道を爆走してきたが、九十九理々花に恋して初めて上手くいかないことを知った。だけど同時に好きという気持ちは止まらないので本人的にはハイである。理々花に認められたくて特別な人間になりたいと考えてマスターになってしまった。わりと魔術の才能はある方のようだ。

 

 

 

ランサー

 

ランサーのくせに自分の宝具の槍とかマスターに貸しちゃうくらいには大事にしてないわりと異端な奴。理知的で油断ならない狡猾さを持っておりかなり苦戦が見込まれるタイプである。戦士タイプではないので搦手を使うのに躊躇がない。

 

 

 

アレイア・ノウス

 

アトラス院から来た錬金術師。青い髪に金眼の美少女。陰キャ。

 

 

アサシン

 

つねに剥き身の剣を持ってるいかにもアサシンなやつ。だけど理知的でちょっと怖いが、本人は敵対関係になければわりと寛容な奴である。

 

 

 

ノクティラリア・ギギ・アプス

 

タイプアース・プロトタイプ。ガイアが生み出した系統樹の花にして真霊長。夜を統べるお姫様。まだ生まれたばかりだが、そのスペックはすでに怪物である。あと少し時間がたって学習が進めば真祖さえ束になっても敵わない超常存在と化す。まだギリギリ英霊と人間が組んで倒せる段階にいる。なお本人は初恋にうかれているだけの乙女である。

 

 

キャスター

 

母性的な女性。美人だけどなんか影がある。ノクティラリアとはそこそこいい関係を築けてはいるようだ。本人的にはすさまじく切実な願いがあり聖杯戦争に前のめりである。

 

 

 

 

クラリッサ・アウグスティナ・ヴェルミリオン

 

本聖杯戦争の監督役を務めるシスター。いくつかの聖杯戦争を仕切ってきた凄腕監督役である。本作の愉悦部部長。気に入らないことがあると舌打ちするがこれは三郎だけにである。人間の堕落を見たいという愉悦部仕草で戦争を裏から煽っている。なお本人自体の生活はいたって清貧であり、信仰心が篤く、社会常識を持ち合わせている。神に貞節を授けているため、悪女ムーブしてるくせに恋愛経験はない。こんな奴が愉悦部やってるのはきっと悲しい理由があるんや!多分。

 

 

 

ルーラー

 

黒人の美しい青年。こちらも愉悦部してるけど、クラリッサとは方向性が違う。聖杯戦争をどう裁定するのかはまだ秘密である。




吸血鬼の姫さんの設定の盛りっぷりに草。
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