普通すぎる男が聖杯戦争を壊すまで   作:笑嘲嗤

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第1章 星姫の舞う夜 -タイプアース・プロトタイプ-
第8話 お姫様


 予備校の授業は好きだ。予習して問題を解いておいてもなお、得られるものが沢山ある。だけど今はライダーが霊体化して隣にいるわけで。

 

『マスター。大学とやらに行くことに何の意味がある?』

 

『なにこれ?てれぱしー?俺は大学に行ってモテたいの。大学デビューしてキラキラ青春なのよ。可愛いカノジョ作って結婚して幸せになりたいの』

 

『嫁なら気に入った女を奪ってくればいいだろう』

 

『なにその略奪婚発想。文明の時代舐めすぎでしょ』

 

『英雄たちはそうするものだ』

 

『俺は英雄じゃないから普通でいいです』

 

『それにこの時代はカリ・ユガだ。終末は避けられない。お前のあがきに意味はない』

 

『それを決めるのは俺だよ。人生の意味付けは俺がするの』

 

 ライダーの価値観が古代人です。略奪婚とか国連も警告するようなヤバい人権侵害だろうに。まあそういう時代もあったのね。そして講義が終わって、外に出る。コンビニによってチキン食べようと思った時だった。

 

「やあ。佐藤三郎君。ちょっといいかな?」

 

 ブリティッシュなスーツを着た外国人のイケオジ系おっさんが話しかけてきた。ていうかこの間喧嘩してたやつで俺に犬嗾けてきた奴じゃん?!

 

「おっと警戒はしないでくれ。私は魔術師としてちゃんと神秘の漏洩に気を払いたいんだ。人前でなど戦わないよ。ちょっと話がしたいだけだ」

 

「はぁ?チキン食べたいんでそれでいいですか?」

 

「ああかまわないよ」

 

 コンビニでチキンを買う。するとライダーが姿を現した。俺はチキンとバンズを渡してやる。ライダーは美味しそうに食べている。俺もチキンを食べる。

 

「で何の用です?正直あなたにいい印象ないんですけど?」

 

「そのことなんだよね。私としてもあれは一応魔術師として仕方がなかったと言い訳はさせて欲しい。神秘を漏洩させてしまうと私も粛清の対象になってしまうからね。あ、そうだ。名前を言ってなかったね。私はエーミール・セバスティアン・フォン・クロイツェン。時計塔から来た」

 

「そうですか。エーミールさん?でいいです?」

 

「かまわないよ。で、謝りたいんだ。すまなかった。犬で追い回す羽目になってしまった。怖かっただろう。殺す気はなかった。記憶を消させてもらうつもりだったんだ。まさか君がマスターになるとは思わなかったがね」

 

「律儀ですね。まあそういう事情ならいいですけど。なんか大変なんですってね、魔術師界隈って」

 

「まあね。隠匿が条件になるからどうにも難しいことが多いんだよね。私としてもそこらへんはなかなかねぇ困ってるよ。本当は研究成果を堂々と発表したいんだけど、魔術師界隈って基本的に閉鎖的なんだよね。家系で完結してるってところあるし」

 

「ふーん。やっぱり歌舞伎みたいなもんなんですね」

 

「ははは!歌舞伎か!その例えはなかなか秀逸かもしれないね!」

 

 なんか普通に話しできる。わりと九十九がツンツンしてるから新鮮な感じするよ。

 

「君はなにか聖杯にかける願いはあるのかな?」

 

「ないんですよね。受験生なのでむしろこのイベント邪魔なんです」

 

「そ、そうか。それはなんだろう。御気の毒かな?だけど戦わないといけないのは理解してる?」

 

「勝手につぶし合っててくださいよ。俺は遠くで見てるんで」

 

「あはは。やる気ないんだね。魔術の世界に足を踏みこんだんだよ?なにかこう滾るものはないのかい?」

 

「特には」

 

「うーん。これがZ世代という奴なのかな。私は魔術に触れられることは幸せなことだと思ってるんだ」

 

「楽しいんですか?」

 

「まあそうだね。楽しいよ。だからこそ本当は多くの人に魔術に触れて欲しい。この力の可能性を知って欲しいんだ」

 

「得意不得意はあると思いますよ」

 

「まあそれはそうなんだけどね。私は聖杯に全人類が魔術を使えるようになるように願うつもりなんだ」

 

「スケールデカいですね」

 

「だろう。だから戦うことは避けられないんだ。だから決闘はいつでもする用意がある。そう伝えに来たよ。アーチャー」

 

 エーミールさんがアーチャーを呼んだ。弓を持った美しい青年が現れた。英霊って基本皆美形なんだな。

 

「アーチャーにも願いがある。だから負けるつもりはない。これは連絡先だ。決闘したくなったらいつでも言ってくれ」

 

「はぁ。まあわかりました」

 

 メモだけ受け取ってエーミールさんは帽子を上げてから礼をして去っていった。いろんな人がいるんだな。社会って広い。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 理々花は刀を腰に大小二本下げてビルからセイバーと共に街を見下ろしていた。

 

「血の匂いがしますねマスター」

 

「ええ。まずいわね。介入するわ」

 

「了解!」

 

 二人はビルから飛んで隣のビルの窓ガラスを割って中に派手に侵入する。そこには高級レストランであり、腐敗臭を放ちながらうろつくグールたちがひしめいていた。

 

「ひどい……セイバー!!」

 

「はい!」

 

 セイバーはすぐにグールの群れの中に飛び込み、鞘に包まれた二本の剣を振るいグールたちを消滅浄化させていく。理々花もまた刀を一本抜いて青い瞳を発光させて周囲のグールたちの首を刎ねていく。

 

「死徒の仕業にしてはやり方が拙いわ!いったい誰なのこれをやったのは?!」

 

 そして二人はグールをすべて葬った。

 

「ご苦労様です。わたくしが浄化しますのでおかえりいただいても結構ですわ」

 

「クラリッサ。これってやっぱり吸血鬼の仕業よね?」

 

「おそらくは。ですが日本の政府機関のニンジャさんとかが大抵はかたずけてるはずなのですがね。聖杯戦争中に起きていることからもやや気になります。案件としてはわたくしたち教会が引き取るのでご安心を」

 

「それならいいけど……」

 

「まあ何かあれば情報共有はしますわ」

 

「じゃあ後始末はよろしくね」

 

 理々花とセイバーはビルの窓から飛び立ってレストランから去っていた。クラリッサは呪文を唱えて、教会特有の浄化魔術を行い場を清める。その後、すぐに魔術を使ってビル内の人々の記憶をすり替えて関連機関に隠蔽工作をスマホで指示する。その後、クラリッサはビルの警備室の監視カメラの映像をチェックする。

 

「さてだれがやったのかしら?……あら?あはは!?」

 

 レストランに行われた吸血行動の映像が見つかった。そこには紫色の髪のゴシックロリータドレスの美しい少女と褐色の肌の美しい女が写っていた。紫色の髪の女は客の女の一人の首筋から血を作った後にその場を後にしていた。噛まれた者はグールとなり、レストランは全滅した。

 

「くくく、あはは!いいですわ!?見るからに初心な吸血鬼のお姫様!死徒みたいな擦れた感じがないのが素敵ね!ああ!乙女は何を求めているのかわかってないのね!導かねばいけないわ!この哀れなる吸血鬼のお姫様に王子様を授けなければ!!くふふ!あーはははは!!」

 

 クラリッサは嗤う。新たなる愉悦の刻が来たことを確信して。

 

 

 

 

 




型月じゃないか!吸血鬼のお姫様だぞ!staynight!!
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