普通すぎる男が聖杯戦争を壊すまで   作:笑嘲嗤

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第9話 王子様

 学校に来ると案の定というか伊吹が休んでた。風邪ってことらしいけど、まああんなことしでかしたしね。そういうことだろう。昼休みに例によって九十九が来て屋上で飯を食べる。ライダーとセイバーも出てきて一緒にランチだ。

 

「伊吹君はマスターとして行動してるみたいね」

 

「熱心そうだったしね。まあ知らんけど」

 

 あいつは優勝狙いに行くタイプに見える。世間の男の子ならそんなもんかもしれない。

 

「実は家に電話があったの。同盟の申し出だったわ。断ったけど」

 

「え?今どき家電あるの?おハイソだね」

 

「電話はないと困るでしょ」

 

 スマホでよくない?まあ色々事情は何処にもあるか。

 

「ランサーの槍は必中の属性を持っていますよね。真名は絞れるのでは?」

 

「それがわからないのよね。槍を持ってる英霊ならどっちかって言うと好戦的な戦士のはずだから行動パターンに合わないのよね。まあ行動するなら何かしらヒントは出てくるわ。それを待ちましょう」

 

 だから作戦会議なんてするつもりさらさらないんだけどなぁ。勝手に喋りおる。たまには俺の話もしたい。

 

「九十九も進学するんだろう?今の時期は大事だろうに」

 

 さらりと嫌味飛ばしてやる。

 

「私は時計塔に行くから関係ないわ。もう内定も出てる」

 

「時計塔?なんか昨日会ったアーチャーのマスターもそんなこと言ってたな」

 

「は?!他のマスターに会ったの?!」

 

「うん。ライダー召喚される前に襲ってきた奴だったんだけど、すまなかったってごめんなさいされた」

 

「なにそれ……いや。まあまともな人間性の持ち主だっていうなら安心かしらね」

 

 まあ好戦的な奴じゃないだけましよね。ていうかマスターの選定基準がわからないけど、もしもサイコ野郎とかがサーヴァントゲットしたらえらくヤバいよね。治安的にはガバガバだと思う。伊吹はまあ一般人出身だしそこらへんは大丈夫そうかな。

 

「アーチャーに何か特徴はあった?」

 

「イケメンだった」

 

「それだけ?」

 

「うん。特に何も。っていうか俺に神話の知識なんてないから相手の名前なんて当てるのは無理だぞ。期待しないでくれ」

 

「そうね。なんで一般人はそういう知識がないのかしら。こういう時には困るわよね」

 

 オタクくんとかならきっと詳しいんじゃないかなって言いそうになったけど、地雷踏みそうだからやめておこうと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の姫はただ街を彷徨う。食事を終えて空腹は満たされたが、興は満たされない。まだ生まれたばかりの彼女にとって世界はどこか虚ろで脆くなにより退屈なところに見えた。黒のゴシックロリータなドレスを纏って優雅に夜の街を歩く。だが誰も彼女を気にも留めない。そういう権能故に人は彼女を見ても気に留めない。夜に完全に融けている。そんなときだった。

 

「こんばんわ。お姫様。今宵はいかがお過ごしですか?」

 

 緑色の髪のシスターと出会った。夜の姫は紫色の瞳を丸くして首を傾げる。自分を認識しているということは神秘を知るものなのだろう。

 

「ええ。こんばんわ。シスター。あなたはあたしを退治しに来たの?」

 

「いえいえ。そのような大それたことは考えもしませんよ。わたくしはただあなたを素敵な夜会に招待したくてこうして声をかけただけですわ」

 

「夜会?」

 

「ええ。夜を統べるお姫さま。あなたは完璧な乙女。ですが欠けているものがあります」

 

「あたしに欠けているもの?それはなに?」

 

「王子様」

 

「王子様?あたしは単体で完結しているのよ。配偶者は必要としてないわよ」

 

「いえいえ。あなたが可憐な乙女の姿であることには意味があるのです。男は女を。女は男を必要とするようにできています。人も神も、あなたのような星の産んだ超常の化身であってもそれは変わりませんわ」

 

「あたしは女?」

 

「ええ。あなたは可愛い女の子。この先に駅があります。そこで踊りなさい」

 

「踊る?」

 

「女が舞えばそこに必ず男はやってきます。あなたを見初めてくれる王子様があなたの下にやってくるでしょう。今宵は月が綺麗です。月光が王子と姫の出会いを見守ることでしょう」

 

 そしてシスターは姿を消した。夜の姫は空を見上げる。確かに真ん丸に淡く白く輝く綺麗な月が出ていたのだった。夜の姫は月光に招かれるように夜の街を歩いていった。王子様に出会うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 例によって夜のバトルに九十九から誘われたけど華麗に断りして予備校に行った。道中の繁華街でなんか金色の牡牛の載った神輿をわっしょいして警官ともめてる若者たちとすれ違ったけどなんなのかね?お祭りかな?俺も上京したら渋谷のハロウィンなるイベントに参加してみたいものだ。

 

『マスター。チキンにもいろんな種類があるようだな。赤いのを食べてみたい』

 

 予備校帰りにコンビニによった。

 

『いいよ。バンズはいる?』

 

『所望する』

 

 赤いチキンとバンズと俺のチキンを買ってからコンビニを出る。電車に乗る前に駅の広場で食べてから帰ろうと思った。そこで見てしまった。なんか変な奴。

 

「~~~~~♪」

 

 鼻歌を歌いながら舞う紫色の瞳に髪のとても美しい少女。綺麗すぎて人間味を感じない。そして何より変なのはひどく目立っているのに道行く人は誰も彼女に気を払わないことだった。誰も彼女にぶつかったりしてないから認識はしてるみたいだけども、興味をもたないようになっている。そんな感じだ。というかこれ。俺だけしか『見て』いないんだ。だからだ。すぐに逃げればよかった。答えに至るのに時間がかかり過ぎた。

 

「あ……」

 

 紫色の髪の少女が俺を『見つけてしまった』。少女は踊るのをやめて、カーテシーした。

 

『星の生み出した何かのようだな』

 

『はい?星?』

 

 ライダーがなんか言ってる。

 

『まあ終末には影響ないだろう。星は終末に感知などしないからな』

 

 そして勝手に納得しちゃったみたい。どういうこっちゃねん。だけどもう無視してさようならする空気じゃない。

 

「どうも。あんたはなんだ?俺は佐藤三郎。ただの受験生だ」

 

 受験生アピールしておく。つまり今後は暇じゃないからお誘いしないでねってアピールに抜かりはない。

 

「あなたが。ああ、あの人の言っていたことは本当だったのね!」

 

「勝手に納得しないで。名前は?そんで何もん?」

 

「ええ、っと。こういう時は自己紹介?っていうのをするのよね。あたしはノクティラリア・ギギ・アバス。夜を統べる……そう……お姫様なの……」

 

 痛い子だ!自分のこと姫とか言うのはホストクラブだけにして欲しいよぅ!気を遣う男側の気にもなってよ!

 

「ふーん。そう。まあ夜も遅いし気をつけてね」

 

 そう言って帰ろうとしたのだが、話は途切れていなかった。

 

「月が綺麗ですね……」

 

 夏目漱石かよ。だけど。

 

「ここは再開発地区だからビルだらけで月は見えないよ」

 

「え……ああ、そうね。残念……」

 

 紫色の髪の女は本当に残念そうだった。

 

「じゃあ俺は明日も学校あるからここらへんで。さようなら」

 

 俺は踵を返して話を打ち切り駅に向かう。

 

「また!またね!」

 

 背中の方から声が聞こえたけど俺はスルーしたのだった。




愉悦ぅ('Д')

あ、これはfateです!月姫じゃないからそこらへんご容赦くださいね!まあ型月やってるつもりですからそこらへんご期待ください!
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