ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
校舎へ戻る途中、私は一度足を止めた。
壁にもたれ、膝の上に小さなメモ用紙を広げる。
ポケットからペンを取り出し、手早く書き込んでいく。
――使用弾数。
7.62×54mmR 300発
.338 Lapua Magnum 1発
9×19mm 3発
「……っと」
数字を書き終え、ペン先がわずかに震えていることに気づく。
(……あれ)
さっきまで、あんなに落ち着いていたのに。
胸の奥が、じわっと冷えていく。
撃っている最中は確かに消えていたはずの感覚が、遅れて戻ってきている。
――怖い。
爆音も、反動も、血の気の引く感覚も。
全部が、今になって頭の中で再生され始めていた。
(……遅いよ)
そう思いながらも、呼吸が少し浅くなる。
顔を上げた、その時。
「おー、レインちゃん」
気の抜けた声。
振り向くと、ホシノ先輩が校舎の影からひょい、と現れた。
シールドを肩に掛け、ショットガンを片手で持っている。
「……先輩」
「無事そうだねぇ。よかったよかった」
そう言って、私の手元――メモ用紙に視線を落とす。
「なにそれ?」
「……消費した弾数の記録です」
紙を見せると、ホシノ先輩は一瞬だけ目を細めた。
「300発……」
そして、.338ラプアの「1」を見て、ほんの少しだけ沈黙する。
「……ふぅん」
その声は、いつもの眠そうな調子より、少し低い。
「怖くなかった?」
唐突な質問。
私は、正直に息を吸ってから答えた。
「……最初は」
「銃を構えるまでは、すごく」
ホシノ先輩は、何も言わずに聞いている。
「でも、撃ち始めたら……消えました」
「ふーん」
「怖いって感覚が、どこかに行って……ただ、やることだけが残って」
言葉にした瞬間、胸がきゅっと締まる。
「……でも」
視線を落とす。
「今は、少しだけ……戻ってきてます」
手のひらを見ると、わずかに震えている
「撃たなくていいって分かった途端に……怖い、って」
ホシノ先輩は、ぽりぽりと頭を掻いた。
「それでいいんだよ」
「え……?」
「撃ってる最中に怖がり続けるより、ずっと健全」
少しだけ、優しい声。
「怖さが戻るってことは、ちゃんと“人”に戻ってきてるってことだからさ」
その言葉に、胸の奥が少しだけ軽くなる。
「無茶しなかった?」
「……近づかれた時に、少し」
「少し、ねぇ」
先輩はため息をつく。
「ま、結果オーライ。誰もケガしてない」
それから、少しだけ声を落とした。
「でもさ。レインちゃん」
「はい」
「自分が何者か、分からなくなりそうになったら」
一瞬、先輩の目が真剣になる。
「おじさんでもいいから相談しなよ」
私は、撤退していったヘルメット団の背中と、引き金を引いていた自分を、同時に思い出す。
「……はい」
小さく、でもはっきり答えた。
ホシノ先輩は満足そうに頷く。
「よし。じゃあ帰ろっか」
「はい」
紙を折り、ポケットにしまう。
恐怖は、完全には消えていない。
でも――今は、それでいい。
私はホシノ先輩の隣を歩きながら、生徒会室へ戻った。
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「いや~まさか勝っちゃうなんてね。ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けてたみたいだったけどけど」
「まさか勝っちゃうなんて、じゃないですよホシノ先輩。勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか…」
(“勝った”……そうか、勝ったんだ)
ついさっきまで引き金を引いていた感覚が、まだ指に残っている。
勝利の実感よりも、無事に終わったという安堵の方が大きかった。
「先生の指揮が良かったね。私たちだけの時とは全然違った…これが大人の力…すごい量の資源と設備、それに戦闘の指揮まで。大人ってすごい」
(……確かに)
弾薬、連携、判断の速さ。
昨日まで自分が想像していた「戦い」とは、次元が違っていた。
「今まで寂しかったんだね、シロコちゃん。パパが帰ってきてくれたおかげで、ママはぐっすり眠れまちゅ。」
「いやいや、変な冗談はやめて!先生が困っちゃうじゃん!それに委員長はその辺でしょっちゅう寝てるでしょ!」
「そうそう、可哀そうですよ」
(……この空気)
さっきまで銃声が響いていたのが嘘みたいだ。
でも、この“普通の会話”が続いていること自体が、ここでは奇跡なのかもしれない。
「あはは…少し遅れちゃいましたけど、あらためてご挨拶します、先生」
アヤネを中心に自己紹介を進めていく。しかし自分は先生に対してなにをすればいいのだろうか…
(先生……か)
命令を出す人。
守られる側じゃなく、一緒に前に立つ大人。
今まで会ったことのない存在だった。
「最後に昨日から我が校に転入してきてくれたレインちゃんです」
「あ、よろしくお願いします、先生」
自分はアルティンを外し礼をしてから軽く挨拶をすませ、先生に向けて手を差し伸べた
(こういう時、どうするのが正解なんだろう)
でも、武器を持たない手を差し出すのは、悪くない気がした。
「’’えっと、これは握手ってことでいいのかな?’’」
「そのつもりだったのですが、嫌だったでしょうか?」
声に出した瞬間、少しだけ緊張した。
拒否されたらどうしよう、と。
「’’全然大丈夫だよ。これからよろしくね’’」
先生は自分の差し出した手を握り替えした。
(……あ)
思ったより、温かかった。
銃を持っていない手の感触が、妙に新鮮で、胸の奥が静かになる。
これを見たシロコとノノミは(その手があったか)とでも言いたげな表情を浮かべ、ホシノ先輩は「やるね~」と呟き、アヤネとセリカは苦笑いしていた
(な、なんでそんな目で……!?)
少しだけ居心地が悪くなり、思わず視線を逸らす。
「ご覧の通り、我が校は現在危機にさらわれています――」
話を聞きながら、胸の奥に引っかかるものがあった。
この学校は、守られていない。
だからこそ、何度も狙われる。
「だねー。補給品も底をついてたし、さすがに覚悟したね。なかなかいいタイミングに表れてくれたよ、先生」
「うんうん!もうヘルメット団なんてへっちゃらですね。大人の力ってすごいです☆」
(……でも)
“また来る”という前提で話している。
それが、ここでは当たり前なのだ。
自分は思った。
ここで消耗戦を続けるより、敵の拠点を潰す方がいい――と。
(でも、言っていいのか……?)
昨日来たばかりの転入生。
しかも、まだこの学校のことも完全には分かっていない。
と考えていると、ホシノ先輩が何た言いたげな顔をしている
「実は、ちょっと計画を練ってみたんだー」
「え!?ホシノ先輩が!?」
「うそっ…!?」
(……あ、言う流れになった)
「…で、どんな作戦?」
「ヘルメット団は、数日もすればまた攻撃してくるはず――」
「そこで、一番消耗しているであろう今のタイミングで奴らの基地を根本的に破壊するってことですか?」
言ってしまった瞬間、心臓が跳ねた。
(しまった……!)
「すみません、余計なくt「レインちゃん大正解だよー!」
(え……?)
ホシノ先輩がめちゃくちゃ自分の頭をなでてくる
「ちょ、先輩……!」
戸惑いながらも、悪い気はしなかった。
「なるほど。ヘルメット団の基地はここから30kmぐらいだし――」
(……行くんだ)
怖さは、まだ残っている。
でも、逃げたいとは思わなかった。
「’’いいよ。いますぐ行こう’’」
その一言で、覚悟が固まる。
(この人が“先生”なら)
――きっと、ついて行ける。
「はい~それでは、しゅっぱーつ!」
自分は静かに息を吸い、装備を確かめた。弾込めができていないPKPは置いていき、両手にAK-12を構えた
恐怖は消えていない。
でも、それ以上に――ここを守りたいと思っている自分がいた。
感想お待ちしてます
続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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