ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.12 借金

「ただいま~」

 

「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ」

 

「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」

 

「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」

 

「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!ありがとう、先生!この恩は一生忘れないから!」

 

 

――借金。

 

 

その単語が耳に入った瞬間、

胸の奥で、はっきりと「嫌な重さ」が生まれた。

 

(……借金?)

 

先生と同時に、私も首を傾げる。

冗談の調子じゃない。

そして何より、みんなの反応がそれを否定していた。

 

「借金」という言葉を聞いて先生と自分は頭にはてなを浮かべた。

 

 

「「’’借金返済って?’’」」

 

 

(嫌な予感がする)

 

この感覚には覚えがあった。

“後から知るには重すぎる現実”が出てくる前触れだ。

 

 

「…あ、わわっ!」

 

 

セリカの動揺を見た瞬間、

その予感は確信に変わった。

 

(……隠してた話なんだな)

 

 

「そ、それは…」

 

「ま、待って!!アヤネちゃん!それ以上は!」

 

 

セリカの必死さに、胸が詰まる。

それは“秘密”というより、“触れられたくない傷”だった。

 

 

「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」

 

「かといって、わざわざ話すようなことじゃないでしょ!」

 

 

(……言えない理由が、ちゃんとある)

 

 

「別に罪を犯したとかじゃないでしょー?それに先生は私たちを助けてくれた大人でしょー?」

 

 

ホシノ先輩は軽い口調のまま、

それでも逃げ道を塞ぐように話を進めていく。

 

 

「ホシノ先輩の言う通りだよ。セリカ、先生は信用していいと思う」

 

「そ、そりゃそうだけど、先生だって結局部外者だし!加えてレインは昨日来たばっかだし!」

 

 

――その言葉は、私にも向けられていた。

 

(……そうだね)

 

(私は、まだ“外側”にいる)

 

昨日来たばかり。

この学校の過去も、苦労も、まだ全部は知らない。

 

 

「確かに先生がパパっと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ。でもこの問題に耳を傾けてくれるような大人は、先生くらいしかいないじゃーん?」

 

「悩みを打ち明けてみたら、何か解決策が見つかるかもよー?」

 

 

ホシノ先輩の言葉は優しい。

でも、セリカにとっては“希望を押し付けられる恐怖”でもある。

 

 

「でっ、でも、さっき来たばっかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?」

 

 

(……それは、正しい)

 

私も“外”にいたから分かる。

大人は、見ないものを「なかったこと」にする。

 

 

「この学校の問題は、ずっと私たちだけでどうにかしてきたじゃん!なのに今更、大人が首を突っ

込んでくるなんて……」

 

「私は認めない!!」

 

 

(……限界なんだ)

 

怒鳴り声の奥に、

「もう裏切られたくない」という感情が透けて見えた。

 

 

「ちょ、セリカちゃん!?」

 

「私、様子を見てきます」

 

 

セリカが飛び出していく。

 

追いかけるべきか、迷った一瞬。

でも――

 

 

「……今は、そっとしておこう」

 

 

 

シロコの手が肩に触れた。

 

(……そうだね)

 

今のセリカに必要なのは、説得じゃない。

 

 

「…えーと、簡単に説明すると…この学校、借金があるんだー。まぁ、ありふれた話だけどさ」

 

(ありふれてなんか、いない)

 

「でも問題はその金額で…9億円ほどあるんだよねー」

 

「……え?」

 

 

言葉が、思考に追いつかない。

 

 

「…9億6235万円、です」

 

(……10億)

 

頭の中で何度も数字をなぞる。

どう計算しても、現実的じゃない。

 

(学生が……背負う額じゃない)

 

「アビドス…いえ、私たち『対策委員会』が返済しなくてはならない金額です」

 

(……逃げなかったんだ)

 

「実際に完済できる可能性は0%に近く…ほとんどの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて、去ってしまいました」

 

(それでも、残った)

 

「そして私たちだけが残った」

 

(……この人たちは)

 

(“責任を引き受けてる”)

 

「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいなくなったのも…すべてこの借金のせいなのです」

 

 

胸が、重く沈む。

 

 

「そんなに額が大きいのなら利息もとてつもないのでは……?」

 

 

気づけば、私は自然に口を開いていた。

 

(戦場より、よっぽど残酷だ)

 

「お察しの通り、毎月の利息を返済するので精一杯で…弾薬も補給品も、底をついてしまっています」

 

(だから、弾が足りなかった)

 

(だから、昨日あんな顔をしていた)

 

全部が、一本につながった。

 

 

「セリカがあそこまで神経質になっているのは…話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」

 

(……“聞く”だけでも、意味があるんだ)

 

「…まあ、そういうつまらない話だよ」

 

(つまらなくなんか、ない)

 

「もしこの委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしなくていいからねー。レインちゃんも、そこまで深い入れ込まなくていいから」

 

(……無理だよ)

 

(そんな顔で、そんなこと言われたら)

 

もう、心の中ではもう決まっていた。

 

(ここまで聞いて)

 

(何もしないでいられるほど、私は冷たくない)

 

 

「そうだね。先生はもう十分力になってくれた。これ以上迷惑はかけられない」

 

「’’自分も対策委員会の一員として、一緒に頑張るよ’’」

 

 

その瞬間、

自分は先生を見て、はっきりと思った。

 

(この人は、逃げない)

 

(……なら)

 

(自分も、ここに立つ)

 

「……よろしくお願いします」

 

 

それは“挨拶”じゃない。

“覚悟”だった。

 

 

「よかった…『シャーレ』が力になってくれるなんて」

 

「そうだね。希望が見えてくるかもしれない」

 

 

――希望。

 

その言葉を噛みしめながら、

自分は静かに思う。

 

(希望は、誰かが守らないと消える)

 

……銃を持つ理由がまた一つ、はっきりした




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