ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

16 / 72
続きました


No.15 救出作戦

倉庫の奥で、アヤネが足を止めた。

 

 

「……これ、使えます」

 

 

懐中電灯の光に照らされて浮かび上がったのは、埃を被った一台のバギーだった。

長期間放置されていたのだろう。車体の隙間には砂が噛み込み、塗装は色褪せ、タイヤのゴムもひび割れている。

 

(……正直、不安しかない)

 

そう思ったのは、たぶん私だけじゃない。

 

 

「動くんですか、それ……」

 

 

思わず口にすると、アヤネは答える代わりに運転席へ滑り込んだ。

 

 

「元は学区の巡回用車両です。最低限の整備はしてあります」

 

 

“最低限”という言葉に、微妙な間が含まれていた気がする。

 

キーを回す音。

 

一瞬の沈黙。

 

次の瞬間、低く濁ったエンジン音が倉庫に反響した。

 

 

「……生きてます」

 

 

その一言で、空気が一変する。

 

 

「これで追いつけますね☆」

 

 

ノノミは軽く言ったが、その目は笑っていなかった。

 

 

「レイン、後ろ乗って」

 

 

シロコに促され、私は装備を抱えたまま後部座席へ飛び乗る。

金属フレームが軋み、弾薬の重みで車体がわずかに沈んだ。

 

(……壊れないよね、これ)

 

そんな不安を振り払うように、グリップを強く握る。

 

バギーは倉庫を飛び出し、砂を巻き上げながら加速した。

冷たい夜風が、ヘルメットの隙間から入り込む。

 

(間に合って……)

 

祈るように、その言葉を何度も繰り返した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

校舎を離れ、郊外へ。

 

舗装は途切れ、砂漠化が進んだエリアに入ると、視界が一気に開けた。

遠くには、かつて鉄道があったであろう線路が、砂に半分埋もれて伸びている。

 

 

「……前方、車列確認」

 

 

シロコの声が、いつもより低い。

 

私は即座にスコープを覗き、息を詰めた。

 

砂煙の向こうに見えたのは、装輪戦闘車が四両。

その中央を、荷台付きのトラックが走っている。

 

(護衛、四両……)

 

(これは、ほぼ確定だ)

 

スコープをさらに寄せ、トラックの荷台を探る。

だが、幌と影に遮られて中は見えない。

 

(……セリカ)

 

そこにいるのか。

どんな状態なのか。

 

 

「状態、確認できない」

 

 

シロコの報告が胸に刺さる。

 

(分からないのが、一番怖い)

 

(でも……行くしかない)

 

 

「ドローン、出すよ」

 

 

小型ドローンが夜空へ滑り出す。

 

次の瞬間――

 

閃光。

爆音。

 

先頭の装輪戦闘車が大きく揺れ、砂煙に包まれた。

 

 

「一両、行動不能!」

 

「’’今だ、突っ込んで!’’」

 

「はい!!」

 

 

先生の命令でアヤネがアクセルを踏み込み、バギーがさらに速度を上げる。

 

胸の奥が、すっと冷えていく。

 

(怖い)

 

(でも……止まる方が怖い)

 

アヤネと先生を残し、私たちはバギーから飛び降り、左右に散開する。

バギーはそのまま敵の注意を引くため、大きく回り込んで距離を取った。

 

銃声が交差し、砂が跳ねる。

 

(考えるな)

 

(近づいて、止めて、確保する)

 

それだけを頭に固定する。

 

ノノミがトラックのタイヤを撃ち抜く。

車体が大きく揺れ、やがて停止した。

 

 

「レイン、いくよ」

 

「了解」

 

 

シロコが跳躍し、トラックの荷台へ飛び移る。

私は銃を構え、周囲を警戒しながらその背中を追った。

 

数秒後。

 

 

「半泣きのセリカを確認、確保」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、膝の力が抜けそうになる。

 

 

「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!?そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!!」

 

「うわああああああ!!う、うるさい!!な、泣いてなんか!!」

 

 

ホシノ先輩の声に、思わず小さく息が漏れる。

いつも通りすぎて、逆に安心する。

 

 

「バギー、こちらへ向かっています!」

 

 

アヤネの声が無線を通じて聞こえてくる

 

視線を向けると、砂丘の向こうからバギーが全速でこちらへ向かってきていた。

 

(これで帰れる)

 

そう思った瞬間。

 

装輪戦闘車の砲塔が、ゆっくりとバギーへ向きを変える。

 

「……っ!」

 

「先生、飛び降りてください!!」

 

アヤネの叫び。

 

次の瞬間、運転席と助手席から二つの影が飛び出した。

 

――轟音。

 

砲撃が直撃し、バギーが爆炎に包まれる。

 

(……間に合った)

 

そう思った直後。

 

「残存車両、三両!」

 

装輪戦闘車が進路を塞ぐように展開する。

 

砲塔が、一斉にこちらを向いた。

 

「……包囲されました」

 

私たちは、最初に撃破した装甲車の残骸へ滑り込む。

 

逃げ場はない。

 

銃を握り直し、深く息を吸う。

 

(ここからが……本番だ)

 

装輪装甲車三両が、扇状に展開する。

互いに射線を交差させ、逃げ場を潰す基本的な包囲陣形。

だが、だからこそ――穴も見える。

 

「全車、砲塔をこちらに向けています……完全に足止め狙いです」

 

私は砂に伏せたまま、視線だけで距離を測る。

最も近い車両まで約二十五メートル。

砲塔はすべてこちらを向いている。

 

死角に回ろうとしても間に合わないだろう……ならば。

 

 

「……私が行きます」

 

 

思わず口をついて出た言葉に、自分でも一瞬驚く。

だが、訂正する気はなかった。

 

 

「レインちゃん、無理――」

 

 

ノノミの静止を無視して自分は遮蔽物から飛び出した

 

 

「砲塔が私たちに向いてます。今しかありません」

 

 

声は、自分でも驚くほど冷静だった。

 

(怖い)

(でも、今動かない方がもっと怖い)

 

私は銃を背中に回し、スモークも使わず敵陣中央へ突破を仕掛ける。

下手に視界を遮れば、味方の射線を潰す。

 

装甲車の主砲がすべてこちらへ向き、同軸機関銃の弾幕と砲弾が飛んでくる。

砲撃の衝撃が、腹の底まで響いた。

 

(当たれば、詰む)

 

距離十五メートル。

私は一気に姿勢を低くしたまま走る。

砂を蹴る音が、やけに大きく聞こえた。

 

――装甲車側面。

 

金属に手をかけた瞬間、振動が伝わる。

内部で誰かが怒鳴っている声。

 

(外を見ていない)

(なら、いける)

 

足をかけ、車体をよじ登り、砲塔にしゃがみ込む

 

車長用ハッチを力任せにこじ開ける。

 

腰のポーチからグレネードを抜く。

ピンに指をかけた瞬間、指先が僅かに震えた。

 

(……一秒)

(吸って)

(吐いて)

 

ピンを抜き、ハッチへ放り込む。

 

私は即座に反転し、車体から飛び降りた。

 

――爆発。

 

内部から突き上げる衝撃で、砲塔が空高く吹き飛び、装甲車が沈黙する。

 

「一両、撃破!」

 

砂に伏せながら、短く報告する。

 

(……できた)

 

だが、息をつく暇はない。

残る二両が、即座に対応を変える。

 

一両が後退し射線を調整。

もう一両が前進し、圧力をかけてくる。

 

(連携、早い)

 

私は砂地を転がり、次の遮蔽物へ滑り込む。

 

その瞬間――

 

「投下、三秒前!」

 

アヤネの声が無線に響く。

 

空を見上げると、ドローンが高度を下げていた。

装甲車の進路上へ正確に接近していく。

 

ドローンのアームには、「火気厳禁」と赤字で書かれた木箱が固定されている。

封印テープの隙間から、黒い粉末が僅かに漏れていた。

 

(爆薬……)

 

「爆薬、投下します!」

 

木箱が切り離され、砂地へ落下する。

装甲車二両のちょうど進行ライン中央。

 

だが――

 

「あいつら、さんざんやってくれたわね!!」

 

振り向くと、セリカがトラックの陰から身を乗り出していた。

拘束を解かれたばかりなのに、すでにライフルを構えている。

 

乾いた銃声が連続する。

 

セリカの弾丸が、木箱へ正確に吸い込まれていく。

 

一発。

二発。

三発。

 

次の瞬間――

 

――閃光。

 

爆薬が内部から破裂し、衝撃波が砂を円形に吹き飛ばした。

至近距離にいた装甲車が横倒しになり、もう一両の足回りを破壊する。

 

 

「……全装甲車、沈黙確認」

 

アヤネの声が、少しだけ震えていた。

 

私はその場に膝をつき、ようやく息を吐く。

 

(……生きてる)

 

心臓の音が、今さら主張してくる。

 

(遅いよ……)

 

視線を上げると、セリカがこちらを見ていた。

まだ涙の跡が残ったまま、それでも必死に銃を握っている。

 

胸の奥が、少しだけ熱くなる。

 

私は立ち上がり、銃を構え直す。

 

「うへー、みんなお疲れー。そんじゃ、帰ろっか」

 

ホシノ先輩の合図で学校へ戻る

 

今日の夜空は沢山の星で輝いていた




感想お待ちしてます
続きません

レインの設定って書いたほうがいいですか?

  • いる
  • いらん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。