ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.16 疲れ

砂煙の残る戦場を離れ、私たちはゆっくりと帰路についていた。

 

空は、すでに夜の色に沈みかけている。

風が吹くたび、さっきまでの爆煙の匂いがまだ微かに残っていた。

 

セリカは、ホシノ先輩に半ば抱えられるようにして歩いている。

無線の向こうではノノミがいつもの調子で何か喋っているし、アヤネはドローンの回収に集中している。

 

いつもの光景。

少し騒がしくて、少し安心する空気。

 

(……終わった)

 

そう思った瞬間だった。

 

体の奥に、急に重たい鉛みたいなものが流れ込んでくる。

 

足が、やけに重い。

 

 

「……」

 

 

一歩。

もう一歩。

 

砂を踏む感覚が、急に遠くなる。

 

(あれ……)

 

視界の端が、少し暗くなる。

ヘルメットの内側が、やけに蒸し暑い。

 

(おかしいな)

 

さっきまで、普通に動けていたのに。

 

耳鳴りが、じわじわと広がってくる。

仲間の声が、水の中から聞こえるみたいにぼやけていく。

 

(……まずい)

 

そう理解した瞬間、膝の力が抜けた。

 

 

「――レイン?」

 

 

シロコの声が、すぐ近くで聞こえる。

 

返事をしようとして、口を開く。

でも、声が出ない。

 

視界が大きく揺れる。

 

地面が、急に近づいた。

 

――崩れる。

 

砂の冷たさが、頬に触れる。

 

 

「ちょ、レイン!?」

 

「え、えっ、どうしたんですか!?」

 

 

一気に、周囲が騒がしくなる。

 

私は腕に力を入れて、起き上がろうとする。

けど、腕が言うことを聞かない。

 

(……動け)

 

(まだ歩ける)

 

(迷惑かけたくない)

 

 

「……だい……じょうぶ……」

 

 

やっと出た声は、自分でも驚くほどかすれていた。

 

その瞬間。

 

 

「大丈夫じゃない」

 

 

シロコの声が、すぐ上から落ちてくる。

いつもより少しだけ強い口調だった。

 

気付けば、彼女の手が私の肩を支えている。

 

 

「顔色悪いのに加えて脈速いし……呼吸も浅い」

 

 

シロコがアルティンを外すと険しい顔でそう告げる

 

 

「完全にアドレナリン切れですね☆」

 

 

ノノミがしゃがみ込みながら、呑気そうに言う。

でも、その手はしっかり私の装備を外し始めていた。

 

 

「重すぎますよこれ……どれだけ弾持ってるんですか」

 

 

ノノミがリュックサックとベストを外す際に口ずさむ

 

 

「リュックに…アモカンが……8個ちょっと……ベストにマガジンが…12本ほど…」

 

「多いです」

 

 

即答だった。

 

どこかでホシノ先輩が、小さく笑う。

 

 

「まぁまぁ。よく頑張ったってことだよ〜」

 

 

その声が、やけに遠く聞こえる。

 

(……情けない)

 

(みんな、まだ普通に歩いてるのに)

 

胸の奥が、少しだけ締め付けられる。

 

 

「……ごめん……」

 

 

ぽつりと漏れた言葉に、少しだけ沈黙が落ちる。

 

次の瞬間。

 

 

「なんで謝ってんのよ!」

 

 

セリカの声が、思ったより近くで響いた。

 

視線を上げると、彼女が真っ赤な目のままこちらを睨んでいた。

 

 

「助けに来たの、誰だと思ってんの!」

 

 

その言葉に、一瞬だけ呼吸が止まる。

 

 

「……あ」

 

 

何かを言おうとして、言葉が続かない。

 

シロコが、小さく息を吐く。

 

 

「顔色、戻ってきてる」

 

 

短い言葉。

 

でも、その一言が胸の奥に落ちてくる。

 

(……戻ってきてる)

 

さっきまで、撃つことしか考えてなかった頭に、ようやく実感が追いついてくる。

 

怖かった。

ずっと、怖かった。

 

でも――

 

 

「……少しだけ……休ませて……」

 

 

そう言うのが精一杯だった。

 

 

「’’お疲れ様、レイン’’」

 

 

先生の声が、静かに重なる。

 

気付けば、誰かが私の腕を肩に回していた。

反対側からも、支えられる。

 

立ち上がると、足はまだ頼りなかった。

 

それでも。

 

歩けないほどじゃない。

 

 

「ほらほら〜、英雄様は丁重に運ばないとね〜」

 

「英雄なんかじゃないです……」

 

「はいはい」

 

 

ホシノ先輩が、軽く笑う。

 

朝日が砂丘から少しづつ登ってくる

 

仲間に支えられながら歩く帰り道は、やけにゆっくりで。

 

でも、不思議と。

 

さっきまでより、ずっと安心できた。

 

(……ちゃんと、生きて帰ってる)

 

そう思った瞬間、ようやく体の力が抜けた。

 

私は小さく目を閉じる。

 

仲間の足音が、規則正しく続いていた。




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