ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.21 ブラックマーケット

「…お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね」

 

「全て現金でお支払いいただきました。以上となります」

 

「カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」

 

 

現金を満載した輸送車が、静かなエンジン音を響かせながら学校から離れていく。

 

……前に傭兵を渋っていた意味が、少しだけ分かった気がする。

 

会社がカイザー系列。

もし変な真似をすれば――ただでは済まない。

 

金額以上の「何か」を背負わされる。

そんな圧が、あの輸送車の背中から滲んでいる気がした。

 

 

「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー」

 

 

ホシノ先輩が大きく伸びをする。

その声はいつも通り気だるげなのに、ほんの少しだけ疲労が混じっているように聞こえた。

 

 

「…完済まであとどれぐらい?」

 

 

シロコ先輩が静かに尋ねる。

 

 

「309年返済なので…今までの分を入れると…」

 

 

309年返済。

 

思わず瞬きをしてしまう。

 

(……冗談、じゃないんだ)

 

数字として理解できても、実感が伴わない。

人の人生の単位を軽々と超えている。

 

 

「言わなくてもいいわよ。正確な数字で言われると、さらにストレス溜まりそう…」

 

 

セリカが顔をしかめる。

 

 

「どうせ死ぬまで返済できないんだし!計算しても無駄でしょ!!」

 

 

沈みかけた空気を変えるようにノノミがふと呟いた。

 

 

「ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで手配して…」

 

 

その瞬間。

 

シロコの目が、ほんのり輝いた。

 

……嫌な予感がする。

 

 

「シロコ先輩、あの車は襲っちゃだめだよ」

 

「うん、わかってる」

 

 

セリカの言葉に対して即答だった。

だが、声が妙に早い。

 

 

「計画もしちゃダメ!」

 

「うん…」

 

 

シロコの肩が、わずかに落ちる。

 

(……やっぱり)

 

恐らく、もう何パターンか考えていたのだろう。

 

 

「シロコ」

 

「なに?」

 

「仮に成功しても、借金が追加されるか金利がさらに高くなりますよ」

 

「……それは困る」

 

 

本気で納得した顔をするのが、逆に怖い。

 

 

「ま、とりあえず先に解決するべきは、目の前の問題の方でしょ。とにかく教室に戻ろうー」

 

 

ホシノ先輩が歩き出す。

全員がそれに続いた。

 

 

「全員揃ったようなので始めます。まずは、二つの事案についてお話ししたいと思います。最初に、昨晩の襲撃の件です」

 

 

アヤネの声は、いつもより硬い。

 

 

「私たちを襲ったのは、昨日レインちゃんも言っていた通り『便利屋68』という部活です。ゲヘナではかなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています。便利屋とは、頼まれたことは何でもこなすサービス業者で…」

 

 

(……あれで、部活)

 

内心で思わず呟く。

 

 

「部活のリーダーの名前はアルさん。自らを社長と称しているようです。彼女の下には三人の部員がいて、それぞれ室長、課長、平社員の肩書があるとのことです」

 

「いやぁー、本格的だねー」

 

 

ホシノ先輩が軽く笑う。

 

 

「社長さんだったんですね☆すごいです!」

 

 

ノノミ先輩の純粋な反応に、少しだけ空気が和む。

 

 

「いえ、あくまでも『自称』なので…それで今はアビドスのどこかのエリアに入り込んでいるようです。今朝も会いましたし…」

 

「ゲヘナ学園では、起業が許可されているの?」

 

「それはないと思いますが…勝手に起業したのではないでしょうか」

 

「……校則違反ってことですね。悪い子たちには見えませんでしたが…」

 

「いえ、それが今までかなり非行の限りを尽くしたそうで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです。そんな危険な組織が私たちの学校を狙っているのです!もっと気を引き締めないといけません!」

 

 

アヤネ先輩の語気が強まる。

 

 

「大規模ではこないとは思いますが、次はおそらく便利屋68だけで来るでしょうね…」

 

 

自分は口を開く。

 

全員の視線がこちらに集まる。

 

 

「資金的に傭兵は雇えないはず、次来るとしたらあの四人だけです」

 

「次は取っ捕まえて取り調べでもするかー」

 

 

ホシノ先輩がのんびり言う。

 

 

「はい、機会があればぜひ…」

 

 

アヤネが頷く。

 

 

「ところでアヤネちゃん、何があったの?並々ならぬ恨みを感じるんだけど…」

 

「…いえ、特に何も」

 

 

……絶対何かある。

 

だが深くは触れない方がいい。

そういう空気だった。

 

 

「続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!先日の戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果…現在は取引されていない型番だということが判明しました」

 

(破片だけで型番まで分かるんだ…)

 

 

内心で小さく驚く。

 

 

「もう生産してないってこと?」

 

「それをどうやって手に入れたのかしら?」

 

「生産が中止された型番を手に入れる方法は…キヴォトスでは『ブラックマーケット』しかありません」

 

 

その言葉に、教室の空気が少しだけ沈む。

 

 

「ブラックマーケット…とても危ない場所じゃないですか」

 

「そうです。あそこでは中退、休学、退学…様々な理由で学校を辞めた生徒たちが集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない非認可の部活もたくさん活動していると聞きました」

 

「便利屋68みたいに?」

 

「はい。それから便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました」

 

 

そこで、胸の奥が小さくざわつく。

 

(……繋がっている)

 

偶然ではない。

そんな予感が、静かに広がる。

 

 

「では、そこが重要ポイントですね!」

 

「はい。ふたつの出来事の関連性を探すのも、ひとつの方法かもしれません」

 

 

自分は小さく息を整える。

 

 

「ブラックマーケットに情報網があるなら、便利屋68の依頼元にも辿れる可能性がありますね」

 

 

ホシノ先輩が目を細める。

 

 

「よし、じゃあ決まりだねー。ブラックマーケットを調べてみよう。意外な手がかりがあるかもしれないしね」

 

 

その言葉を聞きながら、胸の奥に重たい感覚が沈む。

 

(……あそこは)

 

聞くだけでも分かる。

秩序の外側。

 

それでも。

 

(アビドスを守るなら)

 

行くしかない。

 

自分は静かに頷いた。




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