ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.22 ブラックマーケットへ

「ここがブラックマーケット…」

 

アスファルトのひび割れた路地の先。

雑多な看板が幾重にも重なり合う通りを前に、思わず足が止まる。

 

空気は乾いているのに、どこか油と火薬の匂いが混ざっていた。

露店からは電子部品の焦げた匂い。

屋台からは甘い菓子の匂い。

その両方が同時に漂っている。

 

違法と日常が、奇妙に混ざり合った場所。

 

 

「わあ☆すっごい賑わってますね?」

 

「本当に。小さな市場を予想していたけど、街ひとつぐらいの規模だなんて。連邦生徒会の手が及ばないエリアが、ここまで巨大化してるとは思わなかった」

 

 

ノノミの言葉に、シロコはわずかに頷く

 

 

「うへ~普段私たちはアビドスにばっかりいるからねー。校区外は結構変な場所が多いんだよー」

 

「ホシノ先輩、ここに来たことがあるの?」

 

「いんやー私も初めてだねー。でも他の校区には、へんちくりんなものがたくさんあるんだってさー。ちょーデカい水族館もあるんだって。アクアリウムっていうの!今度行ってみたいなー。うへ、魚…お刺身…」

 

「よくわかんないけど、アクアリウムってそういうのじゃないような…」

 

「皆さん、油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわからないんですよ。何かあったら私が…」

 

 

――乾いた銃声が響いた。

 

空気が一瞬で変わる。

 

雑踏の音が割れ、周囲の人影が蜘蛛の子のように散る。

本能的に、体が反応する。

 

 

「きゃあっ!?」

 

「銃声だ」

 

 

音源を特定。

反射的に視線を滑らせる。

 

そこには、奇妙な光景があった。

 

奇妙なキャラクターのバックを背負った少女が、必死に走っている。

その後ろを、複数の武装したチンピラが追い回していた。

 

 

「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」

 

「そうはいくか!!」

 

「あれ…あの制服は…」

 

「わわわっ、そこどいてくださいー!!」

 

その少女はシロコの身体に衝突する

 

「い、いたた…ご、ごめんなさい!」

 

「大丈夫?…なわけないか、追われてるみたいだし」

 

「そ、それが…」

 

「何だお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある」

 

 

自分は視線だけで、敵の装備を確認する。

 

ミニガン。

SMG。

弾薬量は十分。

 

(正面戦闘なら長引く)

 

 

「あ、あうう…わ、私の方は特に用はないのですけど…」

 

「思い出しました、その制服…キヴォトスいちのマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です!」

 

「そう、そしてキヴォトスで一番金を持っている学校でもある!だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」

 

「拉致って交渉!なかなかの財テクだろう?くくくくっ」

 

「どうだ、おまえらも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は…お、応じるか?」

 

 

自分は静かに歩み寄る。

 

相手の銃口がまだ上がりきっていない。

 

(今)

 

自分はミニガンを持ったチンピラに近づき、そして

 

 

「ふんっ」

 

「ぐはっ」

 

 

額と鋼鉄でできたヘルメットとぶつかる鈍い音。

衝撃が腕まで伝わる。

 

相手の瞳孔が一瞬で揺れ、身体が崩れ落ちる。

 

続けて。

 

SMGを持ったチンピラの足を引っかける。

体勢が崩れる瞬間、重心を踏み込む。

 

踵落とし。

 

乾いた打撃音。

 

チンピラ共は白目をむいて気絶している。

 

周囲の空気が、一瞬静まり返る。

 

(……目立った)

 

ブラックマーケットという環境を思い出し、胸の奥がわずかに重くなる。

 

「ひゅーナイスレインちゃん」

 

「それほどでも」

 

 

ホシノ先輩の声に軽く答える

 

 

「あ…えっ?えっ?」

 

「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした…。それに、こっそり抜け出してきたので、何か問題を起こしたら…あうう…想像しただけでも…」

 

「えっとー、ヒフミちゃんだっけ?それにしても、トリニティのお嬢様が何でこんな危ない場所に来たの?」

 

「あ、あはは…それはですね…実は、探し物がありまして…もう販売されていないので買うこともできない物なのですが、ブラックマーケットでは密かに取引されているらしくて…」

 

「もしかして…戦車?」

 

「もしくは違法な火器?」

 

「化学兵器とかですか?」

 

「生物兵器とかでしょうか?」

 

「えっ!い、いいえ…えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです」

 

「ペロロ?」

 

「限定グッズ?」

 

「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。ね?可愛いでしょう?」

 

差し出されたのは――

 

目が妙に据わった鳥が、アイスを貪っているぬいぐるみ。ぬいぐるみを見た瞬間、自分の思考が一瞬停止する。

 

(……判断不能)

 

愛玩物なのか。

精神攻撃用なのか。

 

 

「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよねぇ!私はミスター・ニコライが好きなんです!」

 

「わかります!最近…」

 

ノノミ先輩が完全に食いついた

 

突然始まる専門用語の応酬。

 

情報量が多すぎて、思考が追いつかない。

 

 

「…いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー」

 

「…ホシノ先輩、分かります…」

 

 

思わず本音が漏れる。

 

 

「ホシノ先輩とレインちゃんってこういうファンシー系にまったく興味ないでしょ」

 

「ふむ、最近の若いやつにはついていけん」

 

「分かります…最近のトレンドは過ぎるのが早くてついていけません…」

 

「年の差、ほぼないじゃん…」

 

「というわけで、グッズを買いに来たのですが、先ほどの人たちに絡まれて…みなさんがいなかったら今頃どうなっていたことやら…ところで、アビドスのみなさんは、なぜこちらへ?」

 

「私たちも似たもんだよ。探し物があるんだー」

 

「そう。今は製造されていなくて手に入れにくい物なんだけど、ここにあるって話を聞いて」

 

「そうなんですか、似たような感じなんですね」

 

 

その瞬間。

 

 

「皆さん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!」

 

 

視界が、即座に戦闘モードへ切り替わる。

 

屋根上に三。

路地裏に二。

通り奥から四。

 

(包囲)

 

「何っ!?」

 

「見つけた!あいつらだ!」

 

「よくもやってくれたな!痛い目にあわせてやるぜ!あの迷彩服の野郎は特に!!」

 

(……やはり)

 

「先ほど撃退したチンピラの仲間のようです!完全に敵対モードです!」

 

「…やりすぎてしまいましたね…申し訳ない」

 

 

胸の奥に、小さな後悔が沈む。

 

判断は正しかった。

だが、戦闘を誘発したのも事実。

 

 

「大丈夫ですよ、レインちゃん!」

 

「望むところ」

 

 

その言葉に、わずかに救われる。

 

 

「まったく、なんでこんなのばっかり絡んでくるんだろうね?私たち、何か悪いことした?」

 

「愚痴は後にして…応戦しましょう、皆さん!」

 

 

ゆっくりAK-12に手を掛ける。

指先に、戦闘前特有の冷たい感覚が戻ってくる。

 

(ブラックマーケット)

 

(この世界では――交渉より先に、弾丸が飛んでくる)

自分は静かに息を整えた。




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