ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
「ここがブラックマーケット…」
アスファルトのひび割れた路地の先。
雑多な看板が幾重にも重なり合う通りを前に、思わず足が止まる。
空気は乾いているのに、どこか油と火薬の匂いが混ざっていた。
露店からは電子部品の焦げた匂い。
屋台からは甘い菓子の匂い。
その両方が同時に漂っている。
違法と日常が、奇妙に混ざり合った場所。
「わあ☆すっごい賑わってますね?」
「本当に。小さな市場を予想していたけど、街ひとつぐらいの規模だなんて。連邦生徒会の手が及ばないエリアが、ここまで巨大化してるとは思わなかった」
ノノミの言葉に、シロコはわずかに頷く
「うへ~普段私たちはアビドスにばっかりいるからねー。校区外は結構変な場所が多いんだよー」
「ホシノ先輩、ここに来たことがあるの?」
「いんやー私も初めてだねー。でも他の校区には、へんちくりんなものがたくさんあるんだってさー。ちょーデカい水族館もあるんだって。アクアリウムっていうの!今度行ってみたいなー。うへ、魚…お刺身…」
「よくわかんないけど、アクアリウムってそういうのじゃないような…」
「皆さん、油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわからないんですよ。何かあったら私が…」
――乾いた銃声が響いた。
空気が一瞬で変わる。
雑踏の音が割れ、周囲の人影が蜘蛛の子のように散る。
本能的に、体が反応する。
「きゃあっ!?」
「銃声だ」
音源を特定。
反射的に視線を滑らせる。
そこには、奇妙な光景があった。
奇妙なキャラクターのバックを背負った少女が、必死に走っている。
その後ろを、複数の武装したチンピラが追い回していた。
「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」
「そうはいくか!!」
「あれ…あの制服は…」
「わわわっ、そこどいてくださいー!!」
その少女はシロコの身体に衝突する
「い、いたた…ご、ごめんなさい!」
「大丈夫?…なわけないか、追われてるみたいだし」
「そ、それが…」
「何だお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある」
自分は視線だけで、敵の装備を確認する。
ミニガン。
SMG。
弾薬量は十分。
(正面戦闘なら長引く)
「あ、あうう…わ、私の方は特に用はないのですけど…」
「思い出しました、その制服…キヴォトスいちのマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です!」
「そう、そしてキヴォトスで一番金を持っている学校でもある!だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」
「拉致って交渉!なかなかの財テクだろう?くくくくっ」
「どうだ、おまえらも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は…お、応じるか?」
自分は静かに歩み寄る。
相手の銃口がまだ上がりきっていない。
(今)
自分はミニガンを持ったチンピラに近づき、そして
「ふんっ」
「ぐはっ」
額と鋼鉄でできたヘルメットとぶつかる鈍い音。
衝撃が腕まで伝わる。
相手の瞳孔が一瞬で揺れ、身体が崩れ落ちる。
続けて。
SMGを持ったチンピラの足を引っかける。
体勢が崩れる瞬間、重心を踏み込む。
踵落とし。
乾いた打撃音。
チンピラ共は白目をむいて気絶している。
周囲の空気が、一瞬静まり返る。
(……目立った)
ブラックマーケットという環境を思い出し、胸の奥がわずかに重くなる。
「ひゅーナイスレインちゃん」
「それほどでも」
ホシノ先輩の声に軽く答える
「あ…えっ?えっ?」
「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした…。それに、こっそり抜け出してきたので、何か問題を起こしたら…あうう…想像しただけでも…」
「えっとー、ヒフミちゃんだっけ?それにしても、トリニティのお嬢様が何でこんな危ない場所に来たの?」
「あ、あはは…それはですね…実は、探し物がありまして…もう販売されていないので買うこともできない物なのですが、ブラックマーケットでは密かに取引されているらしくて…」
「もしかして…戦車?」
「もしくは違法な火器?」
「化学兵器とかですか?」
「生物兵器とかでしょうか?」
「えっ!い、いいえ…えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです」
「ペロロ?」
「限定グッズ?」
「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。ね?可愛いでしょう?」
差し出されたのは――
目が妙に据わった鳥が、アイスを貪っているぬいぐるみ。ぬいぐるみを見た瞬間、自分の思考が一瞬停止する。
(……判断不能)
愛玩物なのか。
精神攻撃用なのか。
「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよねぇ!私はミスター・ニコライが好きなんです!」
「わかります!最近…」
ノノミ先輩が完全に食いついた
突然始まる専門用語の応酬。
情報量が多すぎて、思考が追いつかない。
「…いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー」
「…ホシノ先輩、分かります…」
思わず本音が漏れる。
「ホシノ先輩とレインちゃんってこういうファンシー系にまったく興味ないでしょ」
「ふむ、最近の若いやつにはついていけん」
「分かります…最近のトレンドは過ぎるのが早くてついていけません…」
「年の差、ほぼないじゃん…」
「というわけで、グッズを買いに来たのですが、先ほどの人たちに絡まれて…みなさんがいなかったら今頃どうなっていたことやら…ところで、アビドスのみなさんは、なぜこちらへ?」
「私たちも似たもんだよ。探し物があるんだー」
「そう。今は製造されていなくて手に入れにくい物なんだけど、ここにあるって話を聞いて」
「そうなんですか、似たような感じなんですね」
その瞬間。
「皆さん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!」
視界が、即座に戦闘モードへ切り替わる。
屋根上に三。
路地裏に二。
通り奥から四。
(包囲)
「何っ!?」
「見つけた!あいつらだ!」
「よくもやってくれたな!痛い目にあわせてやるぜ!あの迷彩服の野郎は特に!!」
(……やはり)
「先ほど撃退したチンピラの仲間のようです!完全に敵対モードです!」
「…やりすぎてしまいましたね…申し訳ない」
胸の奥に、小さな後悔が沈む。
判断は正しかった。
だが、戦闘を誘発したのも事実。
「大丈夫ですよ、レインちゃん!」
「望むところ」
その言葉に、わずかに救われる。
「まったく、なんでこんなのばっかり絡んでくるんだろうね?私たち、何か悪いことした?」
「愚痴は後にして…応戦しましょう、皆さん!」
ゆっくりAK-12に手を掛ける。
指先に、戦闘前特有の冷たい感覚が戻ってくる。
(ブラックマーケット)
(この世界では――交渉より先に、弾丸が飛んでくる)
自分は静かに息を整えた。
感想お待ちしています
続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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いる
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いらん