ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.29 爆発

翌日。

 

いつも通りランニングを終えてから、生徒会室へ直行した。

 

――もちろん制服は着ていない。

 

最初は、せめてブレザーだけでも着ようかと思った。

けれど制服というものは、想像以上に動きにくい。さらにその上からボディアーマーとベストを重ねるとなると、熱いし、可動域も削られる。何より、せっかく新品の綺麗な制服がすぐにシワだらけになるのが嫌だった。

 

(……みんなは、よくあんな格好で走ったり戦闘できたりするな)

 

スカートの落ち着かなさを思い出して、思わず眉が寄る。

 

(布が揺れるだけで気が散るなんて、私には向いてない)

 

いつか真面目に聞いてみようと思いながら、装備を調整する。

 

それはさておき、ホシノ先輩を除いたメンバーで今後の方針を確認していた、その時。

 

 

「前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」

 

 

アヤネの声が一気に緊張を帯びる。

 

 

「10kmってことは…市街地?まさか襲撃!?」

 

「衝撃波の形状からすると、C4爆弾の連鎖反応と思われます。砲弾や爆撃ではないですね…もう少し確認してみます!」

 

 

端末を叩く音が、室内に早く響く。

 

レインは無意識に背筋を伸ばした。

 

(C4……)

 

(偶発じゃない。誰かが“消すつもり”でやった爆発)

 

胸の奥に、嫌な予感が沈む。

 

 

「…爆発地点確認。市街地です!正確な位置は…柴関ラーメン…!?柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」

 

「はあ!?どういうこと!?何であの店が狙われるのよ!?」

 

 

セリカの声が震える。

 

レインの胸の奥にも、冷たいものが落ちた。

 

(……あそこが)

 

ラーメンの湯気。笑い声。

何気ない時間。

 

戦場とは縁がないはずの場所。

 

「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。一体誰が…」

 

「ま、まさか私を狙って…?」

 

「憶測は後でも遅くない。まずは何か手を打たないと!」

 

「そうですね!今はそれどころじゃありません!!向かいましょう!」

 

落ち着こうとはするも、心の中ではざわついている

 

(もし、あの店主に何かあったら)

 

(……嫌だ)

 

 

「ホシノ先輩には私から連絡します、出動を!!」

 

「ど、どうなっちゃったのよ!!大将…無事でいて…!」

 

その気持ちは、ここにいるみんな同じ気持ちだろう

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

――市街地

到着した瞬間、煙の匂いが鼻を刺した。

 

視界は灰色の煙に覆われ、熱気がまだ地面から立ち上っている。

 

自然と呼吸を浅くする。

 

(爆風は収束済み)

 

(追加起爆なし)

 

(でも、罠の可能性は……)

 

地面の破片を確認しながら進む。

 

視線は常に周囲を走り、逃げ道と遮蔽物を同時に探していた。

 

ゆっくり煙が晴れていく。

 

そして――

 

見慣れた四人組の姿が現れた。

 

便利屋68。

 

 

「あんたたち…!よくもこんなひどいことを!!」

 

 

セリカの声には怒りが滲んでいた。

 

表情が固まる。

 

(……やっぱり)

 

しかし同時に、違和感が残る。

 

(本当に、あの人たちが?)

 

 

「あ、大将の無事を確認できました!幸い軽傷だったので、近くのシェルターに案内済みです!」

 

 

その言葉で、胸の奥に詰まっていたものが少しだけ解ける。

 

(……よかった)

 

安堵と同時に、緊張が戻る。

 

 

「…ってことは、大暴れしてもいいってことね?あんたたち、許さない。ぜーったいに許さないから…!!」

 

 

便利屋側もこちらに気づく。

 

 

「おっと噂をすれば」

 

「…ちょっとタイミングはズレちゃったけど、どうせいつかは白黒つけないといけない相手だし…確保しておいた傭兵をこっちに呼ぶ」

 

 

レインの瞳が細くなる。

 

(傭兵)

 

(やっぱり、前回の続きか)

 

 

「…そっ、そうよ!!これでわかったでしょう、アビドス!私がどんなに悪党かを!さあ、いざ勝負!!かかってきなさいよ!」

 

「私が一人残らず始末します、アル様」

 

 

小さく息を吐いた。

 

(……無理してる)

 

(悪役を演じてるだけだ)

 

けれど戦場では、その差は意味を持たない。

 

――戦闘前の静寂

 

 

「覚悟はいい?」

 

「お仕置きですよー」

 

 

シロコは無言で銃を構える。

 

レインもSVCh-8.6を取り出し、ゆっくりとセーフティを解除する。

 

金属音が、やけに静かに響く。

 

(また狙うのは――)

 

視線の先。

 

陸八魔アル。

 

(指揮官)

 

(ここを止めれば流れは崩れる)

 

 

「……今回も、アルを抑えます」

 

 

誰に言うでもなく、低く呟く。

 

セリカがちらりとこちらを見る。

 

 

「レインちゃん、またやるの?」

 

「はい」

 

 

短く答える。

 

少しだけ間を置いて。

 

 

「出来れば、撃ちたくないんですけどね」

 

 

それは本音だった。

 

ラーメン屋で笑っていた姿が、まだ消えない。

 

(戦場と日常が重なって見える)

 

(それが一番、厄介だ)

 

けれど。

 

(今は敵)

 

(迷ったら、みんなが危ない)

 

リュックを下ろし傍に置き、障害物に身を隠す。

 

スコープを覗き込む。

 

心拍が徐々に落ち着いていく。

 

狙撃体勢に入るたび、感情が遠ざかっていく感覚。

 

だが今日は、完全には切り替わらない。

 

(どうして)

 

(どうして、こうなるんだろう)

 

アルがこちらを見た気がした。

 

遠い距離なのに、視線だけが交差する。

 

レインは小さく吐息を漏らす。

 

 

「……始めます」

 

 

便利屋68との戦闘が始まろうとしていたその時――

 

空から空気を切り裂く音。

 

次の瞬間、地面が爆ぜた。

 

 

「うわっいきなり何なのさ!!」

 

 

爆風が砂を巻き上げる。

 

次から次へと爆発が続いている

 

 

「…これは!」

 

「何…?」

 

「この音は…」

 

「砲撃です!!三kmの距離に多数の擲弾兵を確認!50mm迫撃砲です!目標は私たちではなく便利屋の方みたいなのですが、もう少し確認を…」

 

「迫撃砲、ですか…?」

 

 

背筋が冷える。

 

 

「50mm迫撃砲といえば…」

 

「兵力の所属、確認できました!!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!」

 

「風紀委員会…!」

 

 

ゆっくり息を吸う。

 

視界の中で、敵味方の境界が一気に曖昧になる。

 

胸の奥に、重い直感が落ちる。

 

そして同時に――

 

自分の指が、わずかに震えていることに気づく。

 

恐怖ではない。

 

予測不能な戦場に、神経が過剰に反応しているのだ。

 

唇をわずかに噛んで、銃を握り直す。

 

 

「社長!ムツキ!ハルカ!早く隠れよう!奴らが来た!」

 

「奴らって?」

 

「うちの風紀の連中だよ!ここまで追ってくるなんて!それもこのタイミングで…!いや、こんなタイミングだからこそ…!?」

 

 

便利屋68も困惑している。

 

その声には、さっきまでの余裕がなかった。

 

レインはスコープ越しに、瓦礫の陰へ身を沈める便利屋たちを見つめる。

 

(……本当に予定外なんだ)

 

アルの動きは演技ではない。

焦りが、はっきり見える。

 

 

「ぐっ!くぅっ…!」

 

 

迫撃砲による砲撃で便利屋68は沈黙してしまった。

 

爆風が連続し、地面が小刻みに震える。

 

砂が舞い、視界が白く濁る。

 

(次のターゲットは――)

 

直感が告げていた。

 

(……自分たち)

 

スコープを覗く。

 

煙の向こう。

 

整然とした隊列。

 

迷いなく前進してくる部隊。

 

 

「な、何っ?風紀委員会が便利屋を捕まえに来たってこと!?」

 

「まだわかりません…しかし私たちに友好的とは判断しかねます」

 

「確かに。砲撃範囲内には私たちもいた、あからさまにこっちを狙ったわけじゃないけど」

 

「そんな…」

 

「冗談じゃないっての!便利屋は私たちの獲物なんだから!何なの一体!」

 

 

セリカの怒りが爆発する。

 

 

「でもゲヘナの風紀委員会は、他校の公認武力集団や、便利屋のような部活とは性質が異なります!一歩間違えれば、政治的な紛争の火種になるかもしれません…アヤネちゃん、ホシノ先輩とはまだ連絡がつきませんか?」

 

「…はい。普段なら、ここまで連絡取れないことはないはずなのに…」

 

 

その言葉で、胸の奥がわずかに重くなる。

 

(ホシノ先輩がいない)

 

(判断を任されるのは――)

 

無意識に喉が渇く。

 

 

「この状況…私たちはどうすればいいのでしょうか?」

 

 

全員黙り込む。

 

砲撃音だけが、遠くから重く響く。

 

レインは、ゆっくり呼吸を整える。

 

(……なんでこんなことに)

 

ほんの少し前まで、ただの小競り合いになるはずだったはずなのに。

 

 

「”じゃあ便利屋をこのまま風紀委員会に引き渡しちゃう?”」

 

 

先生の提案に、背筋がわずかに強張る。

 

(それは、一番楽な道)

 

(でも――)

 

 

「それは、で、ですが…それにしても彼女たちと戦うわけには…」

 

「じゃあどうしろっていうの?」

 

「ほかに選択肢はない、風紀委員会を阻止する」

 

 

シロコの声は静かだった。

 

だがその判断には、迷いがない。

 

小さく息を吐く。

 

(……同じ結論か)

 

 

「シロコの言う通りです。現在、風紀委員会の歩兵部隊が接近中です。このままだとこちらにも損害が出ます。ここで防衛戦をするのがいいかと…」

 

 

声を出した瞬間、自分でも驚くほど冷静だった。

 

だが内心は違う。

 

(本当は…もう戦いたくない)

 

 

「…はい、その通りです。風紀委員会が私たちの自治区ですでに戦術的行動をしたということは、政治的紛争が生じるということ…きっと便利屋の皆さんが問題を起こしたのは事実です…しかし、だからといって、ほかの学園の風紀委員会が私たちの許可もなく、こんな暴挙を敢行してもいいという意味ではありません!」

 

 

アヤネの声が震えている。

 

怒りと責任感。

 

レインはその横顔を見て、少しだけ安心する。

 

(誰かが怒ってくれると)

 

(判断が正しい気がする)

 

 

「その通りだわ!よくもこんなことを!これは私たちの学校の権利を無視するような真似よ!便利屋を罰するのは私たち!柴関ラーメンを壊した代償は払ってもらわないと!」

 

 

セリカの言葉で空気が変わる。

 

迷いが、戦意へ変わる。




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