ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
地面を蹴った瞬間、視界が針の穴みたいに狭まる。
余計なものが消える。音も、匂いも、恐怖も。
(前線、押し返す)
私はAK-12を肩に密着させたまま、一直線に駆けた。
砂煙の向こうで、風紀委員会の先頭列が規律正しく展開している。盾役、後衛、側面警戒――訓練された動き。
「右から回ってクロス取ります!」
叫びながら、引き金を刻む。
フルオートは使わない。弾は有限。冷静に削る。
セミオートを三連射。確実に、丁寧に。
前列の二人をよろめかせ、隊列の重心をずらす。ほんの数十センチの乱れ。それで十分。
次の瞬間、横合いから爆発。
「はいどーん☆」
ムツキの炸裂弾が地面を抉り、衝撃波が隊列を崩す。
(今!)
私は一気に距離を詰めた。
至近距離。
相手が銃を上げ切るより早く、銃身を叩き上げる。
金属がぶつかる硬い音。
肘で鳩尾を打ち、呼吸を止める。
踏み込み、AK-12のストックで横殴り。
(躊躇うな)
目の前の相手は迷っていない。
なら、私も迷わない。
「おー迷彩服ちゃんやるねー」
ムツキの声が飛ぶ。
「それほどでも。それと、私の名前はレインです」
「ごめんごめん、頼りにしてるよレインちゃーん」
ムツキと少しからかいあう
戦闘に戻り、シロコが横へ滑り込み、自分の死角に正確な射撃を差し込む。
自然と背中を預ける形になる。
(呼吸、合ってる)
言葉はいらない。
左から三人。
私は即座に身を低くし、スライディング気味に位置をずらす。
射線が交差する瞬間を読み、撃つ。
一人目を牽制。
二人目が踏み込む。
銃を撃つ距離じゃない。
AKを引き寄せ、相手の腕を掴む。
勢いを利用して身体を入れ替え、投げる。
砂煙が舞い、衝撃が手のひらに伝わる。
(体が軽い)
アドレナリン。
痛みも疲労も、今は遠い。
「”アビドスの皆、左翼押されてる!”」
先生の報告。
「便利屋、そっち援護!」
「了解。アル、正面頼みます!」
「任せなさい!」
アルが堂々と前に出る。無駄に目立つ。
だがその分、敵の視線が一斉に向く。
(囮になる気か)
その瞬間を逃さない。
私はアルの影から飛び出し、側面へ回り込む。
フルで叩き込む。
弾道が横から突き刺さり、隊列が崩壊する。
「ナイス連携!」
ムツキの声。
(敵だったのにな)
数十分前まで撃ち合っていた相手と、今は同じ陣形を作っている。
戦場は、本当に皮肉だ。
――だが。
四方から再び増援。
包囲がじわじわと狭まる。
足音が増える。無線が飛び交う。
息が荒い。
(まだ足りない)
このままじゃ押し切れない。
その時。
「”中央突破!アビドスは左に展開、便利屋は右から圧力を!”」
先生の声。
瞬間、全員の動きが一本に揃う。
(指揮が一本になると、こんなに違うのか)
迷いが消える。
私は中央、最前列へ。
銃撃の隙間を縫う。
近づく。
撃つ。
弾く。
殴る。
砂と火花が舞う中、ただ前へ。
後ろには仲間がいる。
横には、さっきまで敵だった便利屋がいる。
(今は、同じ方向を向いてる)
胸の奥が熱い。
恐怖もある。
だがそれ以上に――
(守ってる、私は)
その実感が、足を止めさせない。
歯を食いしばり、AK-12を構え直す。
だが。
敵影は薄れるどころか、濃くなる。
砂煙の向こうに、新たな隊列。
整然とした足並み。乱れのない展開。
「風紀委員会、第三陣を展開してきました!」
アヤネの声が震える。
「はあ…はあ…まだいるの!?」
「この状況でさらに投入…!?」
シロコとセリカは疲れながらそう言う。
自分も、同じ気持ちだ。
「た、大したことないわよ!まだまだ戦えるんだから!」
アルは強がる。
私は無意識にマガジンを確認する。
(残り、少ない)
8本ある30発マガジンのうちの6本は空、残りは刺さっているマガジン含めて3本、合計90発のみ
呼吸は荒い。
腕が重い。
味方の動きもわずかに鈍い。
確実に、削られている。
「これはもう、アコの権限で動かせる兵力を超えてる…」
カヨコの低い声。
「…風紀委員長が!」
空気が変わる。
「えっ、ヒナが来るの!?無理無理無理!?逃げるわよ、早く!!!」
「落ち着いて、社長…」
その時。
「アコ」
静かな声。
アコのホログラムの背後に、MG42を抱えた白髪の少女のホログラムが浮かび上がる。
画面越しなのに、圧がある。
(……違う)
さっきまでの緊張とは質が違う。
背筋が冷える。
(風紀委員長……ヒナ)
アコが狼狽する。
嘘を重ねる。
ヒナは淡々と追い詰める。
そして――
空間が揺らぐ。
ホログラムの隣に、実体。
“いた”。
それだけで、戦場の空気が変わる。
銃声が遠く感じる。
(速い、じゃない)
移動の過程を認識できなかった。
ただ結果だけがある。
ヒナは鋭い目でアコを睨む。
「…アコ。この状況、きちんと説明してもらう」
声は静か。
だが、重い。
圧力が肌に触れる。
心臓が一拍、遅れる。
(これが……トップ)
撃ち合いとは別種の緊張。
もしここで戦闘になれば。
被害は、今までの比じゃない。
私は無意識にAK-12を握り直す。
撃つべきか。
下げるべきか。
(違う)
今撃てば、全面衝突。
守るための戦いが、壊滅戦になる。
喉が乾く。
それでも、目は逸らさない。
ヒナの一言で。
この戦場の意味が決まる。
そう、はっきりと感じた。
感想お待ちしてます
続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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いる
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いらん