ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.37 作戦前日

会議が終わり、翌日にアビドス砂漠へ向かうことが決まった。

 

放課後、私は再びブラックマーケット近くの銃砲店を訪れた。午前中に弾薬を購入した店だ。夕暮れの光がシャッターの隙間から差し込み、店内の金属を鈍く光らせている。

 

 

「……また来たのかい」

 

 

店主が片眉を上げる。

 

 

「対装甲装備を探しています。使い捨て式で」

 

「物騒だねえ。砂漠で戦争でもやるのか?」

 

「…近いですね」

 

 

店主はしばらく私を見てから、奥へ引っ込んだ。戻ってきた時、その腕には太い発射筒が抱えられている。

 

 

「RPG-28だ。新品同然。重いぞ」

 

 

一本、手に取る。想像よりも質量がある。

 

 

「これをあと三発ください」

 

「合計で四発!?」

 

 

店主が目を丸くする。

 

 

「本気だね、アビドス」

 

「想定外は、起きる前提で」

 

 

淡々と答えると、店主は苦笑した。

 

 

「……あんた、見た目より過激だな」

 

「そうでしょうか?見た目の方がよっぽど過激な見た目ですよ?」

 

「いや、今まで見てきたお客さんで一番物騒なお客さんだ」

 

「そうですか」

 

 

代金を払い、店の外でリュックを下ろす。発射筒を一本ずつ縛り付けていく。肩紐を締め直すと、ずしりと重みがのしかかる。

 

砂漠で“何か”を企んでいるのが事実なら、装甲車両や重機が出てくる可能性もある。

 

準備不足だけは、避けたい。

 

重さを踏みしめながら、ゆっくり学校に戻った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜。

 

保健室のベッドに横になり、天井を見つめる。

 

机の上には、SRTのパンフレット。

 

手を伸ばし、何度目か分からないページをめくる。

 

整然と並ぶ隊列。最新装備。統制の取れた作戦行動。

 

 

「……戦略的だな」

 

 

小さく呟く。

 

無駄がない。迷いがない。

 

そこには、借金も土地問題もない。

 

任務は明確で、目的も明確。

 

(私は、戦力としてどこにいるべきか)

 

考え始めると、止まらない。

 

胸が落ち着かなくなり、私はベッドから起き上がった。

 

屋上へ出ると、夜風が頬を撫でる。昼の熱が嘘のように冷えている。見上げれば、砂漠の上に広がる星空。

 

 

「……おやおや?こんな時間に珍しいね~」

 

 

背後から声。

 

振り向くと、ホシノ先輩が眠そうな目で立っている。

 

 

「先輩こそ、こんな時間に」

 

「おじさんは夜更かし上等なんだよ~」

 

「明日、出発ですが」

 

「だからこそ。緊張して寝れないタイプ?」

 

 

少し、間が空く。

 

 

「……否定はしません」

 

 

ホシノ先輩が隣に並ぶ。フェンスにもたれ、同じ方向を見る。

 

「最初に会ったときさ」

 

唐突に話し出す。

 

 

「レインちゃん、銃口向けたまま三十秒くらい瞬きしなかったよね」

 

「誰でも知らない人が話しかけてきたら警戒しますよ」

 

「怖かったなあ、あれ。撃たれるかと思った」

 

「必要がなければ撃ちませんよ」

 

「うへ~、その“必要があれば撃つ”感じがさあ」

 

 

少し笑う。

 

 

「でも、今は違うよね」

 

「……何がですか」

 

「ちゃんと仲間を見る目してる」

 

 

言葉に詰まる。

 

自分では意識していなかった。

 

 

「なんかあった?」

 

「…いえ、何も」

 

「嘘だね~」

 

 

軽い調子。でも目は少し真面目だ。

 

逃げ場はない。

 

核心。

 

私は視線を逸らす。

 

 

「もし」

 

 

ゆっくり言葉を選ぶ。

 

 

「より整った環境があって、装備も補給も十分で、能力を最大限発揮できる場所があったら」

 

 

ホシノ先輩は黙って聞いている。

 

 

「そこに行く方が、合理的でしょうか」

 

 

夜風が強く吹く。

 

 

「合理的、ねえ」

 

 

ホシノ先輩は空を見上げたまま言う。

 

 

「レインちゃんって、合理好きだよね」

 

「無駄は排除すべきです」

 

「じゃあさ、心がちょっとザワザワするのは合理?」

 

 

言葉が止まる。

 

図星だ。

 

 

「……それは、誤差です」

 

「うわ、誤差扱い」

 

 

笑う。

 

でもその後、少し真面目な声になる。

 

 

「おじさんね、昔いろいろ選択肢あったよ」

 

「……」

 

「楽な道もあったし、強い後ろ盾もあった。でもさ」

 

 

小さく肩をすくめる。

 

 

「結局、自分が納得できるかどうかなんだよね」

 

 

私は黙って聞く。

 

 

「能力を活かしたいなら、活かせる場所へ行けばいい。ここに残りたいなら残ればいい」

 

「残る理由が、感情でも?」

 

「感情こそ強いよ~?」

 

 

ホシノ先輩は笑う。

 

 

「合理は状況で変わるけど、やりたいことは案外変わらない」

 

 

胸の奥が、少しだけ軽くなる。

 

 

「……もし、私がいなくなったら」

 

 

思わず口に出る。

 

 

「寂しいよ?」

 

 

即答。

 

 

「戦力的にも困るし」

 

「そこですか」

 

「そこも、ね」

 

 

少しだけ沈黙。

 

 

「でも縛らない。自分で決めなよ」

 

 

その言葉が、静かに染みる。

 

私は星を見る。

 

砂漠の上に、無数の光。

 

(明日、私はどこに立ちたい)

 

想像する。

 

砂煙の中、ホシノ先輩の少し前。

 

シロコの隣。

 

アヤネの後方。

 

セリカが怒鳴りながら突っ込んでいく。

 

その光景が、自然に浮かぶ。

 

 

「……私は」

 

 

小さく息を吐く。

 

 

「まだ、ここに居たいです」

 

 

はっきりとは言わない。

 

でも、十分だった。

 

 

「うん。それでいい」

 

 

ホシノ先輩は満足そうに頷く。

 

そして急に軽い調子に戻る。

 

 

「というわけで、もう寝なよ。明日フラフラしてたらおじさん背負わないからね」

 

「多分背負えないと思いますよ。さっき買い足した装備も含めて170kgぐらいありますので」

 

「え、何それ怖い」

 

「冗談です」

 

「レインちゃんの冗談って冗談に聞こえないんだよなあ…」

 

 

二人で小さく笑う。

 

 

「ほら、行った行った。おやすみ、レインちゃん」

 

「……おやすみなさい、先輩」

 

 

屋上を後にし、保健室へ戻る。

 

ベッドに横になると、さっきより呼吸が深い。

 

机の上のパンフレットは、閉じたまま。

 

まだ答えは完全じゃない。

 

でも。

 

(明日は、アビドスの砂漠へ行く)

 

それだけは、迷いがなかった。

 

瞼がゆっくりと落ちる。

 

重い装備も、不安も抱えたまま。

 

それでも今は。

 

静かに、眠りに落ちていった。

 

 




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