ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
駅を出てからここまで、何度か足を止めた。
線路沿いの高架下にたむろしていた不良たち。崩れたコンビニの影から飛び出してきた警備ロボット。片腕の取れたオートマタが、砂を巻き上げながら突進してきたときは、反射的に前へ出ていた。
引き金を引くたび、反動が肩を叩く。
壊れた機械が砂に沈み、不良たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
(この辺りは、まだ“市街地の延長”だ)
建物の骨組みが残っている。電柱が立っている。標識も読める。
けれど――。
「ここから先が、捨てられた砂漠」
セリカの言葉に、足を止める。
見渡す限り砂と岩しかない。
人工物は、ほとんどない。
風が吹くたび、地面そのものが形を変えていく。
私はゆっくりと周囲を見渡す。
視界が広すぎる。
遮蔽物がない。
(射線が通りすぎる)
敵がいれば、遠距離からでも容易に狙える。だがそれは、こちらも同じということ。
心拍がわずかに上がる。
「砂だらけの市街地に行ったことはありましたが、ここから先は私も初めてです…」
ノノミの声には、ほんの少しだけ緊張が混じっている。
「いや~、久しぶりだねねこの景色も」
ホシノ先輩は、どこか懐かしむように目を細めている。
「先輩は、ここに来たことがあるの?」
「うん、前に生徒会の仕事で何度かね~。もう少し進めば、かつてアビドスの砂祭りが開かれていたオアシスが!」
「え、オアシス?こんなところに?」
「うん、まあ今はもう全部干上がっちゃんだけどね~。元々はそんじょそこらの湖より広くって、船も浮かべられるくらいだったとか。ま、私も実際は見たことはないんだけど~」
オアシス。
船が浮かぶほどの水。
私は、目の前の砂丘と、言葉の中の湖を重ねようとする。
だが、想像が追いつかない。
(ここに、水があった?)
足元の砂を軽く蹴る。乾ききっている。
生命の気配は、ほとんどない。
「砂祭り…私も聞いたことがある。アビドスでは有名なお祭りで、すごい数の人が集まるって」
「そうそう、別の学校からもそのお祭り見たさに人が来るくらいだったからね。ま、砂漠化が進み始めるより何十年も前のことだけど」
「へえ、今となってはこんな光景になっちゃってるけど、ここでそんなすごいお祭りが…」
セリカがぐるりと周囲を見回す。
私は少しだけ口を開く。
「……今の景色からは、ちょっと想像できませんね。でも」
皆の方を見ず、前を向いたまま続ける。
「本当にそんな湖があったなら……きっと、綺麗だったんでしょうね」
自分でも、少し柔らかい言い方だと思う。
砂を渡る風の音が、遠くで鳴る。
(失われたものの話は、胸の奥が少し痛む)
ここは“捨てられた”場所。
けれど、かつては人が集い、笑っていた。
守れなかったのか。
奪われたのか。
それとも、ただ時間に負けたのか。
「前までは、この辺りも結構住みやすい場所だったらしいよ~。その時はこんな砂埃もなかったし。ところでアヤネちゃん、まだ目的地は遠そう?」
「ゲヘナの風紀委員長が言っていたセクターまでは、もう少し時間がかかりそうです。見たところ、この辺りは特に何も無さそうですが…とりあえず、引き続き警戒しつつ前進してください」
“何も無さそう”。
その言葉に、わずかに眉を寄せる。
何も無い場所ほど、潜みやすい。
私はスリングを整え、周囲をもう一度確認する。
「視界が開けすぎています。左右の高低差に注意してください」
少しだけ声を落とし、続ける。
「砂丘の向こう側は死角になります。私が先に確認しますね」
言い方は穏やかに。
命令ではなく、提案の形で。
(過度に張り詰めさせる必要はない)
けれど、自分の内側では緊張が解けない。
背中のRPG-28が、ずしりと存在を主張する。
この広さなら、装甲車両が出てもおかしくない。
遠距離火器も想定内。
(ここは、市街地とは違う)
逃げ場がない。
隠れ場所も少ない。
だからこそ、備える。
砂を踏みしめながら、私は一歩前に出る。
足が少し沈む。
重心を低く保つ。
視線は水平線と、わずかな色の違いを探す。
胸の奥にあるのは、不安ではない。
静かな覚悟。
ここがどれだけ失われた場所でも。
何が待っていても。
(私たちは、確かめに来た)
そのために、ここまで来た。
風が吹く。
砂が舞う。
私は目を細め、前を見据えた。
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続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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いる
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いらん