ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.44 予感

保健室の蛍光灯の下、AK-12のマガジンに一発ずつ弾を押し込む。

 

5.45×39mm弾の金属音が、やけに乾いて響く。

 

(残りは……足りないですね)

 

明日、もしまた交戦になれば消耗は避けられない。

補給ルート、在庫、価格。頭の中で数字が巡る。

 

(買い足さないと。でも資金は……)

 

指先にかかる圧を強めた瞬間、廊下から声がした。

 

二つの影。

 

ドアをほんの少しだけ開ける。

 

見えたのは、ホシノ先輩と先生。

 

話し声は聞こえない。

けれどホシノ先輩の横顔は、いつもの間延びした笑みじゃない。

 

真剣で、どこか……決意したような顔。

 

なにか、嫌な予感がする

 

胸の奥がざわつく。

 

話が終わったのか、先生がこちらを向いた。

 

反射的に顔を引っ込める。

 

心臓が跳ねる。

 

足音が近づき、保健室前を通り過ぎる。

 

……止まらない。

 

(ばれていない)

 

安堵の息を吐いた瞬間。

 

 

「レインちゃ~ん、ばれてないと思った?」

 

「ひっ!?」

 

 

背後から声。

 

振り返ると、ドアの隙間からホシノ先輩がのぞき込んでいる。

 

 

「ハハッ、流石ですねホシノ先輩」

 

 

平静を装う。

 

でも内心は、落ち着いていない。

 

 

「話してる内容、聞いた?」

 

「いえ。聞き取れなかったです」

 

 

本当だ。

 

聞こえなかった。

 

でも――聞こえなかったことが、逆に怖い。

 

 

「そうなんだ。レインちゃん、さよなら。また明日ね」

 

 

その言い方。

 

軽いはずなのに、妙に静かで。

 

(違う)

 

胸が締めつけられる。

 

足が勝手に動いていた。

 

ホシノ先輩の手を掴む。

 

 

「うわっ、いきなり何なのさ。レインちゃんっぽくないよ~」

 

 

振り向いた顔は、いつもの笑顔。

 

でも目の奥が、少しだけ揺れている。

 

 

「…ホシノ先輩、どこにも行かないで下さい」

 

 

自分でも驚くほど、声が真剣だった。

 

一瞬、沈黙。

 

廊下の空気が冷える。

 

(言ってしまった)

 

らしくない。

冷静さが売りの自分が、感情で掴んでいる。

 

でも離せない。

 

 

「何か、するつもりですよね」

 

 

問い詰めるつもりはない。

 

ただ、確認したい。

 

 

「一人で何とかしようとしてませんか」

 

 

ホシノ先輩は少し目を細める。

 

 

「レインちゃんは、勘がいいね~」

 

 

軽い声。

 

でも否定はしない。

 

胸の奥が冷たくなる。

 

(やっぱり)

 

 

「私は、戦力としてここにいます。盾でも、矛でも、汚れ役でも構いません」

 

 

言葉が、止まらない。

 

 

「でも……勝手にいなくなるのは、許しません」

 

 

それは命令でもお願いでもなく、ほとんど本音の叫びだった。

 

 

「学校を守るために、ホシノ先輩がいなくなるなんて、そんなの本末転倒です」

 

 

ホシノ先輩の腕を、無意識に強く握っていることに気づく。

 

慌てて少し力を緩める。

 

(怖い)

 

もし今ここで「うん、行くよ」と言われたら。

 

止められる自信がない。

 

ホシノ先輩はしばらく黙って、それから小さく笑った。

 

 

「レインちゃんさ~」

 

 

その声は、いつもより少しだけ柔らかい。

 

 

「おじさん、そんなに信用ない?」

 

「信用してます」

 

 

即答だった。

 

 

「だから、怖いんです」

 

 

信頼しているからこそ。

 

自己犠牲を選ぶ人だと、分かっているから。

 

廊下の窓から夜風が吹き込む。

 

沈黙。

 

やがてホシノ先輩は、軽くため息をついた。

 

 

「……大丈夫だよ」

 

 

ぽん、と私の頭に手を乗せる。

 

 

「どこにも行かない。少なくとも、今夜はね」

 

 

“少なくとも”。

 

その限定が引っかかる。

 

けれど、さっきよりは呼吸が楽になる。

 

 

「ホシノ先輩。一人で抱え込むの、禁止です」

 

 

私は静かに言う。

 

 

「ホシノ先輩だけじゃない。私も、先生も、みんないます」

 

 

少しだけ視線を逸らしながら付け加える。

 

 

「……私…置いていかれるのは、嫌ですから」

 

 

自分の弱さを認める言葉。

 

でも、隠す余裕はなかった。

 

ホシノ先輩は一瞬きょとんとして、それからいつもの調子で笑う。

 

 

「も~、レインちゃんは心配性だなぁ」

 

 

くるりと背を向ける。

 

 

「じゃあ本当に、また明日。今度こそね」

 

 

その背中を見送りながら。

 

胸の奥で、まだ不安が消えないままベットに入り、眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

生徒会室にホシノ先輩の姿は無く、机の上にポツンと退部届と手紙だけ置かれていた

 

 




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