ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.53 再び

カイザーPMCの第一陣を薙ぎ払い、私たちは施設の外周を突破した。

 

崩れた壁。

散らばる薬莢。

黒い煙。

 

施設の入り口のシャッターは半分吹き飛び、鉄骨が歪んでいる。

 

私はゆっくり息を整えながら周囲を見た。

 

耳の奥がまだ少しだけ響いている。

さっきまでの銃撃戦の余韻だった。

 

(……突破できた)

 

ここまでの戦闘は想定より激しかった。

カイザーPMCのオートマタ、重火器班、固定機銃。

 

それでも――

 

全員、無事だった。

 

「みなさん、大丈夫ですか?」

 

 

アヤネが通信越しで質問する。

 

 

「ん」

 

 

シロコが静かに頷く。

 

 

「全っ然大丈夫!」

 

 

セリカが肩を回しながら言う。

 

むしろ少し楽しそうなくらいだ。

 

 

「まだまだ行けますよ~」

 

 

ノノミがミニガンを構え直しながら微笑む。

 

アヤネはタブレットを確認している。

 

 

「先生に教えていただいた座標はもう目の前なので、もう少しの辛抱です…!」

 

 

その声には少しだけ緊張が混じっていた。

 

ホシノ先輩が、もうすぐそこにいる。

 

私の胸の奥も、少しだけ速く鼓動していた。

 

(……近い)

 

ここまで来た。

 

もうすぐだ。

 

私は背中のRPGを一度触る。

 

残弾は、あと一発。

 

RPG-28。

 

今回貰ったものとは別の、使い捨て式。前にここに来た時の余りである。

 

その時、通信機にノイズが入る。

 

アヤネの声だった。

 

 

「前方に敵を発見しました!!」

 

 

全員がすぐに構える。

 

 

「距離は2km、もうすぐ接敵します!」

 

 

タブレットを操作する音。

 

 

「みなさん、対処の準備を…!」

 

私はRPGを肩から下ろす。

 

筒を肩まで持ち上げる。

 

重さが体に乗る。

 

照準を前方の施設群に向ける。

 

(これで道を開く)

 

そう思った、その瞬間。

 

――――ギィィィィン!!

 

空を切り裂くような音。

 

次の瞬間。

 

ドォォォォン!!

 

前方の建物群が巨大な爆発に包まれた。

 

衝撃波がこちらまで届く。

 

砂と煙が空に舞い上がる。

 

私は思わず目を細めた。

 

 

「……あれは?」

 

 

セリカが目を丸くする。

 

 

「支援射撃?」

 

 

シロコが煙の向こうを見つめる。

 

アヤネがタブレットを見て、はっとした声を出す。

 

 

「……L118!」

 

 

驚きが混ざる。

 

 

「トリニティの牽引式榴弾砲です!」

 

 

私は思わず眉をひそめた。

 

(L118……?)

 

聞いたことがある。

 

確か――

 

イギリス軍やアメリカ軍で採用されている牽引式榴弾砲。

 

軍用の本格的な火砲だ。

 

(なんで学園がそんなものを…)

 

その時。

 

通信機に小さな声が入る。

 

 

「あ、あぅ……わ、私です……」

 

 

少し聞き覚えのある声だった。

 

セリカがぱっと顔を明るくする。

 

 

「あっ!ヒフー」

 

 

通信からすぐに慌てた声が聞こえる。

 

 

「ち、違います!私はヒフミではなく、ファウストです!」

 

 

通信越しでも分かるくらい焦っていた。

 

私は少しだけ肩の力が抜けた。

 

(……あの人か)

 

ブラックマーケットで出会った子。

 

ノノミが頭に「5」と書かれた紙袋を被せ、銀行強盗に巻き込んでしまった生徒。

 

ノノミが嬉しそうに言う。

 

 

「わあ、ファウストさん!お久しぶりです!」

 

 

少し笑いながら続ける。

 

 

「ご自分で名前を言っちゃってましたが、そこはご愛敬ということで☆」

 

 

通信の向こうで慌てる声。

 

 

「あ、あれ!?あぅぅ……その、このL118は、トリニティの牽引式榴弾砲ですが……」

 

 

少し声を潜める。

 

 

「ト、トリニティ総合学園とは一切関係ありません!」

 

 

必死な言い方だった。

 

 

「射撃を担当している皆さんにも、そう伝えておきましたので……」

 

 

小さくなる声。

 

 

「す、すみません、これくらいしかお役に立てず……」

 

 

「ううん、すごく助かった」

 

 

シロコがすぐに言う。

 

 

「はい!ありがとうございます、ファウストちゃん!」

 

 

ノノミも明るく言う。

 

 

通信の向こうで少し安心した声。

 

 

「あはは……えっと、みなさん……が、頑張ってください!」

 

 

通信が切れた。

 

私は少しだけ空を見上げる。

 

煙の向こう。

 

遠くの空。

 

(……L118)

 

確かイギリスやアメリカなどで採用されている榴弾砲。

 

それを学園が保有している。

 

普通に考えれば、おかしい。

 

(……まあ)

 

私は考えるのをやめた。

 

ここはキヴォトスだ。

 

学園が戦車やロボットを持っている世界だ。

 

今さら榴弾砲くらいで驚く必要はない。

 

それよりも――

 

私は煙の向こうを見る。

 

爆撃を受けたカイザーPMCの陣地。

 

兵士たちが混乱しているのが見える。

 

(チャンスだ)

 

シロコが静かに言う。

 

 

「火力支援の直後に突撃」

 

 

少し笑う。

 

 

「定石通りだね」

 

 

 

「はい!」

 

 

アヤネがすぐに答える。

 

タブレットを操作する。

 

 

「敵は砲撃により混乱状態です!」

 

 

声が少し強くなる。

 

 

「今のうちに突破しましょう!」

 

 

セリカが銃を構える。

 

 

「よっしゃ!」

 

 

ノノミも前を見る。

 

シロコはすでに走り出す姿勢だった。

 

私はRPGを背中に戻す。

 

(……あと少し)

 

ホシノ先輩。

 

もうすぐだ。

 

胸の奥が強く鼓動する。

 

でも、不思議と怖くはなかった。

 

ここまで、みんなで来た。

 

対策委員会。

先生。

そして、遠くから支援してくれる人たち。

 

トリニティのファウスト及びヒフミさん。

 

もしかしたら――

 

スズカ先輩も、どこかで見ているかもしれない。

 

私はAK-12を強く握る。

 

 

「……行きましょう」

 

 

そう言って、前に出る。

 

 

「今なら突破できます」

 

 

そして私たちは――

 

混乱しているカイザーPMCの陣地へ、一斉に突撃した。

 

 




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